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TOP > ユーザーコンテンツ > 著者インタビュー > 新ダークヒーローRPG『パラサイトブラッド』登場!(2010年07月)
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新ダークヒーローRPG 『パラサイトブラッド』 登場!

  現代日本を舞台に、悪魔のごとき姿をまとった超人たちが活躍するテーブルトークRPG 『デモンパラサイト』 。2006年夏に基本ルールブックが発売されて以来、シンプルなルールと豪快なプレイ感覚で人気を集めてきた当作品ですが、このたび、新たに生まれ変わりました!

 その名も
パラサイトブラッド 』 !

 プレイヤーは謎の寄生生命体“悪魔寄生体”(デモンパラサイト)を体に宿した“悪魔憑き”となり、“悪魔化”(デモニックフォーム)することで驚異的な力を発揮します。
 “悪魔憑き”は大きく2種類に分けられ、1つは自我を保ち、社会に適応して暮らす〈マイト〉。もう1つは自我を失い、暴虐のかぎりを尽くす〈ヴィシャス〉。プレイヤーは〈マイト〉の立場から、悪魔事件を引き起こす凶悪な〈ヴィシャス〉と戦います……

 ……ん? どこが変わったの?


 というわけで 『
パラサイトブラッド』 の秘密をいち早くゲットするため、チーム“パラブラ”の3人に集まっていただきました。チームリーダーを務める 北沢慶リプレイを執筆した 力造 、さらにはノベルに初チャレンジした 片山泰宏 です。
 グループSNEが贈る
この夏イチ押しの大作ともなれば、話を聞くほうにも相当の準備が必要。このたび、その大役を自ら買って出たのは、われらがやす……。


「ちゃうちゃう、インタビュアーは
ボス! だからみんな、気軽にしゃべってくれ!」


 響きわたる笑い声に、ますます恐縮する3人。
 はてさて、どのようなインタビューになりますやら。
 なお、記事の執筆は柘植めぐみが行っております。しばしお付き合いくださいませ。


『パラサイトブラッドRPGルールブック』
2010年7月20日発売:新紀元社 著:北沢慶/グループSNE)

『パラサイトブラッド・リプレイ Bite The Dust! ―バイツァダスト!―(1)』
2010年7月17日発売:富士見書房 監修:北沢慶 著:力造/グループSNE)

『パラサイトブラッド・ノベル 小悪魔ストライカーズ!(1)』
2010年8月20日発売:富士見書房 監修:北沢慶 著:片山泰宏)


2010年7月 発行
聞き手:ボス
記事作成:柘植めぐみ




 1.ルールブック〜『パラサイトブラッド』のここに注目!

  『パラサイトブラッドRPGルールブック』

著:北沢慶/グループSNE
新紀元社

2010年7月20日発売

ボス 「では、インタビューを始めよう。今回は、ルールブック、リプレイ、小説の“三位一体”でお送りする『パラサイトブラッド』がどんなものなのか聞かせてもらうよ」
一同 「よろしくお願いします!」
ボス 「まずは……どうして『デモンパラサイト2』じゃないの(笑)?」
北沢 「えっと、それは……“セカンド・エディション”とか“新”とかつけると、前作を知らない人は遊べないの? と思われそうだったので。だからまるっきり違う名前にしました」
ボス 「カッコいい名前だよね。新版の特色もちゃんと意図されているんだろう? “デモン”はなくなったけど、あくまで“パラサイト(寄生)”中心だし、“ブラッド”ときたからには、より血みどろに……」
一同 「(苦笑)」
ボス 「ルール的にも“血”にはなにか特別な意味があるのかな?」
北沢 「もともと“悪魔寄生体”は、血液中に寄生する寄生体ですからね」
ボス 「悪魔のような血統とか血筋とかいうのとは違う?」
北沢 「違います。でも、“血のつながり”は重要ですよ」
ボス 「そうそう、ブラッドリンクだっけ? この新しい要素についてはあとで詳しく聞くとして……まずは全体的な特色を説明してもらえるかな?」
北沢 「いちばん変わったのは時間軸ですね。『デモンパラサイト』から8年経っています。その間に、“悪魔憑き”が引き起こす悪魔事件に対処する組織が国連内にできました。それが〈DUST(ダスト)〉です」


