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★JGC激闘48時間 個人リポート |
作成:安田均
こちらは終わったばかりのJGC2003リポート。例年あれやこれやと忙しいのだが、今年も相変わらず。忘れないうちに、感想などいくつか。
ぼくのJGCはたいてい、始まる前から始まっている。せっかく東京に行くのだからと、開始前に打ち合せがいくつか入る。今年も、それをこなしてからホテル浦島入り。
アークライトさんでの打ち合せでは、久方ぶりのテーブルトークRPG専門誌「R&R」が順調そのものらしく、いきなり部数倍増、3号でもさらに増やすとか。こちらも力が入っているだけに、皆さんの応援がありがたい。これなら、近いうちに隔月刊を期待してもよさそうだ。
会場のホテル浦島は高速道路建設のため取り壊しとかで、今年が最後。そう思って眺めると、7年の歴史がかぶさって感傷にふける(JGCは今年で8回目。つまり、第2回からずっと会場になっている)。少し設備は古いが、宿泊型ゲーム会場としてはいまの日本の都心部では言うことのない部類に入っただろう。ありがとう浦島さん。JGCもGENCONのように、来年からは新たなスタートだ。
いつものようにざわついた期待感が高まる中、あっというまに開会式が始まる。宿泊する人は去年よりちょっと多めだそうだ。これまで、だいたい宿泊が700名、当日参加が300名くらいだから、1日1000人規模だね。3日でのべ3000人。日本SF大会と同じくらいの規模かな。
8回目ともなると何をしゃべろうかと悩む開会挨拶だが、今回はGENCON帰りということもあり、その報告を簡単に。持って帰ってきたサンタ・クトゥルフが受けた。
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***** 一日目 ***** |
1日目のスケジュールは、モンコレ壮行会、SNEお薦めゲーム、六門世界RPG(GM)、そして、スーリエ・ルージュ(百鬼夜翔のトークショー)への乱入と続いている。六門のGMで4時間をまるまる取られるので、これらをこなすだけで、あっという間に夜中の2時だ。他にも見て回りたいものがいっぱいあるが、泣く泣く諦めざるを得ない。
メディアワークスの佐藤社長らとの会食もほどほどに(Hさん、大丈夫、阪神は優勝します)、お酒もちょびっとだけ、また、いろんな人との挨拶もそれなりにで、ゲームスケジュールへ突入。時間を忘れるといけないので、藤澤さなえが秘書になってくれるが、付いてくるのに必死。まあね、今日くらいスケジュールは頭に入ってるよ。
モンコレ壮行会で翌日以降の全日本決勝大会へのエールを送り、SNEお薦めゲームでキングズ・ブラッドやクリベッジをちょっとだけ遊んで(「ボス、もう時間がありません! これで3回目の警告です!!」)、後ろ髪を引かれる思いで六門RPGの部屋へ(「うぉー、あそこもここも覗いてみたいし、久しぶりに会う人ともゆっくり話たいぞ」)。
ここでアドバイス。JGC1日目の開会式の後は、大広間やフリーゲームの卓が比較的空いている珍しい時間帯だ。理由は参加者の多くが夕食後、まず物販スペースへ突入するから。そこで並んだり、物色したりして1〜2時間過ごす間、ゲームをする場所は結構空いている。いい場所を確保したいなら、この時間帯だ。 |
【六門世界RPG】 |
六門世界RPGは発売が間に合わなかった。申し訳ありません。ずっとこの半年かかりきりで、最後の1か月はへとへとだったんだけどね。やっぱり最初のゲームは完成に手間どります。でも、9月には発売されるので、よろしく。
というわけで、ばらばらのデータ類の海をかきわけながらのセッションとなった。六門世界RPGは最初にキャラクターシートに書き込むことが多いけれど、いったんそれがすむと流れはスムーズだ。基本的に行為判定表でものごとは進み、後は自分のしたいことをデータから選んでくるくらいだから。その分、楽しみはロールプレイにつぎこめる。
