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TOP > ユーザーコンテンツ > 著者インタビュー > ソードワールド2.0特集(2013年12月_ユーレリア博物誌)
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2.『ユーレリア博物誌』

◆復興しつつある地方、ユーレリア
―― それでは続いて、『ユーレリア博物誌』(以下『ユーレリア』)についてお伺いしたいと思います。まず「ユーレリア地方」とは、どんな地方でしょうか?
北沢 この地方はまだ小さい街規模の国しかなくて、大破局から完全に復興しきってない地方ですね。この領域には小さい国家12もあるんですが、それぞれの国が連携しておらず、一万人にも及ばない規模でそれぞれ独立して存在している感じです。
―― この地方は何度かリプレイやサプリでも取り上げられていますよね。
北沢 ええ。私の小説である『堕女神ユリス』シリーズと、藤澤さんのリプレイ『ルーン・うぉーかーズ』シリーズですね。あと、次の春サプリである『カルゾラルの魔動天使』にもちょっとだけ登場します。
清松 実は『三眼のサーペント』でも行きました。
―― では、直近に刊行が予定されている『ルーン・うぉーかーズ』と『三眼のサーペント』に関しては後ほど個別にお話をお伺いしたいと思います。
◆各国ガイドは密度が濃い
―― 博物誌のメインコンテンツある各国ガイドでは、今回は12カ国1組織が紹介されていますね。
北沢 この部分は総出で、力を入れて書きましたねえ(しみじみ)。12カ国と1組織もあるのに、そのそれぞれを3ページで紹介しないといけなくて。残念ながらカットした部分もありますが、出来る限り詰め込みましたので、物凄く密度は上がったと思います。
藤澤 とにかく、色んな国があるということを目標に作りました。12カ国もあるんで、どうせなら変な設定にしようぜーって話もしましたよね。
田中 せめて特徴的な、って言ってください(笑)。
藤澤 けど、それを目標にしていたおかげで、わりと変で面白い国がたくさんできましたよ。幻獣と共存してて、周辺国からは「獣臭い」とか「キモい」とか言われちゃってるキノアとか(笑)。
北沢 どこも特徴的になりましたから、ぜひこれらを舞台にして楽しんでほしいと思います。
◆10の追加流派。新しいコンセプトの流派も
―― では『ユーレリア』で追加された流派について教えてください。
清松 今回追加された流派は全部で10種類。剣の刃の方を握って柄で叩くというお馬鹿な流派や、ワンハンドやツーハンドの武器をとっかえひっかえしながら戦うめんどくさい流派とか。
田中 お馬鹿とか、めんどくさいとか(笑)。
清松 複数部位を投げまくる流派とか、卑怯卑劣なんでもありの流派とか。入門すると名誉点が消費されるのではなく、なんと減少するという。
藤澤 不名誉な流派ですね。
清松 それから、ツーハンドフェンサーというちょっと変わったことが出来るかもしれない流派。両手用の剣なり槍なりが低筋力流派装備として買える流派です。
藤澤 さらに、待っている人がたくさんいたであろう両手盾流派。両手に盾を構えて攻撃に耐え、蹴れる流派です。
北沢 他には、でかいクロスボウを牽き回して、通常移動をしたのちに射撃をしまくる流派とか、使役するゴーレム、妖精、魔神辺りに影響を与えられる召喚流派などがあります。召喚流派は『イグニスブレイズ』で追加されたマリオネットを活用する流派で、新しい戦闘特技を早速活かせますね。
―― そして、残り2つがいままでとは少しコンセプトが違う流派ですね。
清松 ええ、今回新しいコンセプトとして出した「非戦闘型流派」です。これは前提が宣言特技ではなく、使用するタイミングが戦闘外になっているものですね。
