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【05月30日 清松みゆき】 |
萌え?
この俺に、そんなお題を押しつけてどうすんだという気がするのだが。
単に自分がオタク的に好きなキャラクタージャンルを語るのなら、数学者とか語っちゃうぞ。数学者はいいぞ、まず基本的に天才だ。そして、それゆえにか知らないが、奇人変人のオンパレードだ。過去の話に留まらない。トポロジー100年の難問を解いた人間が、フィールズ賞辞退とか、つい2、3年前に起こっている。ふつうじゃない。何だ、それは。問題解決に100万ドルの報償をかけていたクレイ数学研究所が、「それでフィールズ賞すらも受け取ってくれないんじゃ、この賞金だって渡していいものか」とおろおろしている(一部意訳)。楽しすぎる。
あんまり入れ込むと、「世界三大数学者とは?」なんて簡単なはずのクイズに答えられなくなるけどな。いきなり、オイラーと答えてはずしやがる俺。すべてオイラーの等式が美しすぎるのが悪い。うっかりすると、小一時間眺め続けてしまうぐらい美しいからな、あれは。
……人の趣味だ、放っとけ。
それはさておき。
少女キャラクターへの傾倒ということを語るなら、かつて、ラナ(『未来少年コナン』)や、クラリス(『ルパン三世・カリオストロの城』)を礼賛する層があった。特にクラリスは、一つの象徴的存在であったと思う。かく言う自分も、彼女を好きな女性キャラのかなり上位にランクしている。
自分たちの世代にとってのアニメ作品では、『機動戦士ガンダム』は、避けて通れないが、ファーストガンダムには萌えると評すべきキャラはいなかったなあ。あ、強いて挙げるならミハルが好き。
ふむ、俺にとってのキーワードは「健気」なのかもしらん。セイラさんとか、シャアのゲルググにざっくりやられかけとかでないと、好きくないしな。
アンナ・ステファニーとかいいよね、と、いきなり、作品タイトルもあげずに、言ってみたりとか。健気に追加して「儚げ」も入るかもだ。この中で、本当に儚かったのは、ミハルだけだが。
他者作品で好きなキャラクターを挙げると、こういう傾向が出てくるにもかかわらず、僕の作品に登場する女性キャラクターには、このパターンはあまり多くない。どっちかと言うと、「ツンデレとか、今さら、俺に向かって語らなくていいよ」な女性が多い。これは、そのほうが動いてくれるからという理由が大。健気で儚げなんて、動かすと頓死しかねないもの(笑)。
古いと言われようが、年寄りと言われようが、物語があってこそのキャラクターだと思っている。そんな人間だから、クラリス萌えを否定できない一方で、そんな彼女をも構成要素の一つ、ワンノブゼムというポジションに押しやる『カリ城』という作品そのものへの畏敬は、より大きい。
キャラの魅力だけ語るなら、現実世界でいいものね。ガロアとか。いや、ガロアはやばい。ちょっと待て、それはないぞ、お前。なぜ、踏みとどまらない。頓死してんじゃねーっ!
と、思いつくまま、だらだらと、オイラーの等式からアンナまで語ってきた。
好意・好感を表す言葉は、手元の類語辞典を斜めに見るだけで、50も100もある。文を作れば、それこそ無限の表現がある。そんな中、「萌え」がカバーする範囲はどこからどこまでなのだろう?
実際の所、人によって違いが大きいように感じているのだが、どんなものなのかな?
ちなみに、自分が使うのは、アンナとクラリスまで。いや、「シャアのゲルググにざっくりやられかけのセイラさん」は、ギリギリかすってくるかも。
ps.
