【 G M 編 】 |
GMの初セッション前の準備といえば、
一番大きなところはシナリオ作成だろう。
ここではシナリオ作成を中心に、おさえておきたいワンポイントを紹介する。 |
GM編その1 シナリオレベル |
GMは、PCの強さ・プレイヤーの熟練度を考えてシナリオを作る。これが、「シナリオレベル」という考え方だ。
GMがいちいちシナリオレベルを考慮する必要があるのは、GMの仕事&楽しみは「プレイヤーを楽しませること」にあるからだ。
強すぎてPCには勝てない敵を出したり、逆に弱すぎて歯ごたえのない敵をいっぱい出したところで、プレイヤーを楽しませるのは難しいはず。そこで参考にしたいのが、ルールブック53ページからの「ダンジョンの強度」だ。ここを参考にすれば、PCがどれくらいの強さのときにどのくらいの敵を出せばいいのか、大体の見当がつくのだ。
しかし、「ダンジョン強度」どおりにシナリオを作ると、ややボス敵が強いことがある。これはなぜか?
答えは、たぶん「モンスターのサイズ」と「呪文魔法の有無」にある。ルールブックの「ダンジョン強度」は、わかりやすく「レベル」だけで敵の強さを判断しているのだが、実は他にも「サイズ」と「呪文魔法」を考慮したほうがいいのだ。
まずは「サイズ」について。モンスターは、単純に大きいサイズの方が強い傾向にある。なぜなら、攻撃ダメージやHPが高いからだ。同じ3レベルのボスを登場させたとしても、「SS〜Mサイズ」のボスと「L〜XLサイズ」のボスでは、後者の方が強敵になりやすい。なので、最初のシナリオではMサイズ以下のボス敵にしておくのがいいかもしれない。あるいは、ルールブックのサンプルシナリオ『亡者の牢獄』の《レッサー・デーモン》のように、「アッサリPCを倒すよりも、じわじわなぶり殺すのが好き」というゆがんだ性格にしてみるという方法もある(時間をかければ、HPが高いモンスターでも倒せるというワケだ)。
次は「呪文魔法」について。これは単純な話で、作りたてのPCは〈魔法抵抗〉のレベルとIQが低く、なかなか呪文魔法の抵抗に成功しない。なので、《ファイア・ジャベリン》や《ファイア・ボール》のような強力な呪文を2回以上連発できるような敵をボスにしてしまうと、アッサリと全滅してしまったりするのだ。解決方法は単純で、強力な攻撃魔法を使えるモンスターは、ボスにしないほうがいいだろうということだ。
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GM編その2 プレイ時間 |
ルールブックにも書かれているが、『六門世界RPG』の一度のセッションは、3時間程度でおさまる長さがオススメだ。このぐらいの時間であれば、GMもプレイヤーも疲れないし、集中力が持続するからだ。3時間より長引くようならば、ちょっとした休憩をはさんだほうがいいかもしれない。
3時間程度で終わるシナリオを作るのは、さほど難しくない。じっくりお喋りをしながら、1〜2回のザコ敵との戦闘と1回のボス戦闘をこなせば、3時間なんてアッというまだ。罠やイベントなどが多くあるシナリオならば、ザコ敵との戦闘回数を減らすと3時間ぐらいになる。
また、もし4回以上戦闘のある長いシナリオを作るのであれば、PCに対する報酬や財宝を増やしてあげよう。『六門世界RPG』では、戦闘すると消耗品や救急キットの消費、それに武器や防具の修理費など、とにかく出費が増えるからだ。
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GM編その3 ダンジョン・シナリオ |
ルールブックにもあるが、少なくとも『六門世界RPG』に慣れるまでの間は、ダンジョン・シナリオをオススメする。閉鎖空間ならばPCの行動を制限できるのでGMの負担が少なくなるし、プレイヤー的にも「次に自分がいったい何をすればいいのか」がわかりやすい。
慣れてくれば、シティ・アドベンチャーのシナリオに挑戦するのもおもしろい。この場合にちょっと変わった活躍が期待できるのは、やはり「サモナー」の召喚するモンスターだ。例えば、戦闘では役立ちにくいSSサイズのモンスターなども、街の中では気楽に召喚できる。サモナーとモンスターの感覚は繋がっているので、偵察やオトリとして大活躍するだろう。ただし、大きなモンスターや恐ろしげなモンスターを街中で召喚するのは、いろんな意味で考えもの。街の衛兵が大勢繰り出してくるに違いない。