田中 追加されたのは【カンフォーラ博物学派】という学者流派と、猫に擬態する【眠り猫流擬態術】です。
北沢 カンフォーラ博物学派】は戦利品判定にボーナスがついて、戦利品がいっぱい取れるかもしれないってやつね。条件はあるけど。
清松 眠り猫流擬態術】は、猫に擬態している時、受身隠密などの判定にボーナスがつく流派です。いかに猫っぽくなるかを目指す流派ですから、元々猫になれる種族のミアキスであるか、動物に変身できる練技の【シェイプアニマル】を使うことが前提です。
藤澤 猫ロールプレイが流行りますね(笑)。
田中 今回は、結構色んなところにさらに手を広げられた感じがしますね。特に戦闘以外で使う秘伝が出来たのは大きな変化になると思います。
―― あとは、各流派の流派装備も面白いですね。
清松 流派装備は色々笑えますよ。強いものからネタまで豊富に取り揃えております(笑)。ぜひ活用して欲しいと思います。
田中 流派装備については、ちょっと補足がありまして。『ユーレリア博物誌』の流派に関するFAQをWEB上に用意させていただきました。それに合わせて、各流派の流派アイテム対応表を掲載しています。
清松 今回の流派を使われる皆さんは、ぜひ活用してください。
◆これまでの流派の改訂について
―― 『イグニスブレイズ』における戦闘特技の変更に伴って、本書にはこれまでの博物誌で発表された各流派の改訂も掲載されていますね。
清松 ええ。これはすでにWEB上では発表していたんですが、今回の『ユーレリア』に掲載して紙媒体でも見られるようにしました。『ユーレリア』発売のタイミングでの最新版が載ってます。
藤澤 新しい秘伝が足されている流派が結構ありますよね。
北沢 ちなみに、この前コンベンションでギルヴァン流(*)を使ってみましたけど、ダメージが載るのは結構嬉しいですね。ライダーフェンサーで「振り降ろし!」って言いながら愚人剣でぐしゃー!って(笑)。「これ、ほんとにフェンサー?」っていうレベルのダメージが出るので楽しかったですよ。
(*)ギルヴァン流愚人剣」:『SW2.0サプリメント プレイヤーズハンドブック フェイダン博物誌』(2012/1刊行)にある流派。改訂前は命中力が上がる代わりに被ダメージが増大するものだったが、今回の改訂でPC側が与えるダメージも上昇するようになった。
清松 改訂されたり追加されたりした流派も十分面白いので、ぜひ使ってみてください。
◆個性豊かな特産品の一部は、胡散臭い?
―― 特産品は流派装備以上に強いものからネタまで、実に豊富ですよね。まさかのデータ化っていうのもありますが(笑)。
清松 そうだね。黄金水とか、うさんくさい壺とか(笑)。
藤澤 おいしい黄金の水・女神の味>と<ユリスカロアの壺>ですね。どちらも北沢さんの小説『堕女神ユリス』で登場したアイテムで、古代神であるユリスカロアが信者を増やそうとして販売していたものですよね。
北沢 そうそう。古代神っていうとすごいように聞こえるけど、ユリスカロアは力を失っている神だからね。実はそんなにすごくない(笑)。3巻のあとがきで簡単に紹介はしてたんだけど、今回正式にデータ化しました。黄金水は呑み干せばMPが1点回復する効果で、は半径6メートルの範囲内にいれば生命抵抗力判定に+1のボーナス修正を受けられるって効果。ただし、黄金水は呑み干すのに3ラウンドもかかるし、は持ち運ぶのに両手を使う上、落としたらすぐ割れるっていうデメリットがある。
藤澤 ユリスカロアの壺に黄金水入れたらどうなるんですか?」っていう質問きそうですね。
北沢 いや、黄金水は呑まないと効果ないんから(笑)。
清松 仮に入れたとしても、この壺から呑むのは至難の業だよ。ホテルのフロントとかで観葉植物とかが活けてあるようなツボだから。
藤澤 あの壺、そんなにすごいものだったんですか?
