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TOP > ユーザーコンテンツ > 著者インタビュー > 『グレートロード&妖怪コロキューブ』インタビュー(2010年12月)
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□ はじめに □


 日に日に寒くなっていきますね……。
 炬燵から出たくない、暖かい部屋でうとうとしていたい。

 そんな貴方に、

 10月に発売された
『グレートロード 祥星少女リクの冒険』朝日新聞出版
 7月に発売された
『妖怪コロキューブ 地獄のラビリンス』学習研究社

 をお勧めします。


 前者は寒さを吹き飛ばしてくれるような、元気いっぱいの女の子が旅をするお話。これを読んで、こたつを出て旅に出るのもいいかもしれません。
 後者はかわいいキャラクターと一緒に、地獄を巡りながらクイズを楽しむお話。こたつでぬくぬくしながら読むのもいいですよね。
 今回は、その両作品を執筆した
友野詳に、魅力や裏話を語ってもらいます。
2010年12月 発行
記事作成:田辺あひる




□□ グレートロード 祥星少女リクの冒険 □□

□ 西から東に大移動? □

――: よろしくお願いします。では、さっそく…………う。
友野 よろしく。ん? どうしかしたか?
――: 質問内容を書いた紙、忘れましたっ(汗)ちょ、ちょーっと待ってくださいね!! い、今、思い出しますから! テーマ!? キャラクター!?
友野 落ちつけ(笑)まず、どっちの本から聞くか決めたらどうや?

 「幸いの星」と呼ばれ、苦しむ人々を救うといわれる「祥星」
 その星の宿命を背負った少女が、「グレートロード」と呼ばれる横断街道に向かう。
 途中、無限連発銃を駆使する青年や、ドジッ子仙人の少女や、妖艶な女刀士と出会い、典型的なダメ悪役を倒したり、西洋魔術師や巨大な魔法メカと戦ったり、武侠っぽくどつきあったり、捕らえられたり逃走したりしながら旅を続けるお話。
 スチームファンタジーロードアクションマカロニウエスタンもちょっと加えた、武侠ロードアドベンチャー
 
友野 前から僕の作品を読んでくださっている方には、旧来の僕の作品にひっかけたくすぐりが要所要所にしかけてありますよ。
――: そうなんですか?
友野 僕の作品が舞台になった出身者がいたりね。もちろん、知らなくても十分楽しめるようにしたけどね。
――: 私も読んでいて楽しめましたしねー。
友野 田辺それは……僕の作品を読んでいないということか?
――: へ? あ! え、えぇっとその! よ、読んでるような読んでないような!
友野 そんな焦らなくても(笑)
――: そ、そういえば読んでいて、19世紀末とか、20世紀初頭ぐらいの中央アジアの匂いを感じたのですが!
友野 それぐらいが舞台やね。厳密な歴史には基づいていなくて、雰囲気だけ借りてきたんやけど。
――: そこを舞台に、元気すぎる少女が西から東に旅をする話なんですね。
友野 元々は西遊記のような東から西へ旅物を書こうっていうのからはじまったから。まぁ、移動の途中の話やけどな。この作品自体は、1つの街で終わってるし。
――: えぇっと……そういえば、そうでしたね。
友野 ……田辺、まさかインタビューする作品も読んできてないなんてことは……。
――: 読みましたー! 本当にこれは読みましたー!! ちょっと忘れただけです! つ、次いきましょう!!


