エッセンレポート2011 |
執筆:石在神明 |
【10月19日(水)】 |
秋だ! ドイツだ! ボードゲームだ!
というわけでやってきました、ドイツ西部の都市、エッセン!
人口60万人近いこの都市では、毎年10月にボードゲームの世界的見本市、エッセンシュピールが開催されるのです!!(シュピールは「遊び」「ゲーム」の意)
まずは朝8時に関西国際空港で我らがボス、安田均と待ち合わせ。
渋滞で15分ほど遅れるなどのトラブルもありましたが無事に合流し、簡単に買い物と両替を済ませて国際線出発ロビーへ。
今回乗るのは、ドイツ連邦共和国のフラッグキャリア、ルフトハンザドイツ航空。
ほぼ10年ぶりの海外旅行にドキドキしながら待っていると、飛行機はゆっくりと動きだし、徐々に機首を上げ、ついには大空に飛び立ったのです!
機内では新人のぼくにSNEの社史を語ってくれるボス。
話し込んでいるとあっという間に12時間が経っていました。
そして見えてきた、ドイツの街並み!
無事に飛行機は着陸し、バゲージクレームへ。
でも、ここでトラブル発生!
ボスの預けた、カートだけが届かないのです。
ぱっと見ただのカートだったので、空港備品と間違えられたんじゃ? なんて推測も、正直何の役にも慰めにもなりません。
そして、刻一刻と迫るドイツ高速鉄道"ICE3"の発車時刻。
「あかん、あきらめや! また買お!」
ボスの決断で、我々はフランクフルト空港長距離駅に向かうのでした。
フランクフルト空港駅は、長距離駅と短距離駅に分かれています。
まあ、日本で言えば在来線と新幹線みたいなものです、たぶん、きっと、かっと。
発車ベルが鳴ります。
あっ!
というまにフランクフルトからデュッセルドルフまでひとっとび。
と、ここでまたまたトラブル発生。
旅行代理店から指定されていた列車は、なんとアムステルダム行き。
これに乗るとエッセンではなく、オランダに行っちゃうところでした……
そんなこんなで、エッセンシュピール会場メッセエッセンに隣接するホテル、アトランティックコングレスエッセンにチェックインしたのは、日本時間の深夜3時過ぎだったのでした…… |
【10月20日(木)】 |
翌日、空港で回収できなかったカートを買うため、朝からエッセン市内へ。
と、駅から出たところで、ボードゲームショップ・バネストの中野店長とばったり。
マクドナルドでドイツ流の朝マックを堪能しながら、情報交換(笑)タイム。
その後、一足先に会場に向かう中野店長と別れ、ぼくたちはデパートへ。
ボスがカートを選んでいる間、 デパートの中を物色していると……
ヘンケルス、WMF、ルクルーゼ、ティファール、デロンギ……ヨーロッパの食器、調理器具、調理家電のブランドがずらりなコーナーに到達!!
一人暮らしをしていた頃、食べることが大好きなぼくは、暇を見つけてはデパートや量販店で憧れのブランド調理器具を眺めていたのです。しかも、当時はお高くて手も足も出なかった数々が、ユーロ安の影響もあってか、驚くほど安い!!
目の色を変えて矯めつ眇めつしていると、いつの間にか背後にカートを引いたボスの姿。
ああ、さようなら、ヘンケルスの包丁セット、WMFのパスタ鍋……ぼくは行かなくてはならないのです〜
後ろ髪を引かれつつデパートを後にしたぼくでしたが、会場に着く頃には初めてのエッセンシュピールへの期待で、ウェットな気分はすっかり吹っ飛んでいました。
入場待ちのボードゲーマーたちを前にパチリ。
会場には10分ほどの待ち時間で入れました。
入って圧倒されたのは、その熱気!
ゲーマーたちがひしめき合い、歩くのにも苦労する有様です。
なんと言っても、各ブースに設けられたプレイスペースが、どこもかしこも完全に満杯。
ボスが言うには、今日は業者日で人出は少ないはずらしいのですが……
こういうのは普通、「少ない」じゃなくて、「ひしめいている」って言うと思うのです。
ぶらぶらしながら、まずはサンダーストーンのメーカー、AEGのブースへ。
なんと、今後のサンダーストーンのスケジュールなんかを教えてもらっちゃいました!
