安道: |
では、早速シルバーレインノベル「シルバーレイン アーリーデイズ」についてインタヴューさせて頂きたいと思います。よろしくお願いします(畏まり)。 |
友野: |
はい、よろしくー。 |
安道: |
早速ですが、題名にもあるアーリーデイズとはなんでしょう……? |
友野: |
……(しばらく沈黙) |
安道: |
いや、ぼくは分かってますよ、分かってますよ! |
友野: |
あー、びっくりした。マジ聞きされてるのかと思った(汗)。 |
安道: |
いや、そこから内容に食いついていこうかなと思ったわけですよ! |
友野: |
……普通のインタヴュアーさんなら、そういう意図の質問だと思うんだけどさぁ。君だから……。それはおいといて。アーリーデイズというのは「初期の」「始まり」という意味です。 |
安道: |
なるほど、なるほど。となると、シルバーレインが降り始めた頃が舞台となっているわけですね? |
友野: |
そういうことかな。しかしまず、シルバーレインを説明したほうがいいんじゃないのかね。 |
安道: |
そうだった(汗)。 |
友野: |
初めてこの言葉を聴いたってお客さんもいてはるやろから。 |
安道: |
タイトルとしての〈シルバーレイン〉はPBW(プレイ・バイ・ウェブ)から始まり、SNEが担当したTRPG版、今回の小説などの作品世界です。詳しくは前回までのインタヴューやPBWのサイトをご覧ください。 |
友野: |
そして作品世界内におけるシルバーレインとは、超常の力をもたらす物質「詠唱銀」が、地上へ降り注ぐ現象のこと。で、それがさまざまな超常現象を引き起こす原因になるんだね。 |
安道: |
確か、作品世界内では20世紀の終わり頃に降り注いでますよね。 |
友野: |
そう。というわけで、小説の舞台は1995年と。 |
安道: |
ああ、僕は15歳の頃だ。主人公たちは……そういえばいくつですっけ? |
友野: |
14歳と16歳だね。中学二年生と高校一年生。 |
安道: |
二人いるんですよね? |
友野: |
そう。今回は男一人、女一人のダブル主人公なんだ。 |
安道: |
おお、そこも後で聞かせていただくとして、まずはなぜ、その時代を舞台にしようと考えたんですか? |
友野: |
あとがきにも書いたんだけれども、何の前提知識もない読者さんも、スムーズに作品世界内に入って欲しいと思ったわけです。なら、いろんな設定ができる前、これから創られていきますよーって時代がわかりやすいだろう、と。 |
安道: |
なるほど。でも、現代で誰も知らない事件を舞台にしたり、何も知らない学生が銀誓館学園に入学してくるという方向もあったんじゃないですか? |
友野: |
まぁ、そうなんだけれど。後者はリプレイでやってるでしょ。 |
安道: |
あ、そうですね。つかさ君ですね。 |
友野: |
前者の手はあったんだ。ただ、コンベンションなんかで出会ったプレイヤーさんたちに「どんな話が読んでみたいですか?」と聞いてみたら「銀誓館ができた頃が読んでみたいです」という答えが返ってきたのね。これなら、シルバーレインを知らない人と知っている人の両方に楽しんでもらえるなあ、と。まぁ、なにより、自分が面白そうなものが書けると思ったからだけどね。 |
安道: |
読者さんの需要と、友野さんのアンテナが合致したわけですね。 |
友野: |
ただ、銀誓館学園ができるまでといっても、官公庁に届けを出して認可されるまでに苦労をしたり、土地を確保したり、設計に苦労したりとか言う、プロジェ〇トXみたいな話じゃないですよ。言ってる間にそれも面白そうな気がしてきたけど(笑)。 |
安道: |
でも、それ全然超常現象関係ないし、アクションないですよね。 |
友野: |
いや、絡ませられなくはないよ。たとえば土地確保にゴーストの出る廃校跡を掃除するとか……おいといて(笑)。具体的には初期の銀誓館学園を構成するメンバーたちの出会いや、後の銀誓館学園のシステムを作り出していくきっかけを描いていこうと思っています。 |
安道: |
ふむふむ。じゃあ、世界観のすり合わせなど大変じゃなかったですか? |
友野: |
大変……ではなかったね。むしろ楽しかったよ。トミーウォーカーさんとのやり取りは主にネットを介して行ってたけど、すりあわせというよりはアイディアの膨らませあいのような感じだったから。ヒロインの設定はトミーウォーカー代表のうえむらさんに「萌え殺す気か!(笑)」っていってもらったけど。 |
安道: |
ヒロインが魅力的すぎるわけですね(笑)。 |
