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日々つれづれ 10年03月
テーマ 「 ホワイト 」

【10年03月31日 片山泰宏】
 ホワイト
 冬場のお題で白。でしょう。
 グループSNEでは、毎年この季節になるとスキー旅行があります。
 今回の日程は3月第2週。行き先は蔵王。スキー場であると同時に、硫黄臭溢れる温泉地でもあります。
 クリエイター集団のクセに、妙に体育会系気質のあるSNEメンバー。日頃の運動不足を顧みず、朝から夕方まで、みんなしてスキーで滑りまくり。
 疲労した後は温泉へゴー。身体を癒したら夕食。ビールをガッツリ飲んだら日が変わるまでボードゲーム大会……というのが定番のプログラムです。
 これを三泊四日で繰り返すものですから、どこかで身体を休めないと保ちません。

 これは、そんな旅行の三日目のこと。
 ボードゲーム大会が終わり、後は寝るばかり、というところですが、ふと片山は温泉へ行くことにしました。
 ゲームが白熱したこともあり、身体の汗を落としたくなったのです。
 声を掛けると、同じような状況で同行することになったのは安道やすみち河野裕龍口明眞の三人。
 ホテルの廊下に出たところで、河野の足が止まります。


片山「どしたの?」
河野「……雪、降ってます。しかも、かなり」


 見れば、雪降ってました。
 今年の蔵王は概ね晴天が続き、少ない雪はスキー初心者の片山を大いに苦しめてくれたのですが、最終日間近になって、雪が強くなってきたようです。


安道「ま、これも風情ってことで」
龍口「そうっすね。温泉なら雪とか、別に関係ないですし」


 そして、大浴場についた四人。 
 温泉に入れば、非常に快適です。
 外を見ると、雪の中に露天風呂がありました。
 これは風情と、そちらへ移動しよう、という声が上がります。

 しかし、上がるだけ

 露天風呂は、当然屋外。寒さも尋常ではないのは明白。誰かが動かなければ誰も動かない、非常に日本人的な空気が漂います。


片山「あー、じゃあまあ行きますか」
河野「まあ、私が行ってもいいですよ」
安道「僕も良いけど」
片山河野どーぞどーぞ
安道「…………」


 なんというベタな空間。
 こんな使い古されたネタが通用してしまうのも、温泉の魔力としか言いようがありません。ええ、言いようがありませんとも。


安道じゃ、行くよ!


 先陣を切った、SNEの天然系イケメン安道。流石に全裸になっても男前です。
 小走りに駆け出して、扉を開け……あ、帰ってきた。
 行った時より早足で帰還し、風呂へドボン。


安道「さ、寒ぅーーー!?」
河野「ふがいない」
片山「ふがいないですな」
安道「いや、マジで寒いんだって!」


 震える身体を湯船に沈める安道。
 下克上のチャンスと見たのか、そこに立ち上がったのは龍口“ザ・ビースト”明眞。


龍口「じゃ、今度はボク行きますよ」


 坊主頭を光らせて、ニヒルな笑いと共に歩き出し……「うわわわわ!?」……すぐに帰還。


片山「早いなお前」
龍口「いや、無理ですって! 雪積もってるんスよ!?」
安道「だよねー」


 二人続けての脱落。
 結局は片山が背中を押されて露天へ突撃と相成ったのですが……後ろで河野が呟いた「この扉、もう閉めちゃいましょうか」というセリフは、しばらく忘れそうにありません。
 ともあれ、他の三人も追いついてきて、露天風呂を堪能することに。
 湯船に浸かってみれば、なんとも極楽。
 乳白色の、ほどよい熱さの温泉は、日頃の疲れを流すのに充分です。
 そして、吹きすさぶ雪は、見る間に周囲にこんもりと積もっていきました。
 さて、雪というものには魔力がある、と、個人的には思っています。


安道「おー、雪だ。」


 どうして人は、手近なところに雪があると手に取りたくなるのでしょう。


安道てぃっ
龍口「冷たッ!? 冷たいっていうか痛い!」


 そして、手にした雪を誰かにぶつけたくなるのでしょう。

 瞬く間に始まる雪合戦。
 童心に返り、握った雪を叩き付けあう面々。平均年齢が25才を越えているとは思えません。
 全裸雪合戦……そんなくだらないフレーズが頭をよぎった、冬の日でした。