□ キャラクター □

――: 個性的なキャラクターばっかりでしたよね。最後まであの人が出てこなかったのには、びっくりしました。
友野 最初の構成では出てたんやけどな、筆が進みすぎて……泣く泣く修正した(涙)
――: 登場する予定はあったんですね! てっきり、元々そういう構成なのかと。
友野 登場するはずのない人が、口絵にでるか(笑)
――: ちなみに、もしも登場していたら何枚ぐらいになったんですか?
友野 後100枚追加で、定価が1500円になったな。
――: (笑)
友野 まぁ実は、口絵発注された段階で、出ないことは決まってたんやけど。
――: え? ならどうして口絵に?
友野 編集さんが気に入ってくださったのと、ここで出しといて、ぜひ2巻につなげたい、というかんじで。
――: 私も、あの方がでる2巻をぜひ見たいです。
友野 僕もあのキャラは1番書きたい。――というか田辺。
――:
友野 出てこないキャラから聞いてどうする(笑)
――: あ。
友野 こういう時は、登場するキャラクターを褒めて、著者を良い気分にさせてから裏話を聞くのがテクニックだろうが(笑)
――: じ、じゃあ、主人公のリクちゃん、可愛いですよねー。
友野 とってつけたような聞き方はどうかと思うぞ(笑)
――: う(汗)じゃ、じゃあ質問を変えて、そ、その、リクちゃんって男の子の格好をした女の子ですけど早めに女の子ってわかりますよねー。というか、タイトルからわかりますし
友野 途中まで、もしくは最後までどっちかわからないように書こうかとも思ったけどな(笑)
――: それもちょと読みたかったですね。あ、そういえば、西遊記のような旅物と言ってられましたが、リクちゃんは西遊記でいうところの、三蔵法師なんですか?
友野 うん。相棒の兵六とか、周りは強い人ばかり。その中で、リクは帽子を投げることぐらいしかできない(笑)
――: 確かに、リクちゃんは大して強くもなければ特殊能力もありませんものね。
友野 そんな女の子が自分の度胸と、知恵だけで乗り切っていく。
――: 三蔵法師も大して力持ってませんものね。悟空とかは異様に強かったですけど。あ、ひょっとして、相棒の兵六って悟空の立ち位置なんですか?
友野 そうやね。従来の西遊記でえがかれているような孫悟空とは違う孫悟空にしたかったから、自分からはトラブルを起こさないようにしたけど。
――: 確かに、強くてトラブルメーカーではありますが、自分から騒ぎは起こしませんよね。巻き込まれ率は半端なかったですが(笑)
友野 巻き込まれる孫悟空。性格的には飛び込んでいかないが、脊髄反射でうっかりやっちゃうという人。
――: そういえば我慢はしていませんね。主人公側、誰1人として(笑)
友野 トラブルメイカーの集まりやな。酷い(笑)
――: トラブルメイカーといえば、リクちゃんのサポート役、鳴々も酷いですよね。
友野 鳴々はな。何もしなくてもドジってくれるから、書くのが楽やった。
――: 彼女とクールなお師匠様の会話が好きでしたね。お師匠様のえぇっと……?
友野 太上準天美麗貴公主やな。央華封神をご存知の方は、うわぁ、と思っていただければ。あの小狐がこんなに立派になりました(笑)
――: 央華封神に登場していたんですか?
友野 同一人物かは定かじゃないけどな。少なくともグレートロードが央華封神と一緒の世界というわけじゃない。
――: パラレルワールドというわけですね。


□ テーマ □

――: 作品全体を通して主人公のリクちゃんは、人はなぜ人を救うのかって問いかけをしていますよね。
友野 さっきリクは三蔵法師と言ったけど、今までの三蔵法師とは違う、新しい三蔵法師を書こうと思ったんだ。
――: 違う、ですか? えぇっと、私の三蔵法師のイメージって、世のため人のためというのなのですが……。
友野 そう。人を救うという信念を持って、体がひ弱であろうが、臆病者であろうが苦難に立ち向かう。そう考えたとき、じゃ、なんで? と考えたわけだ。
――: どうしてそんな信念を持っているのか、ということですか?
友野 いまどき、そういう信念だけ持って旅というのも、リアリティというかキャラに厚みがない。だけど、まだ十いくつの女の子がきちんとした理屈を語るのも不自然でしょう?
――: そういえば、リクちゃんは答えをだしていませんね。他のキャラはだしてましたけど。
友野 ずっと疑問を持たせればいいじゃないか。読者と一緒に、なぜ人は人を救うのかという問いかけをしていければいいんじゃないかと。
――: つまり、リクちゃんの成長の物語なわけですね。
友野 それもあるけど、自分なりのヒーロー物の総決算、というのを考えていてな。
――: ヒーローですか?
友野 ヒーロー物を慣れ親しんだから書きたいと思ってな。ヒーローは人を救うものだ。それはなぜ? その理由は登場人物が各々持っている。
――: それを物語の中で語っていくわけですね。
友野 理由はまだまだ提示できると思うので、ぜひ朝日ノベルスさんで手にとってみてください。
――: 少しでも興味を持った方は、よろしくお願いします! ということでコロキューブに……。
友野 ……田辺、なにか忘れていないか?
――: ? ……あー!!! イラストは四季童子先生です!
友野 四季童子先生もこの手のネタがお好きで、そういう機会があればぜひ、と話していて(笑)
――: へぇー。
友野 もっと親父も書きたいです。という意見もいただいたよ(笑)
――: そんなことが(笑)そういえば、髭の親父がいましたね。
友野 素敵な親父だけでなく、素晴らしいイラストなので、そちらもぜひお楽しみください。