友野: |
まあ、それは自分ではよくわからんけど(笑)。ちなみに眼鏡っコで、黒髪ロングです。話は変わるけど、個人的に思っていることなんだけど、95年が舞台じゃないですか。そもそも、詠唱銀というのは人の常識をエネルギーにする「世界結界」によって締め出されていたわけですよ。 |
安道: |
そうですね。 |
友野: |
それが、シルバーレインとなってこの世に戻ってきたのは、常識が揺らいだせいだと。で、95年といえば、阪神大震災とオウム事件という、日本人がこんなことが起こるわけないと思っていた事態が、立て続けに起こった年なわけで。 |
安道: |
僕も鮮明に覚えてます。ショックでした。 |
友野: |
まぁ、あれを覚えてない日本人はそうそうおらんやろ。特に関西人は。そりゃ世界結界にもヒビが入るでしょうと。あくまで個人的な見解で、公式設定じゃないけど。 |
安道: |
だから、日本にはシルバーレインがたくさん降りそそぐんですかねぇ。 |
友野: |
常識に決定的にヒビが入ったのは、911事件じゃないかなぁと思うんで、そうすると日本に降る説明にならないんだけどね(苦笑)。 |
安道: |
まぁ、それはあくまで友野さんの個人的見解ですから(苦笑)。えーっと、ちょっと友野さんの顔がシリアス風味になったので、話題を変えてみましょう。時代背景が時代背景なので、登場するキャラクターはほぼオリジナルですよね? |
友野: |
そうですね。既成キャラクターの親兄弟という案も検討したんだけれど、やはりほとんどのキャラクターには僕以外に作られた方がいらっしゃるんだから、勝手に設定をいじるのも申し訳ないじゃない。なので、トミーウォーカーさんと相談して、オリジナルのキャラクターを作っていきました。そのうち、シルバーレインを遊んでいる皆さんから、あなたのキャラクターのお兄さん、お姉さん、お父さん、お母さんはこの時代に何をしていたか……という設定も募集してみたいなぁと思っています。 |
安道: |
おお、そうなると小説に自分のキャラの家族が出てくるわけですね!? |
友野: |
そうなるといいね。 |
安道: |
あ、でも今回一人だけ、PBWでもお馴染みのアノ人が出てきますよね? |
友野: |
ああ、アノ人ね(笑)。それは本編を読んでのお楽しみということで、ここは伏せておきましょう(笑)。設定もらった時にこんな人だったんだと、自分でもだいぶ楽しんだよ(笑)。 |
安道: |
では、今回は主人公が二人いるわけですが、彼らについてお聞きしてもよいですか? |
友野: |
うむ、聞きたまえ! ……語りにくいな。何をしゃべってもネタばれになりそうだから(笑)。あ、そうそう、とりあえず、左さんのイラストが素敵で、大変うれしかった! |
安道: |
確かに秀逸なキャラクターばかりですよね。絵的には誰がお気に入りですか? |
友野: |
全部(笑)。でもインパクトで言うと165頁だよねー(笑)。 |
安道: |
(165頁を見ながら)確かに、夢にでてきそうです(笑)。あ、じゃあ、PBWではたくさんのジョブがあるんですが、主人公たちは、一体なんのジョブなんですか? |
友野: |
え、脇役は水練忍者と霊媒士よ?(目線をそらしつつ) |
安道: |
……え、いや、脇役はいいですから……主人公…… |
友野: |
ヒロインは本文を読めば、あのジョブかなーと思ってもらえるはずだけど、ヒーローの方はねぇ。 |
安道: |
ヒーローの方は……? |
友野: |
実は彼らのジョブもストーリーの仕掛けの一つなので、多くは語れないのだよ(苦笑)。 |
安道: |
えー、けちー。 |
友野: |
そんなこというてもやな、お前(笑)。えー、ちなみに主人公の男の子は95年で14歳。主人公はそういうことを言わないタイプなんだけど、同級生かなんかに「昨日のアニメで主人公が『逃げちゃだめだ』とか言ってたぜ」って言わせようかと思ったんだけどね。調べてみると、その日はまだ放送前なんで結局使えなかった(笑)。 |
安道: |
社会現象にもなったあの作品……完全に僕らと同年代ですね(笑)。 |
友野: |
なので、当時の中学生、高校生だった君たちに改めて取材させてもらうよ。 |
安道: |
僕、当時から変な子だっていわれてましたけど、大丈夫ですか? |
友野: |
君以外に聞く。 |
安道: |
ひどい(笑)。あと、物語の内容についてお聞きしたいと思います。僕としては、主人公たちが中々出会わないところがもう、読んでてやきもきしたわけですが。目指すところは究極のボーイミーツガールですか? |
