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日々つれづれ 11年04月
テーマ 「 みどり 」

【11年05月23日 秋口ぎぐる】

 秋口は今年で35歳になるが、いまだに高校時代の友人たちとよく遊んでいる。ほぼ毎週のように7、8人が集まる。ボードゲームリプレイに登場する浅野さん、レツゴーなどもメンバーの一員だ。
 だがこの2か月ほど、秋口はそうした集まりに顔を出していない。新しいゲームや小説のアイデアが湧かず、いわゆるスランプ状態となっているため、どうしても外へ出ていく気になれないのだ。
 この状態はかなり厳しい。一人の作家として、「自分は二度と新しいものを生みだせないのではないか」という恐怖感に駆られる。それになにより、金銭面での不安もある。この調子でいくと、今年は年収数万円、ということになりかねない。もう35歳なのに!
 そんなわけで、友人たちと会うこともせず、不安と焦りに押しつぶされそうになりながら、ひたすら過去の創作ノートなどをめくっていたところ……。
 3年ほど前のページに、次のような記述を見つけた。

「最近スランプ気味なので友人らと遊ぶのを自粛していたが、この判断は間違いであった。よくよく考えてみれば、友人らと会っていたときのほうが多くの意見や知識に触れ、より多くのアイデアを得ていた」

 ――なんてこった。おれ、まったく成長してねえ!!!
 あらためて反省し、さっそく友人らに連絡した。男ども6人でスパワールドへ行き、
色の薬草風呂などに入り、リフレッシュし、鳥取料理を食らい、メンバーの一人の家へなだれこみ、痛飲し、おたく談義に花を咲かせた。

「みんな、ありがとう! おかげでなんか浮かびそうな気がする!」

 ――それから1週間。
 
いまのところ、なんのアイデアも思いついていない。


【11年04月28日 森本有美】

 小学校の時に社会科の授業で塗り分けた神戸市地図の配色は、たしかこんな感じだったと思います。

 1/3 
黄緑地帯   = 西区
 1/3 
茶色地帯   = 北区
 1/3 その他地帯  = 残り7区


 ちなみに、市外の方のイメージする「神戸」的な場所は、全てその他地帯にあります。
 黄緑地帯と茶色地帯はほぼ色のイメージ通りの地形が広がっています。
 それゆえか
黄緑地帯と茶色地帯の人間が「神戸っ子」を名乗ると「ダウト!」と叫ばれます。ちゃんと神戸の高い税金払ってますよ失礼な!

 一人暮らし開始とともに「あまっ子」になり尼崎に税金を納めるようになったわたしですが、生まれも育ちも「ダウト!」と叫ばれる黄緑地帯。

 さて、この黄緑地帯。
 最近は精密機械の工場なども増えてきたようですが、もとは農業地域の特性を活かして発展してきたところで、実家の近所は農家だらけ、田畑とため池だらけで子供の頃の遊び場は庭・公園・畦道・農閑期の田んぼ。

 おままごとに使える植物の種類も豊富で、実際に食べられる植物もたくさんありました。
 まず自宅の庭に無花果と棗と柿があって旬の頃には食べ放題。
 幼馴染の家の山桃、桑、グミ。ご近所の塀からせり出した李、枇杷、柘榴。土手の野イチゴ。公園に咲いたツツジや畦のホトケノザの花を毟っては蜜を吸ったりしたものです。

 ……あれ?
 当時何気なく口にしていたものですが、今考えるとものすごいパラダイスだった気がしてきました。
 大半は無断で他所ん家の敷地で遊んだり植物を毟ったりしてたわけで、今考えるとそこはいかがなものかという感じですが。

 しかし、そんなパラダイスには必ず出没する
恐怖の存在があったのです。

 それは、毛虫

 中でも鮮やかに覚えているのが
蛍光黄緑の小さいヤツ。ヒロヘリアオイラガの幼虫です。
 もっさりした体とか、意外と移動速度が速いとか、なんであんな配色なんだ、とか、いろいろと言いたいことはあるのですが何より嫌なのが刺された時
 ほんのちょっと触れただけでものすごく痛いわ腫れるわで、もーほんとにイラッ! とするヤツでした。イラガだけに。

 新芽の鮮やかな緑が目に眩しい季節。行楽にも程よい頃合いです。
 ヤツらが出てくるのはこれから夏にかけてですので、ハイキングなどにお出かけの際には樹木に潜むヤツらに十分お気をつけくださいませ。

【11年04月19日 河野裕】

 ども! 以前、うどん屋でアルバイトをしていたこともある河野です。
 厨房では結構なやんちゃもしたもんです。期限切れ廃棄食材はすべて私のオリジナル料理へと生まれ変わりました。まあ、中には意外と美味しかったものもあります。
 ところでアルバイトを始めて間もない時期、先輩から聞いたセリフがこれ。

「とりあえずネギ入れときゃ美味そうにみえるんだよ」

 至言だと思います。男気溢れてます。
 エッセイのテーマが
みどりと聞いて、2番目に思い浮かんだのがこの言葉でした。
 ちなみに1番目は私の母親です。「翠」と書いて
みどりと読みます。でも母親について語るのはなんだか気恥ずかしい歳ごろなので、今回はネギの話でいこうと思います。