〈DUST〉とは、Disposure of Unidentified-beings Service Team(未確認生物処理活動部隊)”の略です。


ボス 「確か、ちょっと前に地震が起こったんだっけ?」
北沢 はい。ゲーム内時間で5年前に世界同時群発地震というものが起きまして、いろいろと変容が起こり、悪魔憑きが増えました」
ボス 「それで〈DUST〉という国連組織ができたわけだ。でも前にも組織はあったよね。〈セラフィム〉だっけ? あれはNGO(非政府組織)だったかな」
北沢 「はい、あくまでボランティアだったのが、〈DUST〉では金も権力も与えるからそのぶん働け、と言われます(笑)」
ボス 「ずばり、世界観がいちばんの変化ということだね。ルールも読ませてもらったけど、基本的なところはいっしょだった。一言で言うと、パワーアップしてる、という感じ」
北沢 「判定とか技能とかは、ほぼ変わっていませんね」
ボス 「悪魔寄生体で追加されたものは?」
北沢 2種類あります。“セルティス”“ジャベリン”
ボス 「どれどれ(ルールブックのゲラをめくる)……“粒子の支配者”セルティス?」
力造 「砂とかをまとって外殻を鎧化するんスよ」
ボス “猛毒の魔槍”ジャベリンのほうは……かわいらしいワンコのイラストだぞ?」
力造 「はい、動物専用ッス」
北沢 「もう1つの動物専用“バルディッシュ”は殴ったり噛みついたりの肉弾戦が得意なんですが、ジャベリンは毒を飛ばして敵を弱らせたりします」
ボス 「卑怯なヤツだな(苦笑)」
北沢 「縁の下の力持ちと言ってください! それにバルディッシュには無理でしたが、ジャベリンは人間の姿にも変身できますよ」
ボス 「あれ? 前にも変身できる動物の悪魔寄生体がいなかったっけ?」
北沢 「はい、“ショーテル”というのがいました。イメージがダブるので今回は先送りしましたが。いずれ、上級ルールやサプリで復活させたいと思います」
ボス 「ルールのほうは……目標値があって、サイコロを2個振ってそれ以上が出ると成功、というのは変わらない。悪魔になったら振る個数が3個になって、ものすごく強くなる。キャラクターが成長して能力がいろいろ分岐していくという形も同じだね」
北沢 「はい。パラメータの種類についてはまったく同じです」
力造 「もちろん、細かな数値は変更しているっスよ」
ボス 「でも、“衝動”はちょっと変わったんだよね?」


