―― |
ではでは、よろしくおねがいします。 |
一同: |
よろしくおねがいします。 |
―― |
まずは『ダイス・オブ・ザ・デッド』(以下DoD)の制作経緯からと言いたいところなんですが、今日はにぎやかですね(笑)。 |
安田: |
TRPGをデザインした大井君、それをサポートしてくれる西岡君、アートワークの永田さんとメンバーそろい踏みですよ。 |
大井: |
メンバー構成若いですよね。 |
安田: |
そう! ぼくを除けばチームの平均年齢が20代半ば! |
西岡: |
フレッシュSNEですね。 |
大井: |
フレッシュSNEて! 常にレモンもってそう(笑)。
|
安田: |
さて、DoDについてお話する前に少しSNEのTRPGの経緯を説明しましょう。今までグループSNEのオリジナルTRPGは、KADOKAWA=富士見では『ソード・ワールド2.0』だけだったんです。『六門世界RPG』は『モンスター・コレクション』というTCGの流れからですから、全くゼロから作った訳ではありません。『ガープス』はスティーブ・ジャクソンの作ったRPG、『デモンパラサイト』は小説展開等はKADOKAWAですがルールは新紀元社。そういう意味ではKADOKAWAさんからは28年ぶりの完全新作が出ることになるわけです。 |
西岡: |
おお、生まれてない。 |
大井: |
ぼくで生まれたてですよ。 |
安田: |
ということで、フレッシュなメンバーでやりましょう……というのが表向きの結果としてみた時の特徴(笑)。 |
―― |
裏話とかあるんですか? |
安田: |
欠席裁判みたいになるんですけどね、ここに今アメリカに行っています秋口ぎぐるという人がさらにいたわけですよ。ぼくと大井君と秋口君の三者関係の中から生まれたのがそもそものきっかけだったんですよね。 |
―― |
それはどれぐらい前になるんですか? |
安田: |
ホントの最初は2014年の春ごろですねぇ。 |
大井: |
そんなに前でしたっけ? 割と最近なイメージありましたけど。 |
安田: |
いやぁ、もうだいぶ寝かしましたよ。と言うよりも、大井君はその間こっそり作業を進めてて、ぼくは途中で寝てしまったと思ってください(笑)。きっかけ等は春のTRPG祭でも言ったんですが、最初大井君がモジモジしてた所から話がはじまります。 |
―― |
モジモジしていた? |
大井: |
お恥ずかしいかぎりです。 |
安田: |
彼はですね、高校出たてで香川県から大阪の専門学校に入って、18歳でグループSNEに来たんです。ある日、秋口君が「社長、凄い人いますよ! 小説書いたことないのにとんでもなく面白いの書くんです。今度応募してくると思うんで見てください」って。確かに見たら、ちょっとそこいらにはない感じの作品だったんですよ。で、来てもらったんですけど、最初は地方から都会に出てきてそれなりによいところはあるけれど、三振するかホームラン打つか分からんヤツ、という印象でした。バイトしながらSNEでお手伝いということで彼を見てきましたが、そういう形で来た人は社会人経験してきた人とは違うわけですよ。そう、あなた分かるでしょ!(インタビュアー指さしながら) |
―― |
言われてみれば、ここに入るまでぼくは全然違う業種で社会人8年やってましたから感覚は違うかもしれませんね(笑)。 |
安田: |
企画書の書き方がわからない、どう自分の作ったものを社長に言ったらいいか分からない、見かねた秋口君が「社長、大井が面白いもの作ってるみたいですよ」って。それでさっき言ってた2014年にプロトタイプを見たのが始まりで、その時の作品が『デッド・オア・ダイ』! ほら、おかしいでしょ!? “死んでるのか死ぬのか”って。ハーフゾンビだから当然ですけど(笑)、変な名前ですよね? |
大井: |
たしかに! |
安田: |
『デート・ア・ライブ』ってラノベがあるから、パロディかと思った。しかも最初カードゲームの形だったんです。 |
