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安田均の「ゲーム日記」 第1回 (1997年1月20日版)

 そうした、ここ数年ばかり、顧みなかった分野になにやら妙な気配がある。これはちょっと探ってみなければ、という気持ちが閃いたのだ。
 ただ、それをやるには、時間の余裕がいる。
 ということで、去年の7〜10月にかけて、懸案の小説(六門世界1)を、これはこれでリキを入れて、一気に書いてみた。
 ただ、その間もドイツのボードゲーム(カードゲームを含む)からは、なにやら怪しい匂いだけはたちこめ続けていた(この時期は、ほとんど小説に没頭してたんだけどね)。
『カタンの開拓』は最初ルールがわかりにくくて苦労したが、ちょっとやってみると、まちがいなく傑作だとわかった。『エルグランデ』も、ストラテジーゲームタイプながら、いかにもドイツのボードゲームらしく簡潔に仕上げるセンスの横溢した佳作だった。
 これだけしか確かめずに(マンハッタン、6ニムト、カタン、エルグランデ)、8月のJGC(日本ゲーム大会)で、ぼくは思い切って基調講演でぶち上げてみた。
6ニムト
販売元:AMIGO SPIELE
作:Wolfgang Kramer

 きっと、なにか直感めいたものがあったのだと思う。
「世界のゲームはいま三極構造にある。日本のコンピュータゲーム、アメリカのTCG、そして、ドイツのテーブルゲーム。RPGは堅調だが、コンピュータゲームと同じく、ある意味でマンネリ化しかねない。いろいろなゲームに目を配っていってほしい」
 こんな意味のことをしゃべりつつ、まだなじみがないだろうと思ったので、ドイツゲームの例として『エルグランデ』のボードを広げてみた。
 思ったとおり、あんまり反応は返ってこない。
 う〜ん、やっぱり人はイメージを大切にするんだなあ、まあ、こっちの論拠が生煮えなのかもしれないが、ここはRPGの大御所とかいうイメージどおり「RPGは不滅です!」とかいって、ウケを狙った方がよかったのかもしれん、などと思いつつ、それでも大会は目一杯楽しませてもらった。
 しか〜し。
 やっぱり匂いは隠そうとしても、どこからか漂ってくるものだ。
 会場では、ゲームショップが軒を並べていた。そこに、アメリカの最新ゲームを輸入しているところがあって、いくつかボックスゲームが並んでいる。
 へえ、がんばってるなあ、と思いながら、控え室に戻ってみた。
 おや、机の上にあるのは−−これはカタンのアメリカ版か。
カタンの開拓(アメリカ版)
カタンの開拓(アメリカ版)
販売元:MAYFAIR GAMES
作:Klaus Teuber

“こんなの買ったの誰だ?”
“はあ、ぼくですけど”
“へ〜、水野君か、これどうしたの?”
“いや、マンハッタンのアメリカ版とかと並んでたので、おもしろそうだなと思って”
(相変わらず、勘が鋭いやつやなあ)
“なあなあ、それやろうぜ、おもしろそうだから”(佐脇洋平登場)
(こいつも新しいものに目がないのは、昔と一緒だな)
“おいおい、いまからやるのか? もう閉会式だぜ”
“いや、あとのパーティ会場で。これくらいの英文なら、その場でやれますよ”(佐脇)
“よしっ、そうしょう!”(水野)
 その後、立食パーティの会場にいくと、なんと水野良と佐脇洋平が端の方で宣言どおり、地面にかがみこんで「床カタン」をやっている。
“あのね、キミたち、もう三十過ぎてるんだから、そんな少年ゲーマーのようなことやめたら……”
“安田さん、これ、めちゃおもろいですよ!”
 こりゃ、ダメだ〜(う〜、やりたいぞう)と思いながら、こちらも20年ぶりに復刊された元祖トラベラー(T4)を持って、騒ぎまくっていたので、結局は似たようなものだろうか。



 ということで、ついに小説も脱稿し、めでたくブルーウエーブも日本一になった11月以降、思いきり、そうしたドイツゲーム群にひたりこんでみた。
 メールシュトロームの大渦。
 そんな言葉が浮かんでくるような体験だった。
 この傑作ゲームの海は、何だあ!!!!
 エントデッカー
 テイク・イット・イージー
 エアラインズ
 フォーラム・ロマヌム
 メディチ
 マラケシュ
 ステルネン・ヒンメル
 ハットトリック
 ホットドッグ
 ……
 サルのようになっていた(いる)というのは、こういうことを差すのだろうか。
 もちろん、ボードゲームに免疫がなかったわけではない。こちらだってアクワイアから始まって、レイルウェイ・ライバルズや1829、コズミック・エンカウンター、デューン、シビライゼーション、タイタン、キングスコート、ドラゴンマスターなど、粋を極めたものはそれなりに遊んできたつもりだった。
 だけど、それらは、英米のゲームが何年もの経過の中でぽつりぽつりと生んできたものだ。
 ここに上げたドイツゲームは、そのほとんどが3〜5年内に登場している。明らかに、先に述べたある 分野の傑作集団発生(グループダイナミクス?)的なイメージが確実にある。
 それからの2ヶ月でなんと53ものドイツゲームを遊んでしまい、いま現在も病気(!)は進行中なのだけれども(あと70くらい残っているかな)、センス・オブ・ワンダーはまだまだ続いている。
 なにか自分でもこの状況は空恐ろしいのだけれども、まあ、信用してください。
 ぼくにとってこういうことは、SFでも、RPGでも、コンピュータゲームでも起こったのだから(ただ、いまはTCGと同時進行というところが、ちょっとつらいなあ)。
 ということで、とりあえず第1回目は、経過報告。
 次回からは、こうしたゲーム群について、もうちょっとつっこんで分析してみたい(ドイツゲーム大賞について、ちょっと書いてみようかな)



なお、こうしたドイツのボードゲームが買えるお店をつぎにあげておこう(ぼくのわかる範囲で。もし、他にもいろいろあるなら、皆さんのほうからメールなどでおしえてください。

メビウス
  〒102 東京都千代田区九段南3−8−13
       TEL・FAX 03-3238-9538

イエローサブマリン

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