※悪魔憑きは自ら“衝動”に身を任せることで、サイコロを振り直したり与えるダメージをアップさせたりすることができます。


北沢 「もともと、能力値の低いキャラクターほど衝動のゲージが長くなる、すなわち我慢強いということになっているんですが、『デモンパラサイト』のときは衝動の1段階めが長くなるようになっていました。でも『パラサイトブラッド』では後ろの5段階めが長くなるようになったんです」
ボス 「つまりどういうこと?」
北沢 初期のうちから副作用が現れやすくなりましたね。それに3段階めにならないと使えない“最終能力”というすごい必殺技が早めに使えるようになりました。前はゲージの長いキャラクターはそこまで衝動がなかなかたまらなかったので。それに段階が進むほど我慢強くなるので、自我が削れて暴走することが少なくなりました」
ボス 衝動プレイがやりやすくなったということか。衝動って、あのギリギリ感がたまらないよね。こんなことしたらおかしくなるってわかってるんだ、でもやらないわけにはいかないんだ! って」
力造 「で、うっかり暴走してしまうんス(笑)」
ボス 「それもひとつの醍醐味。ほかになにか変わったところはある?」
北沢 「やっぱりブラッドリンクですね」
ボス 「ではいよいよ本題。ブラッドリンクって?」
北沢 「衝動をためるとサイコロを振り直すことができるんですが、あらかじめ仲間とブラッドリンクを結んでおくと、その仲間から衝動を借りてくることができるんです。おかげで衝動がたまりすぎてピンチの人が助かるのはもちろん、振り直しをするかどうかでプレイヤーが迷う時間が減りました。『悩むくらいだったら僕が払ってやるよ』と言ってあげられますから。なのでゲームの進行が速くなりましたね」
ボス 「かえって『あなたに払わせるくらいなら、やっぱりわたしが……』と悩む人もいそうだけど……(笑)」
力造 「正直、いるっス(苦笑)」
北沢 「でも、これまで自分の手番以外は『まだかな〜』と待つだけだったのが、他人の動向にも注目するようになりました」
力造 「集中力が増したっス。あいつ、もしかしたらヤバイんじぇねえの、手を貸してやろうかな、っていうふうに」
ボス 「ぼくは常々、サイコロの振り足しと振り直しの両方があるゲームが面白い、と言っているけれど、ある意味、悪魔化することが振り足し、衝動が振り直しというわけだ」
北沢 「そうですね」
ボス 「ほかにも追加された要素ってある?」
北沢 ヒーロースタンスですね。文字どおりヒーローとしての心構えを表すもので、ロールプレイへの支援の意味をこめて作りました。それに特殊能力、というか、ブレイクスルーを付け足すものでもあります」
ボス 「どう? 役に立ってる?」
北沢 「はい、キャラクターの色づけが明確になりました。それに、ここぞというときに危険を回避できたり、ヒーロー的な活躍ができたりします」
力造 痒いところに手が届く能力って感じっスね。たとえば、『こいつをかばってやりたいけど、俺にはそういう能力がないからできない』とあきらめていたのが、ロールプレイできるようになったっス」
ボス 「ヒーロースタンスはオプション? それとも必ず取るもの?」
北沢 「基本的には必ず取ります」
ボス 「そうやって要素が――ほら、衝動やら副作用やらヒーロースタンスやブラッドリンクやら――増えた結果、わずらわしくはなっていない?」
北沢 「そこは大丈夫です。とくにブラッドリンクは周囲と人たちと関わるものなので、ルールに詳しい人が詳しくない人を助けてあげることができます
ボス 「なるほど。よく覚えていなくても、『あ、わたしにはこんな能力があったんだ』と気づかせてもらえるわけだ」
北沢 「はい。『パラサイトブラッド』は、“サイコロを振って高い目を出すこと”、“衝動を使ってサイコロを振り直すこと”さえわかっていたら、なんでもできます」
ボス 「これでルールについてはだいたい聞いたかな……おっと、忘れてた! 『デモンパラサイト』といえば食べ物と服!
力造 「つまり全裸のことっスね!」


※悪魔憑きが悪魔化すると、体が巨大化したり突起ができたりするので、着ていた衣服が破れてしまいます。また食べ物によってパワーアップも図れます。


ボス 「今回は全裸にならないの(笑)?」
力造 もちろんなれるっス!
ボス 「でも確か、〈DUST〉から服が配給されるんじゃなかったっけ?」
力造 「はい、配給されるDUSTコートは破れないっス。でもその下は……(ニヤニヤ)
北沢 「やっぱり裸一貫(笑)」
力造 「かえって前よりアブない感じっス」
ボス 「衣服については、企画時からいろいろな意見が出たよね」
北沢 「はい、制服を作ろうかという話になって……でもコートのほうが、その下のファッションに凝れていいよね、という話になりました。ぼくはコートと“仮面”がいいと言ったんですが……」
力造 「それは 『○○○○○○○○!』 っス!」