プレイヤーの中にいきなりモンスターを演じたいというちょっと個性の強い人がいた。でも、ここはコンベンションで皆さん初対面だから、召喚術師がオーケーかどうかで決めてもらうことに。召喚術師の人は慣れていないので、困ったな、という顔つき。なら、今回はモンスタープレイを我慢して、人間の別キャラをやって、ということで一件落着。
シナリオは簡単なダンジョン探索型。六門RPGは最初のうちは、システムに慣れてもらうためにもこうした形がいいだろう。シナリオ作りも楽だし。そのうち、凝ったことはいくらでもできるようになる。さっきのモンスターを演じるのもその一つ。
シナリオはウイザード専任になった人のジャスティス2発で片がついた。かつてのD&Dのように、専任ウイザードは数少ないが強力な魔法をここぞというときに使うだけ。他に余りすることもないので、退屈かなと思っていたら、渾身のサイの目が6、6、6、5、5、5。これではレッサーデーモンもひとたまりもありませんわな。
なにはともあれ、セッションは気持ちよく時間どおりに終了。六門RPGは、簡単なシナリオなら2時間くらいで遊べるということに自信を持てた(最初のキャラ作成だけは1時間半くらいかかりますが)。 |
【スーリエ・ルージュ】 |
セッションがうまく終わった後の高揚感−−これは気持ちのいいものだ。
少しタバコ休憩をとると、どうしようもなくボード/カードゲームがしたくなって大広間へ。スーリエ・ルージュはもう始まっているが、ちょっとくらいはゲームで休ませてくれい(笑)。こうした合間のボード/カードゲームというのは実に有効だ。あっというまに1時間ほどが。そばでは秘書が涙目に(「あの〜、行かなくてもいいんですかあ?」)。
まあまあ、あれは百鬼のファンが出会って、まず楽しむところ。今回、ぼくの役目は‘ゴーストハンター班の乱入’ということだから、後半に行く方が効果的なんだよ−−と大人の論理(?)をふりかざして、存分にエネルギー充填。
部屋はいつものようにいっぱい。座長の友野詳からすかさず
「おやおや、そろそろ終わる頃に。お早いお着きで」
と声が飛ぶ。
まだ30分はあるだろ、それくらいわかってるさ、と思いつつ、後で聞くと最後の15分くらいだったそうな、ごめんごめん。
ここで気づいたが、友野の声が少しかすれている。このときはおやと思っただけだが、後であんなひどい目に会うとは……祟りかな。
ま‘乱入’といっても、基本がコワイ話をゲストや参加者がそれぞれ語るという集りだけに、和気藹藹(ホラーだから妙な表現だな)と楽しめた。なんといっても一番コワかったのは、「ボスの書いているゴーストハンターの長編はいつ出ます?」というやつ。とたんに空想の恐怖空間が現実に反転。妖怪シメキリへの対処はいつもたいへんだ…… |
***** 二日目 ***** |
明けて2日目。体調のことも考え、ゲームは夜中の3時までと決めていただけに(なんだか、遠足のおやつ代みたいだな)、ばっちり朝の8時には起床−−いや、ウソです、8時半にようやく起床。朝食はとらないものの、なんやかんやで9時過ぎには会場へ。さあ、これから自転車のロードレースのように長い長い1日を楽しめるぞ。
キングズ・ブラッドのコーナーなどでちょっと遊ぶ。今回は、このカードゲームのインストをほとんどする時間がないので、やはり気にかかる。幸い、前日から遊んだお客さんにはかなり好評と聞いてひと安心。‘そろそろターミナルに移動して、モンコレ大会の挨拶です’と秘書が合図するが、これを30分ほど引き伸ばして、ざっと会場を見て回る。当日参加のお客さんも多くて、もう会場は満杯だ。
ターミナルへの移動を伸ばしているには理由があって、朝早くから時間通りのスタートはプレイヤーの負担になるので(寝坊する人も何人かいる)、例年モンコレ大会は目覚まし時間を兼ねつつ、だいたい15〜30分遅れで始まるのだ。秘書はもともとモンコレファンだが、これを知らないから気が気ではない様子。
わかったわかった、心配そうだから行くよと移動すると、予想どおりそろそろ開始時間だった。
モンコレは全日本決勝大会の予選ラウンド。それにU-18大会の決勝。今年の決勝大会は3か月の地方予選を経た42人の各地からの代表を7グループ6人にわけ、それぞれで総当りの5回戦。各グループ上位2人と3位での最高得点者1人、それにU-18の優勝者1人の合計16人で、翌日の決勝ラウンドが行なわれる。隣では、前日先行販売されたばかりの『新聖紀の胎動』のトーナメントもさっそく行なわれている。
