安田: |
さて次は、ぼくが〝D&D少年探偵団〟と呼んでいる大好きなシリーズを。 |
柘植: |
はい、「銀竜の騎士団」の開幕です。2007年の11月に、1冊めの『大魔法使いとゴブリン王』が出ました。 |
笠井: |
読みましたよ~。すごくおもしろかったです! |
安田: |
だろう? D&D(ダンジョンズ&ドラゴンズ)らしくて、それでいてしっかりした小説になってるんだ。 |
笠井: |
ええ、ちゃんとジュブナイルですしね。 |
柘植: |
はい。子どもたちの「D&D入門書」としてまさにふさわしいかと。 |
笠井: |
巻末のモンスター図鑑もいいですね。 |
安田: |
強さを表わすグラフとか、わかりやすいよね。ぜひこういうのをやってみたくて、日本語版オリジナルの付録としてつけてもらったんだ。 |
柘植: |
じつは章タイトルも、日本語版オリジナルです。わくわく感を持って読んでいただけるようにつけました。 |
安田: |
みんなはどのキャラクターが気に入った? ぼくは弟のドリスコルが大好きなんだけど。 |
笠井: |
この物語は彼の視点から書かれていますよね。 |
安田: |
兄のケラックがシャーロック・ホームズだとすると、ドリスコルがワトソン役。ちょっとおっちょこちょいで、張り切っては失敗したり(笑)。 |
笠井: |
盗賊の女の子はしっかり者ですね。 |
安田: |
父親はだらしなくって、いつも刑務所に入れられてるけど。 |
一同: |
(苦笑) |
安田: |
キャラクターのパターンっていうのがしっかりできあがっていて、安心して読めるよね。 |
笠井: |
でもラストではちゃんと、「え、そうなの?」っていう驚きがありましたよ。 |
安田: |
うん。そこをなによりも推したい。D&Dでいて、それでいて謎解きのしっかりしたミステリーに仕上がってる。本格的な探偵小説というわけじゃないけど、手がかりを追っていくうちに、「ああ、そうなのか」「ええっ?」となる。 |
笠井: |
読者に挑戦状を突きつけるわけじゃなくて、いっしょに謎を追いかけ、いっしょになって驚いたりできますよね。そして最後に気持ちよくスパッと解決。 |
安田: |
しかも、D&Dらしいモンスターや魔法アイテムに絡めてある。 |
笠井: |
登場するモンスターがいいですね。ゴブリンの王さまの〝セコさ〟が最高。詳しくは言えないので、じっさいに読んで笑っていただきたいです。 |
安田: |
「ザコモンスターであるゴブリンは、有無を言わさず殺してもいいのか」というテーマは、ぼくたちもずっと取り上げてきたこと。本場のアメリカ人でも考えるんだ、とちょっとびっくりしたね。 |
笠井: |
くり返しになりますが、ジュブナイルなんだけれども、D&Dという背景があるからでしょうか、小説としても本当にしっかりしていますよね。 |
柘植: |
おすすめのお言葉、ありがとうございます。 |
安田: |
というわけで、ぜひ読んでいただきたいんだけど、じつは2月にはもう、2冊めが出るんだよね? |
柘植: |
はいっ! タイトルは『ドラゴンと黄金の瞳』です。じつは英語の原題はかなりネタバレなので、直訳ではないんですよ(苦笑)。 |
笠井: |
書いてる人は違うみたいですね? |
柘植: |
はい。このシリーズはいわゆるシェアード・ワールド的な展開がなされていて、作品ごとに著者が変わるんです。 |
安田: |
でも世界もキャラクターも、最初の作品でしっかりできあがってるよね。 |
柘植: |
今回も3人の子どもたちが元気に走りまわり、例によって、D&Dらしいモンスターや呪文がいっぱい登場します。 |
安田: |
この作品のしかけも、D&Dファンなら「おっ、あれかな?」と楽しんで読んでもらえると思う。 |
笠井: |
やっぱり謎がちりばめられてて、手がかりを追って……という感じ? |
柘植: |
ええ、今回はどちらかというと、シティ・アドベンチャーがメインかな。 |
安田: |
楽しみにしていてください。そのあとも順次、出ていくんだよね。 |
柘植: |
はい、続編も鋭意翻訳中です。できるだけ早くお届けできるようにがんばりますので、応援をよろしくお願いします! |