|
|||||||||||||||||||||
『タルギ』をやったるぎ! |
|||||||||||||||||||||
まもなく完全日本語版が発売される『タルギ(Targi)』。ちょうどドイツの印刷会社から「8月12日に着くように送るけどいいかい、ベイビー?」というメールが届いて返事をしたところ。JGC2013発売はまちがいないので、お楽しみに。 『タルギ』は本格的な2人対戦ゲームだ。コマを置いてアクションを行う「ワーカープレイスメント」と呼ばれる類のゲームでもある。 デザイナーは新進気鋭のアンドレーアス・シュタイガー。これを書いているわたし、柘植めぐみとは、「ハイ、アンディ!」「ヘイ、メグ!」と呼び合う仲。 そう、彼は通称アンディ。 エフィ「お兄ちゃん?」 違う、もっと大きなお兄さんだよ。ゲームが大好きな幼稚園の先生で、奥さんと遊べるようにって2人用ゲームを研究しているオタクなおじさんさ。 エフィ 「お兄ちゃん? いつからそんなにゲームに詳しくなったの?」 ……アンディという響きに反応してしまったキャラクターがここに約1名(エフィ&アンディという名前に聞き覚えのないみなさんはグループSNEの歴史を紐解いてみよう)。 というわけで、せっかくなので会話形式でゲームを紹介することにした。アンディ、ちょっと名前を借りるけどよろしく! |
|||||||||||||||||||||
●準備 | |||||||||||||||||||||
エフィ | (箱を開けて)わあ、カードがいっぱい! | ||||||||||||||||||||
アンディ | このゲームには3種類のカードがあるんだ。まずはこの外周カード。 | ||||||||||||||||||||
エフィ | ぐるっと四角く置くんだね。 | ||||||||||||||||||||
アンディ | 1~16の数字が書かれているから、その順番に並べるんだ。言ってみればこれがボードの代わり。この上を、盗賊コマが歩いていく。 | ||||||||||||||||||||
エフィ | 盗賊コマって嫌な響き。『カタン』だってそうだし、きっと持ってるものを盗まれるんだ。 | ||||||||||||||||||||
アンディ | (『カタン』とはよく知ってるなと思いつつ)当たり。こいつが四隅のカード上に来るたび、「略奪」が起こって商品トークンか勝利点トークンを盗まれる。 | ||||||||||||||||||||
エフィ | ぶーぶー。 | ||||||||||||||||||||
アンディ | まあまあ、そこのやりくりも面白いから。さて、ゲームは最大12ターン行う。この盗賊コマが、四隅以外の12枚のカード上を移動したらゲームは終わりだ。 | ||||||||||||||||||||
エフィ | ターン? | ||||||||||||||||||||
アンディ | このゲームの単位みたいなものだよ。お互いがコマを置いて、やりたいアクションを全部やって1ターン。 | ||||||||||||||||||||
エフィ | コマってこの青と白のやつ? 人の形をしたのが3個ずつと、筒みたいな形のが2個ずつあるけど? | ||||||||||||||||||||
アンディ | コマを説明する前に、場の準備を終わらせておこう。外周カードの内側は3枚×3枚カードを置けるようになってるから、こうやって……。 | ||||||||||||||||||||
エフィ | へえ、2種類のカードを代わりばんこに置くんだ。 | ||||||||||||||||||||
アンディ | うん。こっちの、絵しか描かれていないのが商品カード。 | ||||||||||||||||||||
アンディ | 3つの商品――ナツメヤシ、胡椒、塩――のどれかや、ときには金貨や勝利点がもらえるカードだよ。 | ||||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||||
エフィ | わかりやすいね。 | ||||||||||||||||||||
アンディ | もう1種類は部族カードで、左にシンボルが描かれてる。シンボルは、泉、ラクダ乗り、オアシス、タルギア、テントの5つ。 | ||||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||||
エフィ | タルギア? タルギじゃなくて? | ||||||||||||||||||||
アンディ | タルギっていうのはもともと、砂漠にすむトゥアレグ族の男性のことなんだ。で、女性はタルギア。 | ||||||||||||||||||||
エフィ | なるほど。 | ||||||||||||||||||||
アンディ | 部族カードの右上に書かれているのが、このカードを取るために支払わなきゃいけないコスト。中央がカードの効果。右下がゲーム終了時に得られる勝利点だ。たとえば……。 | ||||||||||||||||||||
アンディ | このカードなら、シンボルはオアシス。コスト(塩、胡椒、金貨)を支払えば、カードを自分の前に置くことができる。そうすることで使えるようになる効果は、“「略奪」による支払いを行わなくてよい”。 | ||||||||||||||||||||
エフィ | めっちゃええやん! | ||||||||||||||||||||
