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(1)広範囲の魔法の処理 |
魔法の中には、広範囲、あるいは、広範囲に存在するキャラクターに効果を与えるものが存在します。そうした、広範囲に影響を与える魔法の処理は次のようになります。
(1-1)広範囲に影響を与える魔法の分類 |
一口に広範囲に影響を与える魔法と言っても、それには、いくつかの種類があります。魔法データでの「対象」欄における記述で、その分類を知ることができます。
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(1-1-1)半径○○の空間 |
空間そのものに影響を与え、効果を及ぼします。その範囲内にキャラクターが存在した場合、例外なくその効果を受けます。
この種類の魔法は、長い効果時間を持つものが少なくありません。キャラクターに影響を与える場合、ラウンドごと、その範囲内にいるかどうかが判断の基準となります。
「半径○○」で示された効果範囲が、「2m」、「3m」、「4m」、「5m」である場合、戦闘特技《魔法拡大/範囲》の対象となります。最大で半径6mまでしか拡大できません。
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(1-1-2)半径○○/すべて |
『WT』で、新たに規定された分類です。
範囲にいるキャラクターすべてを対象とします。例外はなく、《魔法制御》の戦闘特技をもってしても、対象を選択することはできません。
魔法の対象となるかどうかは、行使されたときのキャラクターの位置によって一意的に決定されます。
前項同様、「半径○○」で示された効果範囲が、「2m」〜「5m」である場合、戦闘特技《魔法拡大/範囲》の対象となります。半径6mまでしか拡大することはできません。
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(1-1-3)半径○○/△ |
「半径4m/10」などと、範囲と同時に、最大対象数が規定されたものです。行使されたとき、指定された範囲内にいるキャラクターが対象となりえますが、その合計人数(部位数)が、最大対象数までに限られます。範囲内に、最大対象数を超える数がいた場合、最大対象数の数だけ、無作為に選択されます。《魔法制御》により、任意の対象を除外できます。
「半径○○」で示された効果範囲が、「3m」〜「5m」である場合、戦闘特技《魔法拡大/範囲》の対象となります。このとき、拡大によって、最大対象数も半径1m拡大ごとに+5ずつされます。拡大は、最大で「半径6m/20」までに限られます。
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(1-2)《魔法拡大/範囲》の変更 |
従来ルールでは、《魔法拡大/範囲》で拡大できるのは、「半径○○/△」の種類だけでした。今回、ルール改定により、「半径○○の空間」「半径○○/すべて」とされる魔法についても、範囲の拡大が行えるようになっています。
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(1-3)最大対象数ルールの変更 |
「半径○○/△」の種類の魔法において、最大対象数のルールが変更になっています。従来ルールでは、乱戦に参加しているもののみ、この最大対象数での制限を受けていましたが、『WT』以降、乱戦へ参加しているかどうかにかかわらず、範囲内に存在するすべてのキャラクターをまず数え、最大対象数での制限を考慮することになります。
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(1-4)術者の除外可否 |
※ルールの変更はありません。騎乗状態について、明確化しています。
広範囲に効果を与える魔法において、その射程が「術者」となっているものは、術者自身を魔法の効果に含めるかどうか、術者が選択できます。
騎乗状態の場合も、術者が乗り手ならば騎獣を、術者が騎獣ならば乗り手を、魔法の対象から除外することが可能です。
射程が「術者」ではない魔法は、自身を効果範囲に含めてしまうと、自身も対象(の1つ)とみなさなければなりません。
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(2)形状:貫通 |
「形状」が「貫通」となっている魔法や効果については、従来ルールでは、効果範囲や対象決定に曖昧さがありました。『WT』では、改めて明確に定義されています。
(2-1)目印の選定 |
「形状:貫通」の魔法を行使するにあたり、術者は「目印」を先に選びます。何を選べるかは、魔法データ上での「対象」項目に依存します。一般には、これは「任意の地点」で、射程距離内で、目視できる場所やキャラクターを選べます。
キャラクターを目印に選ぶ場合、それが複数の部位を持つならば、そのどれか1部位のみを明示的に選択します。
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(2-1-1)乱戦状態のキャラクターを目印に |
戦闘特技《魔法誘導》を習得している術者に限り、乱戦エリアの外から、乱戦状態にあるキャラクターを目印として選べます。このとき、目印の存在位置としては該当乱戦エリアの中心点が用いられます。