 そしてこの時、誰も気づいてはいませんでした。
 降り続けていた雪が、帰り道にギッチリ積もっていたことを。

 全裸男四人の悲鳴が深夜の露天風呂に響き渡ったのは、また別のお話。

【10年03月31日 清松みゆき】
「ホワイトと言えば」

 そりゃあ、殿堂入りの名ディフェンスライン、レジー・ホワイトですよ。

 僕が、NFLに傾倒し始めたのは、だいたい20年ぐらい前になる。その1990年前後にあって、多士済々ぶりを発揮していたのが、フィラデルフィア・イーグルスというチームだ。
 僕は、ゲーマーだから、タクテクスやストラテジーには、もちろん、強い興味を持つ。アメリカン・フットボールという球技を好むのも、戦術選択の駆け引きが、非常に大きなウェイトを持つものだからだ。
 しかし同時に、プロの競技を観戦するならば、そこにはプロならではの身体能力発露も期待する。圧倒的な個の力は、それだけで人を驚かせ、感動させる。陸上短距離のウサイン・ボルトに、「ありえねえ!」と思わず言っちゃった人は、決して少なくないはずだ。
 まずは、これだ。これがあるからこそ、(直接にせよ、間接にせよ)お金を払ってでも見たいと思うのだ。そして、NFLは、まさにアスリートの集積場だ。
 チームとしての戦術要素と、選手の個の力が、高いレベルで融合しているから、僕はNFLを追いかけている。そして、20年前のイーグルスは、押しも押されもせぬスーパースターから、当代随一の珍記録メーカー*1に、いぶし銀の名脇役まで、数多く取りそろえていた。ジェローム・ブラウン、クライド・シモンズ、セス・ジョイナー、エリック・アレン、アンドレ・ワターズ、キース・ジャクソン、キース・バイヤース、このあたりの名前は、今でもすらすらと出てくる。(クリス・カーターとハーシェル・ウォーカーとジム・マクマーンの名も上がると言えば上がるが、ちょっと違和感あるな)。
 ひいき目が強いことを自覚しつつも、これだけタレントを揃えていたチームは滅多にないよと主張したいところだ。
 この中で、僕がもっとも敬愛していたのが、某珍記録ホルダーであることを知る人もいるだろう。であるが、その一方で、「ランドール・カニンガムは『先生』だが、彼は『神様』」と、僕に言わしめたのが、Minister of Defence(国防相)と謳われたレジー・ホワイトである。

 珍記録ホルダーが率いるだけにオフェンスがかなりネタっぽかった*2のに対し、神様が率いるディフェンスは、完璧だった。単純に攻撃を止める能力も高かったが、特筆すべきは、そのアグレッシブさだ、QBサックを繰り返し、また、積極的にインターセプトを狙っていく。ディフェンス見てるときのほうがわくわくしねえか? とさえ、思わせた*3
 レジー・ホワイトの猛ラッシュは、その強力ディフェンスの象徴だった。アメリカン・フットボールは、ライン戦が肝だ。オフェンスラインは、バックスを全力で守らんと機動する城塞を作り上げる*4。その壁をぶち破り、あるいは、回り込んで突破するのがディフェンスラインの役割だ。
 レジー・ホワイトは、ばたつくオフェンスラインを置き去りに外から回りこむ機動力を持ち、相対するオフェンスラインを正面から叩き潰して進路を塞いでしまうパワーを誇る、理想的なディフェンスラインだった。
 ホワイトのラッシュで印象的だったのが、相手の脇に片腕差しこむと、邪魔だとばかりにすっ転がして、突破するプレイだ。格闘技界で一時話題になったボブ・サップが、NFLのオフェンスライン上がりというのは、知られた事実だろうが、そういう連中を、当たるを幸いでなぎ倒しちまうのだ。よく考えたら、恐ろしい光景だ。
 そうやって、前線突破した彼が稼いだQBサックの回数は、キャリア前半のイーグルス時代、1試合1個ペースをついに下ることはなかった。
 イーグルスと移籍後のパッカーズ、その両方で、彼の背番号92は、永久欠番となっている。

