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TOP > ユーザーコンテンツ > 著者インタビュー > 『ダークブレイズ リプレイ 狭間を駆けるヴァンガード』インタビュー(2010年4月)
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『ダークブレイズ リプレイ 狭間を駆けるヴァンガード』
インタビュー


■ はじめに

 2009年5月に発売された 基本ルールブック を皮切りに、同年7月に サプリメント 『ヴァルキリータワー』 発売、8月に リプレイブック 『災い起こすテンブラー』 、10月に サプリメント 『アバドンゲート』 発売、年明けの1月に サプリメント 『ブラッディコープス』 発売、という怒涛のペースで刊行された タンクライフRPG 『ダークブレイズ』 !

 そして2010年4月、作る側も遊ぶ側も休む暇なく登場するのは、 リプレイブック第二弾 狭間を駆けるヴァンガード です。
 今回、 リプレイを執筆した杉浦武夫 と ゲームデザイナーの加藤ヒロノリ に、インタビューして参りました。

 なお、 『ダークブレイズ』 の世界観や用語などについて詳しく知りたい、という方は、基本ルールブック発売の際に行われた著者インタビューがございますので、こちら をご参照下さい。

2010年4月 発行
執筆:龍口明眞



■ 杉浦武夫、初のリプレイ!

――: それでは、インタビューを始めさせて頂きます。よろしくお願いいたします。
杉浦
加藤
よろしくお願いします。
――: 杉浦さんは、リプレイの執筆は今回が初めて、とのことですが。
杉浦 会社に十数年いて初めてのリプレイになりますね。
――: 書く上で大変だった点などはありますか?
杉浦 色々とあり過ぎます(笑)。
加藤 まずは自分を信じることから、とか言ってなかった? ずっと、 「自信が無い、自信が無い」 みたいなことを言ってたよね。
杉浦 そうですね。でも、参加した4名のプレイヤーに非常に面白いセッションをしてもらったんで、これは絶対に面白く書かなくては、と思いました。それがリプレイを書き進める上での原動力になりました。
――: リプレイを進める上でのコンセプトなどはありましたか?
杉浦 ゲームマスターとしては、ゲームのルール通りにセッションを進める、ということが僕のポリシーなので、そこはまず守りました。
リプレイの執筆の方は、 「プレイヤーたちがどういう風に楽しんでいたか」 ということを、きっちりと文章で表現しよう、とずっと考えていました。執筆の方はほとんど初めての体験だったので、なかなか苦心しました。


■ 『ダークブレイズ』 らしい形

――: それでは、本作のあらすじなど、お願いします。
杉浦 自称凄腕の賞金稼ぎでチームのリーダーを務める シグ 、戦車の塗装に人生を捧げる ダラン 、ちょっと素行不良でなおかつ成金趣味の美少女 フランカ 、女の子が大好きな女エルフの ハガネ 、この4人が主要な登場人物です。
この4人がそれぞれの利害の一致からチームを組んで、様々な依頼をこなしていく、というのがおおまかなシナリオです。
――: 今回、セッションをする上で使用したサプリメントは?
杉浦 ヴァルキリータワー』 と 『アバドンゲート』 に、1月に出た 『ブラッディコープス』 も含めて、全てのサプリメントを使いました。
加藤 最新サプリメントの 『ブラッディコープス』 のルールも含めて遊んだら、どんなセッションになるのか、ということも考慮したリプレイです。さらに、巻末には付録として、新しいデータがつきます。
杉浦 巻末に、というよりは、全体の3分の1ぐらいが新データになっていますね。
――: リプレイとしての見所はどんなところでしょうか?
杉浦 GMが何もしていないところ(笑)。
――: ええッ!?
加藤 その表現は誤解が生まれるから、ちゃんと言ってくれ(笑)。
杉浦 では、「 『ダークブレイズ』 らしい形になった 」 と言い直します。『ダークブレイズ』 はGMの負担が少ないように設計してあるんです。プレイヤーたちの絶妙なロールプレイも相まって、シナリオがどんどん進んで行きました。
加藤 基本的に、ロールプレイではシステムが覆らないようにできているからね。GMが責任もって崩す分には大丈夫ですが、杉浦くんの場合はそれをしなかった。
杉浦 GMは選択肢をたくさん用意していて、PCたちの選択に対応しながらシナリオを構築していきます。ここまでは他のTRPGと同じですが、『ダークブレイズ』 では、事前に作ってあるテンプレートに、状況を当てはめてイベントを発生させていく、という形になっています。
加藤 そういう意味では、『ダークブレイズ』 というボードゲームをみんなで遊んだ風景――と言えるかもね。


■ 戦車無しのタンクライフ

――: 前半、戦車を所有していない状態から冒険が始まりますが、どのような意図だったのでしょうか?
杉浦 肩書きに 「タンクライフRPG」 とある通り、リプレイブック第一弾や 「Role&Roll」 に掲載されたリプレイでは、最初からパーティが戦車を持っているんです。でも、ゲームの説明の手順として戦車があるとやや難しい部分もあるので、まずはプレイヤーたちに 『ダークブレイズ』 の世界観やドライアドに触れて頂こう、と考えました。
加藤 今回はPCの立場が傭兵だから、というのもあるね。これまでの遊び方だと、PCは軍隊に所属している形で始まるので、最初から戦車がもらえたんだ。でも今回は傭兵なんで、まずはド貧乏から始まって、頑張って戦車を手に入れよう、というとことから始まる。ある種のサクセスストーリーです。
杉浦 まあ、サクセスストーリーと言えなくもないですね(笑)。
――: PCたちが全員、非常に楽しそうに動きますね。
杉浦 ゲームマスターがやりやすい面子を選ばせて頂きました。おかげで楽しいリプレイになったと思います。
加藤 みんな、イイ年齢の連中ばっかりですわ(笑)。
杉浦 平均年齢取ると、35歳ぐらいに行きますね。
――: 気心の知れた方々とのセッションだったんですね。セッション中は大騒ぎだったんですか?
杉浦 大騒ぎ、というよりは半笑い、という感じでした(笑)。
――: 半笑い?
杉浦 毎回、C○C○イチのカレーを食べて、ずっとニヤニヤしながらセッションしてましたね。
加藤 もう、酒呑んでやってもいいんじゃないか、というノリ(笑)。


