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【24】

<エンディング>

「ケサノトクダネデス」
ジボーが、銀河ネットで拾ったどうでもいいニュースを並べている横で、泥のようなコーヒーをすするのがヤッティの毎朝のルーチンだ。二日酔いにはこれが一番いい。
宇宙船の中でも就寝、起床の時間くらいは決めておかないと、人間は簡単に調子を崩すし、酒を呑む時間にも際限がなくなるから、やはり朝というのは重要だ。
レイスが朝のジョギング……といっても貨物室をぐるぐる回るだけのそれ……を終えて戻ってきて、汗まみれのタオルをそのへんに投げ捨てる。シーラがいなくなってたった数日で、ゲストルームはものの見事にかつての混沌を取り戻していた。
「……!!おやっさん、これ!!」
ジボーの並べたニュースの中のひとつに、レイスが目を見開いた。
そう遠くない宙域の商業コロニーで、腹を裂かれたフィメール人……だったものが複数発見されたという見出しだ。発見された遺体はどれもフィメール人の体型とはまるで異なる醜い姿に変容しており、服やパスポートがなければそれが人か動物かの判断すら難しかったそうだ。
銀河警察当局は、遺体の状況から被害者は何らかの寄生生命体に取り憑かれたのではないかとの見解を発表しており、現在も調査が続いているとのこと。
……。
呆然として顔を見合わせる2人の背中には嫌な汗が流れたが、だからといって何ができるわけもなかった。
「ドウカシマシタカ?」
無機質なジボーの声が、ただゲストルームに流れた。
あれから、シーラとは一度も連絡がつかない。

- END -

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