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TOP > ユーザーコンテンツ > エッセイ > ゲーム日記特別篇「カイと杉浦武夫のオリジン・ゲーム日記」
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ゲーム日記特別篇
「カイと杉浦武夫のオリジン・ゲーム日記」

○ミネアポリス着(7月2日午後11:30 日本時間7月3日午前13:30)

 10数時間のフライトを経て、乗り継ぎ地のミネアポリスに到着。
 ここでもトラブルの種はタケオクン。入国審査で足止めを食らってる。
 本人いわく「何しに来たって聞くから、旅行って答えたのに通してくれへん」
 それはね、「観光」ってこたえないとだめなんじゃないの?

 このミネアポリスでコロンバス行き国内便に乗り換える。1時間以上出発が遅れたりしたが(タケオクンは寝ていた)、ようやくコロンバスに到着。



○ホテル(クラウン・プラザ)着(7月2日午後8:00 日本時間7月3日午前9:00)

 空港からシャトルバスを使ってホテルへ。夜8時だというのに、まだ昼間のように明るい。どうやら日暮れは夜の9:00頃らしい。


 はるか東方の日本から24時間かけて到着したコロンバスは、高層ビルが立ち並ぶ大都会。そのビルも日本のような殺風景なやつではなく、どでかい上に1つ1つ凝った装飾が施されている。そのくせ人の姿はほとんどなく、ゴミ一つ落ちていない。整備の行き届いた、まるで絵葉書か映画のセットのような街だ。
みごとに人のいないコロンバスの町並


 ともあれホテルにチェックインして(20分ばかりすったもんだはしたけど)、ようやく目を覚ましたタケオクンとともに、連絡通路伝いにすぐ隣の会場に向う(宿泊ホテルから直接会場に行けるのは、すごく便利だ)。

 今回のオリジンはホテル・ハイアットの一部とコロンバス・コンベンションセンターを借り切っての開催だ。RPG卓の部屋、鉄道ゲーム部屋、アバロンヒルのゲーム部屋、ウォーゲームの部屋と、じつに贅沢な空間の使い方。相当な数のゲーマーが集結しているはずなのに、ゆったりとした空気が流れている(人口密度の異様に高い日本のコンベンションに慣れたわれわれには、閑散としてさえ見える)。

 だだっ広い会場を探しまわること30分、やっと受付を見つける。受付にいるのは17,8の若い男の子だ。まいったなあ、若い子の英語ってさっぱりわからないんだよね(大人の英語だってわかりゃしないけど、異邦人に思いやりがある分ましな気がする)。

 案の定「それ何語だよ?」って言いたくなるような早口でまくしたてられ、純朴な日本人2人は涙にくれた。後ろにいたお兄さんが「日本人にもわかる英語」に訳してくれたので、なんとかその場を切り抜けられたけど。

 4日間の参加費45ドル、日本円にして6000円強。
 折りからの円安がじわじわとわれわれの財布を締め付ける。

 24時間ほとんど寝つづけてたくせに、まだタケオクンが「眠い眠い」を連発するので、この日は受付だけすませてホテルに帰った。



○7月3日

 朝10:00に会場に向う予定だったが、時差と緊張と興奮のせいで朝5:30に目が覚めてしまう。いくらなんでもタケオクンを起こすのはかわいそうなので、9:00まで我慢してから部屋に電話する。
「ふぁふ、ちょうどさっき起きたところですぅ」と言っていたが、たぶん嘘だ。爆睡中だったにちがいない。そこまで眠れる若さがちょっと妬ましい。

 コンベンションセンターの下にある、これまた広い食堂で、卵とソーセージとチーズのサンドイッチで朝食を済ませる。

 ふと気がつくと、タケオクンの顔が青い。
「気分が悪いです。胸がムカムカします」

 どうやらアメリカンな食事(とくにチェダーチーズ)にやられたらしく、以後アメリカ滞在中タケオクンはほとんどロクな食事をとれなかった。かわいそうに……。
 日本から持参の胃腸薬を飲んでから、エキジビション・ホールに向う。
 大講堂のようなところに、20以上ものゲーム関連の店が並んでいる。怪しげなウォーゲームからドイツゲーム、日本では手に入らないゲームの小物やミニチュア・フィギュアなど、なにげなく見てまわっているだけで、あっという間に時間が過ぎる。

 存続の危ぶまれていたメイフェア・ゲームズ(アメリカのボードゲーム会社。ドイツゲームの移植などもいち早く手がけていた)のブースを見つけたときは、嬉しくて飛び上がりそうになった。カタンの開拓や新作ドイツゲーム、お家芸(?)の鉄道ゲームがずらりと並んでいるのはさすがだ。日本ではなかなか手に入らない「レイルウェイ・ライバルズ」の拡張版「ダンプフロス」もどんと積まれている。

 カイはゲーマーではないが(断じて)、気がつくとボックス入り「エンパイア・ビルダー」をしっかりと胸に抱えていた(「もう筒入りの同じゲームを持ってるじゃないすか〜」タケオクンがもったいないを連発するが、で、でも、この箱入りのが、ほ、ほしかったんだよ〜)。

