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【11月30日 森本有美】 |
今月はSNE内で風邪が大流行でした。
普段は流行に疎いわたしですが、今年は珍しく流行最前線をかっさらって上旬に扁桃腺炎を患ってみたりしました。
そんな話からつらつらといろいろ書いてみようと思ったらまとまらなくなったので、何か別の話題を。
と言っても、わたしの脳内辞書にはたいした知識もないので「かぜ」と言われて「風邪」でなければ「風」くらいしか思いつかなかったりします。もっと勉強しなきゃですね。
風とひとくちに言ってもいろんな種類の風があります。
日本には古来から風をあらわす表現や名前がさまざまあって、実は風速の階級にも名前があるんですねぇ……。さっき調べていて知ったんですけども。
それらを見ていると、昔の人たちは日々をとても情感豊かに過ごしたいたんだなぁ、と感嘆します。
その中でわたしが個人的になじみ深い、というか見るのが好きなのはつむじ風でしょうか。
ふとした拍子に、枯葉や塵芥がくるくると舞う姿を見つけるとついつい見入ってしまいます。
しばらく地面で渦を巻いた後、まるで追いすがるようなそぶりの塵たちを置き去りにして風だけが通り抜けていく様子がおもしろくて、子供の頃飽きもせず眺めていました。時々、真ん中を踏んづけてみたりして。
ちなみに、つむじ風が大きくなると竜巻になります。
近頃は日本でも時々発生して大きな被害をもたらすので少し怖いですよね。被害に遭われた地域の方には、心からお見舞い申し上げます。
さて、竜巻と聞いてわたしが真っ先に思い浮かべるのは「オズの魔法使い」の冒頭。
「オズの魔法使い」は、主人公の女の子・ドロシーと愛犬のトトが、ある日家ごと竜巻で不思議な国に吹き飛ばされ、もともとお家があった街に帰るために旅をしてうんたらかんたら、という、すごくはしょって説明するとそんなお話。
その竜巻のシーンの挿絵を、子供の頃に見たのです。
この世にそんな恐ろしい風の災いがあるのだと知ったのは、たぶんこの時が最初だったと思います。
子供心に、それはもう、ものすごい衝撃でした。だって、家が宙を舞ってるんですよ。
……とか言いつつ、この物語を最後まで読んだ記憶が、実はありません。
そもそもその挿絵、いつ、どこで見たのかすら覚えてないのですが、竜巻というとそのシーンが鮮明に脳裏に蘇るのです。
……あら、これまではちっとも気にしていなかったのに、なんだかエッセイに書いてみたら気になってきました。
今度はちゃんと物語も覚えていられるように、改めて「オズの魔法使い」を読んでみようかしら。 |
【11月24日 北沢慶】 |
今回のテーマは、かぜ。
結構このテーマは、何を書こうか悩みました。
まず最初に思い浮かんだのは、季節柄「風邪」だったのですが、ありがたいことに北沢はあんまり風邪をひきません。インフルエンザに至っては、生涯においてかかった自覚がないほどです(気付いていないだけかもしれませんが)。
そこでふと思い出したのが、ある雪山での体験でした。
それはそれは、恐ろしい「風」との戦いです……。
北沢は、スキーが好きです。
スキーで膝の靱帯を切って、再建手術で一ヶ月入院、全治六ヶ月という目にあっても、次の冬には板持って雪山に登っている程度にはスキーが好きです。
そんなわけで、基本的に毎年スキーするために信州とか東北とかに向かっております。
そしてずいぶん前ですが、関西スキーヤーとしては憧れの地、北海道へスキーをしに行くことになりました。噂では本州の雪とは根本的に雪質が違い、ゲレンデも広く、とても理想的なスキーが楽しめると聞いていたので、もう行く前からわくわくが止まらないわけです。
当時は飛行機代もべらぼうに高く、安いツアーもさほどなかった時代なので、かなりの期待感でした。
で、いざ飛行機で北海道に降り立ってみると……
雪。
それも凄まじい突風混じりの猛吹雪。
