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日々つれづれ 10年11月
テーマ 「 通勤 」

【10年12月01日 森本有美】

 いつか 「イノシシ徐行」 に遭遇してみたい森本です、こんにちは。
 わたしが通勤に利用している阪急電鉄には

 イノシシが電車を止める

 という逸話があるらしいです。
 阪急電鉄は三宮―大阪間を東西に結ぶ鉄道のうちもっとも北側、六甲連山を間近に臨んで走る路線。
 特に山際の地域では餌を求めるイノシシたちが住宅地までおりてくることがあり、そんなイノシシが線路内に侵入しちゃったりすると、冒頭のようなことが発生するのですね。

 いつか聞いてみたいな。

「――現在、線路にイノシシ侵入のため、列車を停止させております。ご乗車の皆さまには大変ご迷惑を……」

 っていうアナウンスを。

 わたしのそれなりに長くなってきた通勤歴の中でこれに遭遇したことはないのですが、この話を教えてくれた友人の勤務地、阪急六甲駅周辺ではけっこうな頻度でイノシシが出現しているようです。
 
 中でも春から初夏にかけては最も危険な季節なのだと言っていました。
 なぜかというと

 
ウリ坊トラップが張られるから

 だそうです。

 ウリ坊というのはイノシシの子供のことで、授乳期あたりの仔イノシシのサイズ・模様・形がシマウリによく似ていることからつけられた愛称。ちなみに、体の模様は授乳期を過ぎる頃に消えてしまうらしいので、イノシシがウリ坊でいられるのは生後4カ月頃までという、ほんとうに小さな時期だけのようです。

 こいつがですね、もう、ものすっっっっごく愛くるしい見目の生き物なのです!

 ちょっとネットで検索なんかかけてみると、写真や動画がいくつかひっかかると思いますので、興味がある方はぜひ覗いてみてください。
 そして想像してみてください。

 道端に何気なく落ちてる小さくて丸っこくてよちよち動くウリ状毛玉。
 その毛玉は、自分を見つめるあなたの視線に気づいたようですが逃げる様子もなく、逆に興味津津でこちらを見返してきます。

 もしこんなものがいたら、あなたならどうしますか?
 
  → 近づいてみる
  → 全力で逃げる

 ついつい触りに行ってみたくなりますよね。でもこれは、

 全力で逃げる
 
 が概ね正しい。
 なぜなら、ウリ坊の近くには十中八九、親イノシシが潜んでいるから。
 イノシシはとても神経質で警戒心の強い生き物で、子育て中で気がたっていると問答無用でチャージされる危険性があるのです。
 イノシシが全力でチャージすると、約70kgの塊が時速45kmでぶつかってくるのと同じくらいの威力が出るらしいです。
 ヘタをすると死ぬ可能性も秘めた重い一撃です。

 そう……ウリ坊はブービートラップだったのです!
 ウリ坊……恐ろしい子ッ!

 というわけで、皆さまもし通勤中に野生と思しきウリ坊を見かけても、決して不用意に接近しないよう、十分ご注意くださいね。


 ちなみにSNEが事務所を構えている新神戸付近。
 布引の滝で有名な布引山の麓であるここも、実はイノシシ出現ポイントだったりするそうです。

 帰ろうと思って外に出たらイノシシがゴミ袋引きずってた、とか、夜更けに分室の近くをのっしのっし歩いてた、という証言があるのですが、わたしはこれにも一度も遭遇したことがありません。

 実際に遭遇したら、怖くて動けなくなってしまうかもしれませんが、SNEに在籍してる間に、一度でいいから遭遇してみたいなぁ、と思う今日この頃なのでした。



【10年11月26日 藤澤さなえ】

 母が劇団に入ったのは結構突然でした。
 もともとドラマ鑑賞が好きで、役者の世界に興味があったんでしょう、ある日 「エキストラでいいからドラマ出るねん」 と言って、養成所に通い出しました。新しい習い事はかなり楽しいらしく、養成所に行った日はいつも稽古の内容を語ってくれます。
 ある日、
「電車に乗ってる人の人生を想像する」 という課題について話してくれました。電車内で、目の前にいる人の姿、仕草を見て、その人がどんな人生を送ってきて、今どんな気分で、これから何をしに行こうとしているのか? を、想像するよう心がけなさいと教えられたそうです。そうすると、演技力に必要な想像力が養われるのだとか。