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(2-2)効果範囲 |
術者の位置を始点として目印の位置へと直線を引き、さらに射程距離限界まで延長します。その直線から左右それぞれ1mの幅を取った、「2m×魔法の射程距離m」の細長い長方形(辺を含む)の範囲が、効果範囲となります。
ただし、障害物によって完全に遮られる場合、魔法の効果範囲はそこまでとなります。遮られるかどうかは「2m幅」を前提にGMが決定しますが、あらゆるキャラクターは、そのサイズによらず、遮ることはないものとします。
乱戦状態のキャラクターが効果範囲に含まれるかどうかは、それが参加している乱戦エリアの中心点で判断します。乱戦エリアと効果範囲が重なっていても、そこに中心点が含まれていなければ、効果範囲内にいたとはみなしません。
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(2-2-1)乱戦状態からの行使 |
乱戦状態の術者から行使された場合、同一の乱戦に参加していたキャラクターはすべて、必ず効果範囲に含まれます。
術者が自身と同じ乱戦に参加しているキャラクターを目印とした場合、始点と目印が、その乱戦エリア中心点で同一となってしまい、そのままでは、直線を引くことができません。この場合には、GMが任意に方向を定め、魔法の効果範囲を決定します。無作為に定めてもかまいませんが、基本的には余分な対象をなるべく含まない方向を選択するようにします。
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(2-3)魔法に巻き込まれたかの判定 |
「形状:貫通」の魔法は、効果範囲内にいるキャラクターに確実に影響を与えるとは限りません。それぞれは、魔法に巻き込まれたかどうか、別個判定を要します。
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(2-3-1)術者は除外 |
術者は自身を対象から除外できます。騎乗状態の場合も、乗り手は騎獣を、騎獣は乗り手を任意に除外できます。
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(2-3-2)目印キャラクターは必ず対象 |
目印にキャラクター(部位)が選ばれていた場合、そのキャラクター(部位)は、必ず対象となります。
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(2-3-3)その他は、確率1/2 |
その他で効果範囲内に存在するキャラクター(部位)は、おのおの1dして、出目「1〜3」で対象となります。その部位の1つが目印とされた複数部位のキャラクターの、目印にされなかった部位も、この扱いです。
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(3)対象:1体に関しての変更 |
対象が「1体」である魔法を、複数の部位を持つキャラクターに対して行使するケースを想定し、ルールとデータの追加を行っています。
(3-1)対象:1体の分類 |
従来、「1体」とのみ表記されていたものが、「1体」「1体○」「1体#」の3つに分類されています。
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(3-1-1)1体 |
これは、従来と同じ扱いです。複数の部位を持つキャラクターに対しては、その部位1つを対象とします。
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(3-1-2)1体○ |
これに分類されたものは、部位数によらず、キャラクターすべてが対象となります。
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(3-1-3)1体# |
必ずキャラクター全体に効果が及びますが、そのために、消費MPが対象の部位数倍されます。
これは、術者が《魔法拡大/数》の戦闘特技を習得しているかどうかにかかわりません。この特技の習得がなくとも、規定された倍数のMPを消費し、魔法を行使します。射程が「接触」であっても、この処理が行われます。
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(3-2)キャラクターに行使するタイプの解除魔法 |
【キュア・ポイズン】など、キャラクターに対して行使するタイプの解除魔法の対象は、「1体」です。しかし、対象キャラクターが「1体#」型の効果を受けていて、それを解除する場合には、「1体#」として行使することが可能であり、また、それを行わなければなりません。
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(4)魔法の効果時間 |
魔法の効果時間に「一瞬/○○」という形のものが追加されました。「/○○」の部分には、「/10秒(1ラウンド)」「/3分(18ラウンド)」のように、時間が記されています。
