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TOP > ユーザーコンテンツ > 著者インタビュー > 『ガープス第4版』(2005年7月)
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『ガープス第4版』
友野詳・黒田和人

16年ぶりの新生 『ガープス第4版』

諸星:  それでは、途中にもお話が出ておりました『ガープス』第4版について伺いたいと思います。率直に、何が一番変わったのでしょうか?
友野:  細かいところはいろいろと変わったが。
黒田:  非常に観念的な話になりますが、美しくなりました
諸星:  洗練された、という感じですか。
友野:  従来の『ガープス』ももちろん、シンプルなシステムにいろいろなデータをつけ加えることで成立しているんだけど、時間が経ち、どんどんつけ加えられているうちに……。
黒田:  「ひずみ」のようなものが出てきたんです。
友野:  世界ごとにつぎはぎ感があったり、ところどころにうっかりした「裏ワザ」ができてしまって、「何となく理屈に合わないが、ゲーム的には有利」みたいなことが生まれてしまったのだよ。体力がやたらに低くて、敏捷力だけが高い相撲取りが出現してしまう、というような部分が。
黒田:  第4版ではそれが修正されました。たとえば、ある特定の世界を与えられたら、そこで自分がやりたいキャラクター。あるいはまったく自由な環境を与えられたら、ゲームマスターとして自分がやりたいキャンペーン。これらを作るのがわりと簡単に、思った通りにできます。
友野:  今までは「こういうキャラクターをやりたい」と思ったときに、そのイメージ通りに能力を獲得していくと、ゲーム的には「あれ? ちょっと不利じゃない?」とか「無駄が多いんじゃない?」っていうキャラクターができてしまった。本当に好きなようにキャラクターを作るためには、ルールをある程度読み込まないと難しい、というところが残っていたのだね。が、第4版は全体が非常にすっきりされたので、思ったように能力を選んでいっても、ルール的にそれほど不利ではなく、普通に遊べるキャラクターが作れるようになったのだ。
諸星:  好み優先で作ったキャラクターでも、充分ゲームを進行できる、と。
友野:  そう。見るからに「これ不利になっちゃったなあ」っていうようなことはありえなくなったね。それを実現するために、第4版では細かいキャラクター作成の部分で修正とか、技能の中身とか、不利な特徴の中身とか、様々な面で修正が加えられているけれど、実際遊んでみると、プレイ感覚はまったく変わってない(笑)。
黒田:  変わらないですよね。
諸星:  何か真新しいものが加わったりとか。
友野:  新たな要素、データはもちろんいろいろあるよ。背景世界のサンプルも加わったし。
黒田:  ですが何より、従来からあるものが整理されて、洗練された究極の形になったと言うか。おもしろい舞台を作って、おもしろい冒険をすることに、より重点が置かれたシステムになりました。
諸星:  ふむふむ。
友野:  具体的にどこが変わった、とか言うようなことはまた、いろんな記事などで紹介していくので、ぜひご覧ください。
黒田:  感覚としては……『ガープス』の第3版というのは非常に強力なツールだったのですが、それが「超」強力なツールになって、ライブラリも充実。
諸星:  それは、ほぼ完成形に近づいたと思っていいんでしょうか?
黒田:  うーん。でもきっと、5版出るよ(笑)。10年経ったら
友野:  10年経ったらね。RPGの進歩は、「これ究極!」と思いつつ、止まらないものなので。ロールプレイの部分であるとか、シナリオの組み立て方であるとか、RPGのシステムにはいろんな方向性での進化があるのだけれど、『ガープス』の方向性はその汎用性の部分。「いろんな世界を作っていく」という時に、どういうデータを使えばいいのかが、『ガープス』では非常にクリアに見える。「このデータを参照すると、こういうバランスが取れるんだな」っていうのが、少し考えればすぐに飲み込める形になっているところが、『ガープス』はやはり優れていると思うね。
黒田:  だいたい見ていると、ルールで想定外のこと、不測の事態が発生したとしても、「これは『ガープス』的にはこうだよな」っていうのが、すぐにわかるようになるのです。
友野:  データを整理する過程で、第4版ではちょっとだけ数字の計算が増えちゃったけど。それもほとんどキャラクター作成のところだけ。
黒田:  キャラクター作成のときに計算してしまえば、ゲーム中に使うことはまずないです。
友野:  というわけで大丈夫。それに、多少の手間をかけるのも、キャラクターへ愛情を込めていくプロセスだ!(笑) そこが楽しいのだからね。
諸星:  キャラクター作成といえば、僕の仲間内でも作ったことがあるのですが、選択肢がいろいろありすぎてみんな困ってましたね。いろいろあって楽しくもあるんですけど、目移りしてしまうところもありまして。
黒田:  実は今回、それをちょっと楽にする工夫もあるんです。第4版はそこら辺もちゃんと考えてあるんですよ。「キャラクターテンプレート」というのがあってですね。作成するキャラクターの外枠のようなものが用意されています。「吸血鬼って言ったらだいたいこんな感じだ」セットとか。
諸星:  ああ、妖怪基本セット(ガープス『妖魔夜行』および『百鬼夜翔』参照。『ガープス百鬼夜翔』は富士見書房、小説『妖魔夜行』『百鬼夜翔』は角川スニーカー文庫より好評発売中!)みたいな。
友野:  そんな感じだけど、もっと範囲を狭くして、そのぶん個々のキャラクターを表現できるようになっているよ。最終的には各世界ごとに応じてゲームマスターが作らなければならないけれど、向こう(海の向こう:アメリカのこと)で出る作品ではフォローされているし、こちら(海のこちら:日本のこと)で出る『ガープス・ユエル』でももちろんそうしている。ほぼ作成済みの「アーキタイプキャラクター」や、「テンプレート」とはまた別の形の、簡単な作成システムなどを用意して、よりスピーディーに遊んでいただけるようになった。最初からキャラクターを作るとどうしても時間がかかるけど、一覧から項目を選ぶだけならすぐだからね。
諸星:  なるほど。……発売に関しては聞いてもいいんでしょうか?
友野:  いや、そら聞かんとあかんがな(笑)。まず『ガープス・ユエル』7月29日
黒田:  『キャラクター』8月末『キャンペーン』10月になります。
友野:  原書のほうが大量すぎて、『キャラクター』と『キャンペーン』という二冊に分かれているので、翻訳版もそれを踏襲して、二冊の形で出るよ。
黒田:  分け方もまったく同じです。
諸星:  原書通りで。
友野:  そう。『キャラクター』はキャラクターについて。作成法ほか、それに関するさまざまについて書いてある。『キャンペーン』は各種の判定のことや、サンプルのワールド、シナリオの作り方やキャンペーンの組み立て方についても書いてある、非常に勉強になる一冊だ。
諸星:  うわー、いいなあ。読もう。
黒田:  読みたまへ。ぜひぜひ。
友野:  『ガープス』を遊ばないマスターさんも、RPG全般の参考書として、『キャンペーン』編だけはお買い上げいただきたい。
諸星:  それは確かに。そういうの、ほしかったですからね。
黒田:  後ろのほうには「RPGってのはこうなんだよ!!」っていう、スティーブ=ジャクソン先生の魂の叫びが(笑)。
友野:  ここは読んどけ、とは思うね。
諸星:  お披露目はやはり、JGC(Japan Game Convention:日本最大のアナログゲームイベント。グループSNEも参加します!)ですね。
友野:  『キャラクター』編をJGCに間に合わせるべく、奮闘中だ。スティーブ=ジャクソン先生がいらっしゃるのに、「翻訳間に合いませんでした〜」っていう恥ずかしいことだけはっ。
黒田:  がんばります。


