――: |
それでは早速、本作のあらすじなど、お願いします。 |
力造: |
物語の中核を担うまっすぐなヒロインテセラ、テセラを慕う魔法士へリオドール、シニカルかつクレバーな戦士アスカロン、ちょっと腹黒い聖女フィリーネ。今回のリプレイは、この4人の冒険を描いたものになっています。 |
諸星: |
4人ともにさまざまな過去を背負っているんですが、特に主人公テセラの経験がクローズアップされています。彼女は3年前に起きた「中原の悪夢」と呼ばれる戦乱で仕えていた主人を失ってしまうのですが、その人を救うために伝説の〈虹色に輝く竜鱗〉を求めて旅立ちます。そして――というのが、大まかなストーリーです。各キャラクターがそこにからんできて、やがてひとつの謎を解く、と。ちなみに諸星もひとり、PCをやりました。どの人かはナイショですが(笑)。 |
――: |
個性豊かな面子が揃っていますね。 |
力造: |
プレイヤーたちが、基本ルールブックに掲載されている種族をそれぞれ重ならないような形で選んでくれました。おかげで、各々の種族特徴(バルキという巨人は生命力が高い、など)を活かしたリプレイになりました。 |
諸星: |
称号(PCの戦闘スタイル)もバラしたし、年齢層、性別なんかも意識しましたよ。いろいろなパターンのキャラクターを見ていただきたかったので。GMもうまいこと、それぞれの見せ場を用意してくれまして、みんないい感じに目立ってると思います。 |
――: |
4人は、どのような理由で冒険をするんでしょうか? |
力造: |
PCたちは全員が竜脈使いで、それぞれが〈蒼い破滅〉と呼ばれる悪名高いドラゴンと因縁を持っているんです。第1話は、この〈蒼い破滅〉に立ち向かっていく話になっています。 |
――: |
竜脈使いがドラゴンと戦う、という話から始まるわけですね。 |
力造: |
『セイクリッド・ドラグーン』の入門編としても楽しんでもらえる、スタンダードな内容になったと思います。もちろん、シンプルな物語の中に、後に続くための伏線などを色々と張ってありますが。 |
諸星: |
まずはゴブリン退治、ならぬドラゴン退治から。『セイクリッド・ドラグーン』の基本ですから。 |
――: |
第1話と第2話は、「Role&Roll」に掲載されたものですか? |
力造: |
はい。掲載された分に、大幅な加筆修正を施してあります。 |
諸星: |
紙幅の都合などで泣く泣くカットした部分を、全部詰め込みました(笑)。「Role&Roll」で読んでくださった方でも、新鮮なシーンがありますよ。 |
――: |
そして、書き下ろしの第3話が完結編になっているんですね。 |
力造: |
書籍のタイトルにもなっている第3話『虹に輝く未来を目指して』を読んでもらえば、全ての話が繋がり、物語も綺麗に完結します。実は世界規模の現象に、プレイヤーたちが関わっていくんですよ。 |
――: |
1話、2話、3話と、話の規模が膨らんでいきますね。 |
力造: |
全3話という構成は、最初から考えていました。まず第1話は、竜脈使いがドラゴンを倒すというオーソドックスなシナリオ。そして第2話は…… |
――: |
第2話は? |
力造: |
これについては、じっくりと話します(ニヤリ)。 |
諸星: |
この話になるといつもそうだけど、ホントうれしそうね(笑)。 |
――: |
第2話の結末は、やや特殊な形になったようですね。 |
力造: |
詳しくはネタバレになるから語れませんが、プレイヤーたちが上手く動いてくれたおかげで、シナリオが面白い方向に進んで行きました。 |
諸星: |
PCが全員、それぞれに信念を持っていて、それを貫くタイプだったんですよね。それが気持ちよくて、プレイヤーはどんどんのめり込む。気づいてみたら。 |
――: |
GMが想定していなかった展開になった、ということですか? |
諸星: |
みたいですよ。やってる側はロールプレイに必死で、わかんなかったけど(笑)。 |
力造: |
実は、事前に用意していたシナリオ通りに強引に話を進めることもできました。でも、ここでプレイヤーや自分自身に嘘をついてマスターを続けても、きっとつまらないな、と思ったんです。だから、その場でシナリオを修正して、進めて行ったんです。 |
諸星: |
その結果、けっこうめずらしい結末になったと思います。詳しくは読んでいただきたいのですが(笑)。けど、あれはプレイヤーも納得できたし、GMも納得してたし、英断だったと思いますよ。ああじゃなかったら、第3話は全くちがう話になっていたでしょうし。 |
――: |
なるほど。 |
力造: |