 へぇ……。それ、わたし、日常的にやってる……。

 そう。小さな頃から、わたしの暇つぶしは人間観察。電車で通学していた大学生当時は、毎日こればっかりしてました。今でも電車ではぼぅっと、いろんな妄想に励んでいます。かれこれ二十年はやってます(笑)。
 これって変ですかねー? わたしの調べでは、やってる人は結構多いと思うのですが。それともわたしは 「そういう人」 とばかり付き合いがあるのかしら?
 とにかく。この暇つぶしは(たぶん)誰にも迷惑をかけずに一人で(それなりに)楽しめる、ステキな(気がする)遊びです。
 女子高生の髪型を見て得意科目を妄想したり、ネクタイの色からビジネスマンの趣味を想像したりします。全うに 「事務職っぽい人だ」 とか考えることもあれば、青いアイテムばっかり身につけてるOLを見て、「勤め先はポセイドンの城だな」 とか、しょーもないことを考えることもあります。ヘンテコなことを思いつけば思いつくだけ楽しいです(笑)。
 でも、最近、この遊びがなかなかうまくいかないのですよ。見かけた人の年齢と職業を想像してみるけれど、なんだかしっくりこない。
(あの人、わたしより年上っぽいのに、恰好が学生っぽいんだよなー。他の職業が思いつかん)
 ってことが多くなってきたのです。そんな謎の違和感に首を傾げていたのですが、先日、その理由が発覚しました。

 わたしってば、基準(自分)を20歳で考えてた〜☆

 おいおい、もう大学卒業して何年経ってるんだよ(笑)。そりゃ、二十代半ばの学生を年上の社会人だと勘違いしてしまうぜーっ。そりゃ、妄想がしっくりこないのも仕方ないぜーっ。
 単純に自分の精神年齢――というか、把握年齢が大学当時から変わってなかったのでした。そういう意味では、いまだに学生気分でいたってことで衝撃です。

「いかんいかん、わたしが乗ってるのは通学電車ではない、通勤電車なのだ!」

 そう思って、最近は
「妄想遊び・通勤バージョン」 を楽しんでいます。
 間抜けなおつむの想像力が養われるといいなと思います(笑)。



【10年11月15日 清水一樹】

 忘れかけていた懐かしい物事が、ふいに夢に出てきて不思議な気持ちになる。
 皆さんもそんな経験があるでしょうか。

 僕の場合そういった過去の夢を見る時には、必ずその伏線となる出来事があります。

 例えば、TVドラマや映画でとある日常の何気ないシーンをやっていて、「そう言えば昔同じような事をした覚えがあるなぁ」 とちらりと思う。あるいは電話で旧友の話題が出て、「懐かしいな」 と感じる。
 それはほんの一瞬の感覚で、たいていはそう思った事すら、じきに忘れてしまうものです。ところがそんな思いを抱いた日の夜に限って、一瞬脳裏をよぎった過去の光景やそこに居合わせていた人物が、当時の姿で夢に出てきたりする。
 どうにも気まぐれなリプレイシアターって感じの現象ですね。
 この現象を僕は、きっと脳内で 《リプレイスイッチ》 のようなものがONになって、その夢を見させているんだろうなぁ、なんて分析しているんですが……。


 ある日、三ノ宮のSNE事務所へと向かう通勤途中の事。
 運良く窓際の座席を確保した僕は、六甲の山の緑を眺めながら、うつらうつらとまどろんでいました。視界がぼんやりと、白くゆがんでゆきます。
 やがて迷い込んだのは平凡な、しかし後々考えてみると異常な世界でした。
 それは僕がずっと忘れていた、懐かしい光景の数々。小学校低学年の頃の上級生との通学路や、習い事の先生のふとした仕草や台詞。そんな何気ない日常が次々と、鮮明に再生されてゆき、そして――。

 意識が覚醒し、僕は驚愕しました。
 ここ数日どころか数年、今見た光景につながる《スイッチ》になりそうな思考は、一切した覚えがない! まさしく走馬灯のように流れた全ての光景が、夢に見るのも思い出すのも初めてのものばかりじゃないか。

 ――今のは一体、何だったんだろう。本当に、夢……?

 夢、にしてはあまりにも完全な 『再現』 で、それぞれの場面の年代も登場人物も脈絡なく、ばらばら。そもそも見るタイミングも何故今この電車の中の短い間なのか、全くわからない。
 この思わぬ懐かしい光景との邂逅は、僕を一瞬で情緒不安定に陥れました。嬉しいような切ないような、不思議な感情を持て余す。手にはうっすらと汗をかき、何故か涙がこぼれそうな気がして、理由もわからずまた驚き慌てる。どうした。何が起こった??

