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TOP > ユーザーコンテンツ > 著者インタビュー > モンコレ レジェンド インタビュー(2013年11月)
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モンコレ レジェンド インタビュー

■■ はじめに


 2013年12月。
『モンスター・コレクションTCG(以下・モンコレ)』は、満を持して新たなセットを世に送り出す。
 それは、
『レジェンド』セット。
 伝説の名を冠するセットとはどのようなものなのか。
 そして、どこかで聞いたことがある『伝説のトライアルデック ホーリィの手記』というタイトルと、ブースター『不滅なる聖騎士』のどこかで見たことがあるイラストはいったいなんなのか。
 今回は、デザイナーである
加藤ヒロノリとディベロッパーの杉浦武夫に突撃インタビューをして、その謎に迫ろうと思う。

 
2013年11月 発行
記事作成 大井雄紀

 
■■ 『レジェンド』セットのコンセプト
―― それでは、本日はよろしくお願いいたします。
加藤杉浦 お願いします。
―― まず初めに、『レジェンド』とはどういうセットなのでしょうか?
加藤 17年前の『モンコレ1』から、6年前ブロッコリーさん販売による復活手前までのカードから、往年の人気カードを復活させようという試みで作られたセットです。
杉浦 もっとも昔のまま復活させるわけにはいかないカードもたくさんありました。
加藤 そうやね。現在のネオスタンダード環境(以下・ネオスタン)やと、例えば「死亡ダメージ」のようなものがなくなっています。
―― 確かに昔の戦闘スペルには、「対象は死亡する」って効果のものもたくさんありましたものね。
加藤 はい。ですので、今にあわせた仕様になっているのは前提です。
杉浦 逆に、昔は弱かったカードを強くしてみたり、いろいろ創意工夫をしました。
―― なるほど。『モンコレ1』を遊んでくださっていたユーザーさんだと、思わずニヤッとしてしまうカードが多々あるのですね。
加藤 はい。
―― とはいえネオスタンでも、例えば《ファイア・ドラゴン》のような昔から人気のあるカードが収録されていますよね。なぜわざわざ『レジェンドセット』として復活を?
加藤 ブシロードさんの高橋プロデューサーさんから、「ぜひやりましょう!」と企画していただいたからです。トライアルが『ホーリィの手記』なのも、高橋プロデューサーさんの押しです。
杉浦 それに『レジェンド』では、旧来のカードのイラストをそのまま使用しています。
加藤 『モンコレ』は昔からとてもよいイラストのカードがたくさんありましたからね。せっかくなので、使わないともったいない。
―― それは、その通りですね。


■■ デザイナーのこだわり
―― では、続きまして。『レジェンド』を作る際、特にこだわった部分はどこでしょう?
加藤 カード個々のデザインを、できるだけ昔に近い形で復活させたい、と思っていました。
杉浦 イメージを残しつつも、現状のカードと互角に渡り合える強さにするのは大変でした(苦笑)。
加藤 うんうん(笑)。
―― 例えば、どのようなカードですか?
加藤 《髑髏の騎士》の特殊能力の「ゲームから除外」とか、《コアトル》系のユニットが持っていた「ダイス振るとき追加でもう1つ振る」とかはそうですね。
―― やはりブースターの『不滅なる聖騎士』の表紙イラストは、《髑髏の騎士》だったのですね。
加藤 うん(笑)。それで、ゲームから除外は、「死亡ダメージのない現環境だと強すぎるんじゃないのか」とか、「実は属性のない20点ダメージと変わらないから大丈夫だろう」とか、試行錯誤しながらバランスをとりました。
杉浦 おかげで、このブロックにしかない「時の歯車(ダイスを降るとき追加で+1D)」を持ってる3枚のために、新規の追加ルールが足されたほどです。
―― ルールで処理とは、また大胆ですね(笑)。
杉浦 はい(苦笑)。ですがそのかいあって、なんとか昔のイメージにできるだけ近い形で、個々のカードを表現できたかと思います。
加藤 他にも、一瞬だけ「イニシアチブ対抗」をテストした時期もありました。やっぱりムリだということで、消えちゃいましたが(笑)。


■■ 構築の心構え
―― 多分皆さん気になっていると思うのですが、『レジェンド』はネオスタンでは、どういう立ち位置のセットなのでしょうか?
加藤 レジェンドは「独立ブロック」になります。ですので、ネオスタンダード形式で参加する場合は、2つの方法のいずれかでデックを構築する必要があります。
杉浦 1つめはブロック構築ですね。カードのレアリティの書かれている上に、「LE」のマークが入っているカードで構築する方法です。
加藤 つまりはトライアルの『ホーリィの手記』とブースターの『不滅なる聖騎士』だけで構築すれば、それでOKです。
杉浦 もう1つは、勢力構築になります。こちらは既存のカードと組み合わせる方法です。
加藤 「勢力」で統一することで、ほかのカードとも組み合わせることができます。
杉浦 とはいっても、メイン勢力である『ホーリィの手記』も『不滅なる聖騎士』も、現在は『レジェンド』にしか存在しませんので、ほかの「風神&雷神(ブロック3のカード)」ブロック6でする予定の「緑の風の王国」「黄昏のワルキュリア」などがこれにあたります。
―― 未来のセットの勢力も組み込まれているんですね。
加藤 はい。
杉浦 勢力構築の場合には、勢力の部分に「ALL」と書かれているカードなら全部使えるので、その辺りも楽しんでもらえれば。特に勢力が『ホーリィの手記』のカードは、そこで色々とバリエーションが組めると思います。
加藤 例えば、《ポイズン・スプラッシュ》のように、攻撃対抗で1Dダメージを出すスペルなんかが、『ホーリィの手記』ではすぐに組み込めて使いやすいカードになると思います。
―― これを《コアトル》系のユニットが使うと、2Dダメージになるんですか。それは、強そうですね。夢が広がります。
杉浦 組み込めるのは「ALL」だけですので、実は既存のカードをすべて見る必要もありません。
加藤 意外とデック構築が簡単なのもポイントですよ。


