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TOP > ユーザーコンテンツ > 著者インタビュー > シェアード・ワールド・ノベルズ「リボーンリバース ゴースト・コンタクト」(2005年11月)
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シェアード・ワールド・ノベルズ
「リボーンリバース ゴースト・コンタクト」
友野詳・諸星崇・北沢慶

 昔だれかを愛したこと、だれかを憎んだこと、あの人への嫉み、この人へのやっかみ――かつてわたしの心を満たし、苦しめたいくつもの思いは、いまどこにあるのでしょうか。
 忘却の海を漂い、いつかは藻屑と消えるのでしょうか。
 それならば、いい。

 けれど、まだこの心の底に精神的外傷として、深くくぐもっているのだとしたら……
 それよりもむしろ、人々の愛憎がひとところに集められ、でたらめにつなぎあわされて幽体となり、この世をさまよっているのだとしたら……


 2005年11月、グループSNEの新たなシェアード・ワールド「リボーンリバース」がいよいよ開幕しました。
 複数の作家がひとつの世界を分かちあい、さまざまな視点から作品を書きあげるシェアード・ワールドは、作家集団グループSNEの得意とする形態のひとつです。これまでにも「ソード・ワールド」シリーズや「妖魔夜行」「百鬼夜翔」など多くの作品を手がけてきました。
 「リボーンリバース」は「妖魔夜行」「百鬼夜翔」と同じホラー・テイストを継承しつつ、まったく新しい世界観の上に誕生した作品です。
 グループSNEの作品ですから、ゲーム・システムをもとに世界観が構築されていますが、そんなことはまったく気にせず、「読んでおもしろい短編集」として多くの方にお手に取っていただければさいわいです。
 本日は執筆者である友野詳北沢慶諸星崇、それにゲームシステムを担当している川人忠明の四名に「リボーンリバース」の魅力をたっぷり語ってもらおうと思います。
2005年11月 発行
記事作成 笠井道子