友野: |
究極は言いすぎやがな。今、自分にできる精一杯のボーイミーツガールですよ。イヒヒヒ。 |
安道: |
なんでそんな笑い方なんですか(笑)。 |
友野: |
恥ずかしいんだよ! |
安道: |
じゃあ、恥ずかしくないところも聞きましょう。シルバーレインはホラーやアクションの要素も大きい世界ですが、そのあたりは友野さんお得意なところですよね? 僕なんかは段々と異形の者と関わっていく、あの雰囲気がよかったです。 |
友野: |
ありがとう(笑)。少しずつ日常(普通)に亀裂がはいっていき、最後に一気に砕け散るみたいなのね。ああいうのは読んでても書いてても好きなんだよ。これは昔に書いた、妖魔夜行やなんかで培ってきたものでもありますが。 |
安道: |
おおー、年期が違うわけですね! |
友野: |
まぁ、そらね。君とは違うよね(笑)。それを言うと、超常の力を持った者たちの戦いもずっと書いてきたテーマなので今回もがんばりました。 |
安道: |
その迫力は読んでからのお楽しみというわけですね! |
友野: |
迫力が出ているといいなぁ。 |
安道: |
大丈夫っすよ! さすが友野さんといわざるを得なかったです! でも、まだ覚醒しきってませんよね、アレ。 |
友野: |
フッフッフッフッ。そのあたりは次の巻を楽しみにしていて欲しいですね(ニヤリ)。 |
安道: |
おお、早くも次巻! |
友野: |
というわけで二巻も2月発売を目指してがんばっております。こうご期待! |
安道: |
次巻こそ、いちゃいちゃラブラブに!? |
友野: |
それはどうかなぁ(ニヤ)。まだまだ彼らには試練を乗り越えてもらわねばならんよ。 |
安道: |
次巻はさらに主人公二人がひどい目にあうわけですね……! |
友野: |
ひどい目にあうやろね。なんせ俺の作品やからね。 |
安道: |
それでこそ友野さん! |
友野: |
痺れても、憧れてもええよ(強制)。 |
安道: |
痺れる、憧れるぅ(棒読み)。 |
友野: |
棒読みかい! |
安道: |
はい、では今日はありがとうございました! |
友野: |
で、お前の方の話はせんでええんか? |
安道: |
あ、新サプリメント「メガリスクライシス」ですね。僕が今、クライシス状態です……! |
友野: |
諸事情により発売日が1月に伸びてしまいました。本当にすみません。 |
安道: |
ユーザーの皆様をお待たせする形になってしまい、本当に申し訳ないです。 |
友野: |
で、どんな内容なのかね? |
安道: |
えっと、いろいろクライシスです。 |
友野: |
……まずは、40レベル以上対応のサプリメントだってのが重要だよな。 |
安道: |
ええ、タイトル通りに、新しい「クライシス判定」っていうルールがあるんですよ。クライシス状態もその用語です(笑)。 |
友野: |
長時間かける作業や、罠をくぐり抜ける時に使うような判定だね。これを使うことによってよりシナリオに緊迫感が生まれるようになった。 |
安道: |
他にも山札を使ったリール判定というルールも入ります。いろいろハプニングも起こせますよ。 |
友野: |
全体的にランダム要素が増えたわけだね。 |
安道: |
そうですね。これでGMも少しは忙しくなると思いますよ(笑)。 |
友野: |
GMが楽なのはいいんだけど、慣れてくると少し暇をもてあましちゃうからねぇ(笑)。しかし、試行錯誤はあったが、どちらもセッションを盛り上げてくれる、いいルールになったと思うよ。 |
安道: |
この二つを中心に、さまざまな新エフェクトやクロスアビリティの強化、新結社効果などが入ります! もちろん、強力な新ジョブや新しい使役ゴーストも登場しますしね。 |
友野: |
そしてストーリーやキャラクターの背景を支援する、試練表にエピソード表なんかも入るね。 |
安道: |
高レベルキャラクターではじめる方法もあるので、それと一緒に使っていただけると、いろいろ楽しいです! 過去にこんなジョブだったーとか、こんな事件を解決してきたーとか。 |
友野: |
さすがに40レベルだとそれなりの場数をこなしてるはずだから、そこをサポートするというわけだ。 |
安道: |
あ、あとキャラクター作成といえば、お待ちかねの卒業生作成ルールもありますよ。といっても、世界設定にあわせると19歳までしかできませんが(苦笑)。 |
友野: |
そこは柔軟に対処してもらえばええやん。他に何か推すところはないのかね? |
安道: |
