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日々つれづれ 11年01月
テーマ 「 うさぎとかめ 」 |
【11年01月24日 川人忠明】 |
「今月のテーマは『ウサギとカメ』だそうです」
ウサギとカメ……か。そう言われると、まあ、たいていは、イソップ寓話の中にあるあの有名な話を思い浮かべるな。
「そうですねぇ。すでに掲載されているエッセイの中で、加藤さんもその話に触れてますし」
うんうん。だから、ここではイソップ寓話の『ウサギとカメ』の内容については省略するとして……あの話でもっとも重要なポイントは「なぜ、ウサギは眠ってしまったのか?」ということじゃないかなと思うんだよ。
「確かに、いくらウサギが自信家で、カメを見くびっていて、油断しまくっていたからと言って、勝負してる最中に寝るなよってツッコミは、だれもが入れたくなるところだとは思いますけど、寓話なんですから、いちいちそんなことを追究してたらキリがないんじゃないですか?」
いやいや。寓話というものは、意外に物事の本質を鋭く捉えているものなんだよ。だから、ウサギが寝たのにも、実は深遠な理由があったのかもしれない。
例えば、こんな話を知っているか?
「どんな話ですか?」
あるとき、ウサギとカメが競走をすることになった……
「それ、ウサギとカメじゃないですか?」
イソップ寓話の『ウサギとカメ』かという質問なら、答えはNOだ。
これから話すのは、『リーマスじいやの物語』(著:ジョエル・チャンドー・ハリス)というアメリカの黒人民話集の中にあるウサギとカメのお話しなんだ。ちなみに、『リーマスじいやの物語』以外にも、『ウサギどんキツネどん――リーマスじいやのした話』あるいは『リーマス爺や』というタイトルでも日本語訳が出版されているぞ。
あるとき、ウサギとカメが競走をすることになった。このとき、カメは道ではなく、草むらの中を走ると主張し、ウサギはこれを了承した。
翌日、約束の場所から、ウサギとカメは並んでスタートした。カメは、昨日言っていた通り、スタート直後から草むらに入り、その中を走った。途中、ウサギは何度かカメに声を掛けたが、そのたびに、近くの草むらの中から、ちゃんと返事があった。ウサギは、なかなかカメを引き離せないので焦った。果たして……ゴールしてみると、すでにカメがそこでウサギを待っていたというわけだ。
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「寝なかったのに負けたんですね、ウサギ」
そうだ。だが、これにはちゃんと理由があった。
実は、カメは草むらの中に家族を隠れさせておき、ウサギに声を掛けられたら返事をするように指示していた。そして、自分はゴールに先回りして待っていたんだ。
「えっ! じゃあ、スタート地点にいたカメも?」
そう。実は、カメの家族――妻だったのだ!
このように、カメは策略を巡らし、見事にウサギに勝利したというわけさ!
「ひ、ひどい……」
うむ。確かにフェアとは言えないが、そもそもウサギとカメが競走するということ自体がフェアじゃないんだ。これくらいの策略は使っても許されると思わないか?
「いえ、思いたくないです。ていうか、そんなこと思う人間になりたくないです」
ふふふ。認めたくないわけだな、若さ故の過ちというものを。
「意味わかりませんからっ!」
まあ、ほんの戯れ言だ。
それはともかく、要するにイソップ寓話の『ウサギとカメ』でウサギが眠ったのにも、実はカメの神謀鬼略が隠されていたのかもしれないということだ。例えば、スタート前に、カメが「競走前に水分補給しておいたほうがいいですよ」などと上手いこと言って、ウサギに睡眠薬入りのドリンクを飲ませたとかっ!
「そんなシーン、ないですからっ!」
書かれていないからと言って、なかったとは言い切れんだろう。歴史とは、常に勝者の都合によって作られてきたものだ。この勝負を記録するにあたって、勝者たるカメが不都合な真実をカットさせたのではないと、どうして言い切れる?
「言い切れます! 言い切れないのは、貴方だけですっ!」
ちっ。これだから、不都合な真実を見ようとしないヤツは……ブツブツブツ。
「貴方は、もっとピュアな目で物事を見てください!」
今月の徳島センス:ウェルカメ!
