第三章  旅行者に優しい国勢調査・イスタンブール観光…の巻(2000年10月22日(日))

 22日の日曜日、トルコでは国勢調査のため、全国的に外出禁止。仕事その他で外に出る人は許可証が必要とのこと(パスポートを持った観光客は別)。
 通りのあちこちに検問があり、われわれも頻繁に足止めを食らいながらカッパドキアからイスタンブールに戻る。トルコ一の人口を誇るこの街にもタクシーや観光バス以外、ほとんど人通りがない
 それをいいことに、われわれは折から降り出した雨をものともせず、さっそく観光に出かけた。ローマ帝国、ビザンティン帝国、オスマン朝と歴史の変遷をたどったイスタンブールは、独特の文化を作り上げ、今も中世の趣を色濃く残している。「トルコとはかくありなん」というわれわれの期待を裏切らない、美しい街だ。

☆ アヤソフィア寺院とブルーモスク

雨に煙るブルーモスク
6本の尖塔を持つイスラム寺院。
下のアヤソフィア寺院に対抗するため、スルタンアフメット1世によってその真正面に建築されたらしい。いくらイスラムの威光を示すためとはいえ、そこまで露骨にやらなくても……と思うのは、不信心者のゆえか?
内部はブルーのタイルを基調としていて、実に美しい。
靴を脱いで上がる絨毯敷きの聖堂は、くつろぎの空間。西洋人のカップルが仲睦まじく身を寄せ合っている。
しかし、彼らはどう見てもキリスト教徒。いいのか、こんなところで愛を語らっても? その愛は誰に祝福されるのだ?
ブルーモスクから見たアヤソフィア寺院(写真左上)
4〜6世紀にかけて完成されたギリシャ正教の大本山。
15世紀、コンスタンティノープルの陥落に伴い、イスラム寺院に変えられたらしい。その際、壁のモザイク画は漆喰で塗りつぶされ、イスラム文様に埋め尽くされた。20世紀になってそれが発見され、現在修復中という(写真右上が修復中のモザイク画)。

聖堂内には黒地にアッラーやカリフの名前などを金文字で記した巨大な円板が飾られ、イスラムの権勢を誇示している。が、間近で見ると、実は安っぽい「張りぼて」だったりして笑える。
地下宮殿
旧市街の地下にある貯水池。4〜6世紀に作られたというローマ時代の遺跡。
じつは今回見学した旧跡の中で、カイの一番のお気に入り。
逆さになって柱をささえるメデューサが妖しい(写真右上)。
発見されるまでは誰にも知られず、市民は自分の家の床下に穴をあけて釣りを楽しんでいたというのだから大らかだ。
トプカピ宮殿
イスタンブール観光の目玉の一つ。有名なハレムも見学できる。
オスマン朝の誇る秘宝の数々は圧巻。重さ3キロ、世界最大のエメラルドや86カラットのダイヤモンドはもちろん、無数の宝石が無雑作に展示されている。

たった一個のアクセサリを血を吐く思いで購入した自分があさましくさえ思える。
新婚旅行では行かないほうが賢明だろう。婚約指輪に給料の何ヶ月分と見栄を張っても、スルタン様のご威光にはかないませんわな。

☆ テレビ・インタビューを受けるのこと

 観光に出かけたわれわれは、アヤソフィア寺院の前でテレビ(たぶん)のインタビューを受けた。もちろん答えるのはマコちゃんだ。

「このような(全国的に外出禁止の)国勢調査をどう思いますか」
「日本で同じことをやったら大混乱が起こるだろうと驚いている。だが、われわれにとっては観光名所をゆっくり見学できる上、治安もいいのでありがたい」


 ユーモアを交えながら流暢に英語を操るマコちゃん。さすがである。
 インタビュアは「この日本人観光客はいける!」と踏んだのだろう、(なぜかカイを通りこして)ヨーコさんにマイクを向ける。堂々とそれに日本語でこたえたヨーコさんも立派だ。
 で、次はお待ちかね、ボスの番。抜群の語学力を誇るボスだが、マイクが近づくたびにそりかえり、しまいにはあお向けに倒れてしまうのではないかとはらはらする。スタンドプレイが苦手で「英語を話す」ことに弱い典型的日本人の姿を見、ボスも普通の人であったのだなあ、と逆に嬉しくも思ったのだった。

☆ トルコ料理とトルコの若者について…

 トルコ料理はおいしい! 強行軍の旅にも関わらず比較的元気に過ごせたのは、そのおかげだろう。ナス、マッシュルーム、トマト、ほうれん草…とにかく野菜が美味。味付けも油っぽくなく、あっさりとしている。名物料理ドルマ(野菜に肉やご飯を詰めたもの)は、特にボスのお気に入りだった。
 ガイドのセダッツ君にそれを言うと、「でも、ボクのお母さんの料理が世界一おいしいよ」−ぬけぬけと言い切る。
 イスタンブールのバザールの店員(24,5才の若者)も仕事中にお母さんから電話がかかってきて、夕食の買い物を頼まれていた。で、またそれをカイに嬉しそうに話してくれる。「もう、うちのママったら…てへッ」って感じだ。
 思うに、トルコの若者は相当なマザコン。お母さんを大切にする男の子は優しい人が多いけど、ちとやりすぎでないかい? お嫁さんになる人は苦労するぞ。
◆「第四章 トルコお買い物事情」に進む。

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