※グループSNEがお届けするこの夏のもう1つの大作 『エ○○○○○○○○』 については、いずれまた。


ボス 「コートにはDUSTの紋章が入っているんだよね。どんなの?」
北沢 「目次にありますよ(ゲラをぱらぱらとめくる)」
ボス 「おっ、ほんまや。国連のマークみたいなのと……こいつは蛇?
北沢 WHO(世界保健機関)のマークをアレンジしてもらいました」
ボス 「そういやWHOのマークって、杖と蛇だな。こんなに似てていいの?」
力造 「(焦って)違うっス。ぜんぜん違うっス!」
北沢 「いや、似てていいんですよ。いちおう〈DUST〉はWHOの下部組織ですから」
ボス 「それはさておき、食べ物の伝統はもちろん残ってるよね?」
力造 「超重要っスよ」
ボス 「相変わらず、安メシがいちばん?」
力造 「よく使うのは500円のコンビニ弁当っスね。ただ新しいルールで、食事に時間がかかるようになったんス」
北沢 「前の組織〈セラフィム〉はNGOなので、とにかく貧乏だったんです。でも〈DUST〉になって、全部必要経費で落ちるようになりました。そうなると誰だっていちばん高くて効果のあるものしか食べないでしょう? だから食事に時間がかかることにしたんです。高い食事ほど時間がかかるので、急を要するときは、『ほな、いまからディナーに行ってくる』というふうにはできないわけで」
ボス 「なるほど。ヒーローが領収書の整理にあけくれるのもなんだし、時間のルールはよさそうだね。あとは……職業パックは一緒だっけ? 学生とか芸能人とか?」
北沢 「他にも〈DUST〉専門のパックが増えています。それに旧ルールでは動物が犬猫だけだったので、げっ歯類も追加されました」
ボス 「なんでげっ歯類? 確かにハムスターはかわいいけど……鳥はいないの?
北沢 「鳥は候補にあがったんですけど……飛ぶんですよ(ため息)
力造 「基本ルールで飛行のルールまで導入すると、GMの負担がちょっと重くなるかな、と」
ボス 「いつか追加できるといいね。ところで、敵についても聞いておこう。新しい敵ドミニオンというのがいるけど……まだ正体は明らかじゃないんだよね?」
北沢 データとしては載っていません。上級ルール以降は、いろいろな個性を持つドミニオンを登場させて、1体につきシナリオソース1つになるような感じにしていきたいと思います」


※ドミニオン、すなわち“支配者”とは、悪魔寄生体でありながら、“悪魔憑き”にさえも寄生する存在です。ドミニオンは配下として軍団(レギオン)と呼ばれる強力な悪魔憑きを生み出し、レギオンは奴隷(スレイブ)と呼ばれる兵士を作り出します。


北沢 「スレイブが幼虫だとすると、さなぎになって羽化したのがレギオンみたいなものです。スレイブを束ねる軍団長みたいなものがレギオン。レギオン自体の成長限界も定まっていないので、まれに親のドミニオン以上に強くなりますよ」
ボス 「めちゃくちゃ長いサナダムシみたいだな(苦笑)」
力造 「いや、それを言うなら……(力造、寄生虫についてアツく語ります。お食事中の読者さまのために、ここはあえてカット)」
ボス 「さて(こほん)、ルールについてひととおり聞いたところで……この先、補遺はどうしていくのかな? 『デモンパラサイト』ではつぎつぎとサプリメントを出していったけど。結局、何冊出たっけ?」
北沢 サプリは7冊ですね。どのサプリもブロック化して、基本と上級のルールブックさえあれば、どれをどうプラスしても遊べる構造にしていました」
ボス 「その伝統はつづくのかな?」
北沢 「おおむね踏襲するつもりですが、新しい仕掛けも考えていこうかと思っています(ニヤニヤ)」
ボス 「それは楽しみだ。最後にぼくの要望を1つ言わせてもらうなら、もっと“パラサイト(寄生)”の部分に力を入れてほしい。“ブラッド”や“デモン”の部分は、もうじゅうぶんだと思うから。パラサイトという面から、もっと新しいアイディアは出ないかな? ほら、いまだと血管に寄生虫がいるだけだろう? 遺伝子レベルとか、ミトコンドリアとか」
北沢 「はい、考えてみます!」
ボス 「ではみなさん、パラサイトブラッドをぜひ遊んでください!」
一同 「よろしくお願いします!」




 2.リプレイ〜個性豊かなキャラクターたち


  『パラサイトブラッド・リプレイ
Bite The Dust! ―バイツァダスト!―(1)』

監修:北沢慶
著:力造/グループSNE
富士見書房

2010年7月17日発売

 〈DUST〉岩代支部に所属する螢子、蒼一郎、ルーシーの3人は、正義のためならちょっとくらい(?)の破壊もいとわぬ、通称“黒豹小隊”。謎の失踪事件を追っていた彼女たちは、岩代西高校に通う羽鳥天音(あまね)と知り合う。あまねは子どものころから、“輝く大樹”の夢を見ていた……。4人が出会ったとき、眠っていた力が呼び覚まされる! ドミニオンの野望を打ち砕くことはできるのか? 爽快&痛快なアクション・リプレイ、ここに開幕!