ばんざーーーいっ!!
「…………悩んだ末に、NHKのパクリですか?」
パクリっていうか、あれは外せないだろ? 徳島県民として。 |
【11年01月18日 加藤ヒロノリ】 |
皆さん! あけましておめでとうございます! 初夢でお会いしましたね! あなたのためのジェントルメン、加藤ヒロノリです!
さて、今回のエッセイですが、テーマはなんと「うさぎとかめ」だそうです。
このテーマが決定するとき、ボスに「うさぎかかめ」にしてもらえないですかとお願いするだけしてみましたが、水洗便所のように流されました。
Yhaaaaa!! いい一年になりそうですね!
うさぎとかめ――と言われてまず思い浮かべてしまうのが、ここでは書けないような桃色戯画です。うさぎとはバニーガールのお姉さん。かめとは……(ごくり)。
しかし、こいつはちょっとレベルが高すぎるので、今回はやめておきます。ぷはぁ。
そこで今回は、直球でうさぎとかめの童話にならってエッセイしてみようと思います。
ざくっとさらってみると、うさぎとかめは次のようなお話です。
・己の実力に自信満々のうさぎが、それに劣っているかめを挑発。
・かめが挑発に乗って、うさぎに勝負を挑む。
・うさぎ、余裕綽々なので勝負中に居眠り。
・かめ、居眠りしているうさぎを起こさずに、地道にがんばり先着ゴール。
・かめ、大喜び。うさぎ、目を覚ましたときには敗北。
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つまりこのお話は「いくらうさぎに実力があっても、油断して調子にのったりなんかすると、実力が明らかに劣っているが地道にがんばっているかめにも負けちゃう」ってことですよね。
ふむふむ、なるほどなるほど。なかなか奥の深い例え話ですなぁ。
こういう例えにも一理あるなぁと子供の頃は思っていましたが、改めて考えてみると、実はあまり当てはまらないような気がしてきました。
走る速さ=生まれ持った才能
これはどうやっても差が埋まらないですよね。そもそも種族が違うんですから、無理ってものです。つまりこの部分は「普通に戦えば絶対に勝てない相手」の例えとして用いられていると思います。
足が遅いかめを侮辱するうさぎ
他人を侮辱するのはあまり褒められたものじゃないです。どうして侮辱したのか。それはうさぎには確固とした自信があったからです。うさぎは「自信汁があふれるほどに己の実力を自己分析ができていた」と言えなくはないですね。
「だったら勝負だ」と、戦いを挑むかめ
ここのかめの理屈がわからない。だって、絶対に勝てないような相手ですよ。事実、かめが勝てたのはうさぎの慢心のおかげであって、自分の実力ではありません。つまり「自己分析できていない愚かなかめが、怒りにまかせて勝負を挑んだ」と言えます。
まだお話が「真っ向勝負では勝てないと判断したかめの知略によって、うさぎの慢心を誘って出し抜いた」とかなら納得いくんですが、そもそもこのお話だと、かめはどうやって勝つつもりだったのか。
「慢心はよくない」といううさぎの教訓はともかく、かめの立場の「努力すれば勝てる」という考えが精神論っぽく語られているのが納得いかない。
モンコレで例えてみるならこうですよ。
うさぎ
(4レベル/攻撃力3/防御力3)
イニシアチブ:+3
チャージ:+3 |
かめ
(4レベル/攻撃力3/防御力5)
イニシアチブ:−2
ディフェンダー:+6 |
普通に戦えば、絶対に勝てないかめ。その証拠にイニシアチブの差は5なので、かめが先攻になる可能性はゼロです。
かめが勝つことができたのは、うさぎがイニシアチブダイス1、かめがイニシアチブダイス6で同時攻撃がたまたま出たから。
確率にして、1/36。これを頼りにケンカを売るかめ。いかに愚かな存在であるかわかると思います。
まあもっとも、モンコレならばこういう運頼みの戦術も、結果オーライでときとしてありなんですが(笑)。
げふげふん、話題が反れました。
つまり、何が言いたいかというと、みんなかめみたいになっちゃダメだー! にげてー! ということです。