上の娘が中学生になりました。セーラー服着て「行ってきます」ですよ。
が、一月立たずして、「みんなこうだし、楽だから」と、ジャージで登校するようになってしまいましたとさ。 |
【05月30日 秋口ぎぐる】 |
友人二人と一緒にメイドカフェへ行った。おれたちはおっさんなので三人とも生ビールを注文した。
メイドさんが丸盆の上にグラスを三つ載せて持ってきた。
「おまちどうさまです。生ビールみっ……!?」
グラスが三つとも倒れた。どうやらメイドさんが誤って丸盆を傾けすぎたらしい。
倒れた方向はメイドさんの側だった。
三杯の生ビールがメイドさんの胸もとを濡らし、黒いメイド服をさらに黒く染めた。
メイドさんは己の失敗と冷たさに顔をひきつらせながらも、胸で傾いたグラスを押しかえし、それ以上、中身がこぼれないように努力していた。
も、萌ええ! |
【05月26日 安田均】 |
ナルニア第二部「カスピアン王子のつのぶえ」を見てきました。
やっぱりいいなあ。あの兄弟姉妹4人。
特にぼくのお気に入りは、小説も映画も、末っ子ルーシー。いかにもイギリスの普通の女の子。第一部から2年経ち、背は少し伸びたが、顔立ちはほとんど変わっていません。そこがまたいい。これぞ、「萌え〜」というやつですか。
男2人のうちでは、今回は弟のエドモンドがいいです(前もよかったか)。兄貴に反発しながらも、頼りないところは相変わらず。そこがなかなか。
今回は姉のスーザンにもスポットがけっこう当たっています。原作では憎まれ役とまではいかないが、ナルニアからどんどん離れていき、やがて関係ない普通人になるスーザンが、ここではわりと可愛く撮られていて、ま、いいんじゃないすか、という感じ。
それに比べて兄貴のピーターは、今回いくら剣を振り回しても、あまり目立ちません。それというのも、カスピアン王子との対比にちょっと失敗していて、ここはカスピアンは5番目なんだから、もっと濃い顔立ちの配役(南欧ラテン系くらいでよかった)にしないと、ピーターとかぶってしまうのです。この辺りが見た目も関係する映画と小説のちがいで、おもしろいなと思いましたね。
いやあ、それにしても、ロード・オブ・ザ・リングに続いて、ナルニアが大作映画で続編ですか(もう続きはないのかと思っていた)。昔、幻想文学同好会を大学の頃にやってて、バランタインブックスのアダルト・ファンタジー読みふけっていたときには、想像もできなかったなあ。ここはぜひとも、「朝びらき丸」と「ホビット」は作ってもらわないと。
ちなみに、今回出だしを見ていて、前に「ゴーメンガースト」のBBCドラマ見たときと、巻頭シーンがそっくりだと気づきました。内容は全然ちがっても、いや、やっぱりイギリスのファンタジーはいいですねえ(じつは、最近はシャルルマーニュの方を評価していますが)。
ということで、今月5月半ばから社会復帰しております。4月末に突然、血糖値がかなり高いとわかって、緊急入院したときには驚かせてしまいました。急性で特に何ということもなく、2〜3日で平常値に下がったのですが、このさいなので検査入院を10日ほど。おかげで体重はなんと10キロも減り、別人かといわれるくらい(ベルト穴3つ減った)。健康チェックは全部終わり、どこも異常なし。いまのところ、タバコも止まってるし、とにかく気分爽快です。なにより運動不足ということで、散歩(久しぶりに古本屋めぐりが楽しい)とエアロバイクこぎに精をだす毎日、楽しいなあ(いよいよジロ・デ・イタリアをはじめ、ツール・ド・フランスを目指し、自転車シーズン到来)。
そのうち、こうした天国も仕事で終わりをつげるのでしょうが、いや、もう原稿に追われ始めてますが、やっぱり、ゲームや小説愛好者には運動も必要だと痛感したひと月。
でも、運動萌え〜、にはならないでしょうね、やっぱり。 |
【05月21日 力造】 |
お茶の間の皆さん、こんばんわ。
プロテインを飲むと吐き気を催す男、力造です。
今月のテーマは「もえ」ってことで、オレに話がまわってきました。
……いったい、どういう深遠な考えで話がまわってきたのか、さっぱりわかりません(笑)。
というわけで、「もえ」について少しお話を。
