『王宮のささやき』は宮廷での陰謀劇をテーマにしたカードゲームです。画期的な「プレイされたカードしだいで次の手番プレイヤーが決まる」システム、そして「できれば自分に手番がまわってきてほしくない、と大半のプレイヤーが切望する」システムに、幻惑されること間違いなし! 『大聖堂』でドイツゲーム賞を受賞した若き巨匠・ミヒャエル・リーネックの話題作が、完全日本語版になって登場です!
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作成:秋口ぎぐる | |||||||||||||||||
○ルールの紹介 | |||||||||||||||||
・準備 各プレイヤーにそれぞれの色の得点カードを配ります。赤、青、黄色、紫、緑……と、とてもカラフル! 得点は2枚のカードをずらすことで表現します。この「プレイヤーそれぞれに、自分の色がある」という点に注意してください。 続いて道化師、会計士、メイド、執事、魔法使い、衛兵、将軍といったキャラクターカードをシャッフルし、各プレイヤーに6枚ずつ配ります。残ったカードは山にします。 これらキャラクターカードはそれぞれ全プレイヤーの色に対応したものと、どのプレイヤーにも対応していない「灰色」のものが存在しています。 最後に、各キャラクターカードに対応した「国王カード」をシャッフルして山を作ります。これにて準備完了! |
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・手番順 最年長のプレイヤーが最初の手番プレイヤーになります。自分の手番にやることは、手札からカードを選んで自分の前に出す……という、ただこれだけ! そして、ここからが『王宮のささやき』最大のポイントです。普通のゲームは時計回りで手番が進んでいきますね? でもこのゲームは違います。「手番プレイヤーが自分の前に出したカードで示された色のプレイヤー」が次の手番プレイヤーになるのです! たとえば赤のプレイヤーが緑の道化師を出した場合、次は緑のプレイヤーが手札からカードを出すことになります。 カードの中には灰色のものもあります。この色のカードが出された場合、次の手番プレイヤーは「その時点で自分の前に出しているカードの枚数がいちばん少ないプレイヤー」になります。この条件に当てはまるプレイヤーが複数いた場合は、手番プレイヤーがそれらの中から次の手番プレイヤーを指名します。 たとえば赤のプレイヤーが赤のカードを出しつづけた場合は……「次も俺のターン」「ずっと俺のターン」といったプレイも可能! ……ただし。 カードの出し方については、ひとつ重要な決まりごとがあります。「すでに自分が前に出しているキャラクターと同じキャラクター」は出せないのです。 たとえばすでに衛兵を自分の前に出している場合、それがどんな色であろうと、2枚目の衛兵を出すことはできません。ですが、『王宮のささやき』は手札がどんどん減っていくゲームですから、プレイ中に「手札には衛兵しかない、だが私はもう衛兵を自分の前に出してしまっている」という状況が訪れます。このような状況になってしまった場合は……即座に、そのラウンドは、そのプレイヤーの負けになります! 負けたプレイヤー以外のプレイヤーは全員、1点を獲得します。当然、負けたプレイヤーは1点も得られません。 逆に、自分の前に(手札として配られた)6枚のカードをすべて配置できた場合は、そのプレイヤーだけがラウンドの勝者となり、即座に1点(SNEルールでは2点)を獲得します。 つまり……『王宮のささやき』は、ラウンドの最初は機嫌よくカードを出していけるものの、どんどん出せるカードが減っていき、たいていは「うわ、僕に手番がまわってこないでくれ!」と思ってしまうゲームなのです。 ……ここで皆さん、「そんなの配られた手札次第で勝敗が決まるゲームじゃないか」と思うかもしれません。ですが、まったくそんなことはないのです。各キャラクターカードはそれぞれ劇的な効果を持っており、手札や自分が前に出したカードをどんどん変化させていきます! その具体的な効果について、順番に説明していきましょう。 |
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・カードの効果 まずは「道化師」。こいつは簡単です。効果は「なにもなし」です。 続いて山羊の「会計士」。「紙の書類を食べてまうやん!?」というツッコミ待ちです。こいつは、できれば自分の前に出したくないカードです。こいつを出した場合、そのプレイヤーは自分の手札をほかの全プレイヤーに公開しなくてはなりません。「次あいつに手番をまわしたら、カードを出せなくて負けるぞ」みたいな読みをされてしまうわけです。 そして萌えるバニーの「メイド」さん。この子はとても有能! 彼女を出した場合、自分の手札から1枚を山札のいちばん下へ戻し、山札の上から1枚を引きます。つまり「手札のいらんカードを1枚、チェンジできる」効果。すてき! チェンジ系のカードとしては、「魔法使い」の効果がドラマティック。彼は他プレイヤー1人を指名し、お互いに不要なカードをチェンジする効果を持っています。チェンジする枚数は魔法使いを出したプレイヤーが決定します。「いらん会計士3枚を押しつけたれ」と思って差しだしたら、相手からも会計士3枚が来た、なんてことも……。 チェンジ系のカードその3。「執事」です。忠実な犬野郎です。こいつは各プレイヤーが前に出しているカードどうしを交換してくれます。自分と他人のカードを交換してもいいですし、他人どうし交換させてもかまいません。交換の結果、だれかの前に同じキャラクターが2枚並んではいけません。 この執事を使えば、「残りの手札は道化師と執事のみ、でも道化師はすでに自分の前に出してる」なんてときに、「執事を出して、自分がすでに出してる道化師と他プレイヤーがすでに出している会計士を交換、道化師を出せる状態に!」といったプレイが可能です。 熊の「衛兵」も便利。こいつを出した場合、自分がすでに前に出しているカードを1枚、手札へ戻します。つまり……衛兵を出して、自分がすでに出してていたメイドさんを手札に引きあげて、またそのメイドさんを出して、いらない手札を再度チェンジする、といったプレイが可能になるわけです。 最後は猫の「将軍」。彼女はゲームに劇的な変化を与えてくれます! 彼女が出された場合、場の国王カードを1枚めくります。その国王カードに書かれていたキャラクターは、以降、効果なし……つまり道化師と同じ効果のカードとなってしまいます! これは、たとえば対象がメイドさんや魔法使いだった場合は(カードをチェンジできなくなるので)辛いのですが、会計士だった場合はチャンスだったりもします。なにせ会計士を出しても、手札をオープンしなくていいのですから! 新たに将軍が出されるたびに、国王によって沈黙させられるカードは変化していきます。また道化師の場合は最初から効果なしですので、国王に指定された場合は、出すこと自体ができなくなってしまいます! |
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・まとめ ラウンドが終了した際は全員の手札と山札をまとめ、シャッフルし、あらためて各プレイヤーに6枚ずつ配ります。そうして新たなラウンドを開始し、5人プレイの場合は、いずれかのプレイヤーが4点に達した時点でゲーム終了。そのプレイヤーの勝利となります。 だいたいわかっていただけたでしょうか。さまざまなカードの効果によって手札や自分がすでに出したカードをめまぐるしくチェンジしていき、「手札を出せない状況になることを回避する」、あるいは「自分に手番がまわってくるな! と祈りつつ、だれかが手札を出せない状況になることを望む」ゲーム。この不思議なプレイ感覚は、ほかでは絶対に味わえません! ここではかなり詳細に書きましたが、実際のルール説明に要する時間は3分程度です。イラストもかわいい、大人から子供まで楽しめる摩訶不思議カードゲーム。ぜひ経験してみてください! |