プレイヤーたちの行動が、その後の展開に活かされ、というのがTRPGの醍醐味ですからね。シナリオとしては、「次回に続く!」という形で終わってしまったので、雑誌掲載時には、やきもきした方もいらっしゃるかもしれません。 |
――: |
でも、それが同時に、第3話への期待にもなりました。 |
力造: |
完結編である第3話では、全ての謎が明らかになるので、お楽しみに! |
諸星: |
まさに完・全・決・着します! |
――: |
プレイヤーの行動といえば、それぞれ活き活きと動いていましたね。 |
力造: |
その点についても、GMをやっていて、とても楽しいセッションになりました。 |
諸星: |
プレイヤーもめちゃめちゃ楽しかったです! 昼から夜遅くまでセッションが続いたんですが、まるで苦になりませんでした。 |
――: |
では、セッション中、印象的だったことは? |
力造: |
万遍無く、全体が印象に残っています。プレイヤーのロールプレイが上手かったし、ほとんどの場面が、記憶に残っています。 |
諸星: |
移動中も戦闘中も、みんなしゃべるしゃべる(笑)。GMもそれに乗っかるものですから、どんどん勝手にシーンができ上がっていくんですよね。あの一体感は気持ちよかったです。 |
――: |
読者に一点、「ここはオススメ!」という点などありますか? |
力造: |
うーん(かなり悩んでから)全編オススメ、と言いたいところですが、あえて言えば、ラストシーンですね。なかなか感動的になったと思います。 |
諸星: |
同じく。プレイヤーとしては最後のロールプレイだったので、思い残すことなく終わりたくて、全部出し切りました。 |
――: |
シーンとしても綺麗ですし、物語も見事に収束しましたね。 |
力造: |
GMが想定していた中でも、ベスト・エンディングになったと思います。 |
諸星: |
書いてて、そのときのことをはっきり思い出しましたよ。それぐらい印象に残っています。 |
――: |
巻末に、追加データ集が掲載されていますが、これはどのようなものですか? |
力造: |
「Role&Roll」に掲載されたものを加筆・修正したものになっています。 |
――: |
(本をめくりながら)様々なデータが載っていますね。 |
力造: |
追加クリッター(敵)をはじめとして、これまでフォローしていなかったレベル帯の武器や鎧、全キャラクターが共通で使える拡張されたタレント19種、などです。 |
――: |
遊びの幅が広がりますね。 |
力造: |
『セイクリッド・ドラグーン』のデータ的なサポートは「Role&Roll」紙上で行っていたので、コンベンションなどで「Role&Roll」をたくさん持って来て遊んでいる方もおられました。このリプレイがあると、何冊も持って行かなくても、これだけで遊べるようになっています。 |
諸星: |
便利です! お買い得です! |
――: |
この「素材融合ルール」というのはどのようなものなのですか? |
力造: |
素材は単体でも、「物理ダメージを強化する」などの効果を持つものなんです。この素材融合ルールによって作ることのできる特殊素材は、それら素材の一段階上に位置する、強力な効果を持っているものです。 |
――: |
見ているだけでわくわくします。 |
力造: |
ものによっては、戦局が大きく変わるほどの効果を持つものもあります。クリッターを倒して素材のための材料を収集して、自分のキャラクターを強化し、さらにランクの高いモンスターに挑戦する、という遊び方もできます。 |
諸星: |
戦闘のハデさと爽快感も、『セイクリッド・ドラグーン』の特徴ですし。戦いまくってもらいたいです。 |
――: |
かなり楽しいサイクルが生まれますね。 |
力造: |
さらに、上級ルールブック『アルティメット・ドラグーン』に掲載されている「素材合成」というルールと併用すると、自分だけのオリジナル武器を作ることができます。 |
――: |
特殊素材の中には、戦闘以外で使うようなものもあるようですが? |
力造: |
特殊素材には、シナリオをサポートするようなものもあります。忘れ去られた記憶を取り戻す「記憶の雫」や、異種族間の交配を可能にする「豊穣の霊薬」、欠損した肉体を再生させる「再生の炎」など、色々なものを揃えました。これらのアイテムそのものが、シナリオのフックになるようになっています。 |
諸星: |
漠然と「人々を守るために戦う」のもいいですが、特定の理由を持って戦いに赴くのも、ドラマチックになると思いますよ。それがやりやすくなりましたので、活用してください。 |