―― |
ええっ、そうだったんですか!? |
安田: |
あの時はストーリー性のあるカードゲームで、感染度や正体隠匿要素の入ったゲームだったんですよ。 |
大井: |
コンセプト自体は変わっていないんですよね。テーマもそうですがボードゲームとTRPGの融合はその時からイメージとしてあったので。 |
安田: |
で、力入れて2人が作ってきてたんで、いくつか指示して出来たら教えてって言う風に言ったんだよね。で、秋口君はアメリカに行っちゃったんで話は流れたのかと思ってたら、去年前半ぐらいに大井が単独で水面下で進行させてるのが判明したんです。企画化してKADOKAWA富士見の方で進めているとわかって、びっくりしました。この辺りがSNE的で、普通の会社ではありえないでしょ! まあ、大井もやる気満々じゃないかという事でOKしたんですが、気が付いたらTRPG風になってたんです。で、形が変わったのならちゃんとプロジェクトとして組みなおそうという事で、ぼくが入って去年の夏からTRPGの新作として、ブラッシュアップしていったわけです。で、去年の末にもうちゃんと出来そうだという事で、ぼくが襲われるDoDの動画をUPしたんですよ! |
―― |
あの社長が襲われる動画は印象に残っています(笑)。 |
安田: |
ということで今年3月に新作発表会をさせていただきまして。いきさつはそういった感じなんですよ。彼は新しいものを作ろうとずっと努力してきて、やりかたの是非はともかく(笑)、それが企画として立ち上がったんですね。 |
―― |
では制作メンバーについてお聞きしたいと思います。改めて自己紹介の方どうぞ! |
大井: |
はい、今回DoDのメインデザイナーを務めさせていただきました大井でございます。今回はTRPG新作を作らせていただいたんですが、ぼく在籍してちょうど10年なんですね! |
―― |
記念と言いますか、ビッグタイトルじゃないですか。 |
大井: |
ようやくオリジナルタイトルを作らせていただけるということで、もちろんいろんな方にアドバイスいただいたわけで、いやー、ありがとうございます。ぼくはゲームシステム部分と世界観をメインでやらせていただきました。さらにその設定を若いセンスで磨いてもらおうということで、西岡拓哉という新しい才能に制作を手伝ってもらった次第です。 |
西岡: |
新しい才能で色を付けさせていただきました。フレッシュSNEその1、西岡です。 |
安田: |
今年大学出たばかりですが、もうSNEに来て3年かな? 大学の2回生の時、社員応募で来たんですよ。 |
―― |
西岡さんは主にDoD制作ではどういったことを担当したんですか? |
西岡: |
様々な設定やリプレイの執筆補佐等です。DoDルールブックの最初に書かれている入り口としてのリプレイも書かせていただきました。 |
安田: |
見た目より、しゃべるとキリッとしてるでしょ? 大学の専攻が編集なんですよ。 |
西岡: |
でも、原稿等は大井さんにご迷惑をおかけしまして、専攻の編集らしからぬ男です。 |
一同: |
(爆笑) |
大井: |
いやーぼくも人のこと言えないんですが、若いってパワーがあふれてますよね。彼もいっぱいページ数書いちゃう子なんです。 |
安田: |
SNEの病気だねぇそれ。山本弘からはじまり、北沢から加藤もみんなそうだったよ(笑)。 |
―― |
ぼく西岡さんが書くキャラクターのセリフ回し、独特で好きなんですよね。 |
安田: |
まだまだ粗削りでね、先輩の目から見たら直すべきところはたくさんあるけど、面白いんですよ、センスとアイデアが独特で! そういったサポートを彼はしてくれてます。 |
大井: |
加えて今回、非常にビジュアルにこだわらさせていただきましてですね。ルールブックなのに最初にカラーが8ページもついてくる、しかもそれが全部マンガになっているという、不思議な本をフレッシュな感じで作らせていただきました。それを書いたのが…どうぞ! |
