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日々つれづれ 11年08月
テーマ 「 セミ 」

【11年09月02日 龍口明眞】

 本人の意志により削除しました。
 


【11年08月31日 河野裕】

 ども、河野です! 原稿が遅れがちです。
 自身を叱咤するために、
時間に正確なセミの話を。
 
素数ゼミという、なんだか恰好いい名前のセミがいます。たぶんアメリカ大陸辺りにいると思います。

 素数ゼミというのは、きっちり13年、あるいは17年おきに大量発生するセミです。種類によって、13年と17年のグループに別れます。
 13とか17とか、発生する(地中から出てくる)周期が素数だから「素数ゼミ」と言われるんですね。ちなみに「周期ゼミ」ともいいます。
 かつては別の周期(12年とか18年とか)で発生するセミもいたようですが、そいつらはみんないなくなりました。今生き残っているのは、素数の周期で発生するセミばかりです。

 では、
どうして素数ゼミは、素数の周期で発生するのか?
 答えを知らない人は、ちょっと考えてみてください。ヒントは、「生き残るための効率」
 答えは3行先です。
 と、書いているうちに2行先になりました。

 改行を挟んで、答え。それは、
「時間を守るため」……じゃないかなー、と言われているらしいです。

 なぜ時間を守る必要があるのか?
 どうして素数の周期だと時間を守り易いのか?
 もう少し詳しく説明しましょう。
 
群れというのは大きくなれば大きくなるほど、1つの個体が生き残る可能性が高まります
 例えば捕食者が100匹の素数ゼミを食べるとして、素数ゼミの群れが1000匹なら10%、10000匹なら1%の確率で捕食されるわけです。もし一億匹の群れを作れたなら、捕食される確率は100万分の1です。
 だから素数ゼミは、できるだけ大きな群れを作りたい。それならみんな一緒に、地上に出た方が良い。だから「時間を守ること」が、素数ゼミにとっては生き残るための武器になるのです。
 これが同時期に素数ゼミが地上に出る理由です。

 では、どうして素数の周期の方が、時間を守り易いのか?
 もし素数ゼミの2つのグループが、素数ではない、例えば6年と10年の周期で地上に出ていたとしましょう。2つのグループは、30年に1度、同じ時期に地上に存在することになります(公倍数の話です)。
 では、その2つのグループが交わって卵を産んでしまったら? 6年と10年、どちらの周期で地上に出ればいいのかわからないセミが生まれてしまいます。もしかしたら間を取って、8年で地上に出てしまうかもしれません。これでは時間を守れません。
 つまり素数ゼミは、できるだけ「同じ周期に発生するグループ」だけで、地上で生活したいんですね。

 そこで
素数です。
 素数ゼミが素数の周期で発生している限り、別のグループと同時に発生する可能性がぐっと減るのです。
 13年周期で発生するグループと17年周期で発生するグループが同時に地上に発生するのは、221年に1度……に、なるはずです、たぶん。
 時間を守るために(別の周期のセミと出会って混乱しないように)素数ゼミは素数の周期で発生するのです。 素数ゼミあたまいい!

 ……と、いうのは、以前聞いた情報をうろ覚えで書いています。
 もしかしたら私が何か大きな勘違いをしているかもしれませんので、あまり鵜呑みにしないでください。
 ともかく、時間を守るのは大事だなーと思う今日この頃でした。


【11年08月26日 柘植めぐみ】

 
セミといえばアブラゼミ
 夏休み、島根の山奥にある祖父の家に行くと、ひたすらセミを獲っていた。姉妹3人、虫捕り網を手に、あっちの木へ、こっちの木へ。なぜアブラゼミかというと、それしか獲れないから。家を囲む松の木の手ごろな高さにいてくれるのは、アブラゼミだけだった。
 当然、透明な羽根を持つセミたち――クマゼミヒグラシにあこがれる。でも思い出すだに、それらのセミは1匹も捕まえられなかった。見ることがあるとすれば、死んでカラカラになって落ちているやつらだけ。
 とくにツクツクホウシは憧れだった。声だけはしっかり耳に届くのに、なかなか姿を見かけない。家の周りには1本だけサルスベリの木があり、真実かどうかは謎だが、
「アブラゼミはサルスベリには来ない。木の幹がツルツルだから。サルスベリにとまるのはツクツクホウシだけ」と言い聞かされていた。それでいつもサルスベリの木のそばで待機していたのだが、いっこうにあの小さなセミは手に入らなかった。

 さて、では捕まえたセミはどうしたのか?
 基本的に「捕まえる」のが楽しいので、あとで放してやった。ジジジと鳴きながら飛んでいくのを見送り、ひと息つくと、またセミ探し。たぶん、同じセミを二度捕まえたこともあっただろう。
 でも、ときに子どもは残酷になる。
 立派なカマキリを捕まえてきて、セミと同じ虫カゴに入れたりもした。当然、容赦ない殺戮が始まる。子ども心に、なにかすごいドキュメンタリー映画でも目撃しているような気分になったものである。

 でも1つだけ、子どもながらに守った約束がある。
「お盆のあいだは、殺生をしてはいけないよ」
 と祖父母に言われたこと。
 なぜか、なんて考えなかった。ただ8月13日から15日のあいだは、虫捕り網を手に取ってはいけないと思った。その3日間だけは、虫たちも安らぎを覚えただろう。
 あれから三十年。
 田舎の家はいまや住む者もなく、朽ちるいっぽうらしい。せめてセミたちだけでも、にぎやかに飛びまわってくれていればよいのだが。


【11年08月15日 田中公侍】

「クマ出没注意、とか貼ってくれ」

クマゼミ激突されたことがある。
ある夏、田舎道をママチャリ「シルバーチャリオッツ」で疾走している日中、左の横合いからこめかみの上、眼鏡の上あたりに激しい異音と衝撃。
斜め後ろからだったらしく、まったく視界に入らなかった。
クマゼミ、と判明したのは、その後迂回して顔の前を通り過ぎたから。
目から火花が出る、という体験をしたのは、この時と母親に冷凍鶏肉で殴られたときくらいだ。
疾走している自転車の速度を緩めるわけにも行かず(遅刻寸前)、左手で顔を抑え、悶絶しながら疾走継続。
軽いもので殴られると、身体の中から骨が響く音が聞こえるって、知ってた?
何とか駅にたどり着き、額の汗を拭きながら改札を抜け、何とか間に合って電車に乗る。
座席に腰を下ろし、涼しい車内で一息つく。
ん? 何か周囲から視線を感じる。
顔を上げると、車窓には
顔の半分が血まみれになった妖怪の姿が。
……。
あぁ! やたら粘つく汗だと思ったら、まぶたが切れて出血したのね。
濃い色のハンカチは分かりづらいなぁ。

その後、ドラッグストアで脱脂綿とかテープとか買って自分で応急処置。
「セミに激突された」と言っても誰も信用してくれない。
母親くらいはまじめに話を聞いてくれてもよかったんじゃないか、と今になって思う。
まぁ、逆の立場なら一笑に付すと思うが。

あのセミも、あのときに怪我をして、そのまま一生を全うできなかったかもしれない。
成体になってからは少ししか生きられない彼らだが、せめて寿命程度には長生きしてくれたならよかったんだが。
今年は例年より多くなった各種セミの声を聞きながら、そんなことを考える。
これが本当の
セミロング
……今回は、最大難度だったな……。


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