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TOP > ユーザーコンテンツ > 著者インタビュー > 『ソード・ワールド・フェア』(2006年07月)
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■ま え が き

 夏です! 一年越しにお待たせいたしました、ソード・ワールド・フェアの季節です!
 平成元年の登場以来、ユーザーのみなさまの熱い支持を賜りまして、ソード・ワールドRPGも
18周年(!)を迎え、関連書籍も累計120巻(!!)を突破しました。その勢いを緩めることなく、今夏も感謝を込めまして、関連作品をドドドッ!! と一挙にお送りしてまいります!

 まずは小説&リプレイ。
 7月には、リプレイでおなじみ「へっぽこーず」の活躍を描いた長編小説シリーズ『
輝け! へっぽこ冒険譚1』(著:秋田みやび)、「ぺらぺらーず」リプレイ最新刊『新ソード・ワールドRPGリプレイ集NEXT7 レイド・レボルト』(著:藤澤さなえ/グループSNE)が、8月には待望の長編小説新シリーズ『ダークエルフの口づけ』(著:川人忠明)が、富士見書房より立て続けにお目見え!

 続いてRPGサポート。
 8月、富士見書房より『
ソード・ワールドRPGワールドガイド 新装版』(著:水野良/グループSNE)が発売。同じく8月、フェアの対象作品ではありませんが、新紀元社より『ソード・ワールドRPGツアー4 パダ/堕ちた都市』(著:清松みゆき/グループSNE)が発売されます。

 さらに、山本弘さんによる「サーラの冒険」シリーズ完結編『
やっぱりヒーローになりたい! サーラの冒険6』(著:山本弘)、懐かしの「スチャラカ冒険隊」シリーズ新装版『ソード・ワールドRPGリプレイ集スチャラカ編1 盗賊たちの狂詩曲』が7月に、『ソード・ワールドRPGリプレイ集スチャラカ編2 モンスターたちの交響曲』(著:山本弘/グループSNE)が8月に、富士見書房さまより発売されます。

 さらにさらに期間中、フェアの対象作品をお買い上げいただいた方には、イラスト入りサイン色紙や特製ブックカバー、著者がゲームマスターを務める特別セッションへの参加権などをプレゼント。
 そんな耳寄り情報を満載した、富士見書房の期間限定特別サイトがオープンしています!

 ますます広がるソード・ワールドの世界。
 本日はソード・ワールド・フェアに際しまして、作品の総監修を務める清松みゆき、長編小説新シリーズを手がける川人忠明、「へっぽこーず」の生みの親秋田みやび、そして「ぺらぺらーず」の生みの親藤澤さなえに、諸星崇が話を聞いてまいりました。
 目移りしそうなラインナップから、各作品の見どころをドドンと紹介いたします!
2006年07月 発行
記事作成 諸星 崇


■2006「ソードワールド・フェア」開催!