これに分類されるものは、「/○○」の効果時間を持ちますが、術者がこれを自分の意思で解除することができません。《魔法拡大/時間》で、「/○○」部分の効果時間は延長されます。
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(5)属性:呪い+精神効果 |
呪い属性と精神効果属性の両方を持ちます。この効果は、一度受けてしまうと、呪い属性を解除できる効果でなければ、解除できません。
一方、精神効果属性が無効であるキャラクターには、いっさい効果を上げられません。
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(6)真語魔法:【ファミリア/ファミリアU】 |
『WT』では、使い魔と上位の使い魔に関して、データの見直しと追加(蜘蛛と蛇)が行われています。蛙王朝の時代は終わりを告げました(笑)*。
ここでは、データの紹介は行いません。
*蛙自体のデータは変わっていません。他が強化されて、蛙と肩を並べたと言うべきでしょう。
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(7)操霊魔法:【クリエイト・ゴーレム/アンデッド】 |
『WT』では、作製できるゴーレムとアンデッドが、より細かくレベル分けされています。たとえば、ブロンズ・ゴーレムは、11レベルで作成可能です(従来は、13レベルが必須であり、結果としてアイアン・ゴーレムと同時でした)。具体的な術者レベルと魔物の対応は、『WT』を参照してください。
それ以上に大きなルール変更は、これらの使い勝手が大幅に向上したことです。操霊術師は、ゴーレムやアンデッドに対し、次の「命令」を与えることができます。これ自体が1つの「命令」ですので、各ラウンドの指示に〈呼応石〉を消費する必要はありません。『WT』を所持しない環境でも、このルールの導入は考慮してみてください。
逐次指示に従え |
作成者が逐次に与える指示に従う状態になります。この状態では、指示がなければ、ゴーレムやアンデッドは、いっさいの移動や動作を行いません。
作成者は、1ラウンド(10秒)の間に、ゴーレムやアンデッドに対し、補助動作で1回だけ指示を与えられます。指示を与えられる対象は1体のみであり、複数のゴーレムやアンデッドを同時に動かすことはできません。
指示は、細かく具体的に行うことが可能であり、同時に必要です。攻撃を行わせるなら、攻撃方法と攻撃対象を具体的に指示しなければなりません。それが有効なのは指示が与えられたラウンドのみです。次のラウンドになれば、たとえ、前ラウンドと同じことをさせたくとも、新たに指示を与える必要があります。指示がなければ、ゴーレムやアンデッドは立ちん坊です。
該当するゴーレムやアンデッドは、作成者の手番の直後にその手番を行います。手番の間に他のキャラクターをはさんだり、ゴーレムの手番を作成者より前にすることはできません。
また、この命令を受けた状態のゴーレムやアンデッドには、相手の移動を妨害して乱戦に入るよう指示することが可能です。ただし、これも作成者あたり、1ラウンドに1体しか遂行できません。
非戦闘においても、具体的に指示しながら行動させられるのは、同時に1体だけです。このため、連携作業を行わせることはできませんし、複数を連れ回すのは、非実用的です。
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なお、その他の「命令」の例も、『WT』には収録されています。ゴーレムやアンデッドの扱いが変わったことに由来する、魔法データの追加や変更も一部存在します。
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(8)深智魔法 |
『WT』で、新たに追加された魔法系統で、ソーサラー技能とコンジャラー技能の両方を習得しているキャラクター(すなわちウィザード)が、自動的に習得します。そのために、特別に技能を習得する必要はありません。
ソーサラー技能とコンジャラー技能の、より低いレベルで、行使できる魔法のレベルが規定され、二つの技能のより高いレベルで、行使するときの魔力が決定されます。
データは割愛します。『WT』には、30個(+1)の深智魔法が収録されています。(「+1」は、名前を持つ魔物のデータ欄に追加されたものです)。
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(9)神聖魔法 |
神聖魔法については、ルール的な変更はありません。散逸的になっていた一部ルールを『WT』では、再録してまとめてあります。
新規に8柱の神(第一の剣4,第二の剣4)と、その特殊神聖魔法が追加されています(器械神レパラール、毒薬の神テメリオの再録と、宥和神アーメスの特殊神聖魔法全データ化を含みます)。
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(10)妖精魔法 |
妖精魔法は、大きくルールとデータの変更が行われています。6つの属性(「土」「水・氷」「炎」「風」「光」「闇」)について、妖精使いは、優先順位をつけて妖精と契約を行うようになり、結果として、得手不得手が生まれます。一つに特化すれば専門バカとなり、満遍なく契約すると器用貧乏に陥るのは、当然のジレンマです。最適解は、各妖精使いで求めていきましょう。
