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TOP > ユーザーコンテンツ > エッセイ > 安田均の「ゲーム日記」第5回]
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安田均の「ゲーム日記」 第5回 (1998年11月30日版)


 さて、今回は5ヵ月の間隔で登場したゲーム日記。

 また1年は空くんじゃないかと予想していたみなさんには、意外性で迫ってみようと思う(モンコレCMの、ごく稀バージョンも放映されたことだし)。

 といいつつ、内容のメインは、今年も参加したドイツ・エッセンで開かれるSPIEL'98−−世界最大のゲーム祭(ボードゲームが中心)−−についてだ。
 基本的には、去年、電撃アドベンチャーズコラム『つぎの1ゲー』)で書いたようなものだが、今回はそれに‘隠れ里の大ゲーム帝国発見! ラベンスバーガー社訪問記’とか‘ドイツゲーム界の最前衛、期待の新鋭ラインハルト・シュタウペに突撃インタビュー’など、ちょっと珍しい記事も挟んでお届しよう。

 さて、10月も20日をすぎたある日、ぼくたち一行ボードゲーム好きの嫁さん通訳替わりの息子、そして、なぜかついてきた秘書のカイ、の4人)は、何ということもなく、ドイツフランクフルトからミュンヘンに空路入っていた。
 なぜミュンヘンかというと、別にうまいビールを飲みたいわけではない(それもちょっとあるけど)。今回の目的の一つ、SPIEL'98と並んで行ってみたかったラベンスバーガー社を訪問するには、ここミュンヘンから列車に乗っていくのがいちばん、と説明されたからだ。

 ここで解説をば少々。

ラベンスバーガー社って、なに?

 という人のために、いくつか書いてみよう。
 ボードゲームを以前から遊んでいる人には、このラベンスバーガー社、伝説のゲームメーカーといっていい。

なぜ伝説なのか?

 ここの製品は、日本のデパートキディランドなどといった大きなオモチャ店には、必ず商品が入っている。ドイツの、いや、世界でも屈指のゲームメーカーだ。

 ところが、ここがどういう会社なのか、なぜあんなにすばらしいゲームを出し続けていられるのか−−それが、ぼくら大人向けボードゲーム・ファンの方向から見ると、不思議なことに、これまであまりつかめなかったのだ。

 そう、基本は子供の知育関係のパズルやゲームが中心の会社なのだが、一方で、ここが出している‘大人も楽しめるボードゲーム’は、すばらしくデキがいいのである。
 はっきり言って、群を抜いていたといっていいだろう。
 内容もすばらしい上に、箱や駒などコンポーネントがいうことなし(箱は、象が乗っても潰れない−−というのはウソだけど)。

 かつて、安っぽい、あるいは、マニア臭かなり漂うアメリカ製のゲームを集めて遊んでいた頃には、ここのゲームは常に一服の清涼剤だった。
 けれど、ドイツのメーカーということと、たぶん子供向けのメジャーな会社のせいで、逆に大人向け製品の入手経路が限られ、ぼくらの欲しい、そうしたゲームはなかなか手に入らなかった。
 たまにキディランドなどに、ここの大人向け新製品が入ってきたなら、数少ないラベンスゲーマーがあっという間に買っていってしまうことになる。

 山本弘の名作『RPGなんてこわくない!』ホビージャパン社)の巻末に、いくつかラベンスバーガー社のタイトルが上げられているが、『アベ・カエサル』なんてゲームは、友人から電話で‘入った’と聞いて即買いに行くと、1個だけ残っていて、ああよかった、と胸をなでおろした記憶がある。後生大事に抱えて帰ったそのゲームは、やっぱり傑作だった(余談になるが、最近もある日本のゲームオークションで『アベ・カエサル』は2万円以上の値段がついてたっけ)。

 いや、『アベ・カエサル』は1990年前後だから比較的新しいが、それよりもっと前(80年代前半)には、どこかで『ウサギとカメ』というゲームを遊ばせてもらい、それが欲しくてたまらなくなったことがある。キディランドなどに問い合せても、少し大人向けのそうしたものは輸入していないらしい。
 そうなると、ヨーロッパのゲーム、それも一般ボードゲームということで、通常のアメリカのRPGやシミュレーションの通販ゲームショップでは手に入らない。
ウサギとカメ(フランス版)


 そこで、はっと思いついた。昔からの『アクワイア』仲間の兄さんが、商社勤めでベルギー(!)にいる。これは、現地のデパートなどで買ってもらえるのじゃないか?