諸星: それではソード・ワールド・フェアに際して、著者のみなさんにインタビューをさせていただきます。どうぞよろしくお願いします。
一同 よろしくお願いしまーす。
諸星: まずは関連書籍の累計が120冊突破ということで、おめでとうございます。
清松: 一年前が100冊突破だったね。
川人: 年間で20冊。
清松: ということで、四年後に200冊を突破します。みんな頑張ろうね(笑)。
一同: はーい(笑)。
諸星: さすがに18周年ともなるとすごい数ですね。今月、来月を見ただけでも、刊行予定が8冊。
秋田: そりゃもう、せっかくのフェアですから。
藤澤: 気合い入れました。
川人: そのペースでいくと、年間48冊だね。
清松: なんだ。じゃあ、再来年には200冊ぐらい突破するじゃないか(笑)。
諸星: 毎月フェアですか……。
秋田・藤澤: ガ、ガンバリマス……。
諸星: え、えーっと、本日は“2006年の”ソード・ワールド・フェアに着目したいと思います。そういえば、今年のソード・ワールド・フェアでは、専用の特設サイトが開設されていますよね。
藤澤: そうなんですよ! 富士見書房さまが開設してくださった期間限定の特設サイトなんですけど、「アイリちゃんの青い坂道亭」って言って、ソード・ワールドには欠かせない「冒険者の店」を再現したようなサイトなんです。しかも、「青い坂道亭」の店主のアイリちゃんは、「ぺらぺらーず」が拠点にしている冒険者の店の看板娘として、私が執筆している『新ソード・ワールドRPGリプレイ集NEXT』の中に実際に登場しているんですよ。
諸星: それは嬉しい演出ですね。
藤澤: ところが、リプレイではお店の名前が決まってなくて(笑)。他作品に登場する冒険者の店の名前をくっつけて、「青い坂道亭」に落ち着いているんです。アイリちゃんのお店がそのままサイトに! とは言えないのが、ちょっと悲しい(笑)。でも、メインキャラクターにアイリちゃんが選ばれて、本当に感激しています。
諸星: コンテンツの充実ぶりもすごいですね。
藤澤: ソード・ワールド関連の情報はみんな網羅していただいてます。新刊情報はもちろん、こぼれ話や裏話、プレゼントのお知らせ、読者さんの参加企画もあるんですよ。
清松: フェアに関することは、ここを覗いてもらえば何でもわかるかな。
川人: ここでしか見られないイラストや写真もあるですよ。プレゼントのサイン色紙とか。
秋田: 「へっぽこーず」、「ぺらぺらーず」、「サーラの冒険」各シリーズの解説も載っています。期間限定なのでお早めに、ですよ。
諸星: 「アイリちゃんの青い坂道亭」にはグループSNEのホームページからもリンクを貼っていますので、ぜひ一度ご覧ください。
藤澤: アイリちゃんの雄姿を目に焼きつけてくださいね。


■『ソード・ワールドRPGツアー4 パダ/堕ちた都市』 
『ソード・ワールドRPGワールドガイド 新装版』

諸星: では、順にお話を伺いたく思います。まずは『ソード・ワールドRPGツアー4 パダ/堕ちた都市』について。清松さん、よろしくお願いします
清松: はい、よろしくお願いします。と言っても、『ツアー4』は富士見さんのフェアの対象作品ではないけど(笑)。
諸星: あ、そうでした。
清松: 関連作品のひとつとして、フェアに合わせて用意したのは確かだけどね。ソード・ワールド・フェアの対象作品は、帯に専用の応募券がついています。が、『ツアー4』にはそれがありませんので、誤解のないようにお願いします。対象作品の詳細については、前出の「アイリちゃんの青い坂道亭」などでご確認ください。
諸星: 了解しました。さて、オーファン、ロマール、ファンドリアに続く、ツアー・シリーズの第4作『パダ/堕ちた都市』ですが。今回はアレクラスト大陸の中原地方から少し離れるんですね。
清松: ん。今回の舞台は「堕ちた都市」の異名を持つ古代王国の空中都市レックスの遺跡と、そのそばにある冒険者の街「パダ」。ここを紹介します。
諸星: 読みどころはどういった点でしょうか?
清松: パダならではの冒険ができるように、いろいろと趣向を凝らしてみましたから、そこに注目していただきたいですね。
諸星: パダというと、「堕ちた都市」という古代遺跡と切り離して語ることはできないのですが、やはりそれに関わる冒険になりますか?
清松: そうだね。今回は基本的に、「ダンジョンに潜って戦闘を楽しんでもらおう」と考えています。で、最も身近なダンジョンはやっぱり古代遺跡。パダといえば遺跡、遺跡といえばパダ。そんな勢いで、とことんダンジョンを攻めてもらいたい。
諸星: ということは、シナリオもダンジョン・シナリオがメインになるんですね。
清松: そうなるね。メインディッシュは3パート・4階層・7ブロックの巨大ダンジョン・シナリオ。
諸星: 広っ!
清松: 広いだけじゃなく、イベントも盛りだくさんだよ。いろんなことが起こるから、ダンジョンに潜ることそのものを楽しんでいただけると思います。それから「戦闘を楽しんでもらう」という観点でも、システム的なフォローをしています。
諸星: 具体的にはどういったものでしょう?
清松: スクエア(正方形)・マップを使った簡易タクティカル・コンバットのルールを採用して、戦闘をより楽しめるようにしました。もちろん、慣れていない人でも手軽に遊んでもらえる程度の複雑さでね。コンセプトは「Visual & Easy」。「わかりやすく、簡単に」です。
諸星: なるほど。まさに、「ダンジョンに潜って戦闘を楽しんでもらおう」という言葉を体現しているわけですね。
清松: そう。『ソード・ワールドRPGツアー4 パダ/堕ちた都市』は、とにかくダンジョンに潜って戦いたい! という人にはもってこいの1冊です。
諸星: 逆に、ダンジョンは苦手、とか、遊び飽きちゃった、なんて人も。
清松: これを見ればまた新しい発見をしてもらえると思います。ダンジョンは文字通り、奥の深いものですからね。
諸星: パダの街については、『ソード・ワールドRPGワールドガイド 新装版』でもふれられていますよね。
清松: というより、その名の通り、ソード・ワールドの世界全体を紹介しているんだけどね。新装版は以前発売された『ソード・ワールドRPGワールドガイド』を完全復刻したものです。
諸星: アレクラスト大陸の各所を紀行文形式で紹介しているので、実際に大陸を旅したような気分に浸れますね。
清松: ちなみにパダはもちろん、オーファン、ロマール、ファンドリアも登場しているから、今までの『ソード・ワールドRPGツアー』シリーズと照らし合わせると、より一層楽しめますよ(笑)。
諸星: ぜひとも全巻そろえたいところですね(笑)。
清松: アレクラスト大陸を隅々まで味わっていただくためにも、『ワールドガイド』は必須の一冊です。そして、より深く味わっていただくためにも、『ソード・ワールドRPGツアー4 パダ/堕ちた都市』を、他の『ソード・ワールドRPGツアー』シリーズともども、よろしくお願いします。