※なお、これらは全てオレの妄想であり、自説や持論といった崇高なものではなく、ちり紙一枚分の価値も持たない戯言であることをここに明記しておきます。
「もえ」という言葉は、いわゆるオタクの隠語です。
その意味は、対象への好意や傾倒、興奮などの感情を表す言葉として使われるのが一般的とされています。
対象というのは多くの場合、アニメや漫画、小説のキャラクターなどをさします。
前回番棚くんが語った「もえ」の中から考察すれば、なるほどキャラクターの性格や服装、人間関係における立ち位置なども重要なファクターをしめています。
しかし、「もえ」にはキャラクターに付属するだけにとどまらず、『状況』に関わるものも多く存在すると思うのです。
そう……すなわち、『シチュエーション(状況)』「もえ」です。
特定の『状況』には様々なドラマが詰まっています。
そのドラマを画像や文章中から感じ取り、それに対して強い興奮を覚えた方も少なくないと思います。
ステキな『状況』には様々なものがあります。
以下に羅列されているのは、オレが個人的に「もえ」るシチュエーションです。
・綿密に計画された作戦が実を結び、形勢逆転した時。
・状況はもはや絶望的、数少ない仲間たちを救うために、あえて犠牲になる。
・敵は圧倒的だが……それでも立ち向かう勇気を振り絞る瞬間。
・想像を絶する訓練の果てに成った(この時、もちろん回想シーンが入る)、恐るべき技の一撃が決まった時。
・ヒロインが助かったと思いきやラスボスの凶刃に倒れてしまい、慟哭する主人公。
クヒィッ……。
たまりまへんな……やりとうなってきましたで社長(悪そうなホスト面で)。
ご覧の通り、オレの考える『状況』にはロクなものがありませんが……これをお読みになっている皆さんにも、「自分は、こういった『状況』にはもえるねー」というものをお持ちの方も少なくはないと思います。
キャラクターのみならず、『状況』にも当てはまる「もえ」。
……本当に奥深い言葉です。
しかし、ここしばらくそういった快感を味わってないなあ。
ああ……シチュエーションに「もえ」たい。
それでは皆さん、また次の機会に。 |
【05月12日 篠谷志乃】 |
私が、「萌え(モエ)」という言葉を聞いて、最近思い出すこと。
それは、漢字は違うのですが、イラストレーターの「永田 萠(ながた もえ)」さんのことです。
永田萠さんは、私に「イラストレーター」という職業があることを意識させてくださったお方です。永田萠さんは、絵本のイラストをよく描かれており、小学生だった私はとりこになったものです。
輪郭線を強調させない、ふんわりとやわらかな色で彩られたイラストが多く、とても幻想的。妖精や花も数多く描かれています。かといって、シャープなコントラストのイラストがないわけでもなく……独自の世界をお持ちのイラストレーターさんです。
あと、イラストのどこかに「モエ」「Moe」「萠」などこっそりサインが入っていたのも、子供のころの私を魅了した要因の一つ。単純に、お名前を見つけるのが楽しかった!(笑)
そんな、子供のころの思い出の中にあったお方を、なぜ最近思い出すのかというと。私はまったく知らなかったのですが、永田萠さんは、兵庫県出身のイラストレーターさんだったんですよねー。
ある日、気分を変えていつもと違う道を歩いて出社していたら、「永田萠の世界」とかかれた看板が。会社のすぐ近くにある神戸北野美術館で、常設展示されていたんです。
立ち寄ろうと思いつつも残念ながら行けずにいた私は、今回のエッセイを書くにあたり、永田萠さんのホームページを調べ見てみました。
子供のころ慣れ親しんでいた、あの優しいイラストが私を出迎えてくれます。穏やかな気持ちで、サイトを覗こうとしました。
――が。
『もえニュース』
『もえ広場』
そう書かれたサイトマップの文字を見て、ウカツにも別のものを連想してしまいました。
妙に悲しくなって、「穢れちゃった」と呟いた、そんなある昼下がり……。 |
【05月08日 番棚葵】 |
今月のエッセイのお題はなんでも「もえ」だそうで。
「もえ」と来れば、「燃え(心を熱くさせる、燃えたぎらせる)」や、本来の意味での「萌え(草木が芽吹く)」と受け取って、そっちの方向で話をまとめてもいいかなという気もしなくもないですが。S英社で一応あっち系のライトノベルを書いている番棚としては、やはりオタクがよく口にする「モエ」を語らないわけにはいかないでしょう。幸い、こういう話題は大好物です。
