――: |
というわけで、刊行順にお話を聞かせていただきます。よろしくお願いいたします。 |
安田: |
監修者の安田均(ボス)と、著者の「羽根のないアリス、金のない大井」です! |
――: |
えっと(笑)……解説しますと、『羽根のないアリス』(以下『アリス』)の後書き冒頭に、大井さんが「羽根のないアリス。金のない大井。口に出して読んでみると、なんとなく似ている気がしますね」と書いたんですよね。 |
大井: |
はい、ボスはそれがお気に入りでして(苦笑) |
――: |
で、昨日の会議でメンバーたちに「全然似てへんぞ」と突っ込まれて…… |
安田: |
そう、洒落としてはいまいちやな。ぼくやったら「羽根のないアリス、金のない○ァリス」とするんやけど。 |
――: |
そういう、面白いけど記事に書けない発言は避けてください(笑)。 |
大井: |
そうですよ、ぼくがそれを言うと各方面にまずいです(笑)。 |
――: |
で、『アリス』は「六門RPGセカンドエディション」(以下:六門セカンド)としては、どういった位置づけになるのでしょうか。 |
安田: |
これはね、大井雄紀という新しい才能を生むために、ぼくの創った六門世界をいったん閉じる、というか新しく生まれ変わらせよう、ということなんです。ただ、六門世界を終わらせるときには精霊王が争いあって、みたいなことは最初から考えていました。 |
――: |
その精霊王たちの暴走が、2009年10月に出たシナリオ集『エレメンタル・ストーム』で描かれているわけですね。で、『アリス』の舞台はその時代真っ最中のお話になるのでしょうか。 |
安田: |
そうなんです。で、どうせなら最後もちゃんとリプレイにしようということになって……大変やったなあ、大井くん(笑)。 |
大井: |
ええ(再び苦笑)。 |
安田: |
世界が終わる事件を遊んでリプレイにしろって、「そんなん無茶苦茶になるに決まってるやないですか、ボス」とは、きみも言えへんしなあ。 |
大井: |
言えませんねえ(引き続き、苦笑)。 |
安田: |
編集者には言われたけどな。 |
――: |
そりゃそうでしょう(笑)。つまり、『エレメンタル・ストーム』のシナリオを実際に遊んでリプレイにしたのが『アリス』ということですね。 |
安田: |
そのとおり。『エレメンタル・ストーム』は大井くんにとってははじめての作品やったわけやけど、六門世界は最後はこんな壮絶なことになって終わるんだ、というのを作ってほしかった。で、ちゃんとストーリー仕立てで要求どおりのシナリオを作ってくれた。ただ、自分で作っておいて言うのもなんやけど、なにしろ高レベル対応やからね、これでリプレイを書くのはさすがに難しかろう、と思ってた。
ところが、ばってん…… |
大井&笠井: |
ところが、ばってん(笑)? |
安田: |
大井やったら、なんとかなるんちゃうかと…… |
大井: |
わはははは。 |
安田: |
きみはこれから作家デビューするわけやけど、いろんなことが出来るようにリプレイでも鍛えてやろう、という親心でやな。 |
――: |
と言いつつ、じつは…… |
安田: |
なにより自分がプレイヤーとしてこのシナリオを遊んでみたかった(笑)。 |
――: |
ですよね(笑)。 |
安田: |
このリプレイはある意味、ぼくにとっても挑戦やった。高レベルのキャンペーンが実際に成立するのか、あるいは自分で作った世界をうまく閉じられるのかという自分自身への挑戦。そういう意味で『アリス』も『エレメンタル・ストーム』も非常に力(リキ)の入った作品だということは、最初にみなさんにお伝えしておきたいね。 |
――: |
これまでの歴史も踏まえつつ、これから先のことも見越した作品ということで、苦労も多かった、と。 |
安田: |
そう、自分の創った世界で楽しくリプレイ書いてるのとは違う。なんやった、ぼくの書いたリプレイ……。 |
大井: |
『追え! 悪魔天使の野望』(新紀元社)ですね。 |
――: |
ああ、あのパンツ丸見え、太腿神官の……。 |