全日本大会はこれで6回目だが、これまで連覇した人がいない。トーナメント形式の厳しさからだろうが、それだけに去年及び、今年の春のJGCウエスト杯を続けて勝ったヒデさんに期待がかかる。そう思いながらも、挨拶の言葉は「さああ、みんなで去年の優勝者に立ち向かえ、デックオ〜〜〜ン」だった。チャンピオンはやっぱり辛いのだよ。
ここでしばらくうろうろしていたが、はっきり言って、今日もスケジュールはぎちぎちだ。昼食をゆっくり取れないので、朝昼兼用のブランチにしないといけない。ホテル浦島会場に戻るついでに近くのインド料理店に行く。浦島の近辺には2年前から高層ビルが建って、食べる店には困らなくなっている。 |
【トーク・ショー(D&Dとドラゴンランス)】 |
さて、12時。これからトークが続く。
まず、「D&Dとドラゴンランス」。これはD&D最新版のセッションと、その前に「D&Dやドラゴンランスのこれからを語る」という企画。ぼくはドラゴンランス分の受け持ちだ。JGC寸前になって決まったので、用意できる席が少ないらしい。なんでも整理券がいらないとパンフには載っていたが、希望者が多いので、抽選でかなりしぼったという。もうちょっと準備期間があればと、残念だった。
ドラゴンランスについてはGENCONでも目を引いていただけに(新刊のドラゴンランスキャンペーンセット2冊に、D&D3.5版3冊を運ぶと腕がしびれた)、しゃべることはいくらでもある。ただ、D&Dやダークエルフ物語についての告知もあるので、泣く泣くドラゴンランスの話は20分くらいで切り上げる。ダークエルフ物語の続編については笠井道子が引き継いでくれた。
おっと、アスキーの担当編集Kさんの姿を発見。途端に、帰ってからすぐやらないといけない『夏の炎の竜』の最終ゲラのことが頭をかすめる。それに、帰るとそろそろ『ドラゴンランス伝説 注釈版』の原書が届いてもいるのだろうなあ。なんだか遠い目になってきたぞ。いかん、現実把握だ、いまはJGCだ。
ドラゴンランスの映画化については、向こうで聞いてきたことをちょっとだけ。進んでいることは進んでいるが、いったんできた脚本にワイス/ヒックマンがおもしろくないとボツを出したそうな。「製作先は‘あのD&D映画’を作ったところではありません」とKさんが続けてウケを取る。まあ、とにかくおもしろいものができてくれれば嬉しいんだけれど、どうなることか。D&DではモンスターマニュアルUやマニュアル・オブ・プレーンズ、それにグレイホークのキャンペーンセットが先に出るそうな。
あっ、そうした話を聞いていて思い出した。D&D翻訳のチーフ桂令夫に会わないと。せっかくの機会だから、ゲーム関係の訳語について小説の方と意思統一をしておこうと考えていたのだ。幸い、ギャラリーに彼と親しい田中としひさ(桂君やぼくとの関係は『おこんないでね』参照)がいてくれたので、見つけてきてくれいと頼む。 |
【トークショー(トラベラー)】 |
そうこうするうちに、「トラベラーを語る」の時間になってしまう(「ボス、トラベラーです、梅の間です。もう10分遅れてます」「大丈夫、雷鳴の田中さんには15分くらい遅れるから、イントロを進めといてくださいと言ってあるから」)。
ここで頭をドラゴンランスやD&Dから、さっとトラベラーに切り換えないといけない。言うは易く、行なうは難し。まあ、しゃべることはだいたいメモしてきたからな、と思ってバッグを探ると、ない。メモがない。
まあいいかと、トークはアドリブで行なった。さすがにトラベラーともなると、出席者はホビージャパン版から行なってきた人たちも多く、顔見知りもちらほら。考えてみれば、雷鳴の田中克明さんもそうした一人だろう。ぼくが着く前の話でも、熱心に自己のトラベラー歴を語ってくれている。新訳でも「これまで楽しんできた人のこともありますし、わたしにも愛着がありますので」とかなりぼくの訳を引き継いでもらったようだ。「だんびら」なんかは、当時<ブロードソード>などまったくが知られてなかった頃の訳だから、変えてもらってよかったのに−−恥かしいやら、嬉しいやら、妙な気持ちだ。
