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日々つれづれ 09年12月
テーマ 「 リターン 」 |
【10年01月07日 江川晃】 |
しばらく北海道に滞在し、先月関西にリターンしてきたばかりの江川です。
北海道では、プレイ・バイ・ウェブ(PBW)の大手にして『シルバーレイン』でのコラボレーションでグループSNEとも縁の深い、トミーウォーカーさんと一緒に仕事をしてきました。新たな作品を立ち上げるにあたり、システムや世界観についてはじめから手を組んでやっていきましょうということで、北海道で濃密な時間を過ごさせていただいた次第。
その作品の名は『エンドブレイカー!』。わたし自身、作品の表舞台へリターンした気分で、ウェブに負けずアナログからもぐいぐい押していこうとてぐすね引いております。
今後の展開など、お知らせできるようになれば、また改めて掲載させていただきます。どうぞ、よろしくお見知りおきくださいますよう。 |
【12月24日 秋田みやび】 |
去年の夏のことでした。
マンションに帰ろうとしたところ、ふと、力なく「……ぴゃぁ」と鳴く声がします。
仔猫の声だとすぐにわかりました。
見れば、植え込みの影からよれよれと出てくる黒い仔猫がいます。金色の大きな目、真っ黒の痩せた仔猫でした。秋田を見上げて、もう一声鳴いて――ぽてり、と足にもたれるように転びます。
思わず抱き上げてしまったのは、かつて自分が拾った実家の猫、夏巳と同じ毛色と目の色だったせいでしょう。
抱きあげた手には、赤っぽいものが付着しました。
愕然としました。
血です。
よく見ると、お腹には小さな切り傷が。どう見ても刃物の傷です。まだ毛並みの薄いお腹に、わざと付けられたような薄いキズ。
おそらくは人に虐待されたのでしょう。
目やにと鼻水で汚れて顔はガビガビ、擦り寄ろうとする力も弱く、そのまま死んでしまうのでは……と思えます。人間に意地悪をされていたのに、人間に助けを求めてきた小さな仔猫。おそらく捨て猫でしょう。
後のことをもう、何も考えずに部屋へと連れて帰っていました。
……不味い。
我に返ったのは、その後のことです。
ええ。今までのエッセイを読んで下さった方はご存知の通り、秋田の家には文鳥がいます。
人懐っこく、野生の本能を忘れた甘えん坊×3が!
そんなところに、こんなモノを連れて帰ったら……長じれば確実に美味しいおやつか、楽しい玩具です。
しかし、即席の湯たんぽによりかかって、安心しきったように目を閉じている黒仔猫を今更捨てなおすことなどできません。
病院へと連れていき風邪を治して、体力を付けさせながら、フル回転で飼い主探しを始めました。
色んな方へと声をかけ、お願いし、黒仔猫の安住の地を探します。
やがて――友人の家へと、「嵐」と名付けた仔猫は引き取られることになりました。
何故、嵐か? 家を荒らすからです!
すっかりと、我が家を居場所と決め込んだ嵐は、引き取られる瞬間まで、じぃっと大きな目で秋田を見て、キョトンとしていました。
情けない話、泣きました。
嵐の寝ていた座布団を見てはべそつき、おもちゃを見てはがっくりと肩を落とし。ときどき、にごにごと擦り寄ってくる気配がないことにまた目頭が熱くなりを繰り返し……。
もっとも、文鳥たちは得体の知れない黒い毛玉がいなくなり、ほっとしていたようですが。
そして、一週間後――
嵐はクーリング・オフされました。
エッセイのお題がリターンというあたりで、オチは想像されていた方が多いと思います。
ええ、返品されました。
一週間経っても、嵐は友人の家に慣れず、朝から晩までベッドの下に潜りこんで出てこず、毎晩鳴き喚いていたそうで。常に、友人の顔を見るたびにシャーッと息を漏らし、歯を剥いて威嚇し続けて、食事もろくに摂らなかったとか。
原因は、おそらく、友人の家では大きく聞こえる電車の音ではないかといわれています。
秋田は途方に暮れました。多分二時間くらい。
……お前もう、うちの子になるか。嵐。
「ぴーあ」
文鳥苛めたら叱るよ?
「ぴゃー」
あと、時々、人間とは思えない生活サイクルになってるけど、それに耐えられるか?
「きゅーう?」
それから一年。
嵐はとりあえず、色んなことに耐えて今日もご機嫌です。
文鳥ズも今のところ無事で、時々色っぽい目で見られて、慌てふためいています。でも、この一年の教育によって、文鳥のほうが立場が上と理解した様子。
お客が苦手ですが、元引き取り相手の友人の顔を見ると、覚えているのかちょこちょこ近付いていきます。
買って来たばかりの座布団を寝床にとられ、炬燵を占拠され、特技は「バックスペース」タッチで、原稿をいつの間にか15ページ分消去されたこともありますが。
――秋田の家には、家族が一匹増えました。 |
【12月15日 大井雄紀】 |
専門学校の同窓会に参加しました。一年会わなかっただけで、クラスメートの顔と名前が、半分以上一致しませんでした。みんな、ごめん!
お久しぶりです。大井雄紀です。
さて、今回のお題は「リターン」らしいです。
ぶっふふ。ありますよ「リターン」。とっておきのがね!