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GM編その4 中原の大都市サザン |
サンプルシナリオはもちろん、リプレイ集や小説でもよく登場する「サザン」という都市。GMが「どういう街から冒険を始めようか」と迷うようならば、とりあえずサザン近辺からシナリオを始めてみよう。
サザンは六門世界で最も大きな都市だ。サザンは世界の中央にあるため、「火・水・土・風・聖・魔」のすべての元素のバランスがよく、近辺には肥沃な大地が広がっている。サザンならば、お金に糸目をつけなければたいていのものが手に入るだろう。
ちなみに、ルールブックの最初にある世界図以外にも、六門世界には数々の都市がある。世界図にある都市は、どれも大規模で世界有数の都市ばかりなのだ。現実世界で言えば、「東京」「ニューヨーク」「北京」「パリ」「香港」などしか描かれていないと思って欲しい。なので、「大阪」「名古屋」「福岡」「仙台」といった規模の都市も無数にあるのだ。
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GM編その5 冒険する場所までの移動 |
六門世界は、街道沿いに歩けばたいていは1日以内の距離に宿場町がある。日本で考えれば、「東海道五十三次」などを思い浮かべてもらえばわかりやすいだろう。
最初のシナリオは、PCの拠点となる都市から1日以内の場所での冒険を楽しもう。なぜなら、作ったばかりのPCたちは所持金が少なく(所持金ゼロのPCも当たり前のようにいる!)、必然的に最初に持っている保存食3日ぶんで片付く冒険しかこなせないからだ。
「1日で着く場所の冒険なんてつまらない」と思うかもしれないが、そこは現実に照らして考えて欲しい。江戸時代には「東海道五十三次」で1日40kmも歩いた旅人がいたし、昔の軍隊は、平地では1日30km程度を移動したとされている(戦士系PCの装備は歩兵に近いはずなので、PC達は軍隊なみの速度で移動できるはずだ)。そして、あなたの家から20〜40km離れた場所を想像してみよう……どれだけ遠い場所か、わかってもらえると思う。
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GM編その6 宿泊施設を無償で確保 |
最初のシナリオでは、PCたちは本当にお金がない。なんのフォローもなければ、冒険達成前に「保存食3日分」とギルダーがなくなってジリ貧になることも、少なくない。
そこでGMは最初の冒険の間、無償で数日間の宿泊施設と食事をPCたちに提供してあげよう。そして、もしPCたちがダンジョンなどの戦闘でボロボロに傷ついたならば、「スペル枠やHPを回復させるために、宿屋に戻って休んでみたらどう?」というように、導いてあげよう。
あくまでふつうの部屋にふつうの食事を用意するだけでいいので、調子に乗ったPC達が「宴会したい!」などと言うならば、別料金を請求すればいい。自分たちが宴会などする余裕がないことに気づくはずだ。
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【 プ レ イ ヤ ー 編 】 |
プレイヤー同士とPC同士は、同じ冒険をすごす運命共同体。
そして、プレイヤーにとってのゲームを始める前の最重要課題は、
キャラクターメイキングだろう。
今回は、キャラクターメイキング時に気をつけておきたいワンポイントを紹介する。 |
プレイヤー編その1 パーティ・バランス |
PCのクラス選びは重要かつおもしろい要素だ。
『六門世界RPG』は様々な成長方法がある。だから、ある程度経験を積んだPCならば後衛役のクラスが前衛に立っても耐えられたり、逆に前衛クラスなのに後衛でも活躍できるキャラクターにすることもできる。とはいえ、作ったばかりのキャラクターはたいした差がなく、応用力・適応能力に欠けている。つまり、前衛クラスは基本的に前衛でしか役立ちにくいし、後衛クラスは後衛でしか役立ちにくいのだ。
とはいえ、基本的には好きなクラスを選べばいい。最初はやや厳しい組み合わせであっても続けて成長していけば、型にはまった組み合わせにはない幅の広い楽しみ方ができるだとう。