安田: |
そう、それ(笑)。ああいうのは自分が原作者やから楽。けど『エレメンタル・ストーム』や『アリス』はいろんな人のアイディアがいっぱい詰まった世界をうまく閉じ、なおかつそれを面白く見せようという意欲作やったわけです。 |
――: |
おお、それほど意義深い作品なのですね……読ませていただいた限りでは、ただ楽しく遊んでるようにしか見えなかったのですけれど。 |
安田: |
いやいや(笑)、どのプレイヤーがどうとは言わないけれど、ぼくは内心、どきどきやったよ。 |
――: |
大井さんはまだ22歳と若いんですけれど、海千山千のプレイヤーたちを相手に上手にマスターしていたな、という印象でしたよ。 |
大井: |
ぼく自身、ちょっとノリの良すぎる、お調子者の点がありまして。 |
安田: |
そう! 逆にプレイヤーからしたら、大丈夫なんか、とちょっと心配になる(笑)。例えば、重要なNPCが登場したとき、プレイヤーの一人がいきなり「おれはこいつと昔、一緒に冒険していたんだ」とか言いだして。 |
――: |
他のプレイヤーもあっというまにそれに乗っかり、どんどん勝手に過去の設定を作りあげていきましたね。 |
安田: |
マスターとしては「そんなん、おれ考えてへんかった」とは言われへんよな。 |
大井: |
言えませんね(笑)。 |
――: |
いや、言っていいんだよ、そこは。「勝手に設定作らないでください」って(笑)。実際、この本のなかにも何カ所か、こういうプレイはあまりお勧めできません、というようなことが書いてありますね。ランビックのキャラクター設定なども普通なら許されないでしょう? |
大井: |
はい、なので小説では絶対書きません。 |
安田: |
……そらそうやな(大笑)。でも、そこまでできるマスターとプレイヤーの関係ってなかなか生まれへんし、ある意味、ぼくの考えるRPGの理想とも言えるね。 |
――: |
プレイヤーやマスターが変われば、プレイの雰囲気も遊び方も変わりますし、それぞれの楽しみ方がありますよね。 |
安田: |
だから、決してこれを真似しろ、と言うんじゃない。ただ、高レベルプレイだと、みな慣れてるし、マスターもプレイヤーもはっちゃけるとこははっちゃけ、締めるところは締めるとわかってる。一つの例示として受けとってもらえれば嬉しいね。 |
大井: |
これは後書きにも書いたんですけれど、『アリス』ではずっとプレイヤーとマスターの脅かし合い、騙し合いをしていたような感じなんです。 |
――: |
最初からそれを意図したのではなく、プレイヤーとマスターの相互関係のなかで、そういう場ができていく。なにが起こるかわからないのがTRPGの醍醐味ですしね。 |
安田: |
そうそう、ある種、酔っぱらってるような感覚というのかな。リプレイというのはあくまで読み物としてまとめたもので、細かく見れば実際のプレイとは異なることがいくつかある。でも、大きく見れば、7,8割はその場の雰囲気が再現されてる。読者にはその辺りを楽しんでもらえたら、と思います。 |
――: |
で、『アリス』に登場した彼らとは、この一巻のみでお別れということで?。 |
安田: |
なにを言うか、たとえばマドモアゼル・ジュジュは召喚術師やで! |
――: |
はあ、そうですが? |
安田: |
今度の新しい世界(六芒世界)は過去の召喚術師の魂を呼び出すんやで! ひょっとしたら、ジュジュはだれかの背後霊となって、六芒世界でも召喚してるかもしれんのやで(笑)。 |
大井: |
おお。ジュジュさんの血縁や子どもが残っていれば、その可能性は大いにありますね。 |
――: |
なるほど。では、そうした六芒世界のお話は『烙印ゼミナール1』のほうで詳しくお聞きしたいと思います。 |
――: |
小説でも暗黒領域は大きく取り上げられていますね。さて、タイトルに「ゼミナール」とありますけれど、内容的には学園物といっていいでしょうか。 |
大井: |
そうです、魔法学園が舞台となっていて、ちょっと現代的な…… |
安田: |