数年前、当時の僕はとある居酒屋でバイトしていました。
慢性的に人員不足だったその居酒屋では、宴会の担当者が一人という事態がよく発生しました。
その日の僕は、三十人の学生さんたちの宴会を一人で担当することになりました。しかも飲み放題のコースメニュー。
今思えば、完全に気が狂っていますね。
それはともかく、宴会の時間も近づき、準備も万端。後はお客さんが到着するのを待つばかりでした。
そんなとき、一人の女性が先にお店を訪れたのです。どうも僕が担当する宴会の幹事さんらしく、ドリンクやら料理やらの打ち合わせにきたそうです。
「いや、電話でいいじゃん?」とか「もうちょっと早くきてくれないと対応できないって」とか、そんな文句はまったく頭をよぎりませんでした。
なぜなら、その女性がめちゃくちゃ美人だったからです!!
当然担当者である僕は、その女性と宴会の打ち合わせをしました。
――大井雄紀。テンションマックスの瞬間である。
さて、そんなこんながありつつも宴会は始まります。
相手はさすが学生さん。もぅ、飲むわ騒ぐわ暴れるわです。
ドリンクの追加や料理を運ぶ作業に追われ、美人の女性と会えない時間が続きました。
宴会も終盤になったとき、一人の男性、しかもちょいイケメンがパントリー(ドリンクを作る場所)に焦った様子で駆け込んできました。
イケメン「すんません! 水ください!」
嫌な予感が頭をよぎります。
ソフトドリンクありの飲み放題のコースで水を頼む……これは、高確率で誰かが「吐瀉物キラキラ」したことを意味しています。
イケメンに水を渡しつつ、僕は宴会場の様子を見に行きました。
すると、そこは阿鼻叫喚の地獄絵図。
予想通りの展開に僕は溜息をつきつつ、「もぅなれたよ」とばかりにゴム手袋をつけ、雑巾片手に宴会場へと入っていきました。
すると、部屋の隅でうつむき背中をさすられている女性が一人。吐いた子の背中をさすりながら、別の女性が言います。
学生「すいません店員さん。この子が戻しちゃって……」
大井「いや、気にしないでくださ――ッ!?」
「おいおい、わざわざこの子とか言うなよ」と思いつつも、チラリと吐いた子の顔を見てしまいました。そして、驚愕しました。吐いた子は、僕と打ち合わせをしたあの美人の女性だったのです。
言葉を失う僕の目の前で、先ほど水を求めてきたちょいイケメンが美人の女性のそばにしゃがみます。
イケメン「ほら、水もらってきたから。ちょっとは楽になるから飲みな?」
美人の女性「……ありがとう」
宴会場を包む「ちょいイケメン優しい人」という空気。
大井「その水、僕がいれたんだけど……」
その一言が言えないまま、僕は美人の女性が「リターン」したその日のコース料理を雑巾で拭き取りました。「店員さん優しい」という空気は、どこにも存在しませんでした。
大井「その水、僕がいれたんだけど……」
家に帰ってお風呂に入り、布団の上に横になっても、その一言がずっと頭の中をぐるぐるしていました。
今でも、たまに頭の中に「リターン」します。 |
【12月10日 田辺あひる】 |
えぇっと……とりあえず挨拶から!
おはようございます! 今月のエッセイ担当になりました、田辺あひるです!
さて、今回のお題は『リターン(return)』。
戻ること、帰ること。
んんっと、後は……(手元を見る)Enter(リターン)キーでしょうか。
リターンキーには苦い思い出があります。
昔、使っていたパソコンの話です。
ワードやテキストなどの文章作成ソフトで文を打ち込むじゃないですか。
リターンキーを続けて2回押すと、そのソフトが閉じちゃうようになっちゃったんですよ。
「このプログラムは不正な処理を行ったので強制終了されます」という文章が出たと思うと、今まで書いた文章ごと、ブツン。
……あれ初めて起こった時は、こまめに保存する癖がまだついてなくて、5時間かけて打ち込んだ統計データがお亡くなりに……。
絶叫しましたね。
なにか変な設定をしてしまったのかと思って色々調べたのですが、よくわからない。修理に出したのですが……マザーボードを交換してもらったのに、一週間後には同じ症状が……。
すっぱり諦めて、新しいのを買いました。
パソコンもそうなのですが、私、機械をよく壊すんですよね。
機械と相性が滅茶苦茶悪いんです。
アニメとか漫画とかで、触っただけで機械壊す人がいますけど……まさにあれです。
掃除機や電子レンジ、炊飯器や炬燵、コピー機、携帯、デジカメ……etc
それなりに使い込んだ物ならまだわかるんですが……何度、保証期間のお世話になった事か!
しかも、原因不明がけっこう多い。
あれ困るんですよ! 対処のしようがないじゃないですか! 水に濡れたとかなら、「あぁ、次から気をつけよう」で終わりますけど!
しかも友達に話したら面白がられるし! いいですか!? 触っただけで機械が壊れるなんて、現実になったら「困っちゃった☆アハハ」じゃ終わらないんですよ!
お金もかかれば、精神的負担も大きい!
フロッピーなんて壊れると、データ失われるしさぁ……。
USBメモリーが出た時、どれだけ喜んだことか。
あぁ、これでデータが守られる! って。
……あれ? おかしいなぁ、すでに動かなくなったUSBメモリー2個持ってるぞ?
私も学習したので、バックアップはとるようにしてますが……本当にさぁ……この体質、どうにかならないかなぁ……。
というか、体質の問題なんですかね?
というのも、観光旅行先でのデジカメの話なんですが……。
調子よく撮れていても、古い神社とか入ると電源すらつかない時があるんですよねぇ。
神社から出た瞬間、元に戻るんですが。
……ひょっとして、何か憑いてる!? |
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