■ 追加された新ルール

――: 後半まで、パーティがずっと金欠気味でしたね。
加藤 あれはフランカが悪いんだよ。
杉浦 ああ、フランカ(笑)。あれはビックリしました。
加藤 元から金欠になるようなシステムにしてあるんだけど、その中で、プレイヤーの一人が、名声のために高価な装飾品を買う、というロールプレイをしたんだ。
杉浦 とは言っても、それにも、システム的には意味があるんですけどね。
――: と、仰ると?
杉浦 今回、新たに 「装飾品の知名度」 というルールを適用したんです。街中でのランダム遭遇などで、先輩に遭った時にちょっとカツアゲされたりするんですが、装飾品をつけていれば、カツアゲを回避できる可能性が高くなる、というようなシステムです。リプレイでは散々な展開になっちゃいましたが(笑)。
加藤 ただでさえ少ない金を無駄に使わせつつ、ランダムでそれを強奪されたりする、とかね。世知辛い世界なんですよ。
――: 街中でのイベントが拡充された、ということでしょうか。
杉浦 そうですね。これまでは、街でのイベントが一切無かったので、今回、そのあたりを充実させました。
加藤 それに加えて、所属する組織を選べる、というのがポイント。これまではブレイズ探索隊というチームでしか遊べなかったんだけど、今回は、敵役だった黄金樹連合や中立を保っているジュピターを選べるよ。
杉浦 アライメント 」 という新ルールです。三つある組織のどれに寄り添っていくか、というパラメータですね。組織ごとに、請け負うことのできる依頼に特色があります。「このパーティはどの組織に傾いていくのか!?」 ということをリプレイでも楽しんでもらえると思います。もちろん、オマケの方にもルールとして載せてありますよ。
――: 人間同士の勢力争い、という要素が加わった形ですか。
杉浦 ダークブレイズ』 を企画した時からずっと、この世界での人間同士の争い、ということをやりたかったんです。今まで、組織らしい組織といえばブレイズ探索隊の大元のユグドラシア同盟しかなかったので、それができなかったんです。
加藤 そもそも、敵対するような他の勢力が出なかったんだよね。
杉浦 外の世界そのものが敵みたいな感じでしたし。
加藤 それで、色々な歴史が動いて、ようやく人間同士で戦えるようになった。言ってみれば、核戦争後のボロボロの資源もないようなところで人間同士で争う、という、素晴らしく頭の悪い雰囲気です(笑)。
杉浦 善や悪のためではなく、生存のためでもない、どうでもいいイデオロギーのようなもののために戦う、という遊び方ができるようになりました。
――: これまでとはまた違った遊び方ができそうですね。
杉浦 ちなみに今回のリプレイでは、イデオロギーなんかとは全く関係のない犯罪都市から始まります。『ダークブレイズ』の世界では、人類にとって最も自由な場所です。色々な意味で自由です。
加藤 リプレイ中でもそういうことをしてたよね。この世界にとってとても重要な、空気清浄機みたいな樹があって、この世界を支えている要素の一つなんだけど、金のためにその樹を破壊してしまう、という展開に(笑)。
杉浦 任務としては間違ってないけど、人類としては大間違いですね。GMをしながら、本気かお前ら、とか思っていました。
加藤 そういう自由な遊び方もできるようなデータが載っています。
杉浦 プレイヤーも傭兵らしくやって頂いて、GMとしても非常に助かりました。皆さんもあのように、とは言いませんが(笑)。リプレイは、これまでの軍隊的なノリとも異なる違う路線になったと思います。冒険者的、とも言えますね。
加藤 実態は、ガラの悪い何でも屋(笑)。
杉浦 金とか、自分たちの目的のためなら、手段を選ばない、みたい感じではありますね。テーマはフリーダム!


■ おわりに

――: まだまだある見所ですが、イラストも、見事に世界観にマッチしていますね。
杉浦 イラストを描いて下さった 平尾リョウさん はずっとお世話になっている方で、ラフの段階でも直しなど全く無く、キャラクターのイメージを想像通り……というか想像している以上に見事に描いて下さいました。
加藤 本当に、キャラクターそれぞれのイメージに合っています。
――: それでは皆さんにメッセージなど、お願いします。
杉浦 長年グループSNEにいますが、表立っての一冊、というのは今回が初めてです。自分の本が出せて、感無量です。
加藤 ダークブレイズ』 は、企画発案時に考えていたネタをほとんどできたよね。基本ルールブックに、サプリメントが3冊、リプレイブックが今回のものを含めて2冊。2ヶ月に1冊ぐらいのペースで出せた。
杉浦 隔月で出そう、という無茶な企画が本当に通りましたね(笑)。
加藤 やりたいことを、自由にやらせてもらいました。
杉浦 本当に、楽しい仕事でした。
――: それでは、お疲れ様でしたー。
杉浦
加藤
お疲れ様でしたー。


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