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【12年02月21日 友野詳】 |
「う、う、う、うぉーーーたっーーーっっ!」
水というと、北島マヤの演技が思い浮かびます。
友野詳です、まいど。
ご存じない方も少なかろうと思いますが『ガラスの仮面』の話ですな。知名度では日本で五指に入るマンガじゃないかと思います(世代にもよるでしょうが)。とはいえ、漠然とご存知でも、読んでない方もおられましょう。
このセリフは、主人公である北島マヤと、そのライバルである姫宮亜弓がダブルキャストで演じた芝居『奇跡の人』の名場面で発されるものです。偉人ヘレン・ケラーの生涯を描いたお芝居で、へレンが「ものには名前があるのだ」ということを悟ったシーンですね。
これを書くために読み直したわけではないので、セリフは正確ではないと思いますが。
わりとマジメに、ゲームマスターとして、そしてストーリーの語り手としての心得の多くを、ワタクシは月影先生、そして姫川亜弓と北島マヤ、に学びました。
キャラクターを動かす、演じる、ということに興味のある方は、この『奇跡の人』の、二つのお芝居を対比するくだりだけでもお読みになると、得るものが多い、と思っています。
同じエピソードでも、同じ設定のキャラクターでも、展開の順番が同じでも、解釈と表現で、まったく違うものになりうるんですね。
プレイヤーとしては、演技者の二人から「一直線のプロットであろうがなんであろうが、自分が物語を理解していれば広げようはいくらでもあるのだ」ということを学び。
ゲームマスターとしては……亜弓さんでもマヤでもなく、月影先生でもなくて、このエピソードにおける姫川歌子さん(サリバン先生を演じた、日本を代表する女優で、亜弓さんのお母さん)から学びました。「相手の演技を予想せず、ただその場において『受ける』という楽しみ」を。
ほかにも、いろいろ「演じる」「語る」という行為について、含蓄のある言葉、明日から使える心得が、このマンガには頻出しております。特に、物語の中盤で、マヤが一度ドロップアウトして、女優として復帰してゆくくだり。
この『ガラスの仮面』における演技のノウハウが、実際のお芝居に役立つかどうかは、プロ演技者ならざる私にはわかりませんが、ゲームマスターという語り部、TRPGのプレイヤーにおいて「キャラクターを動かす」には、充分に身になるものであったと思います。
私が、語り手として選ぶ道は、たぶん北島マヤでも姫宮亜弓でもないのですが。
乙部のりえにだけはならんとこう、と、それは強く誓うのですけれどね(このキャラの解説をすると長いので、ここでおしまい)。 |
【12年02月17日 森本有美】 |
お風呂は一日をリセットするための癒しの時間!
夏でも湯船に浸かる派の森本です。こんにちは。
去年、大好きなマンガ家さんが挿画を担当したという理由で買った本があります。
バケツ1杯の水=人間ひとりが1日生きていくのに最小限必要な量
として、各国の国民一人あたりが使える水やさまざまな場面で失われる水がどれくらいなのか、というのをこのバケツ換算でわかりやすく教えてくれる、読みやすくて装丁も可愛くてなかなかに興味深い本でした。
ちなみに、わたしが1日生きるのに使ってる水量はわりと「使い過ぎ」な領域でした。
たとえいつか世界で水を奪い合う日が来ようとも、お風呂の水だけは譲らぬ!