■『輝け! へっぽこ冒険譚1』

諸星: 続きましては、リプレイでおなじみ「へっぽこーず」が長編小説シリーズとして登場! 『輝け! へっぽこ冒険譚1』について、秋田さんにお話を伺います。
秋田: よろしくお願いします。
諸星: 『新ソード・ワールドRPGリプレイ集』全10巻の冒険を終えた後も、人気冷めやらぬ「へっぽこーず」ですが。
秋田: 光栄です。ありがとうございます。
諸星: その「へっぽこーず」を描く長編“シリーズ”の第1作ですね。
秋田: はい。以前のインタビューでもちらっとお話ししたのですが、長編です。しかもシリーズです。
一同: おおー(拍手)。
諸星: さて、気になる内容についてですが、これは「へっぽこーず」パーティの結成前のお話になるんですか?
秋田: えーと、結成時のお話ですね。この長編のエピソードを経て、イリーナたちが出会って、リプレイ1巻の冒険に赴く、と。こういう流れです。
清松: 後にオーファンを席巻するあの方々の第一歩。
秋田: そのうち、別の国も席巻したいなー、なんて。
川人: ファンドリアとか。
秋田: え、川人さんの作品のキャラクターと出会っていいんですか? ダークエルフですよね。やっちゃえーってなりそうだけど(笑)。
川人: それはまずいなあ(笑)。
諸星: その辺りは後ほど。『へっぽこ冒険譚』ですが、いろいろとゲストキャラも登場するそうですね。
秋田: はい。今まで小説に描かれていない人たちがちらほらと。ヒースの家族とか、イリーナの家族とか。
諸星: 会話の中に出てくるぐらいの人々が、顔を出してストーリーに絡んでいる、と。
秋田: そうですね、いろんなドラマを展開しています。他にも、この先有名なNPCなんかも出したいなー、なんて画策してますので、1巻に引き続き、続刊も楽しみにしていただきたいです。
諸星: ちなみにどなたが登場します?
秋田: それはナイショ(笑)。
諸星: 失礼しました。読んでのお楽しみ、と(笑)。ともかくは第1巻ですね。
秋田: はい。「へっぽこーず」の歴史の、記念すべき新たな1ページ目です。みなさん、どうぞお楽しみください。


