このごろ、街がおかしい。 ときをおかず隕石が降り注ぎ、物陰には異星人Xらしきやつらが潜んでいる。 もはや街は壊滅寸前だ。ついに、この世の終末がやって来たのだろうか。 でも、それならそれでいい。 あたしはただ、あの人といっしょに命を終えることさえできれば。 未曾有の災厄のなか、一人の少女は文字どおり命を賭けて一人の少年を追う。それは誰の目にもごく平凡な少年にすぎないけれど、恋する少女とっては唯一無二の存在なのだ 『学園メテオ』は隕石の降り注ぐ壊滅寸前の街を舞台にしたボードゲーム。初のグループSNE社内コンペで優秀作に選ばれました。作者はゲームデザイナーであり小説家でもあるグループSNEの川人忠明。 殺伐とした世界観のはずなのに、なぜか不思議なノスタルジィを感じさせるゲームです。
|
||||||||||||||||||||
■それぞれの思いを胸に。 | ||||||||||||||||||||
このゲームではそれぞれのキャラクターごとにゲームの目的(勝利条件)が異なります。 冒頭の独白をしていたのは【ストーカー女子】。彼女の目的は別キャラクターの一人【平凡男子】と一緒に死ぬこと。彼女につきまとわれる【平凡男子】の目的は街が半分以上壊滅するまで、ともかく落ち着いて生き延びること。 このように、用意された5人のキャラクターそれぞれが「胸に秘めた思い」を抱いています。
おや? キャラクターは5人のはずなのに正体カードは6枚ありますね。そうです、じつはなかに一人、地球征服を目論む【異星人X】が混じっているのです。彼はキャラクターたちを一人でも多く死亡させたり絶望させたりすることを目的としています。 |
||||||||||||||||||||
■ゲームの大きな流れ | ||||||||||||||||||||
○担当キャラクターの決定 まずプレイヤーは6枚の正体カードから1枚ランダムに引き、勝利条件を確認します。このとき、他プレイヤーに正体がばれないように注意しましょう(『学園メテオ』は「正体隠匿」型のゲームです)。 ○移動フェイズ:キャラクター駒の移動 ゲームがはじまると、プレイヤーは5×5のマスの描かれたボード上でキャラクター駒1つを移動させることで、それぞれの目的を果たそうとします。もちろんだれがだれを担当しているかは秘密なので、どの駒を動かしてもかまいません。 ○隕石フェイズ:隕石の落下 毎ラウンド、隕石がマスのどこかに落下します。基本的には1つですが、運悪く隕石群が降ってきたら、2個3個と連続して落ちてくることもあります。隕石が落ちたマスのタイルは破壊されます。以降、タイルのないマスの上で移動を終えることはできなくなります(そのマスの上を移動することはできます)。 隕石に直撃されたキャラクターは残念ながらゲームから除外(死亡して)されてしまいます。 隕石の周囲(縦横マス)にいるキャラクターは慌てふためき、「パニックトークン」1個を受けとらなくてはなりません。パニックトークンが3個たまると、以降行動不能になってしまいます。 ○ゲーム終了 このように隕石をかわし、心を平静に保ちつつ、担当キャラクターの勝利条件を満たしたら、即座に名乗りをあげましょう。 不幸にも担当キャラクターが死亡した場合、使用していないキャラクターカードが残っていれば、新たなキャラクターを担当することができます。
|
||||||||||||||||||||
■異星人Xはずるい? いや、だれしも縄張りはある! | ||||||||||||||||||||
ゲーム開始時、ボード上の25マスすべてにランダムにタイルが配置されます。この25枚のうち「UFO」と記されたタイルが2枚あります。そのいずれかに隕石が落ちると【異星人X】は即死。冷や冷やドキドキですね。 また同様に、各キャラクターに対応する色のタイルが2枚ずつあります。それらはキャラクターの「テリトリー」と呼ばれます。自分のテリトリーにいるとき隕石の直撃を受けたら、まずタイルだけが破壊されます。つまり「テリトリー」にいれば1回だけ直撃を免れるということですね。 |
||||||||||||||||||||
■隕石の恐怖 | ||||||||||||||||||||
では、隕石はいったいどこに落ちるのでしょうか。 ボードには横軸にA~E、縦軸に1~5の座標が記されています。 隕石カードにはこれらいずれかの座標が記されており、隕石カードを1枚ずつめくることで次の落下地点が決定します。隕石カードはすべて集めて1つの山札にします。めくった隕石カードは「A~E」と「1~5」の別々の山にし、表向きに置いておきます。
隕石フェイズが来ると、隕石カードを1枚めくります。それが横軸(1~5)のカードなら横軸の山札の上に、縦軸(A~E)のカードなら縦軸の山札の上に重ねます。 こうすることで、新たな座標が決まりますね。
つまり「A-4」に隕石があるとき、次に隕石が落ちる可能性があるのは「A」の列か「4」の段のいずれかということになります。 うーん、言葉で説明するとこんがらがってしまいますが、ただカードをめくり、新しく決まった座標に隕石を移動させるだけですので大丈夫! やってみると、とても簡単です。その結果、大事なキャラクターが死んだり、パニックに陥ったりと悲惨な事態が起こりますが。 また、隕石のなかには「隕石群」なるものが含まれています。基本は隕石カードは1枚めくるだけですが、それが「隕石群」だった場合、もう1枚引かなくてはなりません。さらにそれが「隕石群」だったらもう1枚。 次々とタイルが破壊されていく街の姿は、終末世界にふさわしくなかなかに迫力があります。
|
||||||||||||||||||||
■ときにはなりふりかまわず突き進もう! | ||||||||||||||||||||
ゲームに勝利するには、自分の担当キャラクターと他のキャラクターとの絡みが欠かせません。最初に述べた【ストーカー女子】もそうですが、【復讐女子】は【学園王子】を殺害するために彼と同じタイルで2人きりになろうとします。当然【学園王子】は【復讐女子】の魔手から逃げ惑うことになります。 つまり、いつまでも正体を隠していてはゲームに勝利できないのです。 仮に正体がばれたからと言って、ルール的なペナルティはありません。でも、あまり早々とばらしてしまうと、当然他プレイヤーの妨害を受けます(プレイヤーはどのキャラクターの駒でも移動させられるのですから!)。 こうした有利不利を計算し、正体がばれることを覚悟で勝負に出る――必ずその瞬間が来ます。 そして一人があからさまな行動を取りはじめると、他のプレイヤーだって黙ってはいません。公然と正体を明かすわけではありませんが、突然ぎらりと目を光らせる【復讐女子】の恐ろしいこと! 一瞬にしてゲームの様相が変わるのが最高に楽しいのです。 「正体隠匿」型のゲームながら、正体をばらさずには勝てない――このジレンマが新しいですね。 他にも、同じマスにいるキャラクターをなぐさめてパニックトークンを取りのぞいたり(SNEではこれを「肩をトントンする」と呼んでいます)、キャラクターごとに特殊能力が設けられています。【平凡男子】は平凡なのでなんの能力もありませんが、たとえば【女子生徒会長】は同じマスにいるキャラクターをぞろぞろと引き連れて歩くことができます。 最初は戸惑うかもしれませんが、これら特殊能力の使い方一つでぐんと勝利が近づきます。 ぜひ、みなさんもそこはかとノスタルジィ漂う『学園メテオ』をお楽しみください。 |