 残念ながら、レジー・ホワイトは、数年前に、43歳という若さで急逝した。そして、彼の現役時代、僕が、欠かさず録画していたNFL放送のビデオテープは、もはや再生されることはない。その……だな……EDベータ……で録ってたんだ。
 けれども、オフェンスラインをぶち抜いていく彼の姿は、いつだって、どこでだって、再生機がなくったって、僕は、何度でも「見る」ことができる。プレーオフでのセインツ戦、1ヤードを取るためにパワーランを仕掛けてきた相手に対し、一人で、二、三人まとめて、スクリメージから押し込み返して潰したプレイなど、今でも「見返して」鳥肌が立つ。
 お題をもらって彼の名を思い出し、やはり、「神様」と呼んでしまう存在だったのだなあと、改めて自身確認してしまったしだいである。




*1クォーターバックのくせに90ヤードのパントを蹴ったとか、チームのリーディング・ラッシャーになったとか。

*2チームのリーディング・レシーバーがタイトエンドだったり、ランニングバックだったり、そのランニングバックがシーズンで4/4、4TDパス投げてたり。

*3何せ、カニンガムは、いつでもどこでもさっくり3&アウトやれる人だったから。

*4たまに、好んでそっから出陣したがる暴れん坊将軍もいらっしゃいますがね。

【10年03月19日 篠谷志乃】
 みなさん、目の前が真っ白になったことってありますか?

 私は何回かあります。
 おもに冬の雪山でだったりしますが、それは別の人が書くかもしれないのでパス。
 今回は、人生で初めて目の前が(物理的に)真っ白になったある出来事についてお話したいと思います。

 それは学生最後の夏休み。
 兵庫県に暮らす私は、同郷の友人たちと車でぶらりと旅をすることにしました。
 まずは本州最西端の山口県まで高速道路を使って進む。そこから東に向かって、寄り道をしながら、瀬戸内海の海岸沿いを帰ってくるという心躍るスケジュールでした。

 山口県では、秋吉台秋芳洞を散策。
 広島県では、宮島に渡り厳島神社を堪能。
 岡山県では、後楽園でお薄と和菓子を頂きつつ、を鑑賞。

 思い返してみるとちょっと渋い行程かも?(笑)
 それはともかく、寄り道&買い食いやりたい放題という、お気楽極楽な観光旅行を楽しむ予定だったのです。

 そんなウキウキな旅行に暗雲が立ち込めたのは、出発してすぐのこと。中国山脈をぶち抜く某お高い高速道路に乗った直後でした。
 文字通り暗い雨雲が上空に垂れ込めてきたのです。

「ごめん。念のため、あたしが運転するわ。代わって」

 全員が免許を持っていたのですが、その中で一番運転のうまい友だちが手を挙げました。
 最寄のパーキングエリアで彼女に運転を変わり、走り始めてすぐ、ざあああああ……とバケツをひっくり返したようなすごい雨が降りはじめました。
 ワイパーを全開にしても前方の視認が難しい状態。
 雨に煙って見づらいフロントガラスに、全員が「彼女に運転を代わってよかった」とほっと安堵の息をつきました。そんな折り。

 ごおおおーーっ。
 ざあああーーっ。

 絶え間ない雨の中、不気味な音を立てて後方から何かが近づいてきたのです。
 大型トラックが隣の車線を猛スピードで追い上げてきたんだ、そう理解した瞬間――。

 びっしゃああああっ!!