ぼくの方は、ホビージャパン版出版時のいろんな昔話をさせてもらった。デザイナーのマーク・ミラー(才能あるし、ホントいい人です)が日本でトラベラーがヒットしたのに大喜びで、皇帝ストレフォンを名乗って、帝国ナイト爵をぼくに与えると書状で贈ってきたことや、当時のタクティクス誌でアンケート集計を見せてもらうと、トラベラー特集号の人気はほんと群を抜いていてびっくりしたことなど……。
でも、考えてみれば、今回もそうだがトラベラーってほとんど変わってないよね。猛烈に、昔やった佐脇洋平や水野良らとのキャンペーンを繰り返したくなった(R&R2号では、久しぶりにその佐脇洋平がトラベラーリプレイを書いている。以前からのファンの人は楽しんでほしい)。
最後に雷鳴さんからの新製品紹介があって、お開き。ちなみにこの新作『ミサイル』には立派なレフリースクリーンが入っていて、これが昔ぼくらが作ったT&Tスクリーン並みの頑丈さらしい。実際にT&Tスクリーンと厚さ比べをしたというから、笑ってしまった。雷鳴さんは実に良心的なところだ。 |
【ほっと一息……?】 |
この時点で2時。つぎの「ティータイム・セッション」まで30分ある。ほっとしようと思っていたら、田中としひさ君が桂君を連れてきてくれた。
喫茶室で久しぶりにいろいろと話をする。訳語については連絡を取り合おうということで一致。桂君もどうしようかと考えていたこともあったのか、ほっとした様子。彼ももともとトラベラーやルーンクエストなど昔からのファンだから、話がはずみそうになったとたん−−秘書あたふたと登場。
「ボス、つぎのお時間です。みんな待ってます」
「まあ、もうちょっとだけ−−」
「そ、そうですよ、あ、あと2分だけ話させてください(桂君、必死の面持ち、わかるよ、わかる、ぼくだってゲームの話がしたい)」 |
【ティータイム・セッション】 |
というわけで、‘すみません’の5分遅れくらいで、つぎの企画「テイータイム・セッション」に突入とあいなった。
これは、ファンの人とぼくの好きなゲームを楽しもうという集り。去年は‘アクワイア2面打ち’という無謀なことをして、かなり疲労したので、今年はおとなしくカードゲームをいくつかと、できればボードゲームもと考えていた。
まず絶対遊びたいのが、「キングスコート」に「アウスライザー(自転車レース)」、それから「フリンケピンケ」のリメイク「ロコ」に、いまぼくと川人が開発中の‘カードの王国’シリーズ「ドラゴンフラワー」、もし時間があれば今年のドイツゲーム大賞受賞作「アルハンブラ」に、「6ニムト」のクラマーの初期の名作「クープ」。
ごらんになったらおわかりのように、冷静に考えれば、まず時間的に無理である。
しかし、ゲーマーというのは欲張りだ。それにぼくは‘紹介者’という立場になると、なぜか興奮してしまって、あれもこれもと全力になってしまう。
結果、12人の参加者を2つにわけて、それぞれ順に交替で遊んでいってもらうことにした。それでも、1つのゲームをインストするには、短くて15分はかかる。それを充分に楽しんで遊んでもらうには、これまた1時間はかかるだろう。それぞれ1時間15分だから、交替に2つ遊んでもらうだけで、2時間30分−−あっというまにタイムオーバーだ。
インストしようとして、こうした事態に気がついた(遅いって!)。
そうか、2つだけか、それなら多くの人がすぐに楽しめるということで「キングスコート」と「アウスライザー」だな。
「キングスコート」はウノ系(ストップ系)ゲームの傑作。「カードの王国」ではもともとこれを復刊したかったのだが、いまでは版権が不明(出していた会社が潰れ、さらに、その版権を管理していた会社ももはや存在しない。米国著作権協会みたいなところに問い合せてもダメだった)。ということで、別ゲームのキングズ・ブラッドを作ってみたのだが、やっぱりキングスコートも遊んでもらいたい。