リボーンリバース・プロジェクトについて

-- というわけで、まずはプロジェクト・リーダーの友野詳さんにお伺いします。簡単に今回の「リボーンリバース」の特長をお話しいただけますか。
友野: シェアード・ワールドというスタイルと、現代を舞台としたホラー、あるいは超常的な能力を扱ったアクション物というスタンスは、「妖魔夜行」「百鬼夜翔」の流れを汲んでいますが、それ以外の部分はまったく一新されています。
-- わたしの印象ではアクション色がより濃くなっているような気がしましたが。
友野: そうですね。一巻めを見るかぎりではバトルものの要素が強いかな。つかみとして、そういう派手な面を入れたというのもありますけど。
北沢: まあ、今回はくどい、というかむさ苦しい三人が集まりましたからね。
諸星: むさ苦しいと言われると、否定できませんが。
友野: あのな、きみら、もうちょっと営業的、商業的効果というものを考えて表現できんか(笑)。
-- まったくですね。というわけで、本書ではこのさわやかな三人が腕を競いあい……
北沢・諸星: ぶっ。
友野: やかましい(笑)! アクション色が強いってだけでええんや!
-- それはともかく「百鬼夜翔」シリーズが完結したのが今年の春、「リボーンリバース」の後書きには構想二年と書かれていましたが。
友野: 03年から「百鬼夜翔」の終わりを見越して、SNEの若手メンバーを中心に、つぎはどんな世界にしようかとブレーンストーミングをつづけてきました。
-- かなり白熱した議論があったと聞いています。
友野: そりゃもう殴りあったり、砂浜を走ったり(笑)。
諸星: みんなで夕陽に向かって叫んだり(←嘘です)。
友野: いちばん力を入れたのは、妖怪に代わる新しいキーワードはなにか。それがユウレイと決まったあと、従来とちがう味わいを出すにはどういう設定にすればいいのか、と。【こぼれ話1 設定について少々】
-- 従来とちがう味わい、とは?
友野: 妖怪とはどこがちがうのか、従来のオカルトものの幽霊退治とどこがちがうのか、ずっと話しあってきました。これについては、実際に作品を読んで、読者の方それぞれに感じとってもらえたらなと思います。【こぼれ話2】
-- 「リボーンリバース」の舞台として神戸が選ばれたのは、もちろんグループSNEの本拠地というのもあるでしょうが、ほかにもなにか理由があるのでしょうか。
友野: 案はいろいろ出ましたよ。ただ、いまさら東京でもあるまい、というのがまずあって、どこか有名な地方都市か、まったくの架空都市を作るかという二つに絞られた。TRPGなんかだと、架空都市をひとつ作るというのはよく使う手法なんですけどね。
-- でも「リボーンリバース」の場合、架空都市を作って、そのなかでさらに新たな概念のユウレイ使いが登場するとなると……
友野: そう、世界がせまくなりすぎる。われわれがやるからにはTRPGとしての展開も考えてるわけで、こういう現代が舞台のゲームでは、よく知っている場所を使うのが意外にスタンダードな遊び方になっている。百鬼夜翔でもそうだったし。かといって、あまりリアルな現実の神戸を舞台にすると、今度は読み手のほうがそんな町は知らん、と抵抗を感じるでしょう? 旅とか旅情とか、いわゆるオシャレ神戸路線もちがうし。
-- ほんとにねえ(笑)。百鬼夜翔のヨコハマなんかはそういう印象がまだあったんですけど。
友野: 今回もそういう感じは入れたかったんだけど、書き手の資質的に向いてないというか……
-- (やっぱり「むさ苦しい」んじゃないか(笑))。主人公たちの集まるハーブショップ〈コラージュ〉北野の異人館街あたりにあれば、またぜんぜんちがうんでしょうけど。
友野: 現実の神戸路線で行くなら、そうしたんだけどね。で、二つの折衷案として、現実の神戸とはちがう、もっと広い神戸を作ろうというアイディアが出てきて、いま建設中の神戸空港を形を変えて登場させよう、と。
-- 神戸空港って反対されてましたけれど、いまどうなってるんでしたっけ?
川人: なんと来年の春、開港ですよ。ぼくら(神戸市民)は反対したんだけど、がんがん工事を進めて「ほら、もうできちゃったんだから仕方がないじゃん」って言われて。
友野: 「リボーンリバース」の世界では、建設に反対されたので、その埋立地をもっと広げて、東京の都市機能の一部を移転させたことになってます。
-- 霊界の木、世界樹はそれより先、阪神大震災の直後から感知されてるんですよね。
友野: そう、神戸が選ばれた理由のひとつにはそれもあります。やっぱり、世界樹が現れるには、きっかけとなる大きな出来事が必要だったし、あの震災はやっぱり人々の人生観を変えるような災害だったしね。直後にはあまりに生々しくて取りあげられなかったけど、ようやく十年がすぎた。正面きって取りあげるわけではないけれど、関西の人間として、物語の基調にどこか震災の記憶のようなものが流れる作品を作っておいてもいいのではないか、と思いました。
-- そうしたまったく新しい世界観の上に語られるリボーンリバース、記念すべき第1巻『ゴースト・コンタクトには友野詳諸星崇北沢慶の三名による短篇が収録されています。


第1話 そこに彼女は立っている

 人気グラビアアイドル宋田扇奈がユウレイにとりつかれて大暴れ? そんなセンセーショナルなニュースの影で、彼女にそっくりな愛らしいユウレイが三宮の繁華街にぽつんと佇んでいた……
 友野詳描く正統派ヒロイン、豹堂リン。若き武術の達人にして腕利きの〈霊操者〉が真相の解明に乗り出す!

