■当日 |
黄金週間――
それは、春を楽しむために神が与えたもうた大型連休である。
あるものたちは旅行へ行き、あるものたちは皆で集まって休日を楽しむ。
そして、我々TRPGゲーマーは……
きっと、TRPGを遊ぶのであろう。
2009年4月29日、東京は快晴。
春特有の清涼な空気が流れ、爽やかな日差しが降り注いでいた。
そう、その日はまさにTRPG日和だった。
久々のイベント遠征に胸を高鳴らせ、力造はR&Rステーションへと到着したわけだが……
店長さん「おや、力造さん。ちょっと早いですね」
しまった。
うっかり早く到着しすぎた。
気をとりなおし、店長さんに案内されたシークレットブースにて待機。
体育座りにて5分ほど待機する。
その後、豪華なゲスト陣がぞくぞくと登場。
少しだけ、映画やゲームの話をする。
しかし、力造はいまだ体育座りのままであった。
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■イベント開始 |
12時になった段階でイベント開始。
店長さんの司会のもと、ゲスト及びシステム紹介へと移行した。
今回、イベントのために懐へと忍ばせてきたのは新システム『セイクリッド・ドラグーン』。
小説家にしてさすらいのリプレイライター、そして恐るべき奇食家という一面を持つ、SNEの気鋭・諸星崇が世界観を担当し、不詳、この力造がシステムをデザインした実戦志向の一品である。
このゲームを簡単に説明すると……『セイクリッド・ドラグーン』は、異世界「エルヴェリア」を舞台としたファンタジーTRPGである。
この世界は、全体の七割が〈魔境〉と呼ばれる、物理法則が崩壊した異常空間によって埋め尽くされている。
〈魔境〉の内部には、恐ろしい力を持ったドラゴンが住み、人々の暮らしを脅かしている。
プレイヤーたちは、森羅万象の力――〈竜脈〉を宿した人類の希望〈竜脈使い〉となり、人々を救うために〈魔境〉へと挑み、奥底に巣食う強大なドラゴンと対決するのである。
『セイクリッド・ドラグーン』には、特徴的なシステムとして[竜脈操作]が存在する。
[竜脈操作]は、全部で6個の六面体サイコロを使用し、うち2個を判定に用い、残り4個を[竜脈]と呼ばれるコストとして使用する。
〈竜脈使い〉は判定の際に2個のサイコロを振って判定を行ない、1個を残して[竜脈]内のサイコロと入れ替える。
これを繰り返すことで[竜脈]内のサイコロが変化し、キャラクターたちが取得している能力のコスト(「3・3」、つまり、サイコロの目「3」が2個必要――といった具合)として使用が可能となるのである。
ざっくりと言えば、4個ある[竜脈]内の出目を、マージャンやポーカーのように役をそろえることで、強力な能力を使用できるのである。
ちなみに、今回のイベントに共に参加した藤澤さなえさんは、伝家の宝刀『ソード・ワールド2.0』を準備。
我らが兄ィ、小説家北沢慶がメインとなり、SNEの最強メンバーが伝統の技法と新時代の技術を融合させて創りあげた名物システムである。
我々以外にも、スザク・ゲームズの朱鷺田裕介氏、冒険企画局の河嶋陶一郎氏、主にF.E.A.R.で活躍する三輪清宗氏など、ゲストメンバーとシステムもまた、極めて豪華だった。
準備されたシステムは『ソード・ワールド2.0』や『セイクリッド・ドラグーン』に加えて、『深淵 第二版』『アジアンパンクTRPG サタスペ』『異界戦記カオスフレア SECOND
CHAPTER』『ガンドック ゼロ』、そして、冒険企画局の話題の新作『現代忍術バトルRPG
シノビガミ −忍神−』などがあった。
「くッッ、オレも遊びたい……具体的に言うといますぐに!!」
……と思ったのは、ここだけの話にしてほしい。
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■『セイクリッド・ドラグーン』卓(力造) |
さて、力造の卓が、どのような内容であったかを簡単に説明しよう。