 怖ろしいビッグウェーブが私たちの車を襲いました!
 一瞬にして真っ白になるフロントガラス。
 さっきまでかろうじて利いていたワイパーは、まったく役に立ちません。

 さらに最悪なことに、水溜りにビビッたのかこのトラックが速度を落したんです。
 駆け抜けてくれたなら、この真っ白フロントガラスは一瞬のことですんだでしょう。
 ところがトラックは半並走状態で、斜め前方の位置をキープ!
 放たれ続けるビッグウェーブは、ひたすらこちらのフロントガラスを真っ白に染め続けました。
 前方と左横の視界は完全に失われ、右横と後方も土砂降りの雨に遮られ通常の半分以下。
 もう手がかりは水音のみ、そんな状態が数秒続いたのです……。
 
 ものすごく長く感じましたが、実際はあっと言う間だったと思います。
 トラックがやっと離れていきました。
 彼女が冷静に後方を確認し、そっとアクセルを緩めトラックとの距離を取ったからだと気づいたのは、夕立の範囲を抜け、快適に高速道路を飛ばせるようになってからでした。


 あ〜。今、思い出しても背筋が寒くなります。本当に怖かった!
 そんな、ごく普通の場所でも一瞬にして目の前が真っ白(ホワイト)になることがあるというお話でしたっ。
 みなさんもお気をつけくださいね〜。

【10年03月05日 藤澤さなえ】
 お題が「ホワイト」と聞いて、「絶対にホワイトデーの話題は書かないぞ」と思ったあまのじゃく藤澤です。こんにちは。
 でもいい「ホワイト」が思い浮かばない……。しろシロ……。

 そうそう。先日、真っ白な生クリームのホールケーキを買いに行きました。
 その日は自転車でブラリと執筆の旅(と書くとかっこよさげだけれど、つまりは家だと集中できないのでファミレスで原稿を書いていただけのことデス)に出ていて、そろそろ日も暮れてきたし帰宅しようか――と思った時に気付いたのです。今日は母の誕生日だってことに。
 せっかくだからケーキでも買って帰ろうかなと思いました。坂を下ったところに評判のケーキ屋さんがあるのです。そこのケーキがまたおいしいんだぁ。えへへ――と、母のためなのか自分のためなのか怪しくなりつつ(笑)、その店でケーキを購入。奮発したホールケーキは、真っ白で柔らかそうな生クリームの上に、イチゴが6つものった、見た目も可愛いステキな品でした。母の名前を書いたチョコレートプレートものせてもらって、かなり満足の出来。あとはこれを持って帰るだけ。
 ところが、そこからが大変でした。家まで自転車で坂道を上がらなければいけなかったのです!! ……て、そんなの下ったから当然なんだけど、これが想像以上にキツい! 最近運動不足だなぁ〜とは思っていたけれど、まさかここまでしんどいだなんて! 前傾姿勢じゃないととてもペダルがこげず、腕や肩まで無駄に力が入って、しんどいしんどい! あぁあ、いつからこんなに体力が衰えてしまったのか……! 実家は山のふもとにあるので、ここから先はひたすら坂道。山から吹き下ろす向かい風に吹かれながら、絶望しそうでした。もう夜中になるまでたどり着けないんじゃないか……て思うくらいに(大真面目)。
 でも、女子高生に追い抜かれた時にハッとなったのです。「諦めるな、藤澤さなえ。10年前のお前はこの坂を口笛吹いて上っていたじゃないか」って(笑)。
 そっからは意地だけで坂道を登りきりました。肩を上下させて、ゼイゼイ言いながらペダルをこぐ! 途中でよろけたり、歩道の段差にこけそうになったり、なんだか大変でしたがとにかく坂を登り切りました! 家についた時には喉の奥が痛くなるくらい息が上がって、もうヘトヘト。でも、着いたぞー。家に帰りついたぞー!!!
 そして母親に、もったいぶりながらケーキを渡しました。「ま、おいしそうなケーキだから食べてよ」なんて生意気なことを言って箱を開けてみると……。

 ケ ー キ 完 全 崩 壊 ☆

 柔らかそうな生クリームはぐしゃぐしゃ。イチゴはケーキの上からことごとく落下。誕生日プレートはひっくり返っていました(笑)。「本当に柔らかい生クリームだったんだね」なんてゆー、よくわからないフォローをされつつ「もう二度と自転車でケーキを買いに行くまい」と思ったのでした。
 ……見た目はアレでしたが、大変おいしかったです(涙)。


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