でも、生徒がたくさん刺青してるんやで? |
――: |
あ、そうか、烙印魔法という新しい魔法が加わって、それを使う人たちは身体に刺青してるんでしたね。 |
安田: |
そう、ファンタジーで言えば、ルーン文字を身体に刻んでるようなものかな。倶利伽羅紋紋を連想してもらってもいいけど(笑)。 |
大井: |
烙印魔法は烙印を身体に刻むことによって使えるようになる魔法なんです。 |
――: |
小説には他にも、幻影魔法や錬金魔法、変質魔法といった魔法系統が登場しますね。 |
安田: |
その辺はね、加藤とぼくとで考えたんやけど、なんかもっと新しいものを、ということで大井が考えたのが烙印魔法なんです。 |
――: |
原案者として、ボスがこの小説を読まれたときの感想は? |
安田: |
元気が良い、そして若い。当たり前のことですが、それがこの作品の魅力でもある。 |
――: |
まったく同じ感想です。ほんと、若いってすごいな、いいな、ぴちぴちしてる、と…… |
安田: |
そう思うよな(笑)。この作品、一回は全部没になって、キャラクターは同じなんやけど、何回も書き直したんですよ。 |
大井: |
合計4回です。 |
安田: |
4回か、よう頑張ったな(笑)。登場人物は初稿では4人かそこらで、完成稿では6人くらいに増えた。最初からずっと出ていて、「いいなあ」と言われているのはパッフェルやね。少年漫画みたいやろ。 |
――: |
単純明快、「戦いま〜す」と突っ込んでいく烙印魔導師の娘ですね。 |
安田: |
最初、大井はキャラクター造形を遠慮していたところがあったんやけど、書き直すうちに上手くなってきた。これからますますキャラの個性が際立っていくと思うよ。たとえば、主人公アッシュの同級生クラフトとか、第1稿では登場してなかったよな? |
大井: |
はい、最初はいませんでした。 |
安田: |
ぼんぼんの世間知らずで、ぼくはこいつが面白いなあ、と。いつか嫌われて大変な目に遭うか、ジャイアンにくっつくスネオみたいになるかのどっちかやな(笑)。 |
――: |
アッシュの同級生二人、クラフトとベルモンドは1巻では直接ストーリーに絡んでこないんですけれど、とても印象に残りました。2巻以降、どう関わってくるのか楽しみですね。 |
安田: |
あと、もう一人、嫌なやつがいたよな。学生の自主組織〈学園の盾〉で偉そうな顔をしてるあいつ。 |
大井: |
ライルですね。 |
安田: |
あいつはどう見ても、ルファ(主人公の義姉)に気がありそうやんか。 |
大井: |
はい、なので、2巻ではライルを活躍させて、もうめいっぱいラブラブコメコメな感じで(笑)。 |
安田: |
しかし、なぜかゲーム関係の小説では主人公は悩みがちになるなあ、アッシュもそうやろ。 |
大井: |
どうしても因縁をつけたくなるんですよね(笑)。 |
安田: |
アッシュはまあ、悩んでるというよりも、○○から○○に妙なすり込みをされてるからやけど。 |
大井: |
あ……(固まる) |
安田: |
あ、これは言うたらあかんかったか。ごめん(笑)。 |
大井: |
主人公が天才でばたばた強い敵を倒していくのもありですけれど、ぼくはやっぱり努力して成長していくのが好きなんですね。 |
――: |
それはそう、主人公はちゃんと悩んで大人にならないと魅力的じゃないと私も思います。では、六芒世界でいちばん変わったという召喚術について少し聞かせていただけますか。 |
安田: |
これはね、大変やったんよ。六門世界の召喚術は元々ぼくの決めた設定があって、加藤がそれをTCG化するのにいろいろ苦労があって。じゃあ、六芒世界ではどうするか、という話になったとき、加藤が「この世界(六芒世界)からは召喚できないようにしましょう」と言いだして(笑)。 |
――: |
ほうほう? |
安田: |
じゃあ、過去(六門世界)の召喚獣を呼びだして使うようにしよう、とぼくが決めたんです。大井はそばで「あ〜?」と聞いてただけやったな。 |
大井: |
はい、おうちに帰ってから一人で悩みました(笑)。どう小説に生かそうかなあ、と。 |