アンディ | (なぜ関西弁……)そしてこのカードは、ゲーム終了時に1勝利点になる。 | ||||||||||||||||||||
エフィ | ……えっと、こんなカードが45枚もあるの? とても覚えられないよ。 | ||||||||||||||||||||
アンディ | 部族カードのうち3分の1はとくに効果はないから安心して。とりあえず、場に出たものだけ見るといいよ。ただ、カードの効果はわりと絶大だよ。 | ||||||||||||||||||||
エフィ | ふむ。部族カードを制する者がゲームを制す、と。 | ||||||||||||||||||||
アンディ | さて、プレイヤーは最初から各商品を2個ずつと金貨トークン1個、勝利点トークンを4点分持っている。 | ||||||||||||||||||||
エフィ | わ~い、これだけあればいろいろできそうね(わくわく)。 | ||||||||||||||||||||
アンディ | 続きはじっさいにプレイしながら説明していこう。 | ||||||||||||||||||||
●コマの配置 | |||||||||||||||||||||
アンディ | ぼくが青。エフィは白いコマを持って。 | ||||||||||||||||||||
エフィ | は~い。 | ||||||||||||||||||||
アンディ | ターンが始まったら、まず盗賊コマが1歩動く。最初は①の外周カードの上に置くだけだけどね。その後、各自が交互に1個ずつタルギコマを置いていく。タルギコマというのはこの人の形をしたコマ。 | ||||||||||||||||||||
エフィ | どこに置けるの? | ||||||||||||||||||||
アンディ | 外周カードの上だ。ただし、すでに誰かがコマを置いていたり、盗賊コマが置かれていたりする外周カードには置けない。 | ||||||||||||||||||||
エフィ | 盗賊、邪魔っ! | ||||||||||||||||||||
アンディ | それと、“相手のタルギコマの真向かいには置けない”というルールがあるから気をつけて。タルギコマを置くと、あとでそのカードのアクションができるよ。 | ||||||||||||||||||||
エフィ | 商品がもらえたり、商品を交換できたり、カードを引けたりするところがあるのはわかるけど……この“蜃気楼”ってなに? あたしが得意な幻覚魔法? | ||||||||||||||||||||
アンディ | ……相手をけむに巻くっていう意味じゃ、似たようなものかな。詳しくはあとで説明するとして……じっさいにタルギコマを置いてみよう。 | ||||||||||||||||||||
エフィ | 相手の真向かいに置けないから、2個目、3個目のコマを置くころにはずいぶん選択肢が減ってるのね。 | ||||||||||||||||||||
アンディ | 自分がやりたいアクションを優先するか、相手がやりたそうなアクションをつぶすか、悩むところだね。 | ||||||||||||||||||||
エフィ | こっちの筒の形をしたマーカーはいつ置くの? | ||||||||||||||||||||
アンディ | これらは部族マーカーといって、タルギコマが置かれると自動的に場所が決まるんだ。 | ||||||||||||||||||||
エフィ | ??? | ||||||||||||||||||||
アンディ | 自分が置いた3個のタルギコマから、内側に向かって架空の線を引いてごらん――そうすると、線が交わる場所が2か所できるだろう? | ||||||||||||||||||||
エフィ | ……あっ、ほんとだ! | ||||||||||||||||||||
アンディ | その2か所に部族マーカーを置くんだ。こうして青白5個ずつのコマが置かれたことになる。これら5つのアクションを、これから全部できるんだ。 | ||||||||||||||||||||
エフィ | すごい! 不思議!。 | ||||||||||||||||||||
エフィ | でも先手のほうがちょっとだけ有利よね。先にアクションを1つ選べるもん。 | ||||||||||||||||||||
アンディ | 後手は後手で、相手の動きを見られるという利点があるよ。まあ、ターンのたびにスタートプレイヤーは交代することになってるから。 | ||||||||||||||||||||
エフィ | 平等ってことね。 | ||||||||||||||||||||
アンディ | さて、では5つのアクションを……。 | ||||||||||||||||||||
エフィ | ちょっと待って。さっき、相手の真向かいにはタルギコマを置けないって言われたけど、自分の真向かいには置いていいのよね。となると、架空の線が1本少なくなるんだけど……。 | ||||||||||||||||||||
アンディ | よく気づいたね。その場合、交点が1つになるから、部族マーカーは1個しか置けない。 | ||||||||||||||||||||
エフィ | アクションが1つ少なくなるってこと? 絶対やらないなあ。 | ||||||||||||||||||||
アンディ | よほど背に腹が変えられないときは別だけどね。 | ||||||||||||||||||||