と地球にも他人にも厳しいことを考えているのはナイショです。
それはさておき、ちょこっとお風呂の話です。
実はワタクシ、時々、ほんの時々なのですが
いっそ丸刈り男子のように石鹸ひとつで全身洗えればいいのに
と、かなり本気で思うことがあります。
あ、いえ、決してものぐさで言ってるわけではなくて、単にお風呂にごちゃごちゃ物を置きたくないというだけなんですけども。
そんなわけで、過去に石鹸シャンプーを試してみたことがあります。
使用する石鹸を手作りするところから、というあたりでわたしがほんとうにものぐさで言っているのではないと主張したいところですが、それはさておき結果がどうだったかというと……。
石鹸自体は大変体にやさしく使い心地のよいものができましたが、シャンプーは調査不足による手順ミスで大失敗。
石鹸カスがいっぱい残って髪がべったべたになり、あまりの不快さにキレて、当時背中の中ほどまで伸ばしていた髪をバッサリ肩の上まで切っちゃう衝動に駆られるほどの失敗でした。
ちなみに石鹸カスっていうのは、水中のカルシウムやマグネシウムと石鹸が反応してできる水に溶けない化合物のことで、当然カルシウム・マグネシウムの含有量が多い硬水ほど石鹸カスが発生しやすくなります。
日本は一部地域をのぞいてほぼ軟水の国ですが、傾向として北にいくほど軟水に、南にいくほど硬水になるようで、石鹸シャンプーの仕上がりも、軟水寄りの北海道ではサラサラ〜になるのに、硬水寄りの沖縄で同じ方法を用いたら石鹸カスで髪がべたべたになった、という話を聞いたことがあります。
そんなわけで石鹸とは相性の悪い硬水ですが用途によってはメリットもあります。
なかでも、飲用すればスポーツ後のカルシウム補給やダイエット、便秘解消に効果がある、という点については、一応「カテゴリ:女子」の末席に座している身としては無視できない情報です。
軟水主体の日本人には馴染みが少なく、飲み慣れていないとその風味にうっ……となる硬水ですが、みずみずしいヲトメを目指すため、たまには摂取してみるのもいいかもしれない、なんて思う今日この頃なのでした。 |
【12年02月13日 柘植めぐみ】 |
テーマが「みず」と聞いて、思い浮かんだもの。
大江山 いく野の道の 遠ければ まだふみもみず 天の橋立
『百人一首』に疎い――いや、日本史&古文全般に疎いわたしでも知っている歌。確か「ふみ」は、手紙の「文」と、行くという意味の「踏み」をかけているんだよね。
でも作者誰だっけ? 調べてみると、小式部内侍だった。ふむふむ、和泉式部の娘で幼少のころから歌の天才だったとか。二十代半ばで亡くなったとはお気の毒。
わたしは歌なんて風流なもの、生まれてこのかた詠んだことがない。
そう考えていたら、ふと記憶がよみがえった。
中学生のとき、国語の授業で「俳句」を作らされた。確か冬休み明けだったと思う。全員が作ったものを、先生が作者の名を明かさず読み上げて、「この句がいいと思う人?」と訊いて手を挙げさせる授業だった。
いまでも覚えている。
お正月 もちで押し出す 去年ぐそ
という、中学生にしてみたら「すごい名句!」を作ってきた子がいた。みんな、「これを作ったのは誰だろう。ぜったいどこかから引っ張ってきたんだ」(じっさい、全国でよく使われる言い回しだと知ったのはかなり後になってからのこと)と思い、犯人捜しのつもりでいっせいに手を挙げた。
クラスの半数以上がそうしたのを見て、先生ははっきりと言った。
「くそなんて俳句に使う言葉じゃありません。これをよいと思うほうがどうかしています」
きびしい口調に、みんなうつむいてしまった。よい句、好きな句、というより、「妬み」「意地悪」といった気持ちが先に立っているのを見透かされたようだった。
……かわいかったなあ、中学生のわたしたち。
ちなみに、わたしが作ったのはつぎのような句だった。
降る雪に 漢詩読む手も 止まりけり
当時、中国に凝っていて、北京に行きたい、留学したい、と毎日考えていた。まだ漢文の授業を受けたこともないのに、杜甫や李白の漢詩を読んだりしていたっけ。
それだけ言うと「中学生なのになかなか勉強熱心」とほめてもらえそうだけど、中国にハマったのには、じつはとても不純な動機があった。
そのころ大の男子バレーファンで、中国の王嘉偉(おうかい)という選手にベタ惚れだったのだ。いつか会いに行きたい、あの人の住む国を訪れてみたいと思っていた。韓流スターに憧れて、韓国語をマスターする主婦と同じ。
人生、なにがパワーになるかわからないというお話でした。 |
【12年02月03日 大井雄紀】 |
最近もっともドキドキしたこと。
女性「気持ちよかったですか? じゃあ、次はウォーターベッドに行きましょうね」
僕「は、はひぃ!」
これは、ある日の整骨院でのできごとです。
さて、今月のエッセイのお題は水。
香川県民として、やはりここは水不足について語らなくてはなるまいて!!