安田: |
世界が切り替わったからといって、六門世界の召喚術をまったく切ってしまうわけにはいかない。そうやって、過去の召喚獣を呼び出すことで、うまく二つの世界をブリッジできたかな、と思っています。 |
大井: |
小説の後半でも、『エレメンタル・ストーム』に出てきた召喚獣をルファが召喚するシーンを書いています。ほかにも『エレメンタル・ストーム』のシナリオでプレイヤーさんたちが作ったであろう三角塔はいまも健在だよ、とか、そういう細々した繋がりをもたせてあります。 |
――: |
召喚術そのものも過去の召喚術師の力を借りて行うんですよね。 |
安田: |
そう、だから、リコルが出てきたら、すごいんやけどな。 |
――: |
それはすごすぎます(笑)。では、2巻以降の予定はどのようになっているでしょう。 |
大井: |
『モンコレTCG』の発売時期に合わせて出せればいいなあ、と考えています。ですので、2巻は6月目標ですね。 |
――: |
主人公は同じアッシュですよね。 |
安田: |
もちろん。まだ全然なにも解決してへんし(笑)、烙印魔法の魅力もまだまだこれからですよ。 |
――: |
じゃあ、2巻も魔法学園が舞台に? |
大井: |
と見せかけて(笑)、2巻が出るのが初夏の予定ですし、夏らしいなにかを…… |
――: |
お、やっぱルファちゃんやパッフェルの水着姿を? |
大井: |
いえ、ちょーっと涼しい感じのアバンチュール的なサムシングを(笑)。 |
安田: |
ほんまか。まあ、小説ではそれでええけど、ただいま作者は彼女募集中です(笑)。 |
――: |
そうか、募集中なのか。じゃあ、そこんとこは記事に書いておこう。 |
大井: |
ぜひ、太字でお願いします(笑)。あと、2巻ではパッフェルにスポットを当てて、彼女の過去が明らかになっていきます。 |
――: |
1巻には昔、傭兵をやっていたことだけが書かれていましたね。一見なにも考えてないような元気娘ですが、いろいろトラウマとかもあるのかな。 |
大井: |
はい、その辺りを明らかにしていきます。あとは主人公アッシュの剣の秘密に迫っていきます。この剣は『星剣姫の烙印』でカード化されてるんですよ! どれがアッシュの剣かはイラストをよーっく見ると、わかっていただけるんじゃないかな、と。 |
安田: |
そういう意味では、モンコレTCGが好きな人にも楽しんでいただける小説になってると思います。 |
大井: |
あと『ドラゴンマガジン3月号』(富士見書房)にアッシュとルファの短編を掲載していただいたんですが、いずれ短編集を出せるように頑張っていきたいですね |
安田: |
小説、リプレイ、TCGの他にもいろいろと考えていることがありますので、夏頃の発表を楽しみにお待ちください。 |
――: |
ちょっとおさらいすると、Stage1では構築済みの『鷹眼の行進歌』『夢幻の輪舞曲』につづいて、09年8月『英雄王の星誕』(1パック10枚入り)、11月発売のアペンド・カードセット『復活の破壊神』(1パック6枚入り)が出ましたね。 |
加藤: |
はい、『復活の破壊神』は過去にあったスペシャルカードを復刻させたものですが、新カードも6種類入っています。カードの種類は全部で36種類と少ないんですが、テストプレイは大変で。 |
――: |
へええ……(次の質問を考え中で、うっかり生返事)。 |
加藤: |
いや、だから(力説)! それまでのカードとも組み合わせるし、36種類のテストだけしてOKというわけじゃないから、大変なんです、わかってます? |
――: |
はい、ごめん、わかってます(笑)。で、『英雄王の星誕』からでしたっけ、イラストレーターさんのサイン入り箔押しカードが入ったの? |
杉浦: |
そうです、今回の『星剣姫の烙印』にも入りますよ。 |
――: |
おお! |
加藤: |
入るんですが、ええと、だれとだれやったかな。 |
杉浦: |
いや、覚えてますけれど(笑)、それは出てからのお楽しみということで。 |
――: |