友野: もうたくさんしゃべったので、では簡単に。この作品はいわば基本設定紹介編という感じではあるけれど、ぼく自身は豹堂リンというキャラクターをいかにかっこよく書くかという点に力を入れました。ヒロインというより、むしろヒーローという感じですけれど。
-- またイラストが小説のイメージにぴったりでしたよね。
友野: そう、イラストレーターの安達洋介さんががんばってくださいました。
-- 作品としてはオーソドックスなアクション物、ヒーロー物という印象を受けましたが。
友野: アニメとか漫画とかひっくるめて変身ヒーロー物という意味では、かなり意識もしましたし、影響も受けました。
-- 登場人物は猫に怯えるヒロイン豹堂リン、その妹ランユウレイセンナ、あとは〈霊操者〉の拠点〈コラージュ〉を経営する雨美さんたちですけれど、リンさんはもちろん、ちょっとぶっとんだ感じの妹のランちゃんが印象的でした。
友野: 今後のドラマを描いていく上で、妹のランはずっと登場しますし、センナが何者かについても、徐々に明かされていきます。
-- たしかに第1話を読みおえたとき、これだけでは終わらない、という印象がありました。まだまだ謎は残されてるぞ、とぐぐっとあとを引く感じですね。
友野: そのあたりの仕掛けについては、2巻3巻以降をお楽しみに!【こぼれ話3】

 また、本書の刊行に先駆けて雑誌『ザ・スニーカー』12月号(角川書店)に、同じく友野詳によるリボーンリバース 444の喪報が掲載されました。

 わたしのこと、思い出してくれた?=@毎日午前4時44分、女子高生のもとに届く差出人不明の不気味なE-メイル。やがて少女はふつりと姿を消した。行方を探す友人たちのもとに豹堂リンとセンナが訪れ、解決に乗り出す。
 森や空き地がコンクリートで固められ、棲家をなくした霊たち。それがいまふたたび、インターネットという電波の世界、そこに日々吐き出される雑多な感情に新たな足がかりを見つけて活動をはじめた……


