○ 産業貿易センター |
ゲームマーケット本番に先立ち、同じ会場で
拡大ゲーム会 というイベントが開催されました。
これは 「本番は人が多いし、じっくりゲームを遊べないだろ?」
「本番でゲームを出品するサークルは、こっちのイベントであらかじめ存分にプレゼンしておくといいよ」
「そのかわりここで販売はナシね」 という主旨のイベント――だと、秋口は理解しています。間違っていたらごめんなさい。
まずは会場である産業貿易センター(台東館)へ向かいます。 場所は浅草だと聞き、秋口はなんとなく
「浅草寺の真横にある、線香の煙に包まれた建物」 をイメージしていたのですが、違いました。そうした境内やら仲見世やらを突っきった先にあることはたしかですが、1ブロック離れた国道沿いに建つ、普通の、だが非常に規模の大きな公民館でした。少し古びたコンクリート・モンスターといった感じ。
周囲を歩いているのは観光客や付近の住民っぽい人ばかりでした。建物の壁には
「拡大ゲーム会、6階」 と手書きされたA4用紙が貼られているだけ。 秋口は
「ほんまに大丈夫やろか」 「やってるんやろか」
「ゲームマーケット自体が壮大なドッキリなんとちゃうやろか」 と不安になりつつ自動ドアをくぐりました。
中は観葉植物やベンチの置かれた、なんとなく古い病院の待合いを思わせるホールでした。人はまばらです。ゲーム会の客なのかどうか、いまいちよくわかりません。不安を強くしつつ6基あるエレベータの1つに乗りこみ、6階へのぼってみると――。
|
○ 拡大ゲーム会 |
やっていました。拡大ゲーム会。
エレベータを降りてすぐのところに入り口があり、その向こうに巨大な空間が広がっていました。面積は中学校の体育館の半分ぐらいでしょうか。数メートル置きに体験用のテーブルが置かれ、ゲームが行われ、その間を人が歩きまわっています。窓からの明かりと蛍光灯に照らされ、とても明るい雰囲気でした。
ひとまず入り口横のテーブルで参加費300円を払い、会場へ足を踏み入れます。
思っていたほど人は多くありませんでした。秋口は14時ぐらいに訪れたのですが、埋まっているテーブルは全体の1/3ぐらい。とてものんびりした雰囲気です。デモプレイのために参加しているサークルは、せいぜい20サークルといったところでしょう。
いくつかのゲームを遊ばせていただいたのですが、皆さんとてもていねいに、わかりやすく説明をしてくださいました。最初に会場を見渡したときは
「ちょっとさみしいなぁ。人が少ないかなぁ」 と思ったりもしたのですが、午後の眠たげな空気の中、ゆっくりじっくり色んな新作同人ゲームを遊んでいると、「これはこれでええなぁ」と感じられました。
ゲームマーケットの功労者・草場純氏(昨年までゲームマーケットはこの方が中心で主催されていたそうです)
のスピーチと共に、癒し系イベント・拡大ゲーム会は幕を閉じました。
|
○ 本番 |
実は今回のイベント、秋口は Qvinta Essentia というサークルで個人的に オリジナル・カードゲーム を出品していました。それゆえ一般の参加者よりも一足早く、朝9時から会場に入りました。そこで設営を開始です。
会場は昨日とまったく同じなのですが、テーブルの配置が異なるため、ずいぶんと印象が違って感じられました。
中央には一般ブース用のテーブルがロの字型×2列、左右の壁際には中型ブース用の販売&体験テーブルがずらりと1列ずつ並び、まさにアナログゲームの「マーケット」といった感じ。なにせブースを出しているサークルの数だけでも100を超えます。続々と運びこまれる段ボールが開けられ、色とりどりのパッケージが並べられていく様は、まさに壮観の一言に尽きます。
朝の時点では見にいけませんでしたが、1つ下の5階でも同様の準備が行われていたことと思います。――そう、今回のイベントは巨大な公民館のフロアを丸まる2つ使う、非常に規模の大きなものなのです!