1月の北海道だから当たり前だ――というレベルではない雪。
テレビで天気予報とか見ると、「北海道でも五十年ぶりの豪雪で……」などとお天気キャスターが口走っているありさま。
しかし初北海道スキーに来た北沢とその友人一行は、「五十年に一度の豪雪に会えるなんて、俺たちラッキーだな!」と無理矢理自分たちを鼓舞して雪山へ入りました。
当然のように、雪はしんしんというか、ごうごうと降っています。風も強いです。
でも、動いているリフトはあると聞き、「わざわざ北海道来て、宿に閉じこもったままとかありえん!」と板担いで出発する我ら。
当時はまだバブル崩壊直後ぐらいで、スキーブームの尻尾ぐらいでした。なので、ゲレンデのリフト乗り場に行くと、長蛇の列。
そりゃ他のリフトは止まりまくっているので、動いているリフトに人が集中するのは当たり前。
寒風吹きすさぶ中、みんなガタガタ震えながらリフトの順番待ち。
ええ。このころは乗るのに30分待ちとか当たり前です。
ディ○ニーランドか。
寒いディズ○ーランドもあったものだ。
で、とにかく山頂を目指してリフトを乗り継いでいきます。
しかし、当たり前のようにそれが間違いの始まりでした。
猛吹雪で視界が悪く、メンバーの中にまだボーゲン(スキーの初歩滑走法)の男がいたので、初心者コースを中心にゆっくりと降りていきます。
ところが、吹雪は収まるどころか激しさを増し、気がつけば次々とコースが閉鎖。
しかも、なぜか初心者コースから次々と閉鎖されていくではないですか!
たぶん風向きと山の斜面の関係だと思うのですが、やむなく中級コースや上級コースへ入らざるをえなくなるボクラ。
同じような目に遭っている人々と合流しつつ、即席の6人ぐらいのパーティが出来上がります。
そしてその頃から、吹雪は最高潮に達します。
やむなく上級コースをゆっくりと進む我々を襲う、とんでもない突風。
なんといっても、雪が下から降って(?)くるんです!
上級コースなので、雪面の斜度は30度前後。にもかかわらず、風圧で体は前に滑っていかない有様。
当然風上(麓方向)に顔を向けると、弾丸のような雪が顔面を叩き、冷たさのせいもあって無数の針を投げつけられたがごとき激痛が走る!
ゴーグルは体温と外気の差がでかすぎ、くもって前が見えなくなるので、防御することもできません。コースに設置されていた気温計は「現在の体感温度−20〜30度C」とか表示されています。
パーティメンバーの髭メン(当時北沢に髭はなかった)の髭は、即座につららができ、まるで氷でできたサンタクロースみたいになっている。
次第に突風に耐えられなくなった我々は、風が強くなると円陣を組んで雪面に伏せ、風が弱まるのを待ってから滑り出す、というのを繰り返すようになりました。それはもう、遅々とした歩みです。しかも突風は、数分間隔で襲ってくるし。
正直、そのまま遭難して死ぬんじゃないか――と、何度も思いましたよ。ははは。はは。
でもその即席のパーティは突風のたびに寄り集まり、みんなで一緒に麓を目指しました。吹雪の向こうにリフト乗り場の明かりが見えたときには、本当に安堵したものです。
そんなわけで、ボクラの北海道デビューはとんだ大冒険となったのでした(笑)。
その後、暖かい晩ご飯を食べて元気を取り戻そうと思ったら……そのとき取ってた宿がオサレなコンドミニアム。普通のホテルと違い、ご飯は自分で作らないといけません。
オーノー。
食材を買うために、一番近いコンビニまで数百メートル。
外は再び勢力を増した吹雪で視界は数メートル。
ボクラは暖かい晩ご飯を求め、再び突風吹きすさぶ雪の中へと旅立ちました。
その後どうなったのか……それはまた別の物語。 |
【11月19日 川人忠明】 |
今月のテーマは「風」。ということで、風が出てくる短歌を紹介しよう。
たとえば、これ。
吹くからに 秋の草木の しをるれば むべ山風を あらしといふらむ
「百人一首の文屋康秀(ぶんやのやすひで)の短歌ですね」
おお。知ってたんか!