また、サモナーのモンスター選びもわりと重要だ。サモナーのモンスターは、基本的には「PCの足りない部分を補う役割」に割り当てた方が活躍しやすいだろう。後衛のPCが多いパーティで後衛向きのモンスターや虚弱なモンスターを選んでも役立ちにくいし、その逆も同様だ。ただ、最初のうちは前衛のPCも打たれ弱い傾向にある。前衛のPCが気絶したりすると、後衛のPCが前衛に立たざるをえなくなることがある。そう考えると、サモナーが最初に相棒にするモンスターは、前衛向きのものが役立ちやすいかもしれない。だが、何も役に立つモンスターばかりが召喚モンスターの楽しみではない。パーティのサモナーの数が多かったり、「メイン:サモナー/サブ:サモナー」のPCがいるならば、何種類かはマスコット的・アイドル的モンスターを仲間にするのも楽しいだろう。
なんにせよ、『六門世界RPG』にはメインクラスとサブクラスの組み合わせだけで、100パターンものバリエーションが楽しめる。キャラメイクの際にはこの100パターンのクラスを考慮するために、プレイヤー全員での相談は欠かせないだろう。
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プレイヤー編その2 前衛の役割 |
前衛役のPCを作るときに気にしてほしいのが、その重要性だ。
前衛役の最も重要な役割は、「後衛役のPCを守る、パーティの盾になる」ということだろう。これはHPと防御力に乏しい後衛役が頻繁に前衛に立たされるようなパーティ構成では、あっという間に全滅してしまいかねないからだ。
しかし前衛役には「盾」であることとは別に、「目の前の敵を排除する、パーティの剣となる」という役割もある。近接攻撃はふつうに毎ターン実行できて、簡単に敵にダメージを与えることができるアクションだからだ。
結局のところ前衛役PCたちに課せられる課題は「前衛役だけで、倒れにくくもそれなりに打撃力のある構成を考える」ということになるだろう。これはつまり、「自分のPC1人だけ作ればいい」という考えが甘いことを意味するのだ。
わかりやすい前衛役の割り振りは、前衛役の全員がパーティの「盾」にも「剣」にもなれるキャラクターにするということだ。例えば、全員が「ウォリアー」と「ナイト」の組み合わせにするとか。
もうひとつは、「盾」役と「剣」役の前衛役PCを別けるという考え方。この場合は、前衛役どうしでの相談が必要だ。例えば、「メイン:ナイト/サブ:ナイト」や「メイン:ナイト/サブ:デュエリスト」などが「盾」役、「メイン:ウォリアー/サブ:シーフ」や「メイン:モンク/サブ:デュエリスト」などが「剣」役ということになるだろう。
「サモナー」のモンスターには、数多くの前衛向きモンスターがいる。手のひらサイズのSSサイズにすら、強力な「盾」役になりうる《レイン・スラッグ》がいるほどだ。サモナーの召喚モンスターも真剣に検討してみるとおもしろいだろう。召喚モンスターについては、「プレイヤー編その3」でも詳しく説明する。
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プレイヤー編その3 後衛の役割 |
後衛役のPCを作るときにも、いくつかポイントがある。それは前衛役以上に後衛役こそが、パーティの特質を決定づけやすいということだ。
前衛役は、どうしても「それなりの打たれ強さ」と「ある程度の近接攻撃の強さ」を要求されてしまうため、どんなパーティ構成でも同じようなパターンに落ち着きやすい。逆に言えば、パーティが攻撃的になるのか防御的になるかの方向づけは、後衛役が担っているといえなくもない。
後衛役がまず考えたいのは、「パーティのHP回復能力」だ。
前衛役が自分の受けたダメージを回復していたのでは、近接攻撃がおろそかになって敵を倒すのに時間がかかり、さらに敵からダメージを受けてしまう。つまり、前衛役はあまり回復役には向いていないのだ。必然的にHP回復は後衛役がすることになりやすい。初期のHP回復方法は、「《キュア・ウーンズ》を使う」ことと「《治癒の薬》を使う」ことと「〈応急手当〉を使う」の、3パターンになるだろう。