ボス 「おつぎはリプレイ。TRPGを遊ぶための例示としてよく活用されるけど、今回も『パラサイトブラッド・リプレイ』同時公開だ! タイトルは……」
力造 『バイツァダスト!』っス」
ボス 「日本語ちゃうやん(笑)」
力造 「英語っス。“Bite The Dust!”
ボス “塵、噛め”? 悪態だな」
力造 「地面に倒れて砂を口にするところから、くたばれ、死ね、とかいう意味っスす」
北沢 「組織の〈DUST〉にもかけていますよ」
ボス 「カッコいいけど、2巻目以降も同じようにタイトルつけるのは大変じゃないか?」
力造 「大丈夫っス。『バイツァダスト!A』っスから!」
ボス 「安直だ! 毎回つけ直せ!」
力造 「うおっ、ならば俗語事典を買ってくるっス〜(平伏)」
ボス 「まあ、それはさておき。いよいよ新しいリプレイがスタートするんだね」
力造 はい、悪いドミニオンたちをやっつける、そういうリプレイっス」
ボス 「さっそく読ませてもらったよ。ゲームを紹介するためにまずはキャラクターから入るんだけど、今回の特徴でもあるゴールデン・レトリバーが……
力造 変態犬っスよね」
ボス 「そうなんだよ。すぐにお尻に噛みつくし。でもみんな、すごく面白いキャラクターたちだよね」
力造 「濃いキャラクターになったっスね」
ボス 「まずは、普通の高校生と不良高校生
北沢 「ずっと恥ずかしがっている女子高生と、いつもツッコミを入れてばかりの不良ですね」
ボス 「いまどき不良って……(苦笑)。あとはいつもチラチラ見せてるヤバイ隊長
力造 「チラ見せどころか……! 正直言って、たとえ美人でもあそこまで堂々と見せつけられたら、男としてはドン引きっス」
ボス 「そして、例の困った犬。最初はかわいらしいんだけど、だんだんお下劣に……」
北沢 「いちおう、女の子なんですけどねえ」
ボス 「でもちゃんと活躍してたよ。犬のくせに、捜索するときに理屈こねてたし。あれはひじょうにおかしかった」
力造 「書いているうち、どんどんかわいく思えてきたっス」
ボス 「とにかく面白いリプレイだった。これからに期待するとしたら……現代物なんだから、もっとミステリーっぽくしてみるのも手だと思うよ」
力造 「ミステリーっスか?」
ボス 「うん。リプレイって、『まあ、わかってたけど』というお約束な展開になってしまいがちだけど、もっとミステリーの要素を取り入れてほしい」
力造 「東野圭吾とかッスか?」
ボス 「ジェフリー・ディーヴァーとカール・ハイアセンだ! あのバカバカしさと逆転また逆転はいいぞ。おっと話がそれたな……とにかく、『パラサイトブラッド』にはミステリータッチが似合うと思う。論理・推理とかいう難しいことじゃなくて、あっと驚く犯人と名探偵! もちろん、探偵役は犬! 猫が主人公のミステリーは多いけど……どう?」
力造 「うっ……犬は犬でも、アレっスからねえ……。いや、待てよ。ワトソン役を恥ずかしがり屋な女子高生にして……(さっそく思案し始める)」
ボス 「ちょっと考えてみてくれると嬉しい。もちろん、1巻目はしっかり基本を押さえたシナリオでよかったよ」
力造 「最初のリプレイっスからね。とても気を遣ったっス」
北沢 「『パラサイトブラッド』の代表的なシナリオになるように、しかもルール的にもひととおり網羅できるようにしました。もちろん、派手な演出になるようにも」
ボス 「『デモンパラサイト』は大友市が舞台のことが多かったけど、今回はルールブックで紹介されてる咲坂と、リプレイの舞台の岩代と、小説の舞台の由比平があるよね?」
北沢 「はい。〈DUST〉の支部としてリプレイまで咲坂市を舞台にしてしまうと一般ユーザーさんが使いにくいかな、と思って、リプレイと小説はあえて別の場所を舞台にしました」
ボス 「リプレイや小説では岩代を使って、咲坂は使わない?」
北沢 「はい。咲坂市はユーザーさんたちに気楽に使ってほしいと思います。雑誌でシナリオを紹介するときは、咲坂を中心にすると思います」
片山 「(ぽつりと)場所的に、2つの都市は近いんですけどね」
北沢 「同じ東海地方に所属する都市です。ぶっちゃけて言うと、静岡県」
ボス 「おっ、誰かさんが生まれたところだな。それで急にしゃべり出したのか」
片山 「(照れ笑い)」
ボス 「モデルになった都市はあるの?」
片山 咲坂市は、富士山がある富士宮とその近くの富士市を混ぜたような感じです」
ボス 「なるほど。では片山の小説に話を移す前に、リプレイについて、最後になにか言いたいことはある?」
力造 「基本に忠実なストレートなリプレイになるよう心がけました」
北沢 「それに〈DUST〉ってここまでやっていいんだ! というのがよくわかると思いますよ」
力造 「すごくキャラクターが魅力的なので、楽しんで読んでください!」