■『ダークエルフの口づけ』

諸星: 長編シリーズの新作が登場です。著者は川人さんです。秋田さんのインタビュー中にも少しお話が出ましたが、ファンドリアを舞台にしたダークエルフの物語なんですよね?
川人: そうですね。以前に書いた短編(ソード・ワールド短編集『へっぽこ冒険者と緑の蔭』収録 〈黄金の車輪〉)があるんですが、その続きの話になります。
諸星: かなり切ないお話でしたが、あの続きですか。
川人: 時系列として後になるということで、そのまま続いてるわけじゃないけどね。まあ、あれより前の話にすると、ちょっと(笑)。
秋田: そうですよね。あれより前の話だと、未来が見えちゃってるから……。
藤澤: こんなに仲良くしてても、いずれは……って涙で前が見えなくなっちゃいますね(笑)。
諸星: 詳しくは短編集をご覧下さい(笑)。
川人: 当たり前ですが、その短編を読まなくても楽しんでいただけるようになってますよ。
諸星: ちなみに、短編を読んだ人は?
川人: もちろん、より一層楽しめます(笑)。 
諸星: 期待通りのコメントをありがとうございます(笑)。中身にもちょっとふれていただけますか?
川人: さっきも言いましたとおり、舞台はファンドリアです。そこのとある組織に所属するエルフがいるんですけど、それが実はダークエルフだったと。……ということはもう、ネットの作品紹介のページなんかに書いてあるんですが(笑)。
諸星: 「口づけ」という言葉がタイトルにありますが、ラブストーリーになるんですか?
川人: メインキャラクターのダークエルフ、ベラに憧れる、人間の少年が登場します。
諸星: おお。その二人を中心に展開していくわけですね。
川人: そうですね。物語が進むに連れて、二人の関係性がどうなるか。
諸星: ハッピーエンドには大きな障害がありますからね。
川人: 「混沌の王国」ファンドリアという土地柄が、ね。ハッピーエンド? 何それ? っていう勢いで。その辺りはもう、あれこれ言うよりはじっくり読んでください。
諸星: わかりました。楽しみにしております!


■『新ソード・ワールドRPGリプレイ集NEXT7レイド・レボルト』

諸星: お待たせしました、藤澤さん。冒頭でも伺いましたが、「青い坂道亭」、いいですね。
藤澤: もう本当に、驚いて嬉しくって感激でした。
諸星: 実はアイリちゃんの登場は、アクシデントに近かったのだとか。
藤澤: はい。「青い坂道亭」でもコメントさせていただいたんですが、彼女はセッション中にアドリブで登場させたキャラクターなんです。主人公の「ぺらぺらーず」が拠点としている冒険者の店の、看板娘っていう役どころで。それがあれよあれよという間に、リプレイの中で重要なNPCになり、今度はサイト管理人(?)に。すごい出世をしちゃって、びっくりしてます。
諸星: リプレイから飛び出した冒険者の店、「青い坂道亭」には、こちらのリンクからどうぞ! というわけで、『新ソード・ワールドRPGリプレイ集NEXT7 レイド・レボルト』ですが。こちらでもあるNPCが重要な位置づけになっているそうですね。
藤澤: カラー口絵の1枚目に注目してください。がらにもなく決まっている人がいますから(笑)。何て言うか、ようやくこの人に光が当たったのね、っていう感じで。バーゼルさんです。
諸星: ロマール盗賊ギルド幹部にして、「ぺらぺらーず」のライバル的存在ですね。
藤澤: はい。そのつもりで登場したんですけど……。
清松: あっという間に嫌われちゃって、みんなに「バーゼルごとき」呼ばわりされて久しいんだな、これが。
川人: 盗賊ギルドの上司のはずなのに、今ではすっかり格下扱い。
藤澤: そうなんです。3巻(『新ソード・ワールドRPGリプレイ集NEXT3 コロシアム・プレミアム』)の時点でもう、みんなが「バーゼルを追い落とそう」って言い出しちゃって。立場上は、バーゼルさんのほうがずっと偉いんですよ? なのにみんな、相手にもしてないって感じで。でも、この『レイド・レボルト』では、バーゼルさんが本気になります。
諸星: おお! 今まで散々侮られていたライバルが、牙を剥くときが来たんですね?
藤澤: そうです。今までいろいろ、ホントに言われ放題だったバーゼルさんの、真の実力がついに明らかになるんです!
秋田: でも、そういう人にいまさら日の目が当たっちゃうと、行き着く先はひとつですよね。
藤澤: や、やめてください! 口絵が遺影みたいだなんて言わないでください!
一同: (笑)
諸星: さて、7巻でひとつ、キャンペーン・シナリオとして区切りを迎えたとのことですが。
清松: バーゼル追放キャンペーン。
諸星: あ、そうなんですか?(笑)
藤澤: レイド救出キャンペーンです! 気がついたら、清松さんの仰る方向にも進んでましたけど……。「ぺらぺらーず」VSバーゼルもありますが、本筋はまた別のところにありますので、どちらも楽しんでいただけると思います。
諸星: 期せずしてシナリオが膨らんだわけですね。
藤澤: はい。結末はみなさんの目で確かめてくださいね。それから、7月末発売のドラゴンマガジン9月号に「ぺらぺらーず」の読み切りリプレイが掲載されます。そちらもどうぞお楽しみください。