 ということで、その仲間も欲しがっていたので、連絡して送ってもらうことになった。
 ありがたいことに、待つこと1ヵ月くらい。待ちに待った『ウサギとカメ』が届いた。

 ありゃ、なんかタイトルがヘンだぞ。

 これは……フランス版じゃないか。げっ、ルールは全部フランス語だあ!
 まあ、ラベンスバーカーはもともとドイツのメーカーで、原版を買ってもドイツ語になっていて同じ思いをしたとは思うが、それでもすぐに遊べると思っていただけにショックは大きかった。
 こんなことなら、大学の頃、もっとちゃんとフランス語を勉強しておけば……と、ありがちな思いを抱きつつ、なんとか英訳を手に入れ(2〜3年後かな。どうして手に入れたかは忘れた。松田道弘さんにもらったんだっけ?)、それをカードに張って遊んだことを覚えている。

 ま、その頃(1980年代後半)から、ようやくラベンスバーカーの大人向けゲームが日本にも入り出したのだが、それでもさっきも書いたように、数が限られていたのはまちがいなかった。

 しかし、そうして探す価値があるくらい、ここのゲームはすごかった。
『ウサギとカメ』『スコットランドヤード』『サーガランド』『クーハンデル』『はげたかの餌食』『ミッドナイトパーティ』『アンダーカバー』『アベ・カエサル』『ラビリンス』……つぎからつぎへと、よくこれだけだれにもわかるゲームで、おもしろいものを出せるな、というくらい継続的に、いい作品を送り出していたのだ。
メトロポリス


 中には、『アクワイア』の作者シド・サクソンが出し、ゲーム大賞候補作になったものの、絶版になってしまった『メトロポリス』というマニア垂涎の作品なんかも存在する。
『メトロポリス』は去年SPIEL'97で手に入れたが、やはり噂にたがわずおもしろかった。しかし、考えてみれば、『スコットランドヤード』『ウサギとカメ』『アンダーカバー』なんかはもっとすごいとも言えるわけで、少なくとも80年代前半には、こうした作品がどれもドイツゲーム大賞を受賞して、いまのドイツゲーム繁栄の基礎を築いてきたのはまちがいないだろう。

 そんなラベンスバーガー社なのに、どんな会社で、どこにあるのかすら、だれも知らない。ゲームがドイツ語表記でわかりにくいといえばそれまでだが、場所もわからないなんて、妙じゃないか。

 そこで、いろいろ調べると、隠れていた事実がちょっとずつわかってきた。
 ラベンスバーガー社は、どうもラフェンズブルク(RAVENSBURG)という街に存在するらしい。つまり、ラフェンズブルクの人たちの作ったゲームだから、ラベンスバーガー(慣用発音です、正しくはラフェンズブルガーでしょう)というのだ。まあ、これはグループSNEが神戸にあるから、‘神戸っ子’っていうゲームメーカーの名前にした、みたいなことだろう。

 でも、ラフェンズブルクって、いったいどこ?
これがドイツの路線図

 教科書の地図でさがしても載っていなかった。観光ガイドマップにも全然載っていない(だいたい、SPIEL'98の開かれる、ドイツ5番目の都市エッセンについてすら載っていないのだ。日本の観光ガイドマップなんて、こんなもんです)。
 そうこうするうちに、もう一つ、また別のびっくりニュースが伝わってきた。
 ラベンスバーガー社が、街にテーマパークを作ったという。子供向けの遊園地だが、そこのゲームは、これまでの同社のゲームがもとになっていて、大人も遊べるおもしろい遊園地らしい。
 ゲームをもとにしたテーマパーク? なんだかメタゲームっぽくて、こういうのは興味をそそられる。それより何より、自社のそばにテーマパークを作れるほど、そんなにラベンスバーガーって大きな会社なのか?

 ひょっとしたら、ラフェンズブルクって、ゲーム城下町?