 そんな感想を抱かせる、ホラーテイストに満ちたこわ〜い作品。
 まだの方は、こちらもあわせてお読みいただくと、興味倍増です。


第2話 ゴースト・コンタクト

 本書の表題作ともなった、新人諸星崇のデビュー作。
 神戸の住宅街で頻発する通り魔事件。〈霊操者〉を狙ったその事件は、人間よりむしろユウレイを狙う愉快犯に見えた。強い霊感をもち、ユウレイに特別な親愛を抱く中学3年生、裴原孔一はだまって見過ごすわけにいかず……
-- 諸星さんにとっては、これが実質的なデビュー作となりますね。
諸星: はい、生涯初出版本です!
北沢: それで表題作を取るなんて生意気だ(笑)。
友野: まあ、諸星の場合は精力的にがんがん書きあげてくるからね。表題作になったのは、単につけてきたタイトルがほかより納まりがよかったからで。
諸星: それだけっすかー(笑)!【こぼれ話4】
-- というわけで、はじめての読者の方々にまず自己紹介を。
北沢: このホームページの日替わりエッセイ食痛奇行を大好評連載中だけどな。
諸星: 大好評かどうかはわかりませんが(笑)、今年2005年の4月から正式にグループSNEに参加した諸星崇です。通っていた専門学校で秋口ぎぐるさんが講師をしていらして、声をかけていただいたのがきっかけです。で、作品を書いて、ボス(安田均)に見てもらって、なんとかもぐりこめた、と。
-- 今年の4月ということは、入社したときにはリボーンリバースの企画はもうかなり進んでたんですね。
諸星: ええ、すでに1巻が出るというのが決まってまして、設定資料をいただいて「書きたいなら書いてごらん」と言われたんです。もちろん、そのときにはまだほかの仕事をいただいてなかったので、バババっと集中して書けました。
-- 書いてみていかがでしたか。
諸星: 大変でした(笑)。まず設定を理解しなければいけなかったし、やっぱりいままで一人で書いてきたのとはちがって読者さんがいらっしゃるわけですから。結果的にこの「ゴースト・コンタクト」は7稿まで行ったんですよ。
-- 7稿?! それはまたすごい。やっぱり友野先生からの大幅な直しが?
友野: いや、そんな大きな直しはしてないって(笑)。ただ諸星はまだ若いんで、くりかえし同じものを書いて自分の型を作れ、と。じっさい、書きなおせばなおすほどよくなってきたしね。そうなるとまた欲が出てきて「もう1回書きなおしたら、もっと面白くなるんじゃないか」と……。
-- そのあいだに、諸星さんはいく度拳をにぎりしめたことか。
諸星: いえいえ、そんなことは一度も(笑)。デビュー前だし、その時点ではプロでもなんでもないので、一生懸命やるだけでした。これからは自分でも考えて、いろいろ頑張って企画をひっぱっていけるようになりたいと思っています。
-- 諸星さんの持ちキャラの裴原孔一くんは〈霊操者〉ではないんですよね。
諸星: はい、そうなる前の段階です。ユウレイはついてるけれど、自分にユウレイがついているのを知らなくて、"魂の技芸"もまだ修得していません。ただ、ユウレイにさわれるという特異体質は元々持っています。
-- なるほど、戦闘シーンに肉弾戦が多いのは、孔一くんがまだ"魂の技芸"が使えないからのか。
諸星: そのとおりです。
-- 拳と拳のぶつかりあう戦闘は、格闘技のことをなにも知らないわたしでも面白く楽しく読みましたが、諸星さん自身はなにか格闘技をやってたんですか。
諸星: いえ、まったく。調べられるかぎりは調べて、あとはもうイメージで……。
-- あ、そうなんですね。じゃあ格闘技に詳しい人がこれを読んだら、怒られそうかな?
諸星: めっちゃ怒られそうですね。だから、格闘技を知らない人には戦闘シーンも楽しんでもらって、詳しい人にはそのほかの部分を楽しんでいただけたらな、と(笑)。
-- じっさいに殴りあって体験するわけにはいきませんからね。で、お話のなかでは、幼馴染み紗枝ちゃんのお母さんとのからみで、やはり記憶にまつわるトラウマが扱われていますが。
諸星: ええ、これは今後のお話にかかわるんですけれど、孔一はそのお母さんに頭をなでてもらったりしてるのに、じつの娘の紗枝はそういうことしてもらってないんですよ。
-- そのあたりは、これからいろいろ明かされていくというわけですね。さっき言ってた孔一くんについてるユウレイというのは?
諸星: 自我のないユウレイです。昔、孔一と同じようにユウレイとコミュニケーションを取ろうとした人たちのユウレイが、孔一に力を貸してます。孔一自身はまだそれに気づいてないので、本作では後半にちょろっと登場するだけですが。孔一は今回の事件がきっかけで、ぽんっと芽が出たところなんです。いまの孔一は生命力を削って拳を使ってまして、まだまだ未熟者なんですよ。
友野: だから、リンに「半人前以前」とか怒られるわけやね(笑)。
-- なるほど。2巻には残念ながら登場しませんが、以降の続刊で孔一の成長物語が読めるわけですね。楽しみにしています。さらに、デビュー後第1作の話も決まっているとか?
諸星: はい、つぎは諸星崇の個人名で、オリジナル長編が富士見ファンタジア文庫から出版されます。12月20日発売で正式発表されていますので、富士見書房のホームページなどでぜひご確認ください。タイトルは白王烈紀 天の獣に王なる翼をです。
-- (タイトル、ながっ!(笑)) それはファンタジー小説?
諸星: はい、和風テイストのファンタジーです。ライトノベルが好きでSNEに入りましたので、これからもそうしたものを中心にいろいろ挑戦していきたいと思います。
-- がんばってください!