「……早速、ダジャレですか。おもしろくないですよ」
ダジャレじゃないもん。
「徳島センスでしたね。はいはい」
今日はやけに冷たいね(ToT)
「もう冬なのに、寒いこというからですよ。それよりも、短歌の話じゃなかったんですか?」
おっと、そうだった。さっき紹介した短歌をつくった文屋康秀は六歌仙のひとりだが、続けて、同じ六歌仙の僧正遍昭(そうじょうへんじょう)の短歌を紹介しよう。
天つ風 雲のかよひ路 ふきとぢよ 乙女の姿 しばしとどめむ
かわいい女の子たちの姿をずっと見ていたいという男心を歌った短歌だな。
「僧正なのに…………生臭坊主」
遍昭さんの名誉のために言っておくが、この短歌は出家前につくったものだぞ。
「そうなんですか」
うむ。――ところで、六歌仙というのは、「古今和歌集」の序文で紀貫之(きのつらゆき)が名のある歌人として名を挙げた人たちのことだが、六歌仙という呼び名は、後世につけられてものらしいな。
「ほかに三十六歌仙というのもありますね」
それは、大納言公任(だいなごんきんとう)が、「三十六人撰」に選んだ三十六人の歌人を指す名称だが、やはり後世になってつけられた呼び名らしい。
「そういえば、六歌仙や三十六歌仙の中には、その人の作品として伝わっている短歌がほとんどない人が含まれていて、『なぜ、その人が選ばれているのか?』が判然としない人もいるって話を聞いたことがありますね」
そうなんだ。実は、こうした六歌仙や三十六歌仙の人選には、非業の死を遂げた人や政争に破れて不遇の人生を送った人の祟りを恐れた時の朝廷が、そうした人に名誉を与えておくことで祟りを防ごうとしたのではないかという説があるんだ。
「へえ。おもしろいですね」
うむ。実際に、そんな裏事情があったかどうかはわからないが、こうやってよく知っているはずの歴史上の出来事の、その裏側で、実は「こんな事情があったんだ」とか「こんな陰謀が張り巡らされていたんだ」とか、そういうことを考えるのはなかなか楽しいよね。
「ドラマを感じますよね」
だよね〜。そういう小説も、書きたいなあ。
「じゃあ、書いてください」
よし! いっちょう、書いてみるか!
「おおーっ!」
今月の徳島センス:六歌仙でも、三十六歌仙でも、金はかせん!
ばんざーーーーい!!
「…………万歳するようなことじゃないと思いますけど」 |
【11月13日 河野裕】 |
みなさまお久しぶりです! 河野です。
最近、ずいぶん寒くなってきましたね(神戸基準。北国の人、すみません)。
風邪やらインフルエンザやらがどうこうという話も耳にします。
健康には気をつけたいものです。
と、華麗に今月のテーマをクリアしたところで、近況報告的なことを少し。
夏から秋の初めにかけて、わりと長めに入院しておりました。
この歳(25歳)にして糖尿ですよ、糖尿。いつかくるとは思っていたけれど、予想以上に早かった!
私「しかし、一体なぜ……。まったく原因に思い当たらない」
医者「いや、普通に食生活だと思うけどね」
私「そんな! 最近は夏バテ気味で、まともに食事も取っていないというのに!」
医者「なに食べてたのさ?」
私「三食パピコです。流動食的に。白いのがごはんで茶色いのがおかず」
うん。いくら考えても原因不明です。迷宮入り確定。
ちょっとデブでパピコが大好きなだけなのに、人生はいつも不条理です。
ちなみにパピコとはグリコ様が作っておられるアイスのことです。
1つの袋に2個ずつ入っててなんか得した気分になれるし、チューブ入りなので食べるの楽です。アイス食うのにスプーン動かす手間すらいらない! これはすでに奇跡!
上記会話の、「白いの」というのがホワイトサワー味。さっぱりした口当たりで食が進みます。
同じく「茶色いの」というのがチョココーヒー味。茶色いアイスといえばチョコかコーヒー味と相場が決まっていますが、これは両方をミックスしたなんとも贅沢な一品です。
パピコへの愛はいくら語っても語りつくせませんが、なぜだか周囲からはパピコ禁止令を出されてしまいました。パピコは悪くないのに!
仕方ないので来年の夏は、パピコなしで頑張ろうと思います。クーリッシュで乗り切ります。
そんなわけで、色々なお仕事が滞ってしまいました。
小説(サクラダ)もリプレイ(ゲヘナ)も1巻で止まっている現状、誠に申し訳ありません。
現在は執筆を再開しておりますが、上梓できるのは来年になってしまうかと思います。
なるたけ早くお届けできるように努力いたしますので、どうかもうしばらくお待ちください。
それでは! |
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