諸星: |
まずはなにより、『練兵都市』の発売、おめでとうございます。 |
3人: |
ありがとうございまーす。 |
諸星: |
ざっと、内容のほうを教えていただけますか? |
河野: |
今回は、「リートフェルト教練学園」という、EM(エムブリオマシン)の乗り手を養成する学園を舞台とした、「学園生活サプリメント」です。 |
片山: |
背景としては、ゴルディオス王国という強国に攻め込まれ、戦争状態に陥った小国家連合という国家共同体が、兵士の育成と確保のために設立した教育機関、となっています。 |
諸星: |
これはもともと、「学園モノでいこう」というコンセプトがあったんですか? |
秋口: |
実は、ここに『エムブリオマシンRPG』の製作中、つまり2年以上前のメモが残ってるんだけど。サプリメントのタイトル案に、『御前試合』、『密林戦線』、そして『練兵都市』というのがすでに書いてある。 |
一同: |
おおーっ!! |
諸星: |
『御前試合』と『密林戦線』は、すでに発売されていますね。 |
秋口: |
そう。そして今回の『練兵都市』と、びっくりするほど構想通り(笑)。その頃から、「学園」というものを取り上げたい、と話していた記憶はあるかな。それと、「練兵都市」では河野をメインに据えてみよう、という作り手側のコンセプトもあった。 |
河野: |
はい。自由にやらせていただきました。 |
諸星: |
企画が来て、何を考えました? |
河野: |
まずは、とにかくユーザー層を広げたくて、よりアドベンチャー・パートに重点を置く作りにしよう、と。それと、門戸の広い「学園」というキーワードも取り入れました。せっかく初期構想にもあったわけですし。そうして、何度も遊んでいくうちに、たくさんのNPCとの人間関係が構築されていって、自分だけの「学園生活」が営めるようになっていく、長期的なキャンペーン・シナリオを楽しんでいただけるサプリメントになりました。 |
諸星: |
たしかに、従来より乗り手、PC本人にスポットが当たるようになっていますね。 |
片山: |
キャラクターシートから変わっています。今までは「機体シート」で、全体の3分の2が機体のためのスペースだったのですが。 |
河野: |
今回は「セッションシート」となり、シート自体の大きさが2倍になりました。で、つけ加えられたのは、すべてPCのためのスペースです。右半分はすべて、PCのデータやNPCとの人間関係を残すために使います。 |
諸星: |
これまでとはまるで別のゲームが遊べる、と。 |
秋口: |
『エムブリオマシンRPG』のExpansionでは、常にそれを目指していたしね。『御前試合』や『密林戦線』もそうだった。ちなみに『練兵都市』は、これまでで最も厚く、ルールブックと数十ページしか変わらないけど、安い! それでいて新しい遊び方ができる、お得な一冊! |
3人: |
お買い上げください! |
諸星: |
『練兵都市』にはNPCがいっぱいいますね。 |
片山: |
顔のあるキャラクターだけで20人です。シナリオの登場人物なんかも含めると、『練兵都市』だけで30人を超えますよ。 |
河野: |
その全員と、人間関係を築くチャンスがあります。 |
諸星: |
それがどんどん死ぬとか? |
一同: |
(笑) |
片山: |
『練兵都市』のあとがきにも書いたんですけど、ふたりが学生をとにかく死なせたがって。 |
秋口・河野: |
そんなことはない!(笑) |
片山: |
あります! これは譲りませんよ! |
河野: |
たしかに、リートフェルトは、最初はもっと平和でほのぼのした学園でした。けど、それは『エムブリオマシンRPG』の世界ではないかな、と思って。背景には戦争があるわけですし。 |
秋口: |
仲の良かったクラスメイトが、ある日、いなくなっていたり。そういった恐怖感というかな、薄氷の上の理想郷といった雰囲気を学園に持たせたかった。悲劇はすぐとなりにあるんだ、というね。 |
河野: |