 気づけば列車は、駅のホームに停車していました。
 ホームのプレートに書いてある文字は、『三ノ宮』。
 それを呆然と窓越しに眺める僕の耳に 「プシュー」 とドアの閉まる音が聞こえてきます。

 その時、僕は初めて気がつきました。


「こ……攻撃を受けているッッ!?」


 そうです。これは何者かの仕業だったのです。
 この結論に至った僕は、この場をお借りして、皆さんに一つの事実をお伝えしなくてはいけません。

 大阪〜三ノ宮間を走るJR線を利用する人間の中に、スタンド使い、もしくはそれに類する異能力者がいます。

 能力は…… 「対象の精神を揺さぶり、さらに電車を乗り過ごさせる」 とか、なんかそんな感じの。とりあえず、極めて凶悪です。特に、暖かい窓際の席に座る時などはくれぐれも気をつけて下さい。場合によっては大変なことになりますから!

 泣く泣く次駅で引き返し、駅からダッシュで事務所へ向かう羽目になった清水一樹の、世にも奇妙な通勤でした。



【10年11月10日 北沢慶】

  今回のエッセイのお題は、通勤
 なにか捻ろうかとも思ったけれど、今回は素直に自分の通勤事情について語ってみよう。

 グループSNEの事務所があるのは、神戸だ。
 最寄り駅は、JR三ノ宮駅、阪急三宮駅、地下鉄新神戸駅、新幹線新神戸駅、となる。

 ちなみに、北沢が住んでいるのは、JR京都駅前。
 当然、通勤にはJRを使っているわけだ。
 以前は阪急大宮駅近くに住んでいたので阪急を使っていたけれど、JRになって乗り換えが2回も減り、通勤時間は20分前後は短縮された。さすが新快速だね。

 JRにおける京都〜三ノ宮間の所要時間は、約51分。
 この間、僕は普段なにをしているかというと、だいたい以下のパターンに分けられる。

1.寝る。
2.本(原稿)を読む。
3.携帯ゲームをする。
4.ネットを徘徊する。
5.原稿を書く。


 頻度はわりと、どれもマチマチ。
 忙しいときは原稿を読んだりしてるけど、疲れ切っているときはガッツリ寝る。
 ハマっている携帯ゲームがあれば、ひたすらゲーム三昧。読んでいる本があるときも、似たようなものだね。
 椅子に座れなかったときは、だいたい携帯でネットを徘徊。やはり片手で見られる利便性は大きい。一時は 「みんな電車に乗るなり携帯開いて、キモイぜ」 とか思っていたけれど、気づけば自分もよく開いている(苦笑)。

 だがなんといっても、驚くほど効率がよいのは、「電車の中で原稿を書く」 だ。

 電車の中は、ある種の静寂に包まれている。
 もちろん車内アナウンスや電車の揺れる音、その他さまざまな雑音はあるけれど、自分にとって意味のない音というのは簡単に無視できる。逆に、雑音が雑音を呑み込んで、なにも耳に入らなくなるのだ。

 そうなると、思いの外集中力が高まる。
 わずか50分ばかりの移動時間なのに、原稿用紙5枚ぐらい書ける。調子がいいと、10枚ぐらいいくこともある。
 長編1冊300〜350枚ぐらいだから、結構バカにならない枚数だ。

 特に目的駅が近くなってきたときの焦りから生まれる集中力もまた、すごい。
 もうイナズマのように両手が動き、バリバリとスピード感溢れる文章が生まれてくる。
 やはり人間、追い詰められたほうが力が湧くらしいのだ。

 企画書や報告書も、ギリギリ出勤中の電車の中でまとめることがある。
 これもまた、ダラダラと悩んだり考え込んだりしがちな書類を50分でまとめることができて効率がいい。事務所に着いてから軽く見直して提出すれば、ミスも少ない(と思う……)。


 ただ、最大の問題点がひとつ。

 座れないと、ノーパソ開けない!


 平日の13時とかに、なんであんなに混雑するんだJR!

 特にこれから、紅葉シーズンで観光客が増加することを考えると……車内執筆は当てにしないほうがよさそうな予感。

 いっそ、各駅停車で出勤しようかなぁ……なんて思う、今日この頃なのであった。


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