インストしてしばらく遊んでみると、みなさんゲーム勘がいいので、すぐににぎやかな場と化した。いいゲームだ。それを遊びたそうに眺めていた隣のグループには、自転車カードゲームの傑作「アウスライザー」を。このゲーム、自転車ロードレースの真髄をついてよくできているのだが、ルールの翻訳が悪くて充分に楽しまれていなかった。それに、日本ではツール・ド・フランスなどロードレースそのものにもなじみが薄い。その辺りを踏まえて丁寧に説明。基本は引き運がからむゲームで、いったんトップ集団から引き離されると苦しくなるけれど、自転車レースとはそういうものだし、それをなんとか耐えるスリルがすばらしいのだよ、と力説。こちらもゲームはすぐに楽しめるので、たちまちみんな熱中。
あっというまに2時間が過ぎるが、見ているばかりでは悔しい(途中で出されたお茶はおいしかったけど)。それを見切ったように「一緒にやってください」コールもプレイヤーからかかったので、喜んで遊ばせてもらった。ふと気づくと6時 |
【「中原の征服者」から「ゴーストハンター02」へ】 |
すぐ隣では、モンコレボードゲーム「中原の征服者」大会が始まろうとしている。なんとかゲームを切り上げて、今度はそちらに突入。
これは参加者を4つにわけ、それぞれが一国のグループとなって、他のグループを上回ろうと作戦を練る。種々の条件のある卓に、最適のプレイヤーを送り出さねばならない。例えば、とにかく得点を稼ぐという初心者用の卓もあれば、得点が2倍になるとか、次回に有利な条件がつくとか、上級者向けの卓もある。国王は各プレイヤーの希望を聞きつつ、結果を見ながらその場で適切なプレイヤーを選んでそれぞれの卓に着かせるよう決定する。
ぼくは国王に選ばれているので、責任は重大。もっとも途中で「ゴーストハンターRPG02」が始まるので、いざというとき用に日高卓が宰相についてくれる。ふふふ、将が二人もいれば楽勝だぜ、と思いながら作戦を練る。事実、1回戦はかなりうまくいった。
しかし、この頃から腹がなり出した。7時にちょっと食事休憩−−ブランチから何も食べてないものなあ。だが、これがいけなかった。さすがに疲れたのでビールをごくごく。う〜、気持ちがいい。まだ8時か、つぎの3回戦の作戦会議は8時半くらいだな。いまのうちに部屋に戻って、「ゴーストハンター」のシナリオでも確認しておこう……
(zzzzz……)
……はっ、電話が鳴っている。ここはどこ? オレは誰?!
しばらく現状がつかめないまま、受話器を取る。
「ボス、9時半です。みんなが心配しています」
はあ? いかん、疲れと酔いで部屋でうたたねしちまったい!
あわててかけ戻ると、「中原の征服者」は4回戦に入っており、わがチームは最下位ではないか。これはいかんと日高と必死の立て直しをはかり、独走する加藤チームを引きずり落とすため、他の北沢、杉浦チームとも同盟をはかったのだが、おしいところで勝てなかった。後で、「4回戦の前に国王が戻っていて、あの作戦(同盟)を取ってくれてれば……」と悔しがるチームメンバーもいた。申し訳ない、すべてあの‘睡魔’が悪いのだよ。
もっとも、この後は頭もすっきり。「ゴーストハンター02」では、乗りに乗ったGMができた。
もちろん、プレイヤーのレベルや質もうまくばらけていた。慣れてないけどまじめな人。慣れているけどすれてない人。すれているけど、限度をわきまえている人(あるいは、GMと緊張感を保ちつつ合わせられる人)、個性とバランスが見事にとれて、ふと‘これってオーケストラの指揮者気分?’みたいになれること数度。
ホラーなのに途中で笑いが止まらなくなったり、吹き出すこと数えきれず−−いやあ、コンベンションでこんな気分になれるのは久しぶりだった(もちろん、たいてい楽しいんだけどね。でも、心の底から発散でき、酩酊したような気分までいくのはまれ)。しかも、それだけ密度が濃い空間を楽しんで、ぴったり予定時間どおり−−2時だ。終わってから、だれもがなんとなく席を離れがたく、キャラクターシートに何か書いてほしいと自然になったのもわかる気分がする(‘君たちは最高のプレイヤーだ’と書いた)。やっぱりゲームも体調を整えるに限るね。 |
***** 三日目/最終日 ***** |
時間蝿は飛ぶのが速い。始まったばかりかと思っていても、もう3日目、最終日だ。