永田: |
永田愁です、よろしくお願いします。 |
安田: |
そうなんですよ! あ、今、ぼくニマニマしてるでしょ? |
―― |
ニマニマしてますね。 |
大井: |
若い女の子だから。 |
安田: |
何を言ってるんだよ、その通り大学出たばかりだけど!(笑) 大学で教えてもう10年で、今年から客員教授になったんだけど、その大学で7年目、彼女が2年の時に教えに行って(世界観構想論)、驚いた。「何でこの子こんなにできるの? 凄いの見つけましたよ!」って学部の主任教授に言うと「この子、もう色々なコミック新人賞入ってるんですよ」って。なんだ、ぼくは別角度から見ただけか、と(笑)。いや、それもなかなかなんですが。こちらはコミックではなく、世界観ですから。ちなみに今はそうでもないけど昔は性格もっと尖ってました(笑)。 |
永田: |
ああああああ、恥ずかしいです。そうでしたか、尖っててすいません! |
安田: |
で、絵は勿論なんだけど、世界観もいいので、この子をSNE関係に引っ張ってこようと思って。1年教えた後、ゲームあるよーとか言って少しずつ、エサをまきつつこっちに引っ張ってきたんですよ。 |
―― |
あ~社長今、悪い顔してますねぇ。 |
安田: |
あっはっは! いや、でもありがたい。もの作れる才能あるし、馬力あるし、絵が描けるんですよ。彼女もいろいろやってみたいという事で、今回のDoDのプロジェクトに入ってもらいました。 |
大井: |
ありがたいですね。イラストが素晴らしいのもあるんですが、描くのがひたすら早いんですよ。永田さんに入ってもらう最初の段階でゾンビのイメージこんな感じですって言ったら2日ぐらいでカラー上げてきて、「ゾンビがかっこよすぎるんで却下です」って文句を言わせてもらいました。でもハーフゾンビカッコいいのもありかなと思ってしまったのは、永田さんのせいですね(笑)。 |
―― |
さすがフレッシュSNE。 |
安田: |
フレッシュってゾンビものでは生肉(fresh flesh)だよ(笑)。 |
―― |
今お話しされてて、ゾンビという単語が何度か出てきたんですが、DoDの世界観とゾンビについて聞かせてください。 |
大井: |
現代の東京が基本舞台なんですけど、ある日突然ゾンビが現れたわけです。 |
―― |
「うーあー」って言う汚いやつですね。 |
大井: |
そうです。そいつが通行人を噛んだ結果、噛まれた人も一回死んでゾンビになるという王道なヤツです。それによって東京の街が崩壊してしまい、これはまずいと思った政府がグレートウォールと呼ばれる背の高い壁で東京を丸ごと覆いました。ここまで大規模な設定はDoDだけだと思います。 |
安田: |
その発想凄いよな、まさに万里の長城のようなアナクロリズム! 監獄のようにしてしまおうということ、それって? |
大井: |
そうです。そしてゾンビが外に出られない代わりに、中にいる普通の人たちも出られなくなってしまいました。このままではゾンビに食われて我々は死滅してしまうだけだ!という感じの世界が出来上がった訳です。ただそこにですね、希望の光のごとく颯爽と現れたのがハーフゾンビと呼ばれる者たちです。それは同時にプレイヤーに遊んでいただくキャラクター達でもあります。ゾンビに噛まれて死んじゃったけど、起き上がったら理性がまだ残っていたという彼ら。しかも身体能力も頭の回転も早くなってるしお腹減らないし、ゾンビに噛まれても2~3回なら平気だし凄いスペックなわけですよ。 |
西岡: |
東京の中では完璧に近い存在の彼らですが、デメリットもあるんですよ。 |
大井: |