■サーラの冒険/サーラの冒険外伝集
■スチャラカ冒険隊復活

サーラの冒険
諸星: 15年の月日を経てついに完結したサーラの冒険。SNEのホームページにも、どれだけ「サーラの続きはまだですか」というお便りが届いたことか。
山本: ほんとうにお待たせしました。
諸星: その間ずっと「サーラは書くのが辛い」と言いつづけておられましたね。読み直してみて、その意味が改めてわかった気がします。とくに5巻、6巻を読みながら、サーラの胸中を思うと、もう辛くて痛くて……「この作者はどこまでサーラをいじめれば気が済むんだろう」と恨みもしました。
山本: 書いてるほうはもっと痛いんだけれど(笑)。
諸星: ただ、最後にはその痛みが気持ちよくて、いっそ快感でしたね。
山本: 快感、ですか(笑)。
諸星: なので、山本さんも書いている間、そういう快感を味わっておられたのかな、と……
山本: いや、あとがきでも書いたように、やっぱり辛いシーンを書くときは辛いし、楽しいシーンを書くときは楽しいですよ。今回は、途中の橋の上のシーンが笑いながら書けたので、かなり心理的に救われましたけども、やっぱり最初の方は辛かったですねえ。ただ、辛くても書かないと小説にはなりませんから。それで結局、5巻を出すまでに10年かかったんですけど。
諸星: 5巻はサーラにとって、もっとも厳しい試練の巻でしたものね。最初はごくふつうの少年が主人公のお話だったはずが……
山本: そう。これもあとがきに書いたけど、健全なジュヴナイル小説として書きはじめたのに、どこでこんなことになったのやら(笑)。やっぱりデルとの出会いから3巻以降、大きく路線が変更しましたね。
諸星: 裸も解禁ですし(笑)。第6巻はサーラがさらなる苦難に直面しつつ、自分なりの決断を下すシーンが感動的でした(15年待った甲斐があったというもの)。というわけで、熱い声援を送りつづけ、待ちつづけてくださった読者の方々に一言。
山本: 完結まで時間がかかったので、忘れられてるんじゃないかと思っていました。これほど多くの読者が覚えていてくださったと知って、ほんとうに嬉しかったです。
諸星: 時代を越えて語りつがれる金字塔、というと大げさかもしれませんが、等身大の主人公の愛と苦悩を描いた傑作だと思います。まだお読みになってない方、6巻まとめて読めるなんて、あなたは果報者です(笑)。ぜひぜひこの機会に読んでみてくださいね。というわけで、改めて完結おめでとうございます&お疲れさまでした!
山本: ……
諸星: あれ?
山本: だって、まだ短編の書き下ろしが残ってるんだから、「おめでとう」と言われても終わった気がしませんって(笑)。
諸星: おっと、それそれ、『サーラの冒険外伝集』が出るんでした! そのお話も聞かせてもらわないと。