「このプロジェクトを社外の人に話したのは、君たちが最初さ」
にこやかに秘密をこっそり教えてくれるAEGのジンザー社長。
残念ながら、来年になるまでその内容は発表できないのですが、AEGとSNE&アークライトの海を越えた友情に思わず感激しちゃいました。
「今日はボードゲームは買わずに、会場の空気を楽しむだけにしよう!」とボスと約束していたにもかかわらず、気がつくと二人とも両手いっぱいのボードゲーム……
おかしいなぁ……必要最小限度の物しか買ってないはずなのになぁ……
とりあえず、荷物をホテルに置きに戻ります。
身軽になったぼくたちは、当然、再び会場へ。
もう買う物買ったので、今度こそ会場の空気を味わうべく、広い会場のさらなる奥地へ向かいます。
「ボ、ボス、あれはもしかして?」「気づいたか、中古ゲーム屋のストリートや!」「ひゃっほーい!!」
気づくと、またボードゲームが両手いっぱいになってました……
閉場間際、ぶらぶらしているとゲームストアバネストの中野店長と会場で再びばったり。すぐ近くでブースを出していた冒険企画局の近藤局長も誘って、4人でディナー。
ちょっと変わったチャイニーズレストランで、料理はおいしく、話も楽しく、素敵な時間を過ごすことができました。
ところで、その行き帰りに、ボードゲーマーなら思わず「おおっ」と言ってしまいそうな光景が、2つ。
「カタンの開拓者」があしらわれたラッピングバス!
「アローザホテルの殺人(アロザ殺人事件)」の舞台(たぶん)のホテルアロザ!
なんだか「ドイツに来たんだなぁ」と感慨深くなるのでした。
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【10月21日(金)】 |
今日も今日とてエッセンシュピール。
まずはフランスのゲームメーカー、ムーンスター社のベルトランド社長と商談です。
話すのは、もちろんキャット&チョコレート欧州版「テキサスゾンビーズ」です!
イラストを何枚か見せて頂きましたが、雰囲気があって、なかなかいい感じです。
「ちょっとお待たせしていますが、必ずやり遂げます」と約束して頂きました。
みなさん、楽しみにしていて下さいね!
さすがに昨日買いまくったので、今日はあんまり買い物はしませんでした。
というか、昨日の時点ですでにトランクに入りきらず、これ以上買ったら郵送しなきゃいけない状態なのです……
ぼくもボスも大人なので「アレ欲しいなー」「コレ欲しいなー」と言いながら、会場内でウィンドウショッピングを楽しみます。
正直、ちょっと不完全燃焼気味ですが、昨日20個以上もの新作ゲームを買ったので仕方ありません。
反省はしているが、後悔はしていない!
その後、ボスと別れてお互い単独行動となりました。
雑貨コーナー(?)でいろいろ物色していると、面白いものがいろいろあります。
たとえば、2面ダイス。
コインじゃありません、ちゃんと2面で「ダイス」なんですよ!
他にも、ホブゴブリンビールとか、キングゴブリンビールとか。
キングゴブリンビールは、ブラックモルツだそうです(笑)
ほかにも、様々な雑貨ショップやらダイスショップやらぬいぐるみショップやら……
お姉さんきれいやなぁ……(笑)
夜は、けん玉パフォーマーコンビ「ZOOMADANKE(ず〜まだんけ)」のお二人とカリーヴルストを食べに行きました。
ず〜まだんけのお一人は、おもちゃコンサルタント兼おもちゃコーディネーターで、ドイツゲームスペース@Shibuyaのゲームマスター、児玉健さんです。
食事の後はホテルで軽くゲームを遊び、そのあとけん玉パフォーマンスを見せて頂きました。
……す、すげぇ!?
けん玉って、剣と玉を結ぶ糸を切るだけで、こんなに面白いジャグリングになるんですね!