田中 物はしょぼいよ? 詐欺商品だから(笑)。
北沢 いやいや、ずっと生命抵抗力判定に+1やで? 床の間に飾っといて、そこで寝たら幸せになれるよ。
清松 おじいさんの病気がよくなる奴ね(笑)。
藤澤 それこそ、どこぞの詐欺商品みたいなんですが(笑)。
清松 まあ、そんな感じで特産品も個性豊かなものを揃えておりますので、楽しんで使って頂けたら嬉しいですね。
◆恩寵ルール。最初は傾国の美女ルールだった?
―― 次は今回追加されたキャンペーン用のギミックである、恩寵ルールです。この恩寵ルール、かなり特殊ですよね。
【恩寵ルール】
今回ユーレリアには姫と呼ばれる13人の主要女性NPCが存在します。PCたちは姫に剣のかけらを献上したり、姫からの「お願い」を達成したりすることにより、その姫との親密度が増し、さまざまな恩寵を受けることができます。
清松 最初の最初は、せっかくたくさん国があるんだから、影響を及ぼして地図書き換えていくような仕組みがあるといいねっていう話から始まったんだよね。
田中 ええ、『なんとかの野望』みたいなことが出来ればな、という話が出てたんです。ただ、これだけだとインパクトが若干弱い。
藤澤 普通のセッションと結びつきにくいってこともありましたね。
清松 どこの国に肩入れするかを考えてもらう時に、地理や歴史だけでは辛い部分があるので、「象徴的な人物」がいればいいよねって。それがなんで全部女性になったんだっけ?
藤澤 あれは確か、各国にお姫様的なキャラクターはいるだろうって話からですね。それで、私が最初に言ったのが「傾国の美女ゲームしましょう」でした。
田中 そうそう。「けど、13人もお姫様作れるの?」って藤澤さんに聞いたら、「作れますよ!」って言って、13人のお姫様が上がって来た、と(笑)。
藤澤 13人のお姫様を作って、最初は美女の影響で国が傾くゲームでした(笑)。
清松 でも、それはあかんやろとなって、お姫様と交流することで好きな国を応援するものになったんだね。ただ、実際のセッションに絡むにはまだ何かが足りない。そこで姫様に肩入れすれば、姫様と仲良くなれる上に、さらにゲーム的に有利な効果も受けられるという「恩寵」の要素が出てきたんだよね。
北沢 お姫様たちは女神の血統であり、その特別な力を使ってPCたちに恩寵を与えてくれることになってます。この恩寵ルールを使うと、いつもとプレイ感覚が全然違いますよ。
清松 お金をくれたり、騎獣を貸してくれたりはともかく、完全回復したりとか。まあ、若干不自然さを感じるところは仕方ないかな、と(笑)。
―― 呼べばいつでもドラゴンが飛来する恩寵もありますね。不思議なことに、たとえ地中深くの洞窟の中で呼んでも来てくれるんですよね?(笑)
藤澤 うん、来る来る(笑)。場所は選ばないから。。
清松 私としてはダメージをカットしてくれる魔動機械の方が不思議ですけどね。
藤澤 一緒に付いて来てた魔動機械が庇ってくれて物理ダメージカット!ですからね。
清松 あれ? 俺単独で先行偵察してたはずなんやけど?」ってなる。
北沢 全ては女神の血統がなせる技です。神の奇跡ですよ。
一同 あははは(笑)。
清松 ゲーム的なギミックとして楽しんでいただければ、と思います。PC一人ひとりが別の姫様に肩入れしてもいいし、そこは割と面白いことが出来そう。「俺、あそこの姫様とパイプあるからさ」って言える(笑)。
藤澤 イラストからでも選びがいがありますよ。美姫ページは半ページが全部イラストという豪華な仕様です。
北沢 ここは苦労したよ(しみじみ)。13人もの美姫がいるから、それぞれ特徴が出るようにイラストの指定をたくさん出しました。美姫だけの話じゃないけど、イラストレーターさんたちがかなり力を入れてくださいました。ラフをいくつも提出していただいてて。その中から一番いいものを選定する作業も大変だった。
藤澤 あとはページの構成もかなり試行錯誤して、ようやくいまの形に落ち着きました。
北沢 素晴らしいイラストをあげていただいたから、なんとか大きいイラストスペースを確保出来て、本当に良かったです。
田中 イラストレーターさんの頑張りは、今回表紙のイメージがちょっと変わったのにも繋がってますね。表と裏でお姫様が全員載ってるっていう。
藤澤 表紙、ほんと素敵ですよね。そうそう、美姫のバリエーションですけど、年齢層もわりと幅広く取り揃えております。下は確か12歳
北沢 上は41歳ですね。あと、年齢不詳もいませんでしたっけ?