挑発に乗るというのもダメですし、勝てる要素がないのに勝負を挑むのは、本当にアホです。場合によってはまわりに迷惑をかけかねません。世の中や常識をなめくさっている行為ですね。己の実力を計らずに精神論だけで挑戦しているかめは、ある意味ではうさぎ以上に慢心しているとも言えます。
しかも! 一見、誠実な努力家のように見えるかめですが、眠っているうさぎの横を通るにも関わらず、起こそうとはしません。これはどうでしょうか。少なくとも善良なタイプの性格ではなさそうですよね。今回はうさぎの居眠りでしたが、これが「先に走っているうさぎが道を間違えた」としても、このかめ野郎はラッキーとばかりにそれを指摘しないはずです。もちろん勝負ですから道を間違えるうさぎが悪いんですが、純粋な実力勝負ではなくなりますよね。それで勝ってうれしいのかと言いたいです。
さて、そろそろまとめるとですね――今年の加藤は「自己分析ができずに無謀にケンカを売り、しかも他人の間違いを指摘しない姑息なかめ」よりも「分析を正確に行い、余裕の範囲できちんとお休みなども取ることのできるうさぎ」になりたいなぁと。
本年もよろしくお願いしますぜー! |
【11年01月14日 河端ジュン一】 |
あけましておめでとうございます。河端ジュン一です。今年もよろしくお願いいたします。
どうやら今月のエッセイのテーマは「うさぎとかめ」らしいですね。卯年だからウサギはいいとして…………ん!? カメ!?
(何で亀? テーマとしては限定的すぎやしないか?)←真理
と、まあ心中では思うわけですが、そんな冷静な意見なんて、きっと危険しか生みません。社長・安田の鋭い眼光にちびりそうな私は、今宵も従順にエッセイを綴ることとするのです。
そう、まるでライオンに睨まれたウサギのようにね(どや顔)。
「うさぎとかめ」と言えば。
一般的にはイソップの寓話がまず挙がりそうなものですが、あいにくと私は、寓話にそれほど詳しくありません(お恥ずかしい話です……)。
知らない物については書けないので、自然、インターネットなどで調べます。調べるうちに、とある中国の慣用句が、情報として浮かび上がってきました。ちなみに、その浮かび上がり様といったら、まるで水面に顔を覗かせるカメのようでしたよ(ドどや顔)。
以下がその慣用句です。
●兎角亀毛(とかくきもう)
兎に角が生え、亀に毛が生えるように、起こるはずのないことが起こることの喩え。凶兆の一つとされる。(wikipediaより)
――KO・RE・DA! 思わず小躍りしましたね。兎と亀の文字が両方使われているし、意味もファンタジックで面白そうです。
しかし、同時に、ひとつの問題に気づきます。
(「あり得ないようなこと」なんて、そうそう出くわさないよな……)
そうなのです。「あり得ないようなこと」は、簡単にあり得てしまってはダメなのです。そこで私は考えました。
(ちょうど1月は自分の誕生日だし、知り合いに無茶を頼んでみるか)
まずは、愛知県豊田市在住の友人Tに電話。
「やっほー、久しぶり! 河端だけど」
「おう。突然どうした?」
「いきなりなんだけどさ、乗り心地のいい車をプレゼントしてちょ☆」
「ど、どうしてそうなった」
私は友人に、かくかくしかじかを話します。
「社員割引とか、そういうシステムないの?」
「お前、豊田市民全員がトヨタに勤めてる前提で話してるだろ。それに、勤めててもプレゼントできる額じゃねえ。エッセイのテーマくらい自分で何とかしろよ」
(うう。何てことを言うんだ友人T! 俺は、正論なんて聞きたくないんだよ!)
早々に見切りをつけて、次は友人Aへ連絡します。彼は携帯電話会社ソフトバンクに勤めています。
「iPhoneが欲しいんですけど」
「無理」
「返事早っ! わ、わかった……ならプレゼントは諦めるよ! そのかわり『実はiPhoneは俺が作った』とかそういうネタをくれ!」
「お前、言ってることおかしいだろ(苦笑)。そもそも、あれの開発元はソフトバンクじゃなくてapple社だ」
「!?」
(ウワァァァアン! 白い犬のばかああああ!)