はい、ハーフゾンビには2つのデメリットがあります。1つはZOMB細胞によって生かされている彼らは昼間、活動が緩やかになってしまいます。詳しい原因は分かっていませんが日光を浴びるとZOMB細胞の活動が最小限になってしまうからではと考えられています。だからハーフゾンビが昼間襲われると無抵抗のままグッチャグチャです。そしてデメリットがもう一つ。ZOMB細胞をもつハーフゾンビは普通に生活していてもどんどんゾンビ化していきます。それを抑制するために普通の人間との肉体的接触、握手ですとかハグですとかを行うと人の心を繋ぎ止めることができ、感染を抑えることが出来るので定期的にそれらを行わなければなりません。 |
安田: |
えっへっへ、もっと深い関係とかもあるよね。 |
大井: |
それもあります。 |
西岡: |
R-18になるやつやそれ。 |
大井: |
まぁ、それはおいといて(笑)。というふうに2つのデメリットがあるわけです。それを人間がいることでカバーすることが出来るのです。 |
安田: |
普通の人間とハーフゾンビとの共生体だね。 |
大井: |
ですから、ハーフゾンビは人間を守ったり、ゾンビが徘徊する街に人間の食料を捜しに行ったりします。逆に人間は昼間ハーフゾンビを守り、ゾンビ化を抑制するために互いに交流するという関係が生まれました。やがてそれが集団となりコミュニティというものが出来ていくわけです。 |
―― |
そして今回、プレイヤーキャラクターとなるハーフゾンビのサンプルキャラクター等のアートワークを手掛けているのが永田さんということですね。 |
安田: |
こんな気持ち悪い世界を喜んで描いてもらうという(笑)。 |
永田: |
最初、DoDに参加するときに社長が「SNEに来たら永田ゾンビ描かんか?」っていわれまして。それだけしか聞いてなくって「あ、描きます~」って言ったんです。 |
―― |
そのときはドロドロのいわゆる普通のゾンビをイメージしてたわけですよね? |
永田: |
そうです。そしたら大井さんからハーフゾンビの設定をお聞きしまして、最初のビジュアル上げる段階で「きれいなゾンビを描いてほしい」と言われたんです。 |
―― |
対極に位置してますよね、その2つの言葉って。 |
安田: |
ハーフゾンビにはヒーロー的な役割もあるからね。そういうニュアンスでのきれいなゾンビなんだろう。 |
永田: |
で、きれいなゾンビの第一稿上げたら「かっこよすぎるからダメ」って言われました。どういう事やねんって思いました。 |
一同: |
(爆笑) |
安田: |
先輩とはそういう無茶苦茶をいうものです。 |
永田: |
ゲームを実際遊んでみると、だんだんイメージがつかめてきて世界観とかが見えてきたので、そういう事かと納得することが出来ました。 |
大井: |
丸くなりましたねぇ。 |
安田: |
「私の好きに描かせてー」じゃなくなった訳だね(笑)。 |
永田: |
あああああ、そんなんじゃないんです~。尖ってないです~! |
―― |
DoDの世界観にどうシステムが乗ったのかお聞かせいただけますでしょうか? |
安田: |
世界観ありきというよりは、システムが先に出来てテーマが後に乗ったという感じだろうね。割とそれは最初から出来てたもんね。 |
大井: |
そうですね。システムと同時に大まかな世界のテーマはあったんですがそれを西岡君が肉付けしてくれまして。そもそものシステムやら何やらの始まりは女子大生と合コン出来るゲームを作ろうってのが発端でして。 |
一同: |
(笑) |
大井: |
女子大生の間では人狼が流行っているらしいとか、しっちゃかめっちゃかになるの楽しいよね、って所からそれを突き詰めていって、じゃあこういうシステムなら出来るんじゃないってのが原点です。それがフラッシュバックと呼ばれる正体隠匿要素になるわけです。 |
安田: |
1つ聞きたいんだけど、ゲームの中でダイスを使ってアクションを選択、調整するダイスドラフトシステムをDoDではプロトタイプの時から採用してたんですよ。ドイツボードゲームで最近よく目にする最先端システムなんだけど、大井君どうやって思いついたの? 2年前からそのシステム使ってたよね? |
大井: |