サーラの冒険外伝集
諸星: まず、収録作品について教えていただけますか。
山本: 『ソード・ワールド西部諸国シアター 第2巻 熱血爆風!プリンセス』に掲載された「時の果てまでこの歌を」、『ファンタジア バトルロイヤル8月号増刊』に掲載された「リゼットの冒険」(いずれも富士見書房)に、書き下ろし1篇を加えた計3篇の予定です。
諸星: もちろん、読者として気になるのはその書き下ろしなんですが、サーラたちの後日談……ではないんですよね?
山本: むしろ前日談です、ふふふ。
諸星: なんだろう、その含み笑い。
山本: 書き下ろしの主人公はデルで、時期は……本編の5巻と6巻の間って、物語的にけっこう時間が経過してるでしょ?
諸星: ええ。で、デルの身になにがあったか、具体的にはなにもわかってなくて。
山本: じつは、ジェノアのところに行くまでに一か月くらいかかってるんです。なので、書き下ろしではその時期に何があったかを取り上げようと思ってます。
諸星: おお、それは読みたいっ!
山本: ただいま鋭意執筆中です。楽しみに待っていてください。
諸星: 刊行時期は決まり次第、富士見書房のホームページなどで発表される予定ですのでチェックをお忘れなく。


スチャラカ冒険隊復活
諸星: 今回のフェアにあわせて、ソード・ワールド・リプレイ集スチャラカ編1『盗賊たちの狂詩曲』が復刊されました。これって第1話が『月刊ドラゴンマガジン』に掲載されたのが1988年だったんですね。
山本: そんなになりますか。じつは書いた本人もほとんど内容を覚えてなくて、読み直しながら「あ〜こんなことやってたんか」って。
諸星: 当時の思い出などありましたら、ぜひお聞かせください。
山本: だから、もう覚えてないって(笑)。ただ、最初は単発リプレイのつもりで気軽に書いてたのが、思いのほか好評で、いつのまにかシリーズ化されていたという……
諸星: 個人的にはルールの説明がわかりやすく挿入されてるのが嬉しいです。それに、山本さんのGMぶりもすごく初々しくて……
山本: そ、そうかな(笑)? たしかに入門書としての意味をもたせたつもりなので、これからソード・ワールドRPGを始めようという方にも読んでほしいですね。
諸星: この後も8月に2巻、9月に3巻と続々復刊されていく予定です。では最後に読者の方々にメッセージをどうぞ。
山本: 『アイの物語』(角川書店)もよろしく!
諸星: あ、いきなり話題が飛んだ(笑)。『アイの物語』は数百年後の未来に出会った1人の若者に、美しいアンドロイドの女性が世界の真の姿を語るという形式で、既出の短篇5編と書き下ろし2編が収録された作品ですね。
山本: ええ。RPGや格闘ゲーム、育成ゲームなんかを題材にしているので、ゲームを好きな方にも楽しんでもらえるはずです。ぜひ読んでみてください。
諸星: ファンタジー、ミステリ、SF、トンデモ本と広い分野で活躍中の山本弘さん、いずれの分野でも底には同じエンターテインメント性が流れています。『サーラの冒険』でファンになった読者も多いと思いますが、これを機会に他の作品にもぜひ触れてみてください。


■最後に

諸星: お話を伺った他にも、フェア中にはたくさんの作品が発売されますね。
清松: 新シリーズの開始あり、旧シリーズの復活あり、進行中のシリーズもあり。もちろん、この先の新たな展開も考えています。
秋田: 「へっぽこーず」は小説という形で、新たな展開を迎えました。従来のファンの方も、これからファンになってくださる方も、リプレイともどもよろしくお願いします。
川人: ダークエルフは完全に新シリーズですね。みなさんの期待に応えられるよう、頑張っていきたいと思います。
藤澤: 「ぺらぺらーず」もリプレイから短編小説、雑誌連載と少しずつ枝葉を伸ばしています。これからも頑張りますので、よろしくお願い致します。
諸星: 18周年を迎えたソード・ワールドを特集して、お話を伺いました。みなさん、本日はお忙しい中、ありがとうございました。
一同: ありがとうございました。
 
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