そこから、20人のイラストつきNPCが、サイコロの目によっては自動的に、なす術もなく死んでしまうルールにつながったんです。ただ、それが苦手という人もいるでしょうから、セッションシートのチェック欄には「別離」という言葉を使っているんです。 |
諸星: |
人間関係のできたNPCが死んでしまった場合、チェックするところですね。「死亡」ではなく、「別離」? |
河野: |
はい。ルール上では死亡という表現になっていますけど、セッションの流れなどでは、死なせたくない、死んでは不自然、ということもあるかと思って。その点、別離なら、たとえばもう会えなくなったとか、超長期入院とか、いろんな使い方ができますよね。 |
秋口: |
へー、そうなんだ。 |
片山: |
そうなんです。……って、秋口さん? |
秋口: |
知らなかった。先に言っといてよ。危うく、最終段階の修正で全部「死亡」に書き換えるとこだったよ(笑)。 |
片山・河野: |
危ねぇーっ!! |
諸星: |
NPCとの人間関係というと、恋愛もきちんとルール化されていますね。 |
河野: |
色恋沙汰は、やはり学園生活の醍醐味かと。 |
諸星: |
秘密結社の「エデン」を作ったのはどなたですか? |
河野: |
えらいスンマセン(笑)。 |
片山: |
あれは、こやつめの所業にございます(笑)。 |
諸星: |
「学生同士の恋愛関係を否定する秘密結社」って、またムチャな設定を(笑)。しかも名前が「楽園」。 |
河野: |
でも、あれは本当に「楽園」を意識しているんですよ。「エデン」が活躍するシナリオができるのは、学園が平和なときだけなんです。 |
諸星: |
そういえば。『練兵都市』では、「戦況」によって雰囲気ががらりと変わりますしね。 |
片山: |
戦いが落ち着いていれば、リートフェルトは安全ですけど、場合によっては「敗戦目前」になって、ろくな装備もないまま戦場に駆り出されたりします。友人や恋人が死ぬ確率も高まります。 |
河野: |
ほら。そんなときに「エデン」なんて、出してる場合じゃないでしょう。あれは楽しい学園生活の象徴なんです。まさに「エデン」! |
片山: |
それ以外にも、「生徒会」に所属したり、「学食」で古式ゆかしい西洋料理を食べたり、学園生活を楽しむためのギミックを大量に用意しています。隅々まで味わってみてください。 |
諸星: |
シナリオが5本。これはけっこうシリアスなものになっていますね。 |
秋口: |
そこはハードにまとめたね。敗戦目前の戦況で戦ってみたり。 |
片山: |
結果いかんでは、小国家連合がなくなる瀬戸際までいくかもしれません。もちろん、その先に踏み込んでしまいたいGMさんは、どうぞやっちゃってください。公式には、この先のサプリメントなどでフォローすることになると思いますけど。 |
諸星: |
追加機体、追加武装などは? |
河野: |
いつもどおり、たくさんあります。 |
片山: |
それと、「Role&Roll」さんに掲載された、メディックとカウンセラー用の「戦闘補助品」が『練兵都市』でまとめてあります。戦術の幅が大きく広がると思いますので、活用してみてください。 |
諸星: |
では、最後に今後の展開についてのお話をお願いできますか? |
秋口: |
次のサプリメントは、初心に帰ろうかと、バトルパートを念頭に置いたボードゲーム的なものを作成中。 |
片山: |
『御前試合』、『密林戦線』、『練兵都市』と、同じ『エムブリオマシンRPG』でも別種のゲームを遊べる形にしてきましたけど、次回は『エムブリオマシンRPG』のベーシックなプレイ環境をサポートできるものにするつもりです。 |
河野: |
なぜ基本ルールブックにこれが載ってなかったんだ、と言われるように(笑)。 |
秋口: |
そうだね(笑)。あとは、いつもどおり安価で。 |
片山: |
お求め安いお値段でお届けできれば、と思います。 |
河野: |
もちろん、内容は濃密に。 |
3人: |
鋭意、製作中です! お楽しみに! |
諸星: |
期待しております。本日はお忙しいところ、ありがとうございました。 |
3人: |
ありがとうございました! |