まだまだありますよ! タイトル通りにメガリスも大きく扱ってあります。メガリスの絡むシナリオ2本に、オリジナルのメガリスを作成できる表、そして新たな種類の敵などなど。 |
友野: |
今回も詰め込んだね。フルカラーだし、40レベル以上の判定に対応した、高いカードパワーのロールカードが20枚つくし。ところで、今更だが……メガリスとはなんだね(笑)。 |
安道: |
はっ!? そうでした。メガリスというのは、すごいアイテムなんです! |
友野: |
……(頭振る) |
安道: |
あれ? 間違ってましたっけ……?(汗) |
友野: |
間違ってはいないが、いろいろと情報が足りてないでしょ? 古代の頃に作られた、超常の力を持つ非常に強力な品物。それらがメガリス。例えば、草薙の剣だとか、聖杯だとか、オリハルコンなんていう伝説になっている物だね。その能力には必ず代償があり、扱いにくいが、能力自体は何でもアリだとか。 |
安道: |
おおー(拍手)。 |
友野: |
拍手はええから、そのメガリスを扱うということはどういうことなのか説明したまへ(笑)。 |
安道: |
イエスサー(敬礼)! メガリスを扱うということは、事件がものすごく大きくなります。隕石が落ちてきても不思議じゃないし、日本以外全部沈没してもおかしくないのです! |
友野: |
また極端な例を。他にももっとシナリオに使いやすそうなのを挙げなさいよ。メガリスを持てば、能力によるけど、ゴーストの軍団を操れるようになるだとか、超巨大な怪獣を産み出せるようになるとか。 |
安道: |
友野さんこそ、特撮に寄りすぎてません? |
友野: |
想定してたのはアメコミなんだが(笑)。とにかく、発売が延びた分、内容はがんばりましたので、楽しみにしていただきたく思います。 |
安道: |
そうですね。こうご期待下さい! で、1月に伸びたサプリメントと同時にリプレイの三巻も出ます。 |
友野: |
(ポーズをきって)[強制召喚]篠谷!! |
篠谷: |
(ひょこひょこと現れて)はいはい、なんですか? |
友野: |
ええから、君の宣伝をしなさい。 |
篠谷: |
え、そんないきなり(汗)。 |
安道: |
とりあえず、リプレイ3巻の様子から聞かせていただけると。 |
篠谷: |
そうですね。そりゃもう、リプレイ3巻はえらいことがありまして。もう、言えません! 言えるとしたら……二組がそれはもう強烈なバカップリで。きっと帯に書かれますよね(笑)。 |
友野: |
バカップリて。バカップルぶりを略すな(笑)。 |
篠谷: |
日本語難しいデス。でも、本当に想定外なことが起こって大変でしたけど、面白くなりました! ぜひ読んでみてください。 |
友野: |
そうだよなぁ。TRPGは水物といいまして……こっちも何を言ってもネタバレになるな(笑)。 |
篠谷: |
もう、何も言えません。キャー(照)。 |
安道: |
恥ずかしがってないで、その恥ずかしい内容について何かお話してもらえれば(笑)。 |
篠谷: |
もう、この悶絶っぷりが内容を全て物語っているかと(笑)。 |
友野: |
まぁ、それだけでは読者の皆さんに伝わらないだろうしな。具体的なところをあげよう。 |
安道: |
お願いします。 |
友野: |
3巻は2巻から引き続く、ファンガス物語の決着篇。でも、敵との戦いもそうだけど、それに絶妙にPCたちやNPCとの人間関係の決着も、絡んでくる。 |
篠谷: |
相変わらずプレイヤーの皆さんは大暴れでした(笑)。 |
安道: |
でも、すごく息が合ってましたよね。 |
篠谷: |
そうですね。皆さん、お互いにやりたいことをやったら上手く噛み合った、みたいな(笑)。 |
安道: |
そういえば、個人的にはサプリメント『人狼VS吸血鬼』のルールが導入されて、クロスアビリティなんかも使ってもらえたのが嬉しかったです。 |
篠谷: |
そこら辺も、みんなわっきゃわっきゃ言いながら作ってくれました。 |
友野: |
ストーリー上でも盛り上がるように使ってくれたよね。 |
篠谷: |
そうですね。それもあんな風になるなんて(笑)。 |
友野: |
いやあ、ドラマチックな展開になってくれたよね。 |
安道: |
そのさわりの部分を聞きたいところですが、もう何をしゃべってもネタバレになるということですね? |
篠谷: |
はい。それだけぎっしりな内容なので、ぜひ読んでいただければと思います! |
安道: |
こちらも発売が楽しみですね。それでは、今日は皆さんありがとうございました。これからもシルバーレインをよろしくお願いします! |