精神に異常をきたした私は、最後に、実家に電話。最後の望みを、父に託します。
「もしもし、親父? 実は俺には生き別れの妹がいるって設定にしない?」
「は?」
かくかくしかじかを話します。
「つまり、何か『あり得ないようなこと』が必要なんだよ。兎角亀毛という題材には」
「そんなことなら、最初から童話の『うさぎとかめ』について調べて書けばよかったやん。本来のテーマはそっちなんやろ?」
「!!?」
ポカーン(゚д゚;)そ、そういえばそうか
――こうして、私の長き戦いは終わりを迎えたのでした。何が言いたいかというと、「兎に角、亀の甲より年の功」だ、ということ(……さんざん引っ張ったわりに大分無理があるな)。
P.S. ちなみに後日、この話の豊田市のくだりを聞いた会社の某先輩が、「座り心地のいい座椅子」をプレゼントしてくれて、かなり感動しました(笑)。Kさん、ありがとうございました! |
【11年01月12日 安田均】 |
おめでとうございます。去年は悲しい出来事もありましたが、今年も力をあわせてがんばりたいと思いますので、よろしくお願いします。
ということで、2010年代も2年目に入ったわけですが、それを受けてゲーム界も、新たな大きな動きが起こってくる端緒の年になる予感がします。
タブレット=パソコン端末元年などと言われていますが、わたしもiPadを使ってみて、かつてのAPPLEUに初めて触れた頃を思い出しました。
びりびりとくる感覚。
こうした新たなメディア(というんでしょうか、うまく伝えきれない、キックオフ・デヴァイスとでもいうのかな)から、ゲームへの影響は必ず出てきます。ゲームといっても、ここで述べているのは、グループSNEがずっと追及してきた新たなタイプ、たとえば、これまでならストーリーゲームのこと。バリエーションだけのカテゴライズされたゲームではありません。
それが何であるかはまだ未知数ですが、こうした部分にもぜひ取り組んでいきたいというのが、新年の抱負です。ヒントめいたイメージはもうできています。簡潔、ダウンサイジング、短時間、ジュブナイル、パズル・ストーリー、こういった点でしょうか。形にしておみせできるのはまだまだこれからでしょうが、楽しみにお待ちください。
もちろん、従来のRPG、TCGなどのサポートも力をいれていきます。特にモンスター・コレクションTCGは、夏からの展開であっと驚く形を見せますので、ご期待を(2月に発表予定)。
RPGではソード・ワールドRPGが人気のリプレイシリーズだけではなく、小説やサプリメントで新たな展開に入る予定です。また春のコンベンションにも期待していてください。エンドブレイカー!も上級ルールが遅れましたが、他は順調に展開の予定です。他にも、新タイトルや従来のサポートなどにもご期待ください(新タイトルは、春ごろにはお知らせできるでしょう)。
そして、なんといっても注目は、このところ人気うなぎのぼりのカード/ボードゲーム。特にデック構築型(セレクトタイプ)と呼ばれるヒット・カードゲームや、日本のデザイナーが世界で注目されつつあるボードゲームは、ゲーム好きの人なら目が離せないはずです。「サンダーストーン」「エンドブレイカーSCG ビルド&ブレイク」や、ほかにも大作を予定していますので、注目!
ストーリーの方も、ようやくかねてからのシェアードワールドの復活(あれです)が目前に迫ってきました。サクラダ・リセット・シリーズをはじめ、小説も期待作をつぎつぎリリースできる予定です。そうそう、富士見ドラゴンブック25周年記念アンソロジー「モンスター・テイルズ」(この分野の嚆矢である紹介本「モンスター・コレクション」を記念して、水野、山本、清松、友野、秋田とぼくが小説執筆)もお見逃しなく。なんとモンコレのカードも1枚おまけにつくらしいです。まさしく新機軸ですね。
というわけで、今年もよろしく。
タイトルの「うさぎとかめ」は?
かんたんです、うさぎのように跳ね(ヒット)、かめのように着実(サポート)に、が今年のモットーなのです。 |
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