基本魔法15+各属性魔法15×6+特殊魔法5=111個と、従来より倍増した妖精魔法が、『WT』には収録されています。なお、この課程でデータから削除されたものも存在します。
ここでは、ルールの紹介は行いません。『WT』収録データが必須で、既存の魔法データだけでは、再現は不可能です。
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(11)魔動機術 |
魔動機術を「付与」「射出」「変形」の3つに分類しています。「変形」に分類された魔動機術を行使した場合、そのときに使用した〈マギスフィア〉は、効果時間中、他の魔動機術を行使するためには使用できません。概ね、影響は小さいでしょうが、初期キャラクターの【フラッシュライト】は、要注意です。これを使う予定ならば、予備必須です。
「付与」「射出」については、そうした制限はありません。この2つの区別は、フレーバー強化です。
また、各魔法に対応した〈オプション〉をマギスフィアに装着することで、それを強化するルールが追加されています。いかに強化されるかは、各魔法ごとに規定されています。たとえば、消費MPが軽減される、弾丸のダメージが上昇するなどがあります。
それら肝心のデータが『WT』のみに存在しますので、ここではルールの詳細な紹介は行いません。
魔法データにおいて、他の魔法系統と同様「対象」の欄を設け、それを設定しました。
22個の魔法が新規に追加されています。
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(12)練技 |
「使用は通常移動までに限られる」が、明記されました。
なお、同時に、「練技含め補助動作は、移動前にも行える」とルール統一されています。これは、転倒から起き上がって移動可能という意味でもありますので、ちょっと注意してください。
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(13)呪歌 |
曖昧なところが多かった呪歌のルールを、『WT』では明確に整理し直しました。ポイントとなる点を挙げておきます。
(13-0)用語:奏者 |
呪歌を使用し、効果を及ぼそうとしているキャラクターを指し、「奏者」と呼ぶことになりました。魔法行使における「術者」と同じ意味合いです。
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(13-1)抵抗:必中の追加 |
呪歌に対する抵抗が、「消滅」と「必中」の2種類に分類されました。「抵抗:消滅」の呪歌の扱いは従来通りです。「抵抗:必中」は、精神抵抗力判定を行わずに効果が発生します。大まかに言って、よい影響を与える呪歌は、「抵抗:必中」に変わっています。
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(13-2)奏者自身の除外 |
※ルールの変更ではなく、裁定の明確化です
奏者は、自身を呪歌の対象とするかどうかを任意に選べます。奏者が複数の部位を持つ場合、部位すべてが除外されるか、すべてが効果を受けるかのどちらかです。
この判断では、騎乗状態における乗り手と騎獣は別のキャラクターとして扱います。つまり、乗り手が奏者の場合、騎獣は必ず呪歌の対象となりますし、逆に騎獣が奏者なら乗り手は呪歌の対象となります。
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(13-3)抵抗1回の原則 |
※ルールの変更ではなく、裁定の明確化です
「抵抗:消滅」の呪歌に対する精神抵抗力判定は、基本的に最初に1回行われ、その結果が以降のラウンドにも適用されます。前奏のある呪歌の場合、効果発揮の段階になって抵抗力判定が行われます。
「抵抗:消滅」である呪歌から、何らかの理由で一度効果から免れたキャラクターは、継続している同じ呪歌からは、抵抗力判定の必要なく、効果を受けません。
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(13-4)効果範囲からの脱出 |
※ルールの変更ではなく、裁定の明確化です
呪歌の効果範囲から脱出したキャラクターは、自動的に効果を解除されます。その後、効果範囲に戻っても、「抵抗:消滅」の場合には、前項(13-3)の原則に従い、効果を受けることはありません。
ただし、一度の手番の移動で、効果範囲から出て入るは、範囲から脱出したものとは扱われません。
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(13-5)ペットの扱い |
※ルールの変更ではなく、裁定の明確化です
ペットは基本的に、常に奏者とともにあります。そして、その状態である場合に限り、攻撃を受けることはなく、あらゆる効果の対象となりません。
奏者が通常移動、全力移動を行っても、ペットは呪歌を継続させることが可能です。
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(14)騎芸 |
特にルール的な変更はありません。主動作で使用する騎芸に「〆」マークがつきました。
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