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日々つれづれ 09年03月
テーマ 「 決算 」

【03月31日 江川晃】

 今回のお題は決算
 何か決算しとくネタはなかろうか……と見回して、思い当たったのが自転車。やっとこさ1年と半分の自転車趣味を振り返ってみます。

 まずは懐具合。これは……もう確実に軽くなりました(笑)。普通に乗ってるだけなら関係ありませんが、どっぷりハマリこむとホントに深い沼のような世界が待ってます。
 ヘルメットだのウエアだのからはじまり、あとはもう坂道を転げ落ちるように、やれシューズだ、タイヤだ、ホイールだ、工具だ、パーツだ、パーツだ、パーツだ、パーツだ……と、充実していく自転車装備を尻目に財布は痩せほそっていく一方です(ちなみに現在進行形)。
 まぁ、楽しいからいいんですけどね。

 もちろんいいこともあります。
 たとえば体重。趣味で乗りはじめるまえは増加傾向でしたが、おかげさまでこっちも軽くなりました。去年の健康診断で大学時代より軽くなってたのを知り、びっくりしたくらいです。
 ただまぁ、これにもオマケがありまして。
 自転車を続けてるうちに、やたら食うようになったんですよね。普段はもちろん、長距離走るときなんかもうてきめん。休憩するたびに何か食べてる有様です。
 トータルの食費も増えてるはず。
 だからと言って、乗るのを控えたら反動が来るのは間違いなかろうしなぁ……。

 こうやって振り返ってみると決算には不向きな趣味ですが(笑)、日々のやりくりを考えつつ、これからも続けていきます。というか、たぶん加速します(笑)。
 いや、ホントに楽しいんですよ?

【03月31日 河野裕】

 決算って、なんだかよくわからない言葉です。
 頭に「総」という言葉をつけて考えてしまうからでしょうか。総決算となると、なんかもう「そこでおしまい」みたいな、人生のクライマックス的な迫力を感じてしまいます。そういうのは、できればもう何十年か先にしたいです。
 あんまり大げさじゃない決算の意味を知りたかったので、ビールを持って友人N宅に行くことに決めました。わからないことは話し合うのが一番です。
 以下、Nとの会話。

「なあ、決算ってなんだと思う?」
「それはお前、名言だろう」
「名言?」
「そうだ。大企業の社長がだな、インタビューの最後に『これが私の人生の、総決算です』的なことを言っておけば、なんかまぁいい話を聞いたよなと思えるもんだ」
「よくわからんな。ちょっとやってみてくれ」
「よしわかった」


 Nはこほんと咳払いをして、少し小さめの、それでいて自信に満ち溢れた声で言います。

「社員たちの充実した顔と、お客様の笑顔。それこそが私の人生の、総決算です」

「……名言だっ!」
「そうだ。名言だ」
「しかしやはり、社長にならないと決算という言葉は使えないものなのか?」
「それはそうだろう。説得力のない人間が決算なんて言っても名言にはならないぞ」
「うん、そうか。……うん? そうか?」


 私は別に、名言を求めているわけではないのです。
 ただ決算という言葉の意味さえ知ることができれば、それでよかったのです。

「というわけで、決算の意味を教えてくれ」
「……お前、それは無茶というものだ」
「無茶? どうして?」
「だって決算は名言なんだぞ」
「名言だと問題なのか?」
「問題だ。名言に意味などあるはずがない
「そんな馬鹿な。名言にだって意味くらいあるはずだ」
「それは幻想というものだよ。考えてもみろ。名言といえば、比喩だろう?」
「うむ、そうだな。『結婚とは人生のナニナニである』みたいなのが名言だな」
「そうだ。もっとわかりやすく『結婚なんてしなきゃよかった』で済む話を、こねくりまわして意味をぼかせば名言になる」
「つまり名言の本質は、意味をぼかすところにあるわけか」
「よって名言は意味を持たない。意味ゼロというかマイナスだな。もともと意味があった言葉を名言化すると意味がなくなるんだ」
「だいたいはわかったが、名言化? それはメイの字が違う方(明言化)だろう?」
「いや名言化だ。オレが作った。これはビジネスになるぞ。自動名言化装置なんてものが生まれてみろ。政治家がこぞって購入する」
「しかし、それは経費で落ちるのか? 政治家は経費で落ない買い物はしないだろう」
「ぬかりはないさ。政治家が名言を連発してみろ、マスコミも大喜びだ。マスコミさえ納得すれば、何を経費で買おうが問題ない」
「なるほど、真理だな」
「そう。真理だ」


