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TOP > ユーザーコンテンツ > エッセイ > ゲーム日記特別篇「カイと杉浦武夫のオリジン・ゲーム日記」
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ゲーム日記特別篇
「カイと杉浦武夫のオリジン・ゲーム日記」

○7月5日

 アメリカ最後の日は、午前中買い物をして、午後から観光に行く予定。

 まずは10:00から12:00まで、別行動で買い物をすることになった(といっても、同じエキジビション・ホール内にいるわけだけど)。

 カイはボスに頼まれていた鉄道ゲームと怪しげなアメリカの新作ゲーム*7、やたらとカッコイイ「カタンの開拓」私家版(?)*8、ダイス、Tシャツなどを購入。「ダンプフロス」がほしくてほしくてしょうがなかったけど重いし、もうお金もないし、泣く泣く断念。

*7「ヴェルサイユの貴族」(Telsit/Clash of Arms社)というゲームで、一見するとドイツのボードゲームかと思うようなきれいな装丁だ。ゲームの目的は「ヴェルサイユ宮殿の廷臣となり、ルイ14世に取り入って高い地位につき、収入を得る」というものだが…
 自らの昇進のためにライバルに毒を盛る、それがばれてバスティーユ送りになる、媚薬を使って王様の寵愛を得、子供を産む、王様を暗殺する、と権謀術数、もうなんでもありなのだ。
 ゲームに使用するのは、廷臣駒と10面ダイス、カード110枚だけ。勝敗よりも、ロールプレイの部分でむちゃくちゃ笑える。考え込むとしんどいけど、気楽なパーティゲームとして遊ぶならよくできている。これであと少しルールが整理されていれば、言うことなしなんだけどね。
*8:これはヒット。カイよくやった。ドイツのゲーム雑誌で見て、出てるのは知ってたけど、実物には感激。なんと、スコットランドのハイランドウィスキーの詰め合せセットみたいな外観をしてるのだ(ちゃんと中にはミニボトルも入っている)。
 で、小麦がピート畑みたいになってたり、ちやんと清流が資源になっていたり、ルールは一緒だけど、見た目はホントに豪華。
 向こうのゲーマーはよくやりますねえ。


 11:30頃、古ゲーム屋の前でタケオクンを発見。1時間半、同じ店でフィギュアを探しつづけて、まだなに1つ購入していないらしい……だから時間がいくらあっても足りないんだよ、わたしたち。
 タケオクンはわたしの顔を見ると「はあ、もうこれ買います」と言って、あわててレジに持っていった。急がせるつもりはなかったんだけど、ごめんね。

 さて、これでようやく観光だ! オリジンにはまた参加できるけど、コロンバスに来られるのはこれが最初で最後だろう(オリジンは毎年、アメリカの各都市を転々としている)。少しくらいは街を見ておかないとね。

 といっても実質半日しかないので、ホテルから歩いて1時間ほどのところにあるドイツ村に行くことにした。途中、かなり大きなショッピング・センターがあったので、荷物(主にタケオクンのダンジョン)を運ぶためのキャリアを購入する。

 このショッピング・センターの中でゲーム・ショップを発見。こじんまりした店だが、その品揃えたるや……主だったドイツゲームの新作からRPGのサプリメント、チェスやトランプゲームの小物など、日本では足を棒にしても見つからないだろう商品の数々。都会のど真ん中の、きれいなショッピング・センターに、こういうお店があるんだから、ね。
 ゲームという文化がいかに市民権を得ているかが一目瞭然だ。もううらやましいを通りこして、妬ましささえ感じる。*9
*9:そう、ドイツでもそうだが、たいていの都市には、ゲーム専門店があるんだよねえ。日本ではこうしたものは、きっとコンシューマゲームにみんななっちゃってるんだろうけど、その辺がちょっと残念。でも、時代の流れは少し変わりつつありますね(TCGを置くコンシューマゲームショップが増えだしたもの)。

 そんなこんなでたどりついたドイツ村は……ドイツ風の家がいっぱいあった。
「それだけかい」って言われても、ほんとにそれだけなんだもん。じつにきれいな町並みで、日本だったらあっというまに一大観光地になるんだろうけど、そんな気配はまったくなく、相変わらず人の姿はまばらだ。
 青い木立に囲まれた煉瓦作りの歩道を、空っぽのキャリアを引きながらトボトボ歩く日本人2人。わびしくもあり、のどかでもある。
これがコロンバス市お勧めの名所ドイツ村

 最後の日の夕食だけは贅沢をしようと決めていたので、このドイツ村の有名な「シュミット」というソーセージハウスに行く。と、なんと人が溢れていて、順番待ちまでさせられた。
「街には人っ子一人いないのに、どこからこんな人が集まってくるんや〜」とタケオクンは意味もなく怒っていた。
 なんにせよ、ソーセージは美味しかった。

