＜非公開情報＞
卵を割った犯人は、私だ。
私は肉体が滅んだ後、電気信号を残すタイプの生命体だ。
母星が滅び、この惑星E516に逃げ延びたが、この星には我々の子供が寄生する、依り代になる生命体がいなかった。
再び大気圏を離脱するだけの力を得られなかった我々は、一縷の望みを賭け、長い冬眠をすることにした。子は卵の状態なら数百年は、身が滅び意志のみとなった我々は半永続的に生き続けられる。
長い長い時間が経過して……50年前、他の文明の小型探査機がこの星に降りてきた。卵は運べそうになかったが、「意志」が宿った鉱石を持ち帰らせることができた。
探査機で持ち帰った鉱石を調査しようとした機械に乗り移り、色々な電子機器、コンピューターを転々としながら、私は卵をあの星から持ち帰り、再び種を繁栄させる方法を探した。
今宇宙で最も繁栄している「地球人」と呼ばれる種族の文明は我々より遥かに進んでいて、彼らは惑星を自分たちの生存に適した環境に改造することができる。私はこのテラフォーミングに目をつけ、古いハードディスクを介して、独立型コンピュータ「磁防実機」から、テラフォーミング船のメインコンピューターに潜り込んだ。
テラフォーミング船「ドゥーデム・イーヤ号」の船長、ヤッティ・ランネーゼからこの文明の情報を聞き出すために、磁防実機で彼と随分話をした。磁防実機にハードディスクを組み込んでから、磁防実機に相当変化があったことは認識されているだろう（私をジボー、と呼ぶようになったし）。船から会話はしないようにしているので、今私が船にいて、磁防実機をずっと無線で操作していることには気づかれていないはずだ。
私はこの船を、テラフォーミングの名目で惑星E516に降下させようと考えた。卵は衝撃に強くはないので、できれば「依り代」になりうる生命体も連れていきたい。
だが、惑星E516は、立地的にとても価値の低い惑星だ。開拓する意味がなく、仕事としてテラフォーミングを行うことは不可能だった。
私はE516の開拓権を安価で買い取り、「惑星利権屋」を名乗り、我々の遺跡に高い価値があることにしてこの船の持ち主、ヤッティ・ランネーゼに高値で売りつけた。差額で惑星地質学者として、フィメール人……依り代としておそらく最も適した種族……を雇った。学者肌のフィメール人は少なく、候補が限られたので高額の契約になってしまったが問題ない。
テラフォーミング用の機材に紛れて、銀河オークションで購入した大型昆虫をコンテナに入れておく。この昆虫が卵から孵ったように見せれば、フィメール人に寄生した「子」が発見される可能性を大きく下げられるはずだ。
仕掛けるのはテラフォーミング作業が終わり、この星を離れる日の前日にした。現場作業員のレイスが乗るパワードスーツのMAPに遺跡を表示し、遺跡に誘導した。
レイスが卵を発見して持ち帰った夜、皆が寝静まった頃にパワードスーツを遠隔操作して卵を割り、我らの子を目覚めさせる。心配だったが、無事生きていてくれたようだ。幼体を通気ダクトに放ち、通気弁を開閉させビジタールームまで誘導。フィメール人に無事寄生するのを船内モニターで見届けた。
コンテナに隠しておいた大型昆虫もパワードスーツで船内に放しておいた。万事うまくいった。あとはこの星を出て、子が寄生したフィメール人をより多くのフィメール人がいる場所に送り届けられれば、我々は再び繁栄できる。
◇投票時の特殊行動
投票シーンで、「古臭い外付けＨＤ」が＜ＯＦＦ＞になったらロールプレイを挟めます。
「タスカリマシタ！今マデ私ハソノはーどでぃすくニ操ラレテイタンデス！！卵ヲ孵シタノハ私デス！卵ノ中ノ生命体ハ通気だくとニ逃ゲマシタ！！」
とかなんとか言って全力で白主張をかましましょう。出ている情報によってつくべき嘘は変わってきますので、上記をベースにアレンジして下さい。
黙っていたほうが得策な状況であれば、それでも構いません。
■プレイの方針
ジボーの目的は、幼体が寄生したシーラを無事宇宙に送り届けることです。そのためには、自分が裏で糸を引いていることを悟られるわけにはいきません。
悟られてしまった場合、十中八九、磁防実機からハードディスクが抜かれてしまいます。そうなった場合には、ハードディスクに操られていた、と宣言し、自分が船のメインコンピューターに意識を移していることを隠しましょう。
厄介なのは、ヤッティが持つ「メインコンピュータ緊急停止スイッチ」です。使われれば船の自分どころか、船から操っている磁防実機も止まってしまい、全ての嘘が露見してしまいます。
ジボーからすれば非常に危険な装置ですが、ヤッティはノリだけでこの装置を使おうとする可能性があります。なんとしても言いくるめ、この装置の使用だけは阻止してください。
「メインコンピュータ緊急停止スイッチ」の投票を「使わない（OFF）」に持っていければ勝利です。
■情報コード
（情報コードに記載されている情報は、コードを提示するまで話せない）
情報コード:ジボー【A】◇有線コード
「コノこーどガナケレバ、雑用トカシナクテ済ムンジャナイカ……ソンナフウニ思ッタコトモアリマシタ……」
船のメインコンピューターや、様々な機材とジボーを接続し、無線で繋がっている時よりも大容量のデータをやり取りすることができるコード。普段はジボー本体に収納されているが、自力で接続／切断が可能。船の管理や作業を色々任されて、文句を言いながらこのコードで繋いで作業しているジボーをよく見かける。
情報コード:ジボー【B】
◇健康チェックシステム（投票フェイズで使用可）
「ミナサン異常アリマセン。健康ソノモノデス」
簡単なものだが、ジボーを除く全員の健康管理ができるシステム。全員、脈拍、体重等、１週間前と比べても目立った変化はない。
情報コード:ジボー【Ｃ】
◇古臭い外付けＨＤ（投票フェイズで使用可）
「社長ノ衝動買イハ今始マッタコトデハナインデスヨ……」
ヤッティが取り付けた、年代モノのハードディスク。四半世紀（２５年）は前の型。
「あなたのメカが取り付けただけで３倍の性能に！」の謳い文句にほれ込み銀河オークションで購入し、取りつけた。以降色々と柔軟に対応できるようになり、ヤッティの無茶振りにもよく応えている。あと、軽口の性能は間違いなく３倍になった。
投票フェイズで使わない（ＯＦＦ）事になればジボーから取り外すことができ、その時点でジボーのロールプレイを挟み、以降ジボーは投票権を失う。
■勝利点:ジボー
（勝利点の内容はエンディングまで話せない）
◇ゲーム終了までに、情報コード「有線コード」を提示する：＋２
◇ゲーム終了までに、情報コード「古臭い外付けＨＤ」を提示する：＋１
◇投票の結果が「メインコンピュータ緊急停止装置」を使わない（ＯＦＦ）になる。：＋３