 ……いやまぁ、脱線を目的にした会話は心地よいというだけの話ですが。
 これをテーマ「決算」のエッセイだと言い張るのは無理があると自覚しているので、ちょっと真面目な話を。
 文章を書く仕事というのはいつだって、今までの経験の決算みたいなものだと思っています。
 総決算といってしまうともう次の作品がないようで抵抗がありますが、なるたけ全ての文章を、その時点での決算だ、これが私の全力だと言えるものにしたいものです。

【03月31日 森本有美】

 今月のエッセイテーマは「決算」
 経理を担当する者として何かネタを書けと言われたわけですが、経理を担当する者であるからこそ、あんなコトやこんなコトは文章になど残せるはずがありません。
「ふれるなキケン」。いろんなイミで。


 さて、そんなわけで何か別の話題を。


 あ、そうそう。
 前回の、友野さんがエッセイに書かれたのに似たお店が某商店街にもありました。
 少なくともわたしがSNEに入った頃からずっと、通りかかるたびに閉店セール中でした。
「ありました」「でした」というのは、先日通った時はほんとに閉店したのか別のお店になっていたからです。
 むしろ別のお店になっていたことが衝撃です。見間違いかもしれないので、今度もう一度見に行ってみようと思います。ぶっちゃけ何も買わないけど。


 などという二番煎じな話題もアレなので、また別の話を。


 えー……、決算ですね。
 決算とは、「収支や損得などの具合」という意味のほかに総まとめやしめくくりの意にも使われる言葉です。

 一昨年には父が、昨年は母がめでたく還暦を迎えました。
 還暦は数えで61歳を迎えたお祝いの日。
 干支が一回りして元にかえるところから生まれた言葉だそうです。

 そんな両親を持つわたしはといえば、去年末にミソ(三十路)の世界の仲間入りを果たしました。
 還暦をひとつの区切りと捉えるならば、わたしは今まさに折り返し地点、半期の決算期にあたると言えるのかもしれません。
 Oh! なんということでしょう、いつのまにそんなに歳月が流れていたのっ?!

 と、ちょっと危機感持ってみたり……してもいいのですけれど、人生というものはなるようにしかならぬもの、などと水に漂うボウフラのように生きているのであまり危機感もありません。現代にありがちなダメ人間ですね。

「自分、ダメ人間ですから」とか口にしているからといって、それが真実とは限らないのが、本音と建前を使い分ける人間という生き物の妙。

 例えるならアレです、学生さんの「(テスト前に)勉強なんかしてないよー☆」とか言いながらほんとはやっててそれなりの点数取ったりしちゃうアレ。
 中には本当にダメ人間だったり勉強してなかったりする人ももちろんいるわけですが、ちゃんとやっていたなら素直に「がんばった結果だよ」と言えばいいのにね。


 ……話がずれていますね。


 さて、ミソの世界の仲間入りを果たした森本、キリがいいのでちょっと半期人生の決算をしてみようと思います。






 ……。

 …………。

 ………………。

 ……………………っ”£∋∴☆∇¥$¶♪ヽ´∀`∨‡⇒∝゜Д゜゛÷&≠*?!






 …………。
 これは、ちょっと。
 文章に残すのは、やめておいたほうがいいのかも、しれません……。
 うん、やめておこう。

「ふれるなキケン」。いろんなイミで。

【03月13日 友野詳】

 エッセイではお久しぶりです、友野詳です。

 今回のお題は決算だそうでして。
 人生を長いことやってれば、誰だって一つや二つの決算はやってるんでしょうが、まあそんな真面目な話は、わたしにはあんまり似合わないので。
 さて、どないしょうかな。
 ああ、あの話があった。

 以前、うちの近所でのこと。
 商店街の洋品店が店じまいセールという告知を出しました。
 店頭には全品半額! 売りつくしたら店を閉めます!という貼り紙が所狭しと貼ってあるわけですわ。
 女性の衣服とか小物のお店なので、私には縁がありませんのですが。
 だから前を通り過ぎただけです。
 近所なんでしょっちゅう通るんですけどもね。
 数日後、貼り紙が全品、表示価格の三分の一。これがラストチャンスというものに変わっていました。
 いまいち売れ行きがようなかったんかなあ……と思いながら、またスルー。
 でもって、さらに数日がすぎるわけですが。
 何度か店の前を通っていたのですが、商品の減ったようすがありません。
 そしてこれが最後のご奉仕! 四分の一という貼り紙に変わったのは一週間ほど後のことだったでしょうか。
 やがて貼り紙はそっけない五分の一になり、そしてついにはよそのチラシの裏に赤マジックで書きなぐっただけの「六分の一になりました。
 わたしの目には、まだ在庫は豊富そうに見えたのでございます。
 ……で、そのお店がどうなったかというと。
 じつは、まだ営業しているのです。


 え? 短い?
 いいじゃないスか、たまには。


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