入り口には入場を待つ一般参加者の列ができていました。その様子を見て、秋口は
「ああ、アナログゲームもここまで来たんだなぁ」
「うれしいなぁ」 「秋口の作ったゲームが1つでも多く売れたらええなぁ」 としみじみ思いました。
さて、開会の合図と共に、お客さんが一気にフロアへなだれこみます。
人気サークルのブースにはあっという間に行列ができ、それ以外のブースでも次々とゲームが売れていきます。どうやら事前にウェブサイトなどで購入するゲームを決めてきたお客さんが大勢いる様子。
特に注目されていたのは 大ヒットカードゲーム『ドミニオン』 の 拡張セット『錬金術』 の先行発売でしょうか。行列に並んだけど買えなかった、という人が続出したという話です。また 鈴木銀一郎先生
の 新作『くにとりっ!』 も用意していたぶんが一瞬でなくなり、アークライトさんのスタッフが2回も在庫を取りに戻ったとのこと。
ありがたいことに、秋口のブースにもたくさんの方が詰めかけてくれました。昨日の緩やかな雰囲気がまるで幻だったかのようです。どちらを見ても人、人、人。秋口は
「日本、ぜんぜん不況ちゃうやん」 と心の中でつぶやいていました。
それはさておき、秋口はあることに気づきました。午前中は
「新作が売りきれる前に一通り会場を見てまわる」 参加者が多いため、デモプレイ用のテーブルはどこも閑古鳥が鳴いているのです。
秋口はデモプレイ用にすてきな女性を雇っていたのですが、「くそっ、これなら来てもらうん午後からでよかったやんけ」
「そしたらバイト代、もう少し安くすんだのに!」 とセコいことを考えてしまいました。
|
○ クオリティ高い |
午後からはデモプレイに参加するお客さんが増えはじめます。
秋口は主に売り子を担当していたのですが、中型ブースは 販売用 と デモプレイ用 のテーブルがワンセットになっているため(豪華!)、目の前で自作ゲームが遊ばれる様子をずっと見ていることができました。皆さん盛りあがってくれている様子。一安心です。もちろん他のテーブルでも活発にプレイが行われていました。
適当なタイミングで自分のブースを離れ、会場を歩きまわってみたのですが、あまりの熱気に圧倒されてしまいました。いちばんの驚きは夕方になっても人が減らなかったことです。きっと 「常にどこかでゲームを遊べる」 ため、皆さんさっさと帰ってしまう理由がないのでしょう。
アークライトさんの情報によると、「2000枚近く用意していた一般入場券が 途中 でなくなった」 とのこと。つまりこの1日だけで2千数百人が参加していたことになります。
同人ゲームのクオリティの高さにも驚かされました。ゲームの内容はもちろん、商業作品と比べても遜色ないようなパッケージの作品が目白押しです。
同人ゲームに関しては、全体的に手軽なカードゲームが多かったように思います。重厚なボードゲームは価格が高くなり、またデモプレイで遊んでもらえる人数も限られてしまうので、あまり売れないという判断なのかもしれません。
終了間近になると、サークル参加している方々が歩きまわる姿をよく見かけました。客足が落ちついたので余裕ができた、ということでしょう。秋口の自作ゲームに関しても、こうした
「他サークルの方々」 に買っていただいたぶんがとても多かったように思います。秋口自身も他サークルの作品をたくさん買いましたし。やはり出品側は「ほかのサークルはどんなものを作っているのか」が気になる、ということですね。
|
○ 最後に |
特にこれといった事故もなく、負傷者も出ず(たぶん)、無事にイベントは終わりを迎えました。
秋口は初めて参加したのですが、どの参加者もすごく活き活きしていたなぁ、という印象を受けました。心から楽しんでいる感じ。参加者同士の一体感といったものも強く感じました。
今後、ゲームマーケットはどんどん規模を拡大し、商業的な面を強くしていくことでしょう。この点は主催者が個人から企業へ変わったことからも明らかです。会場には様々な出版社の編集さんたちも視察にいらっしゃっていました。
こうした企業という「強い力」が個人の力と合わさり、参加者たちの目をよりいっそうキラキラ(ギラギラ、ではなく!)させてくれるとありがたいなぁ、一体感をさらに高めてほしいなぁ、と強く願う次第です。
さあ、次は 9月の JGC2010 &11月の テーブルゲームフェスティバル2010 だ!
|