そして、『星剣姫の烙印』では「七星魔導史 マフィン伝」に登場する人物たちがカードとして登場する、と。 |
加藤: |
といっても、いまはもうほとんど死んでたりするんですけど。マフィンだけたまたま生きてる、というか、時代とかはよく考え…… |
杉浦: |
いま「考えてない」て言おうとしたな(笑)。 |
加藤: |
そうやなくて、小説の設定とも関わってくるから、フレーバーテキストでは時代を限定してないんです。 |
――: |
で、彼らは具体的には、どういう人たちなんでしょう。 |
加藤: |
エレメンタル・ストームの時代に生き、混乱を治めたり、精霊王を倒したりした人たち――やんな? |
大井: |
そうです。マフィン自身はエルフなので(千年くらい生きてても)大丈夫です。 |
杉浦: |
というか、ハイエルフです。 |
加藤: |
ほな、ますます大丈夫やな(笑)。エレメンタル・ストームの混乱が落ち着いた後に英雄の時代が来て、七星魔導師はその最初の英雄にあたる人たち、という感じでしょうか。 |
――: |
じゃあ、《魔剣姫ドリブラ》さんもとっくにいない人なんですか。 |
加藤: |
あいつはアンデッドだから生きてますよ(笑)。 |
――: |
あ、ほんまや! |
加藤: |
なぜかというと、フレーバーテキストに出てくるやつらは、元々カード化するつもりだったので、みんな人間じゃないんですよ。《召喚術師ココ》ってやつはライカンスロープなので、カード化できる。マフィンはハイエルフなのでカード化できる。 |
――: |
なるほど。 |
加藤: |
で、フレーバーテキストについては、マフィンはじつは○×の○×だったとか、もう一工夫したいな、と思いつつあるんです。あと、《召喚術師ココ》について言えば、イラストは弘司さんで、○○ィ○の遠い子孫です。 |
――: |
ええっ、そうだったのか。 |
加藤: |
六芒世界の召喚術というのは昔の先祖を呼び出して召喚するんです。で《召喚術師ココ》は○○ーと○○ィ○(六門世界の小説で活躍した人物たち)の魂を召喚できるんですよ。 |
一同: |
ほぉぉぉぉ!!! |
加藤: |
ま、裏設定ですけどね。 |
杉浦: |
そこまで言うといて、裏設定って(笑) |
加藤: |
特殊能力名が「銀髪の姉弟」だったり、イラストで○○ィ○の帽子をかぶってたりするんで、知ってる人には一発でわかります(笑)。 |
――: |
じゃあ、「召喚術師ココはじつはみなさんのよく知っている召喚術師の力を借りてます」と書いておこう……って、もう遅いか。ほかにゲーム的に、こういう工夫をしたといったことはありますか。 |
加藤: |
デックの幅が広がったことですかね。たとえば、いままでは火と聖のスペルのデックが組みづらかった。そもそも作り手もそういう使い方を意図していなかったし、苦労してデックを組んでも、あまり強くなかったと思うんです。 |
――: |
ああ、そう言われれば。 |
加藤: |
1体のユニットで火と聖のスペル枠をもっているものがほとんどいませんでしたしね。それが今回のセットで4種類一気に増えた上に、コストが「火・聖」の専用スペルも追加されました。「火・聖」だけでなく、「風・聖」「水・魔」「土・魔」それぞれの組み合わせに英雄カードがあり、系統立てていますので、デックが作りやすくなったと思います。 |
――: |
ほかに新しいコンセプトのカードはありますか。 |
加藤: |
「錬金弾」というアイテムが登場します。Gレギュレーション前のモンコレで言う弓みたいなものですが、もっとシンプルな形になっています(Gレギュレーション:原則として07年8月発売『神霊獣の咆哮』以降のカードのこと)。 |
杉浦: |
一言で言うと、強い消耗品ですね。 |
加藤: |
たしかに、うん、そのとおりやな。強力な代わりに「タイプ:錬金銃」をもっているユニットにしか使えません。 |
杉浦: |
Gレギュレーションではユニットを倒せるアイテムが少ないんですが、「錬金弾」はダメージを発生して敵を倒しやすいのが特徴ですね。 |
加藤: |