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【10月22日(土)】 |
今日は昼から富士見書房の方と合流して、エッセンシュピールを満喫する予定。
SNEの新作カードゲーム「モンスターサーカス」を来年出版して下さることもあり、世界のボードゲーム/カードゲーム市場を視察するのがねらいだとか。
が、その前に。
「エンドブレイカーSCG!」「エンドブレイカー!SCG アマツカグラ」をエッセンで販売してくれている2つのブース、ヤポンブランドとカードハウスにご挨拶。
お世話になっております〜!
そして、「マーメイドレイン」の英語版を翻訳出版してくれているZ-man Gamesにもご挨拶。
社長のZev氏から新作の情報などをこっそり教えて頂き、今後のZ-man Gamesの活躍によりいっそう期待が高まります。
SNEからも「NEW トレインレイダー」をはじめ、いくつかの新作のアイデアを披露したりして、これからも互いにすばらしいパートナーであり続けることを約束したのでした。
ゲームリンクでも記事を書かれている翻訳家の小野卓也さん、正田謙さんらと会場内の屋台でランチタイム。
久しぶりの再会に話も弾んで、あっという間に一時間過ぎてしまいました。
山下社長、高木編集長、編集担当の稲垣さんという富士見書房の最強トリオと無事に合流。
特に、稲垣さんとぼくは、お互いまだ前の仕事をしているときにゲームサークルで知り合ったのですが、まさかこんなところでこんな再会をするとは!
と、しばし再会を懐かしみながら会場内を歩きます。
初めてのエッセンに、戸惑いながらもワクワクを隠せない皆様をご案内してゆきます。
……といっても、ぼくも2日前に初めて来たばっかりですけどね(笑)
稲垣さんは、日本で買うよりずっと安いボードゲームに目の色を変えっぱなし。
中古ゲーム屋がありますよ、と言うと、そわそわし始めます。
「あとで自由時間をあげるから、君は存分にボードゲーム買ってきなさい」
上司のお言葉に、稲垣さんは大喜びです。
会場をぐるりと一周して、山下社長、高木編集長と、ボスは打ち合わせのためにホテルへ。
「あとはお若い者同士で」と冗談めかして言われた気がしますが、そこはそれ。
ぼくと稲垣さんの二人は、まだ見ぬ何かを求めて、会場内をあちこち歩き回ります。
そして、中古ゲームショップで片っ端から欲しかったゲームを探しまくっているところに、打ち合わせを終えたボスも合流。
3人で古いゲームを漁り続けます(笑)
夜は、ボスのオススメするトルコレストランで、富士見書房の皆様とディナー。
スパイシーなヨーグルトディップを前菜に頼んだんですが、コレがまた美味いこと美味いこと!
肉もボリューミィでおなかがはち切れそうです。
ここで豆知識。
トルコのヨーグルトドリンクは、インドのヨーグルトドリンク、ラッシーと違って、粘り気がなく、塩味なんです。
でも、驚いたのは最初の一口だけで、飲めば飲むほど癖になる味わいなんですよ!
皆さんも、機会があればぜひ、味わってみて下さいね!
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【10月23日(日)】 |
「時間の流れは一定ではない」と言ったのは物理学者のアインシュタインです。
楽しい時間はあっという間に過ぎてゆきます。
寝て、起きて、長距離高速鉄道のICEに乗り、フランクフルト空港まで一直線。
お土産を物色し、かるく軽食をつまんでから出発ロビーへ。
1時間後には飛行機は飛び立ち、その12時間後には、もう日本です。
満喫したのは確かですが、いざ空港まで来ると、なんだか名残惜しくもあります。
「恋は人を詩人にさせる」と言ったのは、古代ローマの哲学者プルタルコスでしたが、旅も同じく人を詩人にさせてしまいます。
ぼくも、離れてゆくドイツを眼下に見ながら、今回の旅に思いを馳せてしまいます。
おいしかった中華、おいしかったカリーヴルスト、おいしかったヨーグルトペースト……
さらばドイツ、また、会う日まで!!
そんなわけで、ドイツはエッセンシュピールの旅もここでおしまい。
おつきあい、ありがとうございました!
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