カタギの人がどん引きするくらい語っちゃいたいと思いますので、しばらくお付き合いくださいませ。ニヒヒヒヒヒ。
さて、オタクが抱く「モエ」という感情には、通常、セットとなる「属性」というものがございまして。
番棚含む世のオタクどもは、特定のキャラクターが持つこの属性に反応して「○○モエ〜!」とか絶叫したり、感情をもてあますあまり床の上を転げ回ったりしているわけですな(※実話です)。
ところでこの属性は大雑把に二つに分類されます。一つは「外見的な属性」であり、もう一つは「設定的な属性」です。
外見的な属性の方は、学生服、ナース服、巫女服など、衣装に左右されることが多いです。希に眼鏡、ツインテール、大きなリボンなど、装飾品や髪型が加わることもあります。
設定的な属性の方は、幼なじみ、義理の姉妹、ツンデレなど、そのキャラクターの性格や、感情移入対象となるもの(大概は主人公キャラクター)との関係を指します。
オタクはこういう属性の内、「自分が好むもの」を的確に把握しているので、例えばオフ会とかで初めてオタク仲間と出会った時に、話題として「君、何属性にモエるの? オレ、ツインテールとメイドさんに目がないんだよねー」などと言っては、キャッキャと盛り上がったりするわけです(※嫌になるほど実話です)。
ちなみに番棚は外見的な属性に関しては、あまりこだわりはないのですが、設定的な属性に関しては一つだけ執着しているものがあります。
それが「幼なじみ」という属性です。属性そのものというよりは、幼なじみの男女の恋愛が好きというか……と、その前に幼なじみという設定についてあまり知らない人のために、解説を加えなければなりませんね。
幼なじみは要するに小さい頃からの知人ということになります。この設定には、大体大きく分けて次の三つのパターンが挙げられます。
(※あくまで創作世界のパターンであって、現実はまったく考慮に入れていないことをご了承下さい)
1・友達系幼なじみ
一番スタンダードなものです。幼稚園、ないし、小学生くらいの頃から知り合いで、ずっと仲がいい友達というものです。
ちなみに当人同士の仲が微妙に悪い(ように見える)と、「腐れ縁」などと表現されることもあります。
2・再会系幼なじみ
昔は仲良かったものの、現在に至るまで空白の期間を少し置いてある幼なじみです。
例えば幼稚園〜中学生くらいまで幼なじみだった相手が、何らかの事情で引っ越しした数年後に合うなど、あくまで「再会」に重きが置かれています。
3・家族系幼なじみ
幼なじみというよりは、兄弟に近いものです。血の繋がっていない姉妹や従姉妹などがこのパターンに当てはまります。
幼い頃から主人公格キャラクターと馴染んではいるのですが、その接し方は家族に近い、でも交際は可能というポジションとなります。
このうち、番棚が特にプッシュするのは「1」です。幼なじみがする恋愛の良さは、「他人でありながら家族のような気安さで接することができる」点に集約されると思われます。「2」だとその気安さは薄れていて、「3」だとただ単純に家族という感じがしますので。
また、小さい頃の記憶や約束なんかを引っ張り出してきて、ノスタルジーな感傷に浸れるのも幼なじみの間柄ならではですね。個人的には結婚の約束などあったりするとグーです。そのまま本当に結婚したりしたら「お前らすげーな、ようやったな」と純粋に褒めたくなります。祝福したくなります。その抑えきれない感情が、番棚にこう叫ばせるわけです。
「幼なじみモエーッ!」
そういうわけで、幼なじみの男女の恋愛に非常に「モエ」を感じる番棚としては、小説のヒロインには常に幼なじみをあてがいたいな、と公私混同にも似た野望に燃えていたりします。まぁ、上から「やめれ」と言われたらやめざるを得ないのですが、言われない限りはこっそりと続けるでしょうね。
この一見どうでもいい、そして本当にどうでもいい、こだわりこそが、番棚の「萌え」にして「燃え」と言えるでしょう。 |
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