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安田均の「ゲーム日記」 第6回 (1999年9月16日版)


 とはいっても、ドイツゲームのことを日本人があれこれいっても仕方ない。最初にも書いたように、日本にこれまでボードゲームという分野が存在してたかどうかも疑わしいのだから。これからだよ、これから

ホテル浦島〈菊の間〉
 その意味で、今回の(いや、去年もかな)JGCには、ぼくはちょっと感動してるのだ。少なくとも、あの会場であるホテル浦島の<菊の間>は、13年前、はじめて参加した大規模なゲーム大会、オリジン'86のボールルーム(舞踏室)に、イメージとしてかなり似通っていたからだ。

 当時、日本でRPGが広がり始めていた頃、思い切ってロサンゼルスで開かれているオリジン'86に参加してみた。

 はじめて行ったオリジンは、やはり驚きだった。
 こんなにゲーマーがいるとは、いったいどういうことだという思いと、広いスペースで昼夜ぶっとおしでいろんなゲームが進行していくそのスケールに、ど肝を抜かれたというべきか。
 もちろん、アメリカにはSF大会というのがあって、そのゲーム版と考えてもいいのだが、あれはパーティの延長線上にあるものという意識がどこかにあった。個々に区切られた企画の集合体ということだ。
 オリジンも基本的にはそうなのだが、一つちがうのは、ゲームを行なう巨大な空間があって、そこがずっと開放されているという点。これだけは見たこともなかったし、ある意味では、ゲーマーにとっての楽園に思えた。RPGを遊ぶにはちょっとうるさいのだが、ボードゲームやカードゲームにとっては、対戦相手がすぐにどこでも見つかるというのは、じつに気が楽だ。特に多人数ゲームというのは、日頃はなかなか遊べないか、遊べてもメンバーが固定されてしまうので、いろんな人とすぐに気楽に遊べるというのは大いに意味がある。

 そう、その1000人以上が収容できて、常時7割以上の人で埋り、昼夜兼行でさまざまなボード/カードゲームが遊ばれていくボールルームの輝きを見たときには、大げさにいえば、モノポリー以来50年を超える‘ゲームの伝統’みたいなものがひしひしと感じられた。正直、‘いいなあ、日本でこんなことができるには、いったい何年かかるのだろう、いや、無理かな’と思ったのを、はっきりと覚えている。

 ところが、'96年にはじまったJGCは、翌'97年に宿泊型の大会になってから、こうした雰囲気を持ち出してきたのである。
 今年も700人近くが入れる<菊の間>は、RPG、TCG、ボードゲーム、カードゲームが、1日目の夜から3日目夕方の閉会式の時間まで、ぶっとおしで行なわれていて、ほとんど満員のその華やかな様は、まさにかつてのオリジンのボールルームを髣髴とさせてくれた。

 こうしたお祭を成功させるためには、スタッフの人たちの努力が欠かせないが、改めて感謝しておきたい。
 もう、オリジンなみだぜ!

 とはいうものの、あとは販売スペースがもう少し増えてくれれば、いうことはないんだけどね。オリジンやジェンコン、あるいはエッセンのゲーム祭は、その辺り100を超える物販スペースが並ぶ。JGCではまだそこまでいかないが、きっとこれからはそれも整備されていくのだろう。
 とにかく、JGC2000も予告されたことだし、ゲームファンの人は1回は参加されることをお薦めしておきたい。


3M版ACQUIRE
 ということで、ついつい嬉しくなって、<菊の間>では主にボードゲームを遅くまで遊んでしまった。特に、この日のために3M版の元祖アクワイアを抱えていき(これがまた、木製仕立てのじつにすばらしいボードや駒なのだよ)、あかほりさとるや水野良、金澤尚子に声をかける。みんなゲームが好きなので、気軽にすぐに集まってくれたのだが、あと1名−−アクワイアは楽しむにはやっぱり5人だ。ということで、無理やり、メディアワークスのH君にゲームに入れと強要。

えっ、や、やりたいんですけど、わたしスタッフで、ゲームに入っては

 ふふふ、君、ほんとはやりたいと顔に書いてあるぞ。そこで、無理やり他の人にスタッフの仕事を代わってもらい、めでたくゲーム開始となった。
 ま、そうまでして遊びたいとわがままをいうぼくを立ててもらったのだろう。久しぶりのアクワイアだったが、快勝! あかほりさん、やっとSNEから仇を討たせてもらったよ。以前は、見事に最後で逆転をくらったものなあ。また、よろしくね。


ホテル浦島〈菊の間〉
 その後も、『ラー』が大好きな水野良や、昔なじみのN君らと、なんと4回も遊ぶ。しかし、『ラー』は実にタイミングをはかるのが難しい。こちらは1回も勝てず。ま、そういうものです。

 こうしてJGCは自然と夜更かしをしていくので、翌日は大変。睡眠不足に極度に弱いぼくは、モンコレのガンスリでは朝から3連敗。しかも、ミスを連発する。これじゃ、申し訳ないので、その日はガンスリを打ち切らせてもらった。

 今年のJGCはまた、TCGの全国大会決勝がいくつも開かれた。これらは大会レポートにもあるので、ここでは略そう。一つ言えるのは、こうした大会もJGCというゲームファンのお祭の中ではよく似あうということ。もっとも、JGCでは他にも遊びたくなるゲームがあって、大事な翌日の試合で睡眠不足気味になるというのが、ひとつ悩みの種だが。

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