●アクション | |||||||||||||||||||||
アンディ | アクションは、先手プレイヤーが先にしたいことを全部やる。 | ||||||||||||||||||||
エフィ | 商品が描かれてるカードはトークンをもらえばいいんだよね。でも部族カードのアクションってどうやるの? | ||||||||||||||||||||
アンディ | 部族カードは、コストを支払って自分の前に置くんだ。そうすると、以降、カードの効果を使えるようになる。たとえば、特定の部族カードを置くコストが安くなったり、ゲーム終了時に勝利点のボーナスが入るようになったりするんだ。 | ||||||||||||||||||||
エフィ | もし、置くためのコストが支払えなかったら? | ||||||||||||||||||||
アンディ | その場合は部族カードを放棄しても(すなわち捨てても)いい。あるいは1枚だけなら手札としてキープして、あとで外周カードの〈貴族〉を使って置くこともできる。 | ||||||||||||||||||||
エフィ | 部族カードってどう置いてもいいの? | ||||||||||||||||||||
アンディ | 自分の前に横4列×縦3列の“部族エリア”があると考えてくれ。つまり、置けるのは最大12枚まで。一度置いたカードの場所は動かせないからよく考えて。ちなみに、どちらかのプレイヤーが12枚置き切った場合も、そのターンでゲームは終了。 | ||||||||||||||||||||
エフィ | わかったわ。じゃあ、お兄ちゃん、お手本を見せて。 | ||||||||||||||||||||
アンディ | よし。 | ||||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||||
アンディ | ざっとこんな感じ。5つのアクションは好きな順番に行えるし、キャンセルしてもいい。ちなみに外周カードの〈蜃気楼〉の効果を使うと、内側の部族マーカー1個を動かして別のアクションに切り換えられる。 | ||||||||||||||||||||
エフィ | うわっ、強っ! | ||||||||||||||||||||
アンディ | 1人のアクションがすべて終わったら、もう1人が同じようにして1ターンが終了。使われたカードはなくなって、代わりに別の種類のカードが置かれる。商品カードがあった場所には部族カード、っていうふうにね。外周カードはなくならないけど。 そしてスタートプレイヤーが交代し、ゲーム続行。ちなみにつぎのターンに持ち越せる商品と金貨の数には限りがあるから気をつけて。 |
||||||||||||||||||||
エフィ | ゲームは確か、12ターン経つか、かたっぽのプレイヤーが部族カードを12枚置いたら終わるんだったと思うけど、勝負はどうやって決まるの? | ||||||||||||||||||||
アンディ | 最後に勝利点を計算するんだ。部族カードの右下に描かれた勝利点、ゲーム中にトークンの形で獲得した勝利点、部族カードの効果によるボーナス点。さらに、自分の前に部族カードをどう置いたかでもボーナスが入る。 | ||||||||||||||||||||
エフィ | 置き方に意味があるの? | ||||||||||||||||||||
アンディ | うん。横1列に4枚まで置けるんだけど、その4枚がすべて同じシンボルならボーナス4点、すべて違うシンボルなら2点。 | ||||||||||||||||||||
エフィ | 同じシンボルを並べるほうが断然よさそうね。 | ||||||||||||||||||||
アンディ | うん、そうだね。ゲームが進むと、こんな感じで並ぶことになる。 | ||||||||||||||||||||
アンディ | すべての勝利点を合計して、多いほうの勝ち! | ||||||||||||||||||||
エフィ | なんだ、意外とシンプルじゃん。じゃ、初めからやり直そう! | ||||||||||||||||||||
アンディ | え? | ||||||||||||||||||||
エフィ | だって、タルギコマはそのあとの部族マーカーの配置も考えて置かなきゃいけないんでしょ? それに取ってくる部族カードはシンボルをそろえたほうがいいってわかったし……ずいぶん作戦が違ってくるもん。 | ||||||||||||||||||||
アンディ | 真剣だなあ。たかがゲームじゃないか。 | ||||||||||||||||||||
エフィ | (ジロリ)たかがゲーム? 負けたほうが、今日の晩ごはんを作るのよ。 | ||||||||||||||||||||
アンディ | ええっ? 家族仲よく遊んでもらうために、このゲームを作ったのに……。 | ||||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||||
細かなルールは割愛したが、『タルギ』がどういうゲームか、だいたいつかんでもらえたと思う。かけ引きあり、プロッティングあり、ちょっぴりだけど運の要素もあり……小ぶりだけれど、ドイツゲームらしいドイツゲームと言えるだろう。 ぜひ発売を心待ちにしてほしい。 |
|||||||||||||||||||||