 そう考えると、ゲームファンとして、いちどこのラベンスバーガー社に行っておきたいという気持ちがむくむくと湧いてきたのだ。





 ということで、翌朝、ミュンヘン発のICE(ドイツ超特急)にぼくらは乗り込んでいた。
これがICE。もう脱線しません。

 ラフェンズブルクは、よーく調べてみると、南ドイツ、ほとんどスイスに近い辺りにある。鉄道地図には、ぽつんと名前だけ載っていて、どんなところかわからない。
 途中、世界最大の聖堂のある都市ウルム(ケルンのより5メートルほど高い。こういうことだけはガイドブックに詳しい)から、南のスイス国境にあるリゾート地リンダウに向かう列車に乗り換える。この途中に、ラフェンズブルクがあるらしい。
 南ドイツの風景は、列車に乗って眺めていると、ほんとにきれいだ。オモチャのような町並みに必ず尖搭のある教会が一つ、くっついている。
 ドイツの列車、これがまたいい。駅に改札口なし、ユーロパスというのを持っていると、5日間どこまでも、あるいは超特急から普通までどれでも、乗り放題。これで1等が3万円くらい。列車もきれいなものが多いし、喫煙車でタバコも吸える。席はコンパートメント形式が多く(6人用、でもすいている)、ぼくらみたいな4人連れなら、たいてい占拠できて、まわりを気にすることもなくトランプにも興じることができる。

 スコポーネを楽しみつつ、窓外の紅葉した景色を眺める。なんとも絶景かな−−

「だけど、だんだん人気がなくなってきてますよ」

 カイが不安そうに告げる。彼女はラベンスバーガー社への訪問連絡をすべてとってくれたので、責任も感じているようだ。

「ホントにこんなところにあるんですか」

「あんたが言うと、不安になるじゃないか」とぼく。

「名前ちがいだったらケッサクね」

 嫁さんは気楽なものだ。スコポーネで勝っているから機嫌はいい。
 息子は、一応会社訪問で通訳しないといけないという緊張感からか、それともミュンヘンの露店で買ったブドウを洗わずに食べて、それに当ったせいか、さっきからトイレとの往復に忙しい。

「まあ、ダメでも景色がいいからいいやな。それに明後日からはエッセンのゲーム祭だし、おもしろいことはまだまだあるさ」

 と言いつつ、ぼくもドイツのこんな辺鄙なところまで来て、まちがってたら情ねえ〜と思っていたのは確かだった。
 と、

「あった、あれだ〜」

 突然、林が切れたかと思うと、これまでのドイツのおもちゃの町並みを、ホントに典型的にしたかのようなラフェンズブルクの街が忽然と現われたのである。
 なぜ、ラフェンズブルクとわかったのか−−それはしばらくすると、線路沿いに、平べったいがでっかくRAVENSBURGERとかいた工場(倉庫)が見えたからだ。名前のそばに、ポーン(駒)とジクソウパズルの絵も添えてある
 まちがいない、着いた!




 翌日、ぼくらは朝からラベンスバーガー社を訪問していた。
工場前の門にて受付リンゴが置いてある。


 広い工場敷地の前で、受け付けのおじさんのくれたリンゴを齧る。この会社では、いろんなところにリンゴが篭に入れておいてある。近くで取れるからだろうが、ふと、自分の好きなものにはアップルと名のつくものが多いなあ、などと思っていた。ビートルズのレーベル、いまでも好きなアップルのコンピュータ・ゲームの名作群、ふーん、リンゴっていうのが、ぼくにとっていいものの印なのか……。

 しばらくすると、今回のラベンスバーガー社の案内を担当してくれるマギン嬢が現われた。いかにもドイツのキャリアウーマンという感じの、てきぱきとした美女だ。

 まずは、オーディオルームで、ラベンスバーガー社の説明
 設立は、なんと1883年−−百年以上も前のことである。
 ここで、印刷業もやっていたオットー・マイヤーという人がはじめてボードゲームを売り出したそうである(世界一周旅行ゲームみたいなものだったらしい)。
 それからも、ドイツ国内では知育関係のメーカーとしては知名度が高く、戦前までに『メモリー』『マレフィッツ(MALEFITZ)』『帽子取り(FANG DEN HUT!)』の3大ヒットゲームを作って、ドイツにボードゲームという揺るぎない分野を作っていたそうな。
 そう言えば、『帽子取り』というゲームは、今年誕生75周年を迎えて、これまでに2500万個売れた、というような記事をどこかで読んだような気がする。
 数もすごいが、何より大事なのは、ラベンスバーガー社がいまもそのゲームを売っているし、そうした作品を作り続けていることだろう。