清松 一匹幻獣が混じってるからね。
藤澤 グゥ様ですよ、グゥ様(※キノアの猫魔導師グウェンドリーシャ・ル・ヴェルラ/種族:グレイマルキン)
北沢 色々なニーズにお応えできます(笑)。
藤澤 あっ、しまった……僕っ子作るのを忘れてた。眼鏡までは頑張ったのに。考えてみれば、眼鏡っ子萌えのプレイヤーは、お気に入りの美姫に「赤い眼鏡」とか贈り付けたら、それでよかったんだよ……
北沢 ああー! って納得しかけたけど、「眠れへんやんけ!」って苦情がくるじゃないか!(※「赤い眼鏡」は身につけている間、どうやっても眠れなくなるマジックアイテム)
一同 あははは(笑)。
北沢 まあ、恩寵ルールは気軽に導入していただけたら嬉しいですね。12国と1組織もありますんで、シナリオソースはたくさんありますし。
田中 プレイヤーの立場なら「はやく導入してー!」って、ゲームマスターに言いたくなるくらいのものには仕上がったかと思います。
◆固有種魔物もバリエーション豊かに
―― あとは、この地方に存在する固有種魔物の話ですね。
清松 今回も変なのや面白いのがいます。
藤澤 乱戦エリアを動かせる能力を持つ、「キノアンシープ」という羊が面白いですね。
北沢 崖際から集団投身自殺をすると、PCだけ殺せるという恐ろしい羊です。羊自体は落下ダメージを軽減させる効果があるので平気という。
藤澤 実際テストプレイで一人死にましたからね。
北沢 弱ってた羊も二匹くらい死んだけどね(笑)。雪山でペナルティを受けない「ウィンターゴブリン」とかもひどいよね。あれと雪山で対峙してはいけない。
清松 あとは「カノンドゥーム」とか?
北沢 カノンドゥーム」は最初あがってきたラフだと、どう見てもバトルメック(※アメリカのボードゲーム&TRPG『バトルテック』に登場する戦闘ロボットの総称)だったんですよね。
藤澤 北沢さん、大喜びでしたよね(笑)。
北沢 私は大のバトルメック好きだからね(笑)。でも、そのデザインのままだとSFっぽくなっちゃうから、装飾を色々足してファンタジーっぽくしてくださいって返したわけ。そしたら想像以上のものがあがって来たんだよ。人が乗れそうなところまで付いてるし。
田中 あれはとてもいい修正でしたね。イラストといえば、今回から魔物のイラストの参照ページを示すキャプションに、一行分の説明が付きました。
―― ぺらぺらと博物誌を捲って、何気なくイラストを見て、軽く説明を見て、「これ格好いい!」と思ったらデータを参照できるというわけですね。
田中 そうです。ぜひ、GMに活用して頂ければと思います。
◆終わりに
北沢 今回の『ユーレリア博物誌』も、非常に面白い要素がたっぷり詰まった一冊になりました。ぜひともたくさんの人に遊んでもらいたいです。
―― ありがとうございました!


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