たしか秋口さんとボードゲームを遊ばせてもらった時に『ROMA』をプレイしてそれがヒントになっているかもしれません。 |
安田: |
おお、シュテファン・フェルト初期の作品だね! ダイスをどうとっていくかが悩ましいゲームなんだけど秋口君大好きなんですよ。きっとそれがいい刺激になったんだね。 |
―― |
実際ぼくもDoD遊んだんですが、どのダイスをどういう風にとっていくかという、あの共闘感はいいですね。ボードゲーム的なシステム面での悩ましさもありますし。 |
安田: |
それをTRPGのシステムに落とし込んで調整したところが凄いよ。結果、正体隠匿要素も含めて、感覚的にすごく新しいTRPGになってるんです。 |
―― |
後、個人的にDoDのダメージ表記好きなんですよね。数字が減っていくのではなくって手足頭が徐々にもげていくあの感じが良いんですよ。 |
安田: |
それはロケーションシステムと呼ばれるもので、指輪、ロールマスター、ウォーハンマー等、昔からあるやりかたなんだけど古いプレイヤーには懐かしい要素ですね。 |
大井: |
実はぼくそれ知らなくって(笑)。 |
安田: |
そうなの!? 昔のはもっと数字的なものだし、最近はないから逆に新しいのかもしれない。しかもゾンビ物だから直接的感覚的にイメージしやすいよね。「腕がもげたー!」「頭から脳みそが出てる!」みたいな(笑)。だからピッタリなんですよ。 |
大井: |
ぼくが計算苦手ってのもあるんですけどね。 |
安田: |
でもそれ大事よ、頭から計算じゃおもしろいのは作れない。計算は後のチェックに役立つんで。それと、戦闘はゾンビものだからだけど、爽快ではないよね、DoDの戦闘って(笑)。斬って斬らすってシステムで泥臭いんですよ。 |
―― |
こっちの腕は無いけどもう一方の腕で殴るぜ!みたいなことは多々ありますね(笑)。 |
安田: |
戦闘では是非そのゾンビ感を楽しんでほしいですね。スタイリッシュに決めてもいいけど、泥まみれ血まみれになるのもいいよ。 |
―― |
DoDが初のメインタイトルということですが、大井さんは制作時にこだわった所とかありますか? |
大井: |
アイテムをいっぱい拾って、いっぱい使って、いっぱい壊してほしいなと思ってデザインしました。 |
安田: |
ここは魔法や超能力中心のPRGよりも、TCG、カードゲーム的だね。DoDは「アイテム無いとやっていけないからアイテム探せー!」から始まるんですよ。 |
―― |
そこはサバイバル的ですよね。ほとんどのアイテムに使用回数ありますし。 |
大井: |
良くも悪くもゾンビ100体を無双して倒すみたいなスーパーマンを作りたくなかったんです。だからゾンビ映画みたいに発想やその場にあるものでピンチを切り抜けてほしいと思って作りました。泥臭さにこだわるといいますか。 |
安田: |
だからゾンビがきれいすぎるって、自分で言っといてわけのわからんことを。 |
大井: |
永田さんが最初に出してきたハーフゾンビは1人で100体ぐらい倒しますよ。イケメンがドヤ顔で刀もってこっちを見てるイラストでしたからね。 |
一同: |
(爆笑) |
―― |
西岡さんは何かこだわった点ありますか? |
西岡: |
分かりやすさと、ゲームの楽しさをリプレイ等でどう伝えるかという点はつねに意識していましたね。先輩諸兄のリプレイ、ルールブック何冊も読んで勉強させていただきました。 |
安田: |
西岡君は若いのに変わってて能とかが好きなんですよ、舞台とかにも出て。あれって見せ方とかあるんでしょ? |
西岡: |
そうです。能の舞台が異世界を表現しているのでTRPGと親和性が高いってことを思い知りましたね。やってきたこと無駄じゃなかったって。 |
安田: |
ヘンなやつでしょ? 能とTRPGが結びつくなんて誰も思いつかないですよ。 |
大井: |
確かに、リプレイの構成はよかったもんね。 |
―― |
永田さんはなにかこだわった点ありますか? |
永田: |