 それが、ついに昨今の他メーカーの進出も生み、ドイツボードゲームの爆発になって、世界に新たなムーブメントを作り出しつつある。

 そりゃ、英米にだって、パーカー・ブラザーズミルトン・ブラッドレーワディントンというような、似たような歴史のあるボードゲームメーカーはあったが、たいていどこかの資本系列に吸収され、以前のようなオリジナリティあふれるボードゲームを作ることは、もうなくなってしまった(あの、オタク的な部分があるから大丈夫と思っていたアバロンヒル社にしてからが、つい先頃買収されたものね)。
 ラベンスバーガーだけがいまも健在(で、若々しい)とは、いかにもドイツ的な職人気質あってのことなんだろうなあ、という気がしてきた。
 もっとも、ドイツ国内では揺るぎない地位を占めていたものの、ヨーロッパ中、さらにはアメリカにまで名前が知れわたるようになるのは、やはり『ウサギとカメ』『スコットランドヤード』といったゲームが、ドイツゲーム大賞を獲得してからのことになるらしい。
 いまでは、逆にゲーム大賞のスタンダードは、もう少し年齢層が高いところになり、ラベンスバーガー社の作品が、賞を独占し続けるということはなくなったけれども、やはりこのメーカーの製品がドイツボードゲームの根幹になっているのは、まちがいないな、という感触が、そうした説明や設備に感じとれた。

 まあ、マギン嬢は、こちらのそんな想いには関係なく、てきぱきと説明を続け、質問に答えてくれる。そうしてから、思いもかけないことを言ってくれた。

 これから工場をお見せしましょう、と。

 そいつはすごい、どんな感じなんだろうと、興味津々のぼくらを引き連れて、それからの1時間ほどは、‘ラベンスバーガーのゲームのできるまで’

 これは、おもしろかったなあ。
 まあ、内容は整然としたオートメの工場を見ているようなものなんだけれど、細かいところは、やはり人間の手が入らないと駄目らしい。
 で、それがまた、

「あっ、あのおじさん、スコットランドヤードのひさしばっかり、仕分けをしてるゾ!」

とか−−

「おお、新版のラビリンスが……こんどは円形かい!!」

とか−−

 ラベンスのゲームを遊んできた者にとっては、興味深いことこの上ない。
 見ている方にとってはおもしろいが、作業している人は飽きないのかと聞いてみると、1週間経ったら配置換えをするので、嫌にはならないはずという答えだった。
 しかし、ここはほんとにオモチャの工場が巨大化したというか、何というか……と思っていたら、最後に今度は倉庫が待っていて、これにも驚かされた。
 とにかく広いのだ。完全なコンピュータ管理で、ゲームのいっぱい詰ったカートンがしまわれたり、引き出されたりしていく。
 イメージでいうなら、『インディ・ジョーンズ/失われたアーク』の最後のシーンで、アークが巨大な倉庫にしまわれていく。あれくらいの規模を連想してみたらいい。

「あの……どれくらい、ここには入るんですか?」

「さあ、20000カートンくらい」

 ということは、あのカートンには数十個(20個以上はまちがいない。50個くらいは楽に入りそう)はゲームが入っているから、ここには下手をすると100万個近いストックが……。

「そう、クリスマスとか売れる時期になると、ここからつぎつぎとヨーロッパ中に出荷されていくことになります」

これがゲームトラックだ!


 工場に入ってくるときに見た、おしゃれなゲームトラック、それがアウトバーンを通って、世界中に散っていく姿をつい連想した。
 写真とりたかったなあ……もちろん、ダメって言われたけど。
 それにしても、息子も言っていたが、マギンさんの言葉には‘ワールドワイド’ではなく、‘ヨーロッパワイド’という言葉が多い。アメリカ向けなんかはどうなんだろうと、ラベンスのアメリカ版や、去年からF・X・シュミット名で展開しているゲームのことを聞いてみる。

「来年からは、そうしたゲームはラベンスFXというブランド名で、アメリカでも出ていきます」

 ということだった。でも、そんなに力説はしていない。 別にアメリカ市場を意識しなくても、ヨーロッパに充分根づいているという感なきにしもあらず。余裕かな、これは。
 昼からは、海外方面担当のマネージャー、ブルンズさんとも話ができる。
 しかし、ここでの話はあまり明るくなかった。いや、ブルンズさんはとても温かみのある人だけど、日本での市場についての結果が、だ。