プレイヤーは5人。新作『セイクリッド・ドラグーン』の内容はある程度知っているものの、未経験であるプレイヤーさんがちらほらと参加されていた。
本当に、ありがたいかぎりである。
キャラクター作成では、1人を除いてサンプルキャラクターを使用。
使用されたのは『人間の神器使い』『人間の世界使い』『トリニティスの討滅士』『アルテルの救世者』。
すでにルールブックを所持していたプレイヤーの1人がバルキという、高い【生命力】を誇る大柄な種族を用いて、タフな『戦略級魔法士』を作成していた。
神器使いは、自らが持つ武器を聖剣や聖槍へと変える強力な戦士。
世界使いは、空間を操作する特殊な魔法を体得した魔法使い。
討滅士は、対モンスター用の強力な武術を体得した戦士。
救世者は、高度な回復魔法を体得した、いわば僧侶。
戦略級魔法士は、高い威力を誇る攻撃魔法を体得した魔法使いである。
GMを務める力造が注視したのは、『人間の世界使い』と『トリニティスの討滅士』が同時に存在することであった。
この2つのキャラクターは、《法則解除(ほうそくかいじょ)》と呼ばれる、敵の攻撃や効果を打ち消す能力を体得している……いわば超強い能力を持ったキャラクターなのである。
誰だ……こんなに強いサンプルキャラクター作ったのは!?(注:オレ)
ともあれ、この5人の〈竜脈使い〉たちは、とある港街を恐怖のどん底に陥れる、恐るべき海竜を退治するために大海原へと出発。
海竜が住まう〈魔境〉へと到達した〈竜脈使い〉たちは、危険な罠を順調にかいくぐり、見事に海竜のもとへとたどり着いた!
そして――
海竜 |
「全てを凍てつかせる我が《ブレス》を喰らえ!」 |
人間の世界使い |
「《法則解除》!」 |
海竜 |
「消滅しただと!? うぬぅッ、ならば我が《全力攻撃》を――」 |
トリニティスの討滅士 |
「あ、《法則解除》で」 |
海竜 |
「ひぎぃッッ!!」 |
[竜脈]が廻る。
人間の世界使い |
「《法則解除》」 |
トリニティスの討滅士 |
「《法則解除》」 |
海竜 |
「らめええぇぇぇぇぇぇ!!」 |
世界の力が廻る。
人間の世界使い |
「じゃあここで神器使いの必殺技、《必滅の神器》を使って、大ダメージを与えまーす♪」 |
海竜 |
「ドラゴン汁出ちゃうのおぉぉぉお!?」 |
不確定を確定させ、偶然を必然へと返える超常能力。
森羅万象の力[竜脈]を宿した超人、〈竜脈使い〉たちは……
やはり強かった!
GMの出目は悪いのか、はたまたPCたちの〈竜脈〉が異常なほど廻ったのか――ともかく、人々に恐れられた海竜は、超強い〈竜脈使い〉たちによって、血と肉が詰まったサンドバックの如く、ボコボコにされてしまったのであった。
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■セッション終了 |
そして、楽しかったセッションの時間は終りを告げた。
『セイクリッド・ドラグーン』卓は、周囲よりも若干早めに終了。ここで一息ついた力造は、周囲の卓へと耳を傾けてみた。
『ソードワールド2.0』卓からは、ワイワイと楽しそうな声が聞こえる。
『深淵 第二版』の卓からは、感嘆の声が聞こえる。
『アジアンパンクTRPG サタスペ』卓では爆笑の渦が巻き起こっている。
『異界戦記カオスフレア SECOND CHAPTER』卓では、元気にロールプレイするGMやプレイヤーたちの声が染みとおるように聞こえる。
『ガンドック ゼロ』卓では、ああでもないこうでもないと……楽しそうに戦術を練っているプレイヤーたちが見える。
『現代忍術バトルRPG シノビガミ −忍神−』では、温かな笑い声や、真剣なロールプレイの声が入り混じっている。
とにかく、他の卓からも楽しそうな雰囲気がじわじわと伝わってきていた。今日のセッションは、他の卓も、きっと大成功だったに違いない。
その後、残った時間を使って力造は同卓したプレイヤーたちと共にカードゲームに興じた。
ちなみに結果は力造1人惨敗であったことを付け加えておこう。
セッションに参加してくださった皆様。遊んでくださり、本当にありがとうございました!