かっこよくなりすぎないようにしました。 |
一同: |
(笑) |
安田: |
でも、世界観やマンガはかっこよかったよ。君の世界はかっこよさで成り立ってる所はあったからね。 |
永田: |
だから、丁度いいラインというのが難しかったですね。 |
大井: |
編集さんから「ルールブックに載ってるマンガかっこ良すぎますけど大丈夫ですか?」って電話きましたからね。だからそのときは「かっこいいんでOKです」って言っちゃいましたよ。 |
―― |
そのかっこいいマンガ、是非楽しみにしていただきたいですね。 |
―― |
今後色んな広がりを見せるDoDなんですがボードゲームも出るという事でそのお話を聞かせていただいてよろしいでしょうか? |
安田: |
そうなんですよ、初期はカードゲームだったものがTRPGに変わったわけです。でもあの良さは、ボードカードゲームでも表現できないともったいないと思いました。TRPGは本出版じゃないですか、ペーパー&ペンシルで書いていくスタイルで特にボードは必要ない。それはそれで良いんだけど、ゾンビ物ならコンポーネントとボードの上でストーリーが展開していくのも面白そうじゃないかって。 |
―― |
確かにそっちもビジュアル的にもわくわくしそうですね。 |
安田: |
ボードゲームもやれないかなというのを大井君が最初の頃から言ってて、TRPGは大井君が、ボードゲームはこっちで作るという話になって、西岡君とぼくや柘植めぐみなんかがメインで作っていきました。ボードゲームとTRPG両方互いにカバーしあう形というのを根底においてね。 |
―― |
ボードゲームとなると、やはりシステムが大事になってくる訳ですがどういった形になるんでしょうか? |
安田: |
すでにTRPGの方はボードゲーム的なシステムが取り入れられています(ダイスドラフト、正体隠匿)。じゃあボードゲームの方はどうしようかという事で逆に、ボードゲームで流行しつつあるストーリーゲーム的な要素をボードゲームに落とし込もうとしたわけです。そうすることで相互補完出来るんじゃないかという事で。このボードゲームはもちろん単体として、ストラテジックな協力ゲームとして遊べますが、もう1つ、TRPG的な面白さ、連続シナリオとしても遊べます。『パンデミックレガシー』など連想してもらえば。続いて事件が起こり、事態が2転3転していくわけです。 |
―― |
物語はどうなってゆくのかという没頭感、緊張感ですね。 |
安田: |
そうそうそう! そしてDoDの背景世界の大きな部分を表現出来るのも特徴です。TRPGでは中でゾンビと戦ってどちらかと言えばミニマムな視点で描かれる。ボードの方は全体として俯瞰で世界を見渡せるわけです。 |
西岡: |
ボードゲームの世界はTRPGの世界からさらに半年後の世界なので設定もおもしろいはずです。汚染された東京に核が撃ち込まれるという情報が入る所から物語は始まります。治療方法はあるのか、核発射を食い止めることが出来るのか、残された時間は少ないぞというのが物語の概要で、東京が生き残る価値を見つける物語となっております。 |
安田: |
もちろん、キャンペーンとは別に協力ゲームとして、現場で何が起こっているかを解明し解決していく単体ゲームとして遊べます。ダイスももちろん振ります。ロケーションシステムとは違いますが、ダイスドラフトの面白さはそのままに、それをよりボードゲーム的にシャープにしてあると思ってもらえば。 |
西岡: |
他にもトラウマカードというハーフゾンビ特有の悩みを持ちこんであります。これもゲームとして楽しめますよ。ゾンビ化しているか否かを判定する追放システムも、専用のキャラシートとスクリーンで各々が秘密裏にゾンビ化表を管理するのでしっかり正体隠匿要素も楽しめます。他にも、TRPGのシナリオクラフトがこちらに活用できたり、逆にコンポーネントはTRPGの方で使えるものがたくさん入ったり、相互活用でもぜひ期待していてください。 |