□□ コロキューブ □□

□ 経緯 □

――: では、コロキューブのインタビューにうつりたいと思います。改めて、よろしくお願いします。
友野 よろしく。

 パズルとクイズが満載のストーリーブックの7冊目。
 キャラクターはおなじみの、死神のクロー狼男のカミオトイレの花子さん
 面倒くさがりのクローが学校をサボった罰に、校長室の掃除を命じられた。
 楽をしたいクローは、カミオと花子さんと一緒に「魔法のモップ」を求め天国に行こうとする。だが、列車を間違って地獄に行ってしまい、地獄めぐりをするハメに。
 無事に「魔法のモップ」を……その前に、地獄から妖怪の国に戻れるのか。
 
――: 元々、SNEと関わりのないところから始まった企画だったんですよね。
友野 コロキューブというデザインを、デザインメイトさんが作っていて、最初の2冊を独自に出されていたんだ。
――: 「知恵の扉」「迷信スクール」ですよね。
友野 そう。ただデザインメイトさんは、グラフィックデザインとかパッケージデザインとかが本業だから、文章を書くのは本業じゃない。
――: 好評なんだけどシリーズを続けていくには、というわけですね。
友野 で、出版されている学研さんと話をされて、人を探していたときに、たまたまグループSNEのホームページを見た
――: たまたま!?(驚)
友野 たまたま(笑)ゲームとか作って、小説を書いている会社があるから――という流れで、SNEにお仕事が来た。
――: そこで妖怪なら友野さん、という話になったわけですね。
友野 妖怪、しかもギャグなら私でございましょう、とね。
――: そして3冊目「魔王のマシン」から友野さんが入られたわけですか。
友野 パズル集ともいえる、「死神の宿題」をのぞいてずっと入ってるよ。


□ キャラクター □

――: キャラクターが独特の形というか……四角いですよねー。
友野 コロキューブやからな(笑)
――: 色んな妖怪が真四角のディフォルメキャラになってるんですよね。
友野 違うよ。
――: え? 四角くないのもいるんですか?
友野 そっちじゃなくて、あれはああいう姿なの。
――: そうなんですか!?
友野 うん。僕もそう言われてビックリした(笑)。
――: ……とすると、描写が難しいような。
友野 首を傾げるとか書いて、首ねぇ! とか。指折り数える指ねぇ! 巨大な妖怪が大きさ一緒! とか。微妙な苦労をして書いている(笑)
――: ちょっと読み返してきますね(笑)
友野 あと、苦労といえば、小学校低学年向けやから、ギャグがね。パロディとかわかってもらえない。
――:
友野 例えば、薔薇の妖精をだして、「あら貴方、人生が曲がっていてよ?」とか(笑)
――: 小学生にはそれはわかりませんよ(笑)
友野 うん。でも毎回、初稿にはあかんやろうなぁと思いつつ、カットされるべきギャグが入ってたりする。
――: その初稿、読みたいです(笑)
友野 あ、実はたまに残っている。今回も疫病神の説明に……。
――: ちょっと確かめますね!