■■ そもそもホーリィって?
―― トライアルデックは『ホーリィの手記』となっていますが、知らない方もいるかもしれませんので、このホーリィが誰なのかを軽く教えていただければ。
加藤 ホーリィは、初代(『モンコレ1』)フレーバーテキストの主人公ですね。

杉浦 このイラストに書かれている女性が、ホーリィです。
―― あぁ、懐かしいですね。
加藤 先にも言いましたが、『レジェンド』というからにはトライアルはやっぱりこれだろうと、ブシロードさんの高橋プロデューサーさんの強い押しで『ホーリィの手記』になっています。
杉浦 ちゃんとイラストレーターの桜瀬琥姫さんが、ホーリィを新しく描いてくださっています
―― 桜瀬さんといえば、加藤さんの小説でもイラストを描いてくださっていましたね。ということは、やはりトライアルの『ホーリィの手記』は、加藤さんの小説が元になっているのでしょうか?
加藤 はい。

 小説、『ホーリィの手記』とは。

 富士見ファンタジア文庫さんから2002年に発売された、全六巻のライトノベル
『モンコレ』のフレーバーテキストでお馴染みのホーリィやボルカノといったキャラクターたちが、六門世界の暗黒時代を生き抜く物語だ。

杉浦 テストプレイ中に加藤が小説引っ張り出してきて、フレーバーテキスト書き足したりもしてましたね。
加藤 今回は小説のネタが使えましたので、昔を思い出せてフレーバーテキストを書くのが楽しかったです。
―― これを機会に、電子書籍化などの計画はあったりしますか?
加藤 残念ながらありませんが……そのうち来るといいなぁ。
杉浦 みなさんの熱いご要望があれば、実現するかもしれませんので、ぜひよろしくお願いいたします。


■■ 選定基準
―― 『レジェンド』のカードは、どのような基準で選出されたのでしょうか?
加藤 まずは「昔の『モンコレ』といえば!」という方向ですね。
杉浦 といっても「限定対抗」や「儀式スペル」は環境的に難しいので、ユニットが中心になっています。
加藤 あとは、昔の小説などで活躍したカードもできるだけ収録しています。まあ、ホーリィやイエル1つとっても召喚していたユニットの方向がバラバラなので、いろいろ苦労しました(笑)。

 イエルとは。

 富士見ファンタジア文庫さんから、1998年に発売された北沢慶の小説、『モンスター・コレクション・ノベル』シリーズに登場するキャラクター。
「草原の悪魔」と呼ばれる異端の召喚術士で、
《黒い翼を持つ天使》を相棒にしていた。

加藤 ホーリィやイエルが使っていたユニットを、そのまま収録しても組み合わせがバラバラになっちゃうので……涙を飲んで収録を見送ったカードもあります。
杉浦 『レジェンド』はカード種類も120種類だけと決まっていましたので、その種類数でいくつかのデックを構築できるようにしました。すると、どうしても方向に偏りがでちゃっていますね。
加藤 逆を言えば、「この環境における無駄なカードは1枚もない」とも言えます。
杉浦 そこらへんは気を使いました。他のブロックとは混ざりにくい独立ブロックのカードなので、少ないカードに種類でもちゃんと戦えるようになっています。
加藤 なので、他のブロックにはない、汎用性の高いカードや、強めのカードなんかもあったりします。
―― 狭いセットだからこそ、計算しつくしたセットにできたと。
杉浦 はい。
加藤 次に「ぜひとも新規の方に、昔のイラストを見てほしい」という意味合いもこの企画にはありますので、性能がいかんともしがたいカードでも、イラストを見てほしいから復活させているものもあります。
杉浦 昔のカードを知っている人は、そういうカードを探してみると面白いかもしれませんね。


■■ これからの『モンコレ』
―― では最後に。これからの『モンコレ』の予定はどのような感じでしょう?
杉浦 14年の春にブロック6を予定しています。
加藤 新規勢力をひっさげつつ、ブロック5でちょっと足りてなかった勢力などもブーストしていますので「この勢力にあんなカードがあったらなぁ」とかが補われるかもしれません。
―― 新しいデックが組めるようになるだけではなく、既存のデックも強くなると。それは、とてもワクワクしますね。
杉浦 世界背景的にも、エレメンタルストームによる世界リセットがどうなるのか! という部分にも注目していただければ幸いです。
―― なるほど。それでは、本日はここまでということで。ありがとうございました。
加藤杉浦 ありがとうございます。


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