第3話 暗闇に潜む思い

 地下鉄神戸線で痴漢が続発。それと平行して線路への転落が多発する。
 震災で両親を失った高校生志津の孤独が事件を引きおこすのか。硬派の〈霊操者〉虎川武が解決に乗り出す。

-- というわけで、お待たせいたしました。バラエティ豊かな本書のトリを務める北沢さんの暗闇に潜む思いです。主人公は〈コラージュ〉のメンバーである虎川武くんですが、このキャラクターはもともと北沢さんが設定した人物なんですか。【こぼれ話5】
北沢: いえ、「リボーンリバース」の企画段階ではぼくは参加してなかったので。
-- あ、そうか。「リボーンリバース」は友野さん監修のもと、SNEの若手メンバーが中心に企画を進めてきたんですね。
北沢: そうです、ぼくはもうSNEでは「若手」ではないので(笑)、どちらかというと傭兵ですね。でも、書くのは楽しかったですよ。わりとすらすら書けましたし、なにより取材が楽でした(笑)。
-- 神戸はSNEの地元ですからね。同じ神戸でも、三作それぞれ舞台となる場所がうまくばらけてますが、これはたまたまでしょうか?
友野: たまたまです。ただ、先に諸星くんと北沢くんが作品を上げてきたので、ぼくはそこから意図的にずらしましたけれど。
-- 三作のなかでは、北沢さんの作品がもっともSNEの事務所に近い場所が舞台になってますね。新神戸駅に隣接するオリエンタル・アヴェニューがもとは病院だったという設定はほんとなんですか。
北沢: ほんとですよ。行きつけのメシ屋のおっちゃんに「あそこ、前は病院やったんやで。怪談多いんやで」と聞いたのがきっかけです。だから、この本を献本に行かなあかんのですけど、昼は店を閉めたはるんで、まだ行ってないんですよ。
友野: 早よ行っとけ(笑)。
-- あとネタとしては痴漢(笑)。本作にはインターネットの「痴漢サイト」が登場するんですが、あれも実在する?
北沢: します。むか〜しネットをはじめたばっかりのころ、なんにもわからないままネットサーフィンしてて、たまたまたどりついて、それが頭に残ってたんですね。でも、それはフレーバーの部分で、お話の核はもとは病院だった場所に、いまはオリエンタル・アヴェニューという建物が建ち、地下鉄の駅があるってことですね。
-- それだけで充分、怖いですから。
北沢: で、どんな事件があるかなと考えて、「電車といえば痴漢じゃ〜い」と……
-- え、電車といえば痴漢、なの?
北沢: いや、いま自分で言ってて、それもどうかと思いました(爆笑)。でも、通ってた大学も地下鉄沿線にあったんで、舞台として書きやすいかな、と。ただ、小説のなかの地下鉄は現実とはちがってます。たとえば、現実の神戸地下鉄には「女性専用車輛」がちゃんとありますが、小説ではなくなってます
友野: まあ、リボーンリバースの神戸は現実の神戸とはちがうからね。
-- ところで、虎川武くんは北沢さんの作ったキャラではないというお話でしたが、彼に憑いているユウレイのたりたはどうなんでしょう?
北沢: あ、あれはぼくが考えました。
-- やっぱり! 北沢さんの小説には愛らしい妖精のような存在がよく登場すると思うんですけど、今回の「たりた」もそんな感じですよね。
北沢: そ、そうかなあ(苦笑)。【こぼれ話6】 でも、「たりた」は実在の人物をモデルにしてるんですよ。昭和初期に活躍した「園部秀雄」という薙刀使いです。百何戦して一敗しかしていないというツワモノですが、じつは女流で、幼名を日下たりたと言うんです。それをもじって草薙たりたにしたんですよ。
-- へえ、そういう裏話があったんですね。
北沢: そんなわけで、これからもリボーンリバースにはぼくは傭兵として参加していきますので、よろしくお願いします!