僕が香川から大阪に移住して二年目のある夏の日のことです。
朝ご飯ついでにぼーっとニュースを見ていました。
すると、ニュースキャスターが真剣な表情で語りだします。
キャスター「早明浦ダムの貯水率が低下しています」
早明浦ダム(さめうらだむ)とは、高知県にある四国最大のダムです。香川県の水道水の50パーセントはこの早明浦ダムで賄われているそうです。
キャスター「現在の貯水率は例年を大きく下回っています。いままでにない、深刻な水不足が予想されます」
ニュースキャスターの言葉に、僕は戦慄します。
僕は現在大阪ですが、家族は当然香川県にいるのです。
心配になって、僕はすぐさま実家へ連絡を入れまます。
母「もしもし、大井です(よそ様相手の高い声)」
僕「ご無沙汰しております。雄紀です」
母「……お前か(獣の唸り声のような低い声)。で、何の用だ愚息。金ならないぞ?」
僕「いえ、そうではなくてですね。香川が深刻な水不足だとニュースで見まして……」
母「はっ! 腑抜けたな息子よ。たった一年で大阪に染まったか」
僕の母様は、息子の心配を鼻で笑って一蹴します。
母「息子よ、香川での日々を思い出せ。我らが水不足を意識するタイミングは、役場の屋根が見えてからだっただろう?」
母は力強く言い放ちます。
早明浦ダムの底には大川村の旧役場が沈んでいます。旧役場は三階建てで、よく覚えていませんが、確か貯水率が30パーセントを切ると、普段は見えないその屋根が肉眼で確認できるようになるのです。
よくよく思いだしてみれば、確かに僕が香川に住んでいた時も、ニュースで「役場の屋根が見えてきました」という報道があってはじめて、「あぁ、夏も真っ盛りだなぁー」的な考えをしていました。
……おかしい。なにもかもがおかしいよ!
僕「いや、それでもやはり給水制限とか大変では?」
香川県に限らず、当然ダムの貯水率が低下すれば、給水に制限がかかります。一日の特定の時間帯が断水するのです。
母「それほどでもない」
僕「え? なんで?」
母「それがだな。面白い話なのだが、香川県では給水制限が進めば進むほど、水の使用量が増えるという逸話があってだな」
僕「……どういう、ことでしょう?」
母「給水制限が進めば、昼間であっても水が止まるだろう? そうなると、問題があるので事前に水を大量に貯めておく」
僕「あぁ、トイレとかあるもんね」
母「なにをいう。我々にとって最悪なのは水が止まることより、うどんが食べられなくなることだ。ゆえに、必要以上に水を貯める。一般家庭ですらそうなのだ。さて、うどん屋ははたしてどれだけ貯めるのだろうな」
電話越しに母が笑ったのを僕は感じます。
母「ゆえに、香川では給水制限がぎりぎりまで設けられない。お前がいたころもそうだっただろう?」
あー、そうだった気がするなー。
僕は母に「困ったことがあったら連絡して。ミネラルウォーターとか、こっちだと簡単に手に入るから」と言って電話を切りました。
他県に出て初めてわかる香川の異常性。
たまに大阪で「香川って外国でしょ?」と冗談交じりに言われることがありますが、わりとそうだと思います。
ただ、うどんが食べられなくなるなんてありえないので、まぁ、給水制限の処置も「しゃぁーないよなぁー」と思ってしまうあたり、僕もやっぱり香川県民なんだなぁーと感じたできごとでした。 |
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