 3.小説〜やっぱり主人公はカッコよくなきゃ!


  『パラサイトブラッド・ノベル
小悪魔ストライカーズ!(1)』

監修:北沢慶
著:片山泰宏
富士見書房

2010年8月20日発売

 由比平市の高校生、三島出雲の平凡な暮らしは、ある夜突然、打ち砕かれた。悪魔事件に巻きこまれた出雲は、自分のなかに宿った寄生生命体の存在を初めて知る。消えた姉の行方を捜すため、〈DUST〉に入った出雲は、いきなり5人の隊員――いずれも美少女だけれど一癖も二癖もある問題児ばかり――のまとめ役を任される。ハーレム×アクションのド派手ノベルがいよいよ登場!

ボス 「では、小説に話を移そう。ごめん!
片山 「えっ?」
ボス 「小説はくり返し読んだんだけど、そのあとにルールブックとリプレイを読んだら、内容忘れた」
片山 「が〜ん」
ボス 「うそうそ、冗談。そういや、片山が小説を書くのはこれが初めてだよね。雌伏の時期が長かったな。『デモンパラサイト』のリプレイは去年から書いてたけど……」


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ボス 「リプレイはどうだった? 気持ちよく書けた?」
片山 「プレイヤーたちがノリノリだったので楽しかったです」
ボス 「『パラサイトブラッド』に変わって……なにか違ったことはあった?」
片山 「小説とリプレイという形式は違いますが、書いていて楽しかった、という点は変わらないですね」
ボス 「この小説は、じっさいのプレイをもとに書いたんだっけ?」
片山 「いいえ」
ボス 「なるほど、全部自分で考えて書いた、と。もともと片山は小説家志望だったものな。書きたいことがいっぱい詰まっているような感じがした。もともとアツいものを書いてくれそうだ、という期待はあったけれど、日ごろの態度からはあまり伝わってこないからなあ……でもじっさいに書きあがった小説はアツかった! ということで、面白い!
片山 「ありがとうございます!」
ボス 「もちろん、評価は読者さんたちにゆだねることになるけど。主人公のまわりに5人の女の子がいるというハーレムスタイルは、じつに“いま風”だったな……あ、そのうち2人はサイボーグだけど(苦笑)。考えてみると、『デモンパラサイト』も『パラサイトブラッド』も、動物がうまく“コミックリリーフ”になっているよね」
力造 ほっとする感じのキャラクターってことっスか?」
ボス 「うん。『ドラゴンランス』で言うならケンダーのタッスルホッフみたいに、息抜きをさせてくれるキャラクター」
片山 「そうですね」
ボス 主人公は、いかにもヒーローらしいキャラクター。普段はぼうっとしているけれど、いざとなるとちゃんとヒーローになる。それってとても大事なことなんだよ。RPGが好きな人だと、ヒーローが案外ヒーローらしくならないんだ。事件は面白いしサブキャラクターも面白いけれど、主人公がヒーローらしくなくなってしまうことがよくある。でもやっぱり小説で読むなら、ヒーローはヒーローらしくあってほしい。そこはしっかり書けていたね」
片山 「ほっとしました」
力造 片山くんが内に秘めたものがにじみ出た小説だったっスね。アツいシーンは嬉々として書いてたのがよくわかる」