とにもかくにも、『R−CON』は大盛況のまま終了を迎えた。
セッション後はそれぞれの卓のGMが、今日のセッションの感想と、近々の発売予定商品の紹介を行なった。
まずは『ソード・ワールド2.0』。こちらは藤澤さんから――
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■『ソード・ワールド2.0』発売予定商品(藤澤) |
まずは既刊の『ミストキャッスル』と『拳と魔封の物語』。どちらも好評発売中です!
そして5月には『新米女神の勇者たち』の新刊、あと、待望の北沢さんの長編小説『剣をつぐもの』が発売です、よろしくお願いいたします!
え? 『たのだん』ですか? 『たのだん』も夏の終わりに新刊が出ますー!
他にキネティックの準備も進んでますよ。よろしくお願いいたします!
とのこと。
皆様、是非ともご期待いただきたい。 |
■気になった作品 |
なお、ゲストの皆様からも、さまざまな紹介が行なわれていたが、力造が個人的に気になったのは、やはり新作TRPGである『現代忍術バトルRPG
シノビガミ −忍神−』であった。
現代の闇に潜む超人――『忍者』たちは、それぞれが必殺の忍法を体得しており、常人では目視できぬほどの速度で激闘を繰り広げ、人知れず力尽きてゆくのだという。
力造は「忍者」や「侍」といった言葉に目がないので、是非とも買って遊んでみよう! と思った。いまのうちに、どんな忍者をするか考えておかねば……。
ちなみに、今回の『ソードワールド2.0』は、藤澤さんオリジナルのシナリオだったので、普段どおりルールブック
I 〜III を用いて遊んだとのこと。
ただ、登場したモンスターの一部は『ミストキャッスル』のデータを使用したらしい。
藤澤さんから、今回のセッションの感想を簡単に教えてもらった。
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■ソード・ワールド2.0卓(藤澤) |
今回は久々にオリジナルでシナリオを作りました。
舞台はリルズ神殿の遺跡だったのですが、そこには小神になったリルクとリルニカが奇跡を起こしたという伝説が残る地底湖があったんですね。
で、その湖に、
複数人が手を繋いで入ると何かが起こる!
て、情報を渡したら、プレイヤーたちは誰と誰が手を繋いで入るかで、喧々諤々と話し合っていました(笑)。
みんな男PCだったし、肝心のスカウトはエルフ生まれのナイトメアで、水を怖がるし(笑)。
GMとしても、いろいろ語り合ってほしい場面だったので、卓上が盛り上がって嬉しかったです。あと、結構クリティカルが連発するセッションだったので、モンスターはどんどんサクサクやられちゃいましたね。実は、予定より多くモンスターをだしたのは、今だから白状できるヒミツです!
『ミストキャッスル』では追加モンスターデータも充実していて、マジオススメです!
とのこと。
今回のセッションは大成功だったようだ。
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■サイン会 |
その後、ゲスト陣によるサイン会が開催された。
この瞬間は、いつも思うが読者の皆様へ感謝の言葉が絶えない。
普段、あまり接触のとれないユーザーの方々と親密になれる貴重な時間……ゆったりと楽しませてもらいました。
皆様、貴重なお話ありがとうございます!
本を持って来てくださった皆様、まことに感謝しております!
本当にありがとうございました!
というわけで、『R−CON』レポートはこれにて終了。
お招きくださったアークライトさま。ありがとうございました。
これからも我々を、ぜひ『R&R』のイベントに呼んでくださいませ。
よろしくおねがいします。
読者の皆様も機会がありましたら、ぜひとも我々と一緒に遊んでくださいませ。 |