 またトボトボと歩きながら、ホテルに引き返す。もう夜の9時近い。車はいっぱい走ってるけど、やはり人影はほとんどない。そういえば、お巡りさんさえ1人も見なかったなあ。よほど治安がいいんだろう。人通りのない町角を歩いていても、少しも危険を感じないんだものね。
 などと感心していると、ホテルの前庭(6車線の道路に面している)にチカチカと光るものが……まさかと思って目をこらしてみると、やっぱり蛍?! 
「なんでこんな街中に蛍がいるんや〜。ぜったいウソや〜」とタケオクンはまた怒っていた。
 いや、ホント、びっくりした。信じられないほど、のどかな都会なんだ。



○7月6日

 怒涛のような5日間がすぎ、とうとう帰国の日。
 再び、24時間かけて日本に帰る。タケオクンはずっと寝ていた。

 そうそう、コロンバスの空港で土産物を買ってたんだけど、ガチャーンとなにかの割れる音が。いや〜な予感に襲われて、音のしたほうを振りかえると……やっぱり犯人はタケオクンだった。買おうと思って手に持っていたグラスを落っことしたらしい。

 最後までなにかとタケオクンが事件を起こしてくれたけど、日本では味わえないゲームの楽しみがあった。毎年参加するというわけにはいかないけど、なんとか機会を作ってまた行ってみたいね。

 このレポートを読んでオリジンズに興味を持った方(いるのかな?)、ぜひ一度挑戦されることをおすすめします。

 そりゃ言葉は通じないし、不安だし、日本で遊ぶのより数倍大変だけど、それだけに忘れられない思い出が残ります。案ずるより生むがやすし。がんばってお金を貯めて、遊びに行きましょう!*10

*10:ところで、やはりこのレポートでは触れられていなかったけれど、オリジン大会は年間最優秀ゲームに与えられるオリジン賞でも有名だ。
 たくさんあるので、今年の同賞の主要なものをピックアップすると、

ベスト・アブストラクト(まあ、ファミリーゲームといってよい)ボードゲーム
KILL DOCTOR LUCKY


‘KILL DOCTOR LUCKY’
 去年はカタンが選ばれたこの部門。意外にも、今年はこぶりで安価な、このゲームが受賞。ドイツゲームへの対抗心のなせる結果か? でも、この安さでは、かなりおもしろい部類に入る。ふつう推理ゲームは’犯人は誰か’だけど、これは大きな屋敷でドクター・ラッキーをいかに殺すか−−というアイデアがすごく斬新。そんなに頭は使わないし、シチュエーションもおかしくて、盛り上がる。買いですね。


ベスト・ヒストリカル・ボードゲーム
‘SUCCESSORS’

 アメリカのボードゲームでは、やはり質量タップリのこの部門にいい作品が出る。アレクサンダー大王を扱ったこれも、名作と呼ばれるようになるのだろうか?


ベスト・SF/ファンタジー・ボードゲーム
‘ROBORALLY GRAND PRIX’

 人気の高いロボラリーが、このエクスパンションで選ばれた。ボードゲームの好きなガーフィールド(マジック・ザ・ギャザリングの作者)は嬉しいだろう。
SHADOWRUN TCG


ベストTCG‘SHADOWRUN TCG’
 おお、シャドウランTCGじゃないか。富士見さん、バトルテックといい、シャドウランといい、TCGは大人気ですよ。出してほしいなあ。どんなものか見たい人は、今度のSNEコンでのデモプレイをお楽しみに。


ベスト・カードゲーム
‘GIVE ME THE BRAIN’

 これは謎のカードゲーム。これを出したCHEAPASS社は、‘KILL DOCTOR LUCKY’でも受賞している。急いで、取り寄せなければ……。


ベストRPG
‘LEGEND OF THE FIVE RINGS’

 やった! あの奇怪ジャパネスクTCGにして、カオスギアにもちょっぴり似ているファイブリングズがTCGではなくって、RPGで受賞したぞ! こいつはオドロキ桃の木……とはいっても、あのTCGの背景世界をRPGで遊ぼうというこのゲームは、ちょっと前から読んでいて結構おもしろいなとは思っていた(遊べていないのが残念だが)。けばけばしい部分はあるものの、意外にマジなところが、なんともいえずおかしくておもしろそう。
‘LEGEND OF THE FIVE RINGS’



 ファイブリングズは、TCGのエクスパンションセット部門でも受賞しているし、一部ゲーマーにはかなり受けているみたいだ。 後、コンピュータゲームでは、トゥームレイダーなどと並んで、ファイナルファンタジーZがベストに選ばれていて、これは快挙だろう。

 全体的に見て、RPGとTCGが入り交じっている(シャドウラン→TCGで受賞。ファイブリングズ→RPGで受賞)のは、オリジン賞の政策的な点なのか、それとも、実際にこうなってきているのか、ぼくにとっては興味深く見えるところだ。


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