ボス 「作家たるもの、内にマグマを秘めているものさ。暴発したら困るけど(笑)。ところで片山は、ゲームの小道具があると楽なほう? それともかえって縛りになって、自分ならこうしたいああしたいと考えてしまうほう?」
片山 「どちらかというとやりやすかったです。もともと一緒に作ってきた世界ですし」
ボス 「そりゃそうか。小説で読んだときには封印装置(リミッター)とか覚醒器(イグザグター)とか面白いなあ、くらいだったけれど、ルールブックを読んだあとで読み返すと、なるほど、うまく描写してあるなあ、と感心した。ただ気をつけてほしいのは、小道具に頼ってばかりだと、小説として面白くなくなるからね。覚醒器を“覚醒器”と書くだけであとは読者の想像に任せてしまったりしないように」
片山 「気をつけます」
ボス 「そういや、敵もよかったな。意外性もあった」
北沢 サンドマンですね」
ボス 「ん? 名前、言っていいの?」
北沢 「それ「(ちょっと焦って)まあ、そういうやつがいるということくらいは……たぶん」
ボス 「この敵はオリジナル?」
片山 「はい」
ボス 「すごく面白かったよ」
力造 「……このインタビューを読んでる人たち、サンドマンってなに? なに? って気になってしょうがないんじゃないっスか?」
ボス 「そこはそれ、ほら、看板の……
一同 「それはサンドイッチマン!(爆笑)」
ボス 「はい、ありがとう。というわけで、サンドマンの正体を知りたい方は、ぜひ小説を読んでください。話は戻るけど、小説もミステリーっぽいものが書けると思うよ」
片山 「はい、サプライズ的なものはどんどん取り入れていきたいと思います」
ボス 「うん。ぼくが言っているのは厳密な推理小説というわけじゃないからね。ミステリアスなものがあって、あっと驚く正体、じつはこうだったんだ! へえ! という感じ。で、探偵は犬(笑)
一同 「やっぱりですか!」
ボス 「そういう面白いことがまだまだ考えられるという意味だよ。とりあえず小説の第一弾は、じつにカッコいい仕上がりになった」
力造 「女の子もかわいかったっス」
ボス 「憎たらしいほどカッコいい男もいるしな」
北沢 「片山くんがいちばん書きたかったキャラクターらしいですよ」
ボス 「ちゃんと主人公もタイマンはるほどカッコいいよ。で、片山、きみのこれからの抱負は?」
片山 できるだけ書きつづけていきたいと思いますので、みなさん、よろしくお願いします!
ボス 「この小説はファンタジア文庫ではなく、富士見ドラゴンブックから出るんだよな」
北沢 「はい、ドラゴンブックではこれから小説企画に力を入れていくそうで、8月発売のこの小説を皮切りに、他にもどんどん出る予定だそうです」
ボス 「では最後に、全体を統括して北沢くんからPRを一言どうぞ」
北沢 シンプルでエキサイティングなゲームという点は、『デモンパラサイト』から完全に継承しております。どんな人でも楽しめると思いますので、新しいプレイヤーのみなさんも、ぜひこの機会にパラサイトブラッドを遊んでください!」
ボス ファンタジーの定番は『ソード・ワールド2.0現代物の定番は『パラサイトブラッドだね」
北沢 「リプレイと小説も、ゲームの参考にしたり、世界を堪能したり、単純に楽しんでいただいたりしていただけたら嬉しいです」
一同 「応援、よろしくお願いします!」



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