 ところで、新しいゲームを見つけてくるようにボス(安田均)に厳命されてきたので、目を皿のようにして探したが……むう、「チグリス・ユーフラテス」「ウルスッペ」「砂漠を抜けて」「バザーリ」「ギプフ」「ミニスター」「タイクーン」、それにカタンの最新作……どれもボスがすでに手に入れたものばかり。さすがのオリジンでも、インターネットを駆使して世界各地からゲームを買いあさるボスの持ってないゲームまでは、取りそろえていない。うちのボスってとんでもないコレクターなのねん。*3

 まあ、逆にいえば、ボスの持っているドイツ・ゲームがずらりと並んでるってことは、アメリカでもかなりの関心を集めてるってことだね。

*3 そう、インターネットだけではなく、やはり日本は消費大国なのだ。カイが必死で買いたがった「ダンプフロス」にしても、東京のメビウスさんにはすでに少数入荷しているのだよ。一般には見つからないかもしれないけれど、ゲームはいまの日本でなら、熱意を持って探せばほとんど手に入るのだ。(「FAQ−グループSNEに質問」<海外ゲームを入手するには>なども参考にしてくださいね)



 まだまだショップを回りたがるタケオクンを引きずって、鉄道ゲームの部屋に向う。朝から晩までゲーム三昧ということもあって人が殺到とまではいかないが、常時5,6卓の鉄道ゲームが繰り広げられている(うらやましい……)。

 その中の比較的穏やかそうな「エンパイア・ビルダー」の卓を選んで声をかける。

「わたしたち、このゲームを遊びたいんだけど、ルールをよく知らないので、見ていていいですか?」(と言ったつもり)
「いいよいいよ、大歓迎さ」(と言われたつもり)

 というわけで、3時間ほどじっくりと見学させてもらった。デイブというおじさんがゲームをしながら、いろいろと説明してくれる。でも、わたしよりルールを知らないタケオクンはまた寝ていた。 その後勇気を出して、午後5:00からの「カタンの開拓」のチケットを購入(1ゲームなんでも1ドル25セント)。*4
これが噂の「3Dカタン」だ!

 ちなみに、やはりアメリカでも「カタンの開拓」は大人気。プログラムにあった「3Dカタンの開拓」というのは、なんのことはない、大きな模型を使ってカタンを遊ぶだけのものだが、常に満員御礼状態だ。

 なので、われわれが参加したのは、ふつうの「カタンの開拓」。これは日本でもやりこんでいるので、充分勝負になるはずだ。

 ……なるはずだったが、アメリカ人に「ねえねえ、鉄鉱石持ってなあい? 羊あげるからさあ」と言われると「はい、どうぞ(イエ〜ス)」と渡してしまう哀しい日本人。だもんで、わずか30分ほどで勝負がついてしまった。

 それにしても、アメリカ人のゲームのやり方って実にシビアだなあ。

カイ「アメリカ人には謙譲の美徳というか、そこまでやったらやりすぎだろうって感覚はないの!」
タケオクン「そりゃ、ないでしょう。ぼくだってありませんから」

 ……シビアなのはアメリカ人じゃなくて、「ゲーマー」なのね……

 あんまり勝負が早かったので、もう1回遊ぼうということになった(これはタダだった)。先ほどの言葉どおり、今度はタケオクンが自力で資源を集めて見事勝利をおさめた。ふう、これでニッポンジンの面目躍如だね(ホントか?)。

*4 この頃、日本では、ぼくはカタンの最新作「中世都市と騎士(STA:DTE & RITTER)」を遊んでいた(江川晃がルール解読に、1週間ほどてこずっていたが。これは、ちょっとルールが複雑になったけれど、おもしろいぞ〜)。
 都市の発展がまるで「カタンの開拓カードゲーム」を使ったみたい。それにカタン島の外部から海賊が侵入してきて、これにはプレイヤー同士がある程度協力しなければ、都市が打ち壊されて文明が後退してしまう。競争と協力という新しいテーマを得て、カタンはますますおもしろくなっている。
 日本では、トライソフトさんから、そのうち出るらしい。カタンファンの人、期待して待ってて。


 そう言えば、わたしたちRPGの部屋ってまだ見てなかったね。なにしろ広いもんで、会場の地図片手にさんざん探しまわってやっと見つける。

 RPGのコーナーは、ホテルの広〜い会議室に卓が2つずつ。日本のように声を張り上げることなく、悠々と遊んでいる。
 タイトルは「ADD」「クトゥルフの呼び声」「ヴァンパイア;ザ・マスカレード」など日本でおなじみのものもある。だからって、この語学力じゃさすがにRPGには参加できないよね。
 でも、マスターが笑顔で話をしてて、プレイヤーが立ち上がってダイスを振って……RPGの風景って、言葉こそちがえど、どこでも同じなんだ。なんだか、懐かしい景色に出会ったような気分にさせてもらった。

 ともあれ「アメリカでアメリカ人といっしょにゲームを遊ぶ」という第一の使命を果たし、勝利を収めてハイな気分でホテルに引き返す。

 買ったばかりの「エンパイア・ビルダー」を部屋で広げて、二人でルールの復習をする。これは「線路を引いて、貨物を指示された街まで運んで収入を得る」というゲームなんだけど、いったん始めるとおもしろくてやめられない。ちょっと確認するだけのつもりが2時間ほど遊んでしまった。

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