「彩り悪いなーと思ったら、多めにネギ入れときゃごまかせるんだよ」

 これが意外と真理なんです。
 基本的にうどんって、色にメリハリがないんですよね。だしも油揚げも天ぷらも、茶色とか黄色とかの系統です。赤と白のカマボコなんか浮かべてみたところで、効果はたかがしれています。
 そこでネギ。美しい緑のネギ
 この辺りにアクセント欲しいなーと思った時、コイツを放り込んでおけばあら不思議。見た目がきゅっと引き締まります。
 きつねうどんにも天ぷらうどんにもカレーうどんにもネギなのです。
 カレーとネギなんて、ちょっと信じられない組み合わせですが、思い切って入れてみるとこれがかなり美味しそうにみえるんですよね。茶色い大地に茂る森、という感じの彩りで。
 たも振ってネギぶち込む。それが当時の、私の仕事です。わりにロックな日々でした。

 たぶん、その影響だと思います。
 気づけば私が持っているものって、妙に緑色が多いんですよね。
 緑色にペイントされたスタンドの明かりに照らされ、緑色のカバーがかかった手帳に、緑色のシャープペンシル(芯は黒です)でスケジュールを書いていた時、そのことに思い当りました。本棚の上には、カエルの置物が2つ並んでいます。
 若かりし日の記憶は意外と意識にしみついているものだなぁ、と思いました。

 ところで最近、よく行くうどん屋さんがあるのですが。
 そのお店は
白ゴマ使い放題です。
 とりあえずゴマを入れておけば、大抵なんでも美味しい気がします。
 私の身の周りにある物が白(というか、クリーム色?)で染まる日もそう遠くはないでしょう。

【11年04月08日 友野詳】
 みどり。

 とくると、続くフレーズは、やっぱり
「みどりの地球」ですかねえ。
 かくいいますのも、別にエコだなんだというまっとうな理由からではなく、おさないころのすりこみからです。
 おもに
アニメの主題歌、もしくは特撮の。
 ウルトラマンレオの主題歌では「宇宙にきらめくエメラルド」と歌われていました。
 で、その時、画面に映っているのは、宇宙空間に浮かぶ地球。
 
真っ青な。
 それまでは、みどりの地球というフレーズを聞いても、まったく疑問には思ってなかったんですよね。
 みどりの地球ってのと並行して、みどりの大地、というフレーズも聞いてましたから。地球を外から見れば青くても、近寄ってよく見れば、緑色の草や木が地面をおおっているからなと、納得していたわけです。
 けれど、レオの主題歌では
「エメラルド」と呼んでいるのですな。
 青い宝石なら
「サファイヤ」じゃないの? とか疑問に思いました。ちょっとだけ。
 その後です。
 信号の
「青」って「緑」色をしていると気がついたのは。
 ちなみに、ウルトラマンレオ昭和49年(1974年)の放送。わたくし、10歳
 気がつくの、おそかったでしょうか。
 そのしばらく後に、仮面ライダースーパーワンの主題歌で「青い空からやってきて、緑の地球を救うもの」というワンフレーズがありまして。もうすでに高校生になっておりましたが、子供のころの疑問がよみがえってきたわけです。
 で、ちょうどたまたま呼んでた本に「古代、というか近世まで、
日本語において緑色は『青』にふくまれていた。その証拠に、あざやかな新緑を青葉とかいうでしょ」と書いてあって、目から鱗。
 ついでに、虹の色は民族によって七色じゃなくてもっと細かく分かれていたり、逆に二色だけだったりする、とか、日本語では黒も青と呼んだりする、とか書いてあって、色ひとつとってこれだけ認識が違うからには、人間の意思疎通ってあてになんねえ! とか悩んだりしてみた、ああ思春期、でしたことですのよ。
 同じ色のことを話しているつもりで、じつは捉え方はまるで違うのではないか。
 彼と僕に見えている世界は、まるで違うのではないか。
 ということを、念頭におくようになってみると、アラ不思議。話なんて通じなくてあたりまえなんだから、いらいらするより、概念がずれていることを前提に、相手をおおらかな目で見よう、と思えるようになって、いくらか人生、楽になりました。
 そこまで、たどりつくには、もちろん高校生あたりで理解してから、十年以上はかかっているわけですけど。

 おもいかえせば、みどりの地球、というフレーズをすりこんでくれた、もうひとつのジャンル、
SFに教えられた相対化の視点、というやつやもしれません。
 SFで「緑色」といえば、思い出されるのはフレドリック・ブラウンの短編
「みどりの星へ(緑の地球)」(短編集『宇宙をぼくの手の上に』所収。なんという魅惑的なタイトル! ブラウンはほんとうに題名のつけ方がうまい)です。その緑が、どう印象的なのかを説明しようとすると、ネタバレになってしまうので書けないのですが、本当に「緑色」がくっきりと脳裏に浮かぶよい短編なのですよ。

 てなところで、本日は。またどこかで。

追記:最初は、スーパー戦隊
「グリーン」の人という話を書こうとしたんですが、とりとめもなく語り続けて終わらないので、やめました。いちばん好きなのはデカグリーンのセンちゃんと、マジグリーン兄さんかなあ。
 あと、戦隊じゃないですが、もちろん
グリーンマンについても……(ヤメヤメ) 


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