今後の予定
-- では最後になりましたが、今後の予定を教えてください。
友野: 短篇の第2巻は06年2月で進行中。すでに三話中2話は上がってきてます。執筆者は川人忠明篠谷志乃、そしてわたくし友野詳の三名です。
-- 川人さんは今回はどんなお話を?
川人: え〜っとえ〜っと……美少年がたくましい親友と仲よくするお話
-- それって、すごく妖しげなんですけれど。
友野: いやいやいや(笑)。1巻の収録作とはまたちがったコメディタッチの青春物です。
川人: 登場するのもまったく新しいキャラクターです。
-- では、篠谷さんの作品は?
篠谷: ごくふつうの中学生の女の子の視点で、虎川武を活躍を描いてますアクション青春ストーリーです。
-- その女の子が篠谷さんの持ちキャラになる予定なんですね。でも、その子は〈コラージュ〉のメンバーじゃない
友野: じゃないです……いまはまだ、ね(ニヤリ)。
-- で、友野さんの作品は再び豹堂リンとセンナのお話でしょうか。
友野: はい、正統派ホラーアクション。今度もヒーロー物です。
-- 事件のとっかかりを少しだけ教えていただけませんか。
友野: 神戸の大通り、フラワーロードにずらりと真っ黒い恨みにゆがんだ顔が車線のど真ん中に並ぶんですけれどね。
-- ほうほう、それで?
友野: ふつうの人にはそれが見えないから、平気で突っ切っていく。そうすると、ぷちっとちぎれた顔がその人にくっついていって……
-- で、その人はどうかなってしまう?
友野: もちろん、どうにかなってしまいますねえ、大変ですねえ(ふたたびニヤリ)。どうなるかは、読んでのお楽しみ!
-- ……まだ考えてないってことはないですよね?
友野: 考えてるわ! こないだ、そのネタでセッションしたっちゅうに(笑)!
-- 第2巻も1巻同様、バラエティに富んだ一冊になりそうですね。
友野: はい、その後も3巻4巻とつづいていきます。ただ、モザイク長編であったり、短篇2作で1冊だったり4作で1冊だったり、妖魔夜行や百鬼夜翔よりはバリエーション豊かに展開していくつもりです。さっき話に出た「リボーンリバース 444の喪報」や、すでに書きあがっている待機中の作品やキャラクターもありますので、どんどん買って、アンケート出してください!
-- 言いたかったのはそれですか(笑)。先ほどから、ゲームとかシナリオといった言葉がよく出ていますけれども、もちろん「リボーンリバース」は当初からTRPGを念頭においてのプロジェクトなんですね。
川人: 現在テストプレイが進行中です。週に1回程度の頻度で、がんがん進めています。
友野: システムのメイン川人忠明が中心になって作り、それに友野がこちゃこちゃ注文をつけたり、世界設定のつじつまを合わせたりという形で進んでいます。
川人: ガープス第4版を母体に、あまり複雑にならず、できればスタンド・アローン(一冊で遊べる)という形で出したいと思っています。
友野: 内容としては、妖魔夜行、百鬼夜翔に近いホラーアクションものですが、ゲームとしてのテイストはぜんぜんちがうオリジナルなものになると思います。
-- プレイヤー・キャラクターになるのは人間でしょうか。
川人: ええ、基本は人間の〈霊操者〉です。プレイヤーとマスターの合意の上で、ユウレイが〈霊操者〉の主体となっているキャラクターも可能ですけれど……
友野: いきなりそんな複雑なことはせずに、最初は人間がユウレイを武器や道具的に使って遊び、慣れてきたらいろんな遊び方ができるよう段階的に進めていきたいですね。来年の夏までには刊行したいと思っています。さらにルールブックより先行して、リプレイなんかも出したいなあと、と。
-- シェアード・ワールド・ノベルというスタイルもそうですが、TRPG、長編、短篇、リプレイと多方面からの展開もグループSNEの得意とするところですね。「リボーンリバース」はようやくその一端が見えたばかり。今後の展開を楽しみにしています。
 本日はありがとうございました。

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