「ソウデスネ、別にたくさん売れてくれなくてもいいんですが、1000個も売れないんでは……スコットランドヤードでも5000個くらいですかね」

 へっ、あの名作が、ですか。ちなみに世界では、何個くらい。

「ン百万個はまちがいないです」

 う〜む、いつも不思議に思うのだが、ボードゲームの世界と日本での、この販売個数のちがいは何なのだろうか。
 日本でゲームというものが遊ばれだした時期が、ボードゲームにとって遅すぎた?
 まっ、これまでのボードゲームとなると、そうなのかもしれない。
 ただ、いまドイツで爆発しつつあるボードゲームは、ぼくは1段階進化したものと思っているので、そのおもしろさが知られれば、日本でももっと広まるとは思うのだけれど。
 それはともかく、ラベンスバーガー社を熱心に説明していただいたマギンさんとブルンズさんには、とても感謝している。長年の謎めいた思いが、ようやく解けたような気がしたぞ。

マギン嬢、ブルンズさんと一緒に




 ラベンスバーガー社もたいしたものだが、ラフェンズブルクの町。こちらもきれいだ。だいたいヨーロッパのこうした小さな町は、しっとりと落ち着いた古くからの町並みが建ち並んでいいものだが、特にきれいに保ってある。壁などが塗り替えてあるせいだろうが、きっとラベンスバーガー社からの恩恵もあるんだろうな。

 こりゃ、まさしくゲーム城下町だぞ。

 町にはラベンスバーガーの記念博物館といったものもあるようだが、残念ながら見つけそこねた(中世風の町というのは、迷路です)。


ラフェンズブルクの町。きれいだよ。
 しかし、ちょっと町並みを歩いてみたら、そこそこの大きさのボードゲーム屋を3軒も発見。本屋は1軒だけだったから、なんと本屋よりもボードゲーム店の方が多いという、世にも珍しい町!
 ここで、ぼくは抜け目なく、これまで買い逃していた10年ほど前のゲーム大賞候補作を2つ購入。明後日にエッセンのゲーム祭で、またたくさんゲームを買うだろうに、いったいなにをしているのだろうかと思いつつも、たくさん並ぶボードゲームの棚に、平然とそうした昔の佳作が置いてあれば、こりゃもう、買うしかないですよ(

一つは、氷山を跳び移って白熊を逃れながら、いかにエスキモーとしてうまく魚を釣るかという、バカゲー。これがまた、おもしろいのだ)。




SPIELLANDの入口
 会社訪問、町の探索が終わっても、まだまだ行くところはある。

 そう、ラベンスバーガー社のテーマパークシュピールラントSPIELLAND)だ。

 これがまた、車で10分ほど、のどかな田園風景の中に忽然と出現する遊園地なのだ。
 寒いので、10月末には閉まってしまうというから、行けたのはラッキーだった。

 中は、遊園地としてはとりたてて言うことはないのだが、もし、ラベンスバーガーのゲームで遊んだことのある人なら、ウケることまちがいなし

『メモリー』を遊ぶ、昇降ヒコーキゲーム

 例えば、大きな盤に描いてある『メモリー』というゲームを遊びながら、昇降するヒコーキ(アップダウン・クイズみたいなもんです)とか、『ラビリンス』に似せた迷路の中で競争するメイズゲームとか、『もぐらカンパニー』に例えてあるミニゴルフだとか、その辺はゲーマーの感覚でついつい喜んでしまう。
 まあ、乗り物のなかにも、消防車を必死に動かし、ついで、消火ポンプをこれまた必死に扱い、煙を消してさらに消防車で戻るという、おもしろいものもあるけれど、これは例外かな(ゲームのタイトルはなんでしたっけ?)。
 それと、中には当然、ラベンスバーガーの土産物屋もあって、これがなかなか。
 特に、いろとりどりの木の駒サイコロ白トランプ白ボード白タイル、そして、ラベンスのボックス、というボードゲーム作成キットには、ついつい手が出てしまった。
 ラベンスバーガー・ファンの人には、このシュピールラント、一度は訪れるべき聖地だろう。

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