『ガープス』ワールド 今後の展望

諸星:  はい。では、わざわざありがとうございました。
友野:  待てぃ。締めとして、今後の展望ぐらい聞きなさい
諸星:  うわあ、すみませんっ(汗)。
黒田:  サポートですね。『マジック』は出るらしいぞ! ……「らしいぞ」って他人事かよ。
友野:  他人事じゃねーだろ。というか、出さないと困るよね。
黒田:  どこかで言ったような気がするけど、やっぱり「ソード&ソーサリー」(sword & sorcery:「剣と魔法」のこと)はRPGの華なのですよ。
諸星:  そうですね。
黒田:  で、魔法はたくさんあった方が幸せに決まってる。というわけで、『マジック』が最初に来るのは必然。
友野:  『ユエル』のサポートも含めて、『マジック』は出したいな。『ガープス・ユエル』にも魔法は載っているけど、いっぱいあればいっぱい使えるようになるので。それから、アメリカの方でファンタジー全般の組み立て方というか、ファンタジー世界全体に関するガイドみたいな『ファンタジー』っていうのが出ているのだけれど、これも出したい。
黒田:  日米の好みの差って言うか、プレイ事情の違いがあっていろいろ難しいのですが。
友野:  やっぱり役に立つ記述がある。機会があれば、その辺りも何らかの形で紹介していきたいね。それからもちろん、『ガープス・ユエル』の方のサポートもやっていこうと思っている。今回、こういうスタンドアローンの形を取るにあたって、PCを「双子の月を崇める人間キャラクター」にしぼったので。
黒田:  それでもいろんな人が住んでいるわけですよ。そして、そういう人々を再現するのに、第4版は非常にやりやすくなったわけですよ。
友野:  わけですので、ぜひ! 『ユエル』の『異種族サプリメント』は出したい! というか、『ユエル』という作品はこれを出してようやく完成するんじゃないのか、と、個人的には思っているので、がんばりたいね。みなさんに買っていただかないと出ないんだけど(笑)。ぜひとも出したい!
諸星:  はい。
友野:  以降、いろいろとサポートの予定はあるけれど。『ユエル』はリプレイ第2段から、小説の企画も進行中。これらを用いて、ストーリー面でのサポートを。それから雑誌『Role & Rall』での連載も続くので。ここでは『ユエル』以外にも『ガープス』のいろいろなサポートのページをいただけるようにお願いしている。なのでみなさん、雑誌を買って、アンケートで「『ガープス』のページを増やせ」と。
一同:  (笑)
友野:  送っていただければ『ユエル』以外のさまざまな世界のサポートもできるかな、と。当然、『ガープス』は汎用システムだから、『ユエル』一本だけで終わらせるつもりは毛頭ないよ。いろいろと計画を立てている。
黒田:  第3版のときも『百鬼夜翔』と『ルナル』の二本立てだったわけですから。二本立てぐらいはやりたいですよねー。
友野:  ねー。
黒田:  みたいな。
友野:  みたいな。そういえば秋に何だか新しいシェアード・ワールドとか始まるしねー。みたいな。
諸星:  みたいな(笑)。
友野:  最低でもね。それぐらいはやっていきたいと思っているよ。
諸星:  はい。
友野:  でもまあ、最後はやっぱり『ガープス』は自作してナンボのゲームだと思うので。ぜひ自分たちの好きな世界を作って、OSとして活用していただきたい。
黒田:  思ったとおりの世界が格段に作りやすくなったので。「好きに遊べ!」っていう感じです。
諸星:  そのためにもお買い上げください。
友野・黒田:  よろしくお願いします。
諸星:  本日はお忙しい中、ありがとうございました。
友野・黒田:  はい。ありがとうございました。


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