でも、今年は調子がいい。例年3日目は声が嗄れ出すのだが、そんなことは全然。例年以上にゲームをしているのに不思議だ。逆に、風邪のせいもあるのか、友野や秋田の声がひどい。秋田などは「おはよう…ございます……森進一です」とギャグにしてまだ余裕があるが、友野にいたっては口をただぱくぱく、まったく声が出ない。これには心配になった(いまは回復したけど)。
それに対して、こちらはまあ眠かったが、予定どおり8時にすっきり起床。ぼくとしては異例の、朝の9時からの六門世界RPG第2ラウンドとなった。
シナリオは新しいもので、今度は召喚術師のキャラクターになる人が2人いた。1人はごく普通にグレイウルフを取ったのだけれど、もう一人は、よくいる‘ちょっとかわったことがしたい’タイプ。で、選んだモンスターはシャドウストーカー。しかも、それを‘下撲’と呼んでいる。
ほう、そうなの、じゃあ、GMとしてちょっと遊ばせてもらうわなあ−−と、今回のセッションではかなりシャドウストーカーの役割で掛け合いをさせてもらった。
‘ほら、旦那、あんたの力が足りないから、またあっしの能力が発揮できませんでしたぜ’
‘えっ、あっしを盾に使って、自分は安全なところでお休みですかい。なら、すぐにくたばっちまって、あんたを前に引っ張り出しましょうかな。たぶん、あっしの呪いでサイの目は悪いですぜ。(プレイヤー振る)ほら、1だらけだ!’
モンスター演技はやりすぎると嫌味になるけれど、プレイヤーを選んで適度にやると六門RPGならではのオモロイ味になる。今回のプレイヤーは、最初あっと思ったらしいけれど、それからはうまく乗ってくれ、しかも、他の連中も喜んでくれているのがわかった。慣れてくれば、六門RPGのGMはこうした方法も試してほしい。セッションの潤滑油になりますよ。 |
【モンコレ決勝戦/ドラゴンを倒せ!】 |
六門が終わると、もう昼の1時になっていた。ここでようやくちょっと時間がとれる。食事をし、物販ブースを見、いろんなところをちらちら。フリールームなどは満杯で、しかもRPG、TCG、ボードゲームといろんなものが遊ばれている。
こちらは、ちょっと時間つぶしにクリベッジをしていると、隣でモンコレの決勝戦が始まったようなので、それを観戦に。
それまでのトーナメント結果を見ると、ヒデさんが敗れている。そうか、今年も連覇はなかったか、厳しいな……と感じながら対戦を見ていると、決勝ではハイランダーデックのすばるさんが一気にギルマンなどのぽよ脳さんデックを押しきっていた。新チャンピオン誕生だ。これまで関東4連覇のあと、関西が奪取して、今度は中部圏に優勝杯が−−バランスは取れてるな。おめでとう、すばるさん。
と、思っていると「ボス、ハイパーT&Tです。‘ドラゴンを倒せ’です」の声が。そうだった。同じ時間におなじみのサイコロ大決戦が始まっていた。
あわてて、そちらに直行。こちらも毎年の行事ということもあって、人がいっぱい。いよいよドラゴンブレス第4撃ということで、800個のサイコロを掛け声とともに床にぶちまける。出た、最高ヒット!!(実は、この段階ではまだわからない。なにしろサイコロ800個の目を数えるんだから)
さあ、どうなったと結果を心待ちにしていると、今度はモンコレの表彰式が。会場を行ったり来たりでなんだかせわしなかったが、‘ドラゴンを倒せ’に戻ってみると今年はドラゴン側の僅差の勝利ということで部屋は大いにわいた。たまにはドラゴンも勝たなくてはね。 |
【そして、来年……】 |
この段階で、もう午後4時を過ぎている。閉会式は5時からで、あと1時間は遊べるのだが、さすがに中途半端になりそうなので控え室で休むことにした。
人間の体とは不思議なもので、逆にこうした休憩を中途半端に取ると、急に疲れがどっと出る。なんだか5時からの閉会式はぐったりとしてしまい、頭はまだまだゲームができるぞ、と叫んでいるにもかかわらず、全身へとへとだった。きっと、参加した人たちもいっしょだっただろう。まあ、裏を返せば、それはJGCを楽しんだという証でもあるわけで、充実感は大いにあった。
ホテル浦島さん、長い間ありがとう。そして、いっしょに参加してくださった人たちにも感謝。また来年、(どこかで)会いましょう。 |
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