□ クロー、カミオ、花子さん □

――: 妖怪コロキューブって、死神のクローを主人公に、狼男のカミオトイレの花子さんの子供妖怪達が活躍するお話ですよね。
友野 活躍に、クエスチョンマークがつくけどな(笑)
――: 確かに(笑)クローの、とにかく楽して人生過ごしたい精神すごいですよね。
友野 反省しないしこりない。そのバイタリティたるや、と言いたいが、そこに努力もない
――: 楽になりたいが、努力もいといますものね。
友野 毎回、打ち合わせとかで案をだすと、デザインメイトさんや学研の担当さんから、いやークローはこれはしないんじゃないかなぁ。と(笑)
――: クローはこれぐらいじゃ、まだ行動しない、というわけですね(笑)
友野 ならばこう、これならどうだと。作者の工夫のしどころでおもしろい。しんどいですが楽しい、クローだけに苦労していると。
――: ……………。
友野 …………………。
――: さて、そんなクローと一緒にいて、臆病だけど気の優しいカミオくん
友野 スルーかよっ! ま、まぁええわ。カミオくんは……不幸やな(笑)
――: クローのすることに巻き込まれていますしね。友達じゃなかったら、と考えると……。
友野 まぁ、クローのふてぶてしさに惹かれているんじゃないかな?
――: そんな2人を冷静に見ている花子さん
友野 友達がいなくて消極的。あの2人といつも一緒にいる。
――: あ、でも私は花子さんは他に友達がいたとしても、この2人について行ってくれと思うんですよ。
友野 そうやな。あ、カミオくんの不幸を1つ、思い出した。
――:
友野 一番人気はクロー
――: やっぱり主人公。強い。
友野 次は花子さん最後はカミオ
――: 不幸だ(笑)


□ 10分のクイズ □

――: コロキューブって、毎回12章だてなんですよね?
友野 うん。各章でパズルやクイズといった形式でだされる冒険というか苦難をクローたちが乗り越えていく。
――: そして最後に、事件を解決に導くわけですね。逆に言えば、12章で絶対に事件を解決しなくちゃいけない。
友野 まぁそれは、ぶっちゃけTRPGのシナリオと作り方がそんなに変わらない
――: めっちゃ慣れたもんですね(笑)
友野 まぁね(笑)
――: そういえばこれ、1章1章が10分間で読み終わるように作られているって聞いたことがあるんですが……。
友野 小学生が休憩時間にとか、朝の10分間の読書の時間にとか、10分間に読み終わるような基準で作ってるからね。
――: 色々と制約というか、大変ですねぇ。
友野 でも、デザインメイトさんが凄く頑張ってイラストを描かれているから。それに負けないように、僕も色々アイデアをだしていかなければ、と思っているよ。
――: イラストやクイズ、お互いを高めるように頑張っているわけですね。
友野 そうやね。
――: 子供向けですけど、大人でも楽しめる内容になってますよね。
友野 クイズとか、子供のほうができるんじゃないかと思うな。
――: 友野さんの作品をずっと読んでくださっている方には、ぜひお子さんと一緒にお願いしますー
友野 お子さんと勝負するのもいいかもしれません。
――: よし! まとめた!! インタビュー終わったー!!
友野 こらこら。最後に聞いとかなあかんことあるやろ。インタビューやったら(笑)
――: あ。


□□ 最後に □□

――: では、今後について聞かせてください!
友野 コロキューブは1月に新刊が発売されるよ。
――: えぇっと、タイトルは確か、「天空のキングダム」ですよね。
友野 ちなみに次の初回発売にはポチ袋がついてくる。
――: 毎回、初回販売には特典がついてきますもんね。ちょっと楽しみにしてます。
友野 あと、コロキューブ以外にも、子供向けの本を発売予定
――: え? どんな話なんですか?
友野 子供達が主人公の、スポーツ物
――: 友野さん、スポーツ物って初めてじゃないんですか?
友野 そう、初めて。まぁ、サッカーとか野球とかじゃなくて、架空のスポーツなんやけどな。
――: どんなスポーツなんですか?
友野 中世騎士槍試合を、今の技術を使って、安全なスポーツとしてしている。
――: 馬が安全な機械の乗り物になったりとか、槍とか付かれても安全になっているんですね。
友野 怪我しないようにね。発売は、集英社さんから創刊される、新しい児童文庫。コロキューブよりもちょっと年齢が高かくて、小学校高学年向け
――: どのようなスポーツか、詳しくは発売されるのを楽しみにしてます。
友野 あと学研さんでも新しい企画を動かさせてもらっているし、ゲームの新作も考えてるし。
――: そのへんは、おいおいホームページに掲載されていく、ということですね。
友野 そうやね。
――: それでは、以上でインタビューを終わらせていただきます。ありがとうございましたー。
友野 ありがとうございました。





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