あとはマーメイドやスキュラ、ラプトリアンといった種族のユニットを追加したことかな。たとえば、スキュラは前回までのセットでは、わざと(デックが)完成しないようにしてあるんです。弱くはないんですが、エース級ユニットが一人しかいないんで。今回登場した「種族:スキュラ」のユニットを投入すればデックが組みやすくなるはずです。 |
――: |
で、いままで持ってた、この役に立たへんスキュラが滅茶苦茶役に立つようになる、と。 |
杉浦: |
いや、決して役に立たへんわけでは(笑)。 |
加藤: |
ただ、実戦に使うにはデックが組みにくかったというだけで(笑)。 |
杉浦: |
あとは、スペルもアイテムも使わずにデックを組める方向性を模索してみました。 |
――: |
それはまた、特殊能力とかで字いっぱい読まなあかんのちゃうのん……? |
杉浦: |
いやいや、たとえば《ポリフェドロン》はアイテムやスペル枠をもつユニットすべてに5ダメージ与える、とかですから、そんなに字は読まなくていいです(笑) |
――: |
そうなんや。ほな、この間杉浦さんと対戦するとき、そういうデック使うたら良かったやんなあ、私? |
加藤: |
杉浦と対戦するといらっとしません? こいつ、勝ってるのに「ぎやあああ〜」とか言うでしょ(笑)。 |
――: |
いや、そんなことは(笑)。ただ、あのときは《魔剣姫ドリブラ》と「タイプ:魔剣」のアイテムを中心にした通称「ドリブーデック」を借りたんで、細かいテキストを読むのが大変でした。 |
加藤: |
まあ、TCGというのは元々が、テキスト読みながら自分なりにデックを組みあげていくのがコンセプトのゲームですからね(笑)。それが大変という人は構築済みデックを使ってもらうのがいいと思いますよ。 |
――: |
ああ、そうか、スタートアップ・デックはそのためのものやんね(笑)。なんでドリブラ・デックを使うたんやろ、わたし? |
大井: |
いや、それは『星剣姫の烙印』のメインとなるようなデックで遊びたいとおっしゃったから(苦笑)。 |
――: |
そっかそっか、それで「魔剣姫」デックにしたんやったね。ちょっと話が逸れましたが、今回のセットには豪華スペシャルボックスがあると聞いています。 |
加藤: |
このプレイマット、めっちゃ豪華ですよ。ドリブラとフロマージュのイラストがどーんと描かれていて、本陣が隠れるほどの勢いです。 |
――: |
ですね、わたしも見てびっくりしました。 |
杉浦: |
《地平線》も地形とは思えない素晴らしいイラストになってます。 |
――: |
詳細は「モンスター・コレクションTCG公式ホームページ」でご確認くださいね。つづいて、今年初夏からはじまるStage2についても、お聞かせ願えますか。 |
加藤: |
まず6月に構築済みのスタートアップ・デックが2種類、8月に本体セット(1パック10枚入り)、その後、アペンドカード・パック、本体セット第二弾という予定になっています。 |
杉浦: |
すでに、スタートアップ・デックのテストが進行しています。今回はどんな新しい要素が入ってくるか、楽しみにしていてください。 |
――: |
いままでモンコレを遊んだことがないという方々には、各Stageの最初に出る「スタートアップ・デック」をお使いいただくのがお勧めですね。 |
加藤: |
そうです、はじめての人にも比較的わかりやすくデックが組まれていますし、ルールブックやダイス、マットなどプレイに必要なすべてが入っていますから。 |
――: |
あ、そうだ、大事なことを忘れてました。4月に大阪でグループSNE主催のコンベンションがあるんでした! |
杉浦: |
モンコレTCGでも、ミニ大会や初心者講習、ガンスリンガーなど色々な企画を考えています。 |
――: |
当日参加も受け付ける予定ですので、モンコレ未体験の方もモンコレ猛者も奮ってご参加いただきたく思います。SNEコンベンションについては、決まり次第SNEニュースでお知らせいたします。たくさんのご参加をお待ちしております。 |