《キュア・ウーンズ》は「ウィザード」や「ホーリーオーダー」が担当する。《キュア・ウーンズ》は呪文追加ボーナスのおかげでHP回復量は多いが、スペル枠の数が少ないので、戦闘中の「いざ」という時の緊急回復手段向きだ。
《治癒の薬》を他人に使えるのは「トレジャーハンター」のみ。しかし、最初期のトレジャーハンターは所持金の少なさから、あまり消耗品を気軽に使えないのが難点だ。やはり緊急回復手段向きといえるだろう。
そこで、手軽な回復手段としてオススメしたいのが〈応急手当〉だ。DXが12程度あって〈応急手当〉が2レベルもあれば、安定して2D程度のHPを回復できる。何より「救急キット」は1個20Gと、安価なのがうれしいところだ。ただし〈応急手当〉は非戦闘時にしか使えない。戦闘中の回復は《キュア・ウーンズ》や《治癒の薬》に任せよう。
次に考えたいのが、「前衛役を支援する攻撃方法」だ。後衛役は、前衛にも劣らぬ攻撃を繰り出すことが可能なのだ。
「アーチャー」や「トレジャーハンター」はDXと〈射撃力〉レベルが高い傾向にあるので、素直に弓矢などの射撃武器でレンジ攻撃するのに向いている。飛び道具のレンジ攻撃は、安定して前衛役の近接攻撃に劣らぬ威力が期待できるのだ。ただし、「矢」の補充を忘れずに。
一撃必殺狙いならば、「ウィザード」の攻撃魔法や補助魔法が強力だ。《ファイア・ジャベリン》による直接ダメージや、《ヘイスト》による前衛役の攻撃回数強化は、爆発的な破壊力を生み出すだろう。
最後に「サモナー」の召喚モンスターの役割について。前衛役に向いているモンスターと同様に、最初期から選べるモンスターにも後衛役向きが満載だ。むしろSS〜Sサイズのモンスターには、後衛向きのモンスターの方が多いかもしれない。
最初の相棒となるモンスターを選ぶときのポイントは、「サモナーと同じ属性のモンスターを選ぶ」というもの。なぜならサモナーの特殊能力「◎同属性の召喚」で、手堅く召喚できるからだ。「うわーん、モンスターの召喚に失敗しちゃったよ!」ということになると、キャラメイクしたばかりのサモナーはヒマになりやすいから、これは結構重要なことだ。「◎同属性の召喚」でも不安が残るならば、さらに魔術カードを使ってみよう。そうすれば、普通召喚に失敗する確率が激減するはずだ。
とにかく、最初は弱いモンスターであっても、PCととも経験を積めば、将来的にはかけがえのない仲間に成長していく。最初のモンスター選びは、一番長く付き合う相棒を選ぶことだから、真剣に検討しよう。
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プレイヤー編その4 買い物 |
キャラメイク時にかなり重要なのが、買い物だ。
まず慣れないうちは忘れがちなのが、「耐久度の減少した中古品は、安く手に入る」ということだ。武器と防具については、耐久度が1点減少しているだけで2割引、2点減少しているなら4割引きの価格で買えるのだ。ただし、耐久度が3点以上減少した中古品は売っていないので注意。
特定クラスの専用道具も、買い忘れないように。シーフは「盗賊の七つ道具」、トレジャーハンターは「消耗品作成キット」、ウィザードは「魔法の杖」か「魔法の指輪」、ホーリーオーダーは「聖印」が専用道具で、これらは必需品といってもよいだろう。「盗賊の七つ道具」については、シーフに限らず〈手業〉を使うPCは買っておきたい。
PCは最初から「旅行者装備」と「保存食3日ぶん」を持っており、他の一般装備はさほど重要性がないように見える。しかし、実は買わなければならない一般装備がある――それは照明だ。人間の住んでいないダンジョンはふつう暗いものなので、照明なしでは歩くことさえままならない。また、ダンジョンを探索するにはPC達が生活するゲーム内時間で、およそ半日〜1日くらいはかかるはずだ。だから1回のダンジョン探索の際に、パーティ全体で「たいまつ5本以上」か「ランタンとランタン用油1個以上」くらいを用意しておきたい。
「サモナー」や「ウィザード」は、武器・防具にあまりお金がかからないはずなので、「魔術カード」を買っておくのもよいだろう。
「モンク」はおそらく最も所持金が余りやすいクラスなので、仲間にお金を貸したり、自分を回復・パワーアップさせるための消耗品にお金を使うといいだろう。
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