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TOP > ユーザーコンテンツ > 著者インタビュー > 『密林戦線/Expansion:エムブリオマシンRPG』『聖女のちょっとした受難/Replay:エムブリオマシンRPG』(2008年08月)
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『密林戦線/Expansion:エムブリオマシンRPG』
『聖女のちょっとした受難/Replay:エムブリオマシンRPG』
発売記念インタビュー

○はじめに

 中世ヨーロッパ風の世界を舞台にしたリアルロボットバトルRPG、『エムブリオマシンRPG』も発売から早1年。
 この1年という節目に、新たな大型エクスパンションとリプレイの新シリーズ第1巻が相継いで発売されることになった。
 今回はメインデザイナーである秋口ぎぐるが現場のスタッフにインタビューを行う、という形で各作品の魅力、制作裏話などをお伝えしていく。
 
2008年08月 発行
記事作成 秋口ぎぐる


○通称”SNEのヘルミッショネルズ”

秋口 まずは『密林戦線/Expansion2:エムブリオマシンRPG』(以下 『密林戦線』)について聞いていこうか。片山くん、河野くん、よろしくー。
片山 今回はワールド監修や固有名詞のネーミング、戦場マップの作成を行った片山泰宏です。よろしくお願いいたします。
河野 それ以外の執筆、データや新ルールの作成を担当した河野裕です。よろしくお願いいたします。
秋口 さっそく本題に入ろう。そもそも『密林戦線』ってどんな作品?
河野 エクスパンションに求められる要素は一通り入っていますよね。大量の追加武装追加サンプル機体、プレイの幅がぐっと広がる複座型ルール地形変化ルールとか。
片山 ただ……そうした要素をちゃんと押さえつつも、メインは別にあるという。
河野 そう、実は密林探索ゲームがメインです(笑)。コンセプトはずばり「GMや事前準備がまったく要らない『エムブリオマシンRPG』」! シナリオはもちろん、機体の作成すらしなくてもいい。メンバーが集まって3分後にはゲームが始められる。
秋口 具体的には?
片山 密林探索ゲームでは、各プレイヤーは「密林」や「遺跡」、「民族の村」といったマップタイルをめくることで探索を進めていくんです。このマップタイルは24種類あって、もちろんそれぞれにイベントが書かれていたりするんですけど、それだけじゃない。
河野 めくられた時点で「そのタイルの上にいくつ武装チップが置かれるか」が決まっていて――武装チップというのは武装のデータやイラストが書かれたチップです。ちなみに各プレイヤーの機体は最初、ほとんど武装を持っていない状態なんですね。で、こうしてマップタイルの上に置かれた武装チップを集めることで、各プレイヤーは少しずつ自分の機体を強化していく。
片山 ただし、マップタイルの上に重ねられた武装チップは必ず上から取っていかなくてはならない、というルールがあって――。
河野 あえて他プレイヤーに使いづらい武装、たとえばボーラとかネットとかを取らせて、自分はガトリングガンやブレードを取っていくという。そうした駆け引きが重要になってくると。
秋口 その駆け引きを処理するルールは……?
河野 当然、プロッティング(笑)。密林探索ゲームではマップタイルからマップタイルへの移動、他プレイヤーへの干渉、武装チップの拾得、といった行動それぞれに専用のアクションカードが用意されていて、これらを自分の前に伏せておくことでプロッティングを表現します。
秋口 完全に1つのゲームを作った感じだよね。24枚のマップタイル約150枚の武装チップ各プレイヤーごとのプロッティングカード……ほかにも細々としたチップが付属してる。
河野 前のエクスパンション――『御前試合/Expansion2:エムブリオマシンRPG』はシミュレーションゲームだったと思うんですよ。
秋口 でも今回はドイツゲーム(笑)。これは『密林戦線』のあとがきにも書いたんだけど、他プレイヤーの思考を読みつつマップ上を移動してアイテムを集める、うまくタイミングをずらして他プレイヤーに価値の低いアイテムを押しつける、というのは『ヒマラヤ』というゲームを参考にした。
片山 どんどんマップタイルをめくっていく、というルールは『ビトレイヤル』という幽霊屋敷探検のゲームを参考にしたんですよね。
秋口 あれはアメリカのゲームなんだけど、そうだね。ちなみに最初はどのプレイヤーが味方かわからない、という要素は『インコグニト』を参考にしたんだ。
片山 そう、その要素を説明してませんでした。各プレイヤーは他のどのプレイヤーが仲間なのか、まったくわからない状態でゲームを始めるんです。
秋口 そうだったそうだった。
河野 ゲーム開始時に、各プレイヤーには特定の番号がランダムに割り当てられます。シナリオには番号ごとのミッションや陣営が書かれているので、各プレイヤーは自分のミッションをこなしつつ、他プレイヤーの行動から、どのプレイヤーが自分と同じ陣営なのかを推測しなければなりません。
片山 ここで判断を誤ると、わざわざ敵に強力な武装を渡してしまったり、逆に味方を傷つけてしまったりするんです(笑)。
河野 密林探索ゲームはいずれかのプレイヤーが自分のミッションをクリアした時点で終了。その後、バトルパートが始まることになります。


○『密林戦線』制作にまつわるエピソード

秋口 制作の裏話とかある?
河野 テストプレイはかなりやりましたね。基礎ルール自体は1月にできていて、それから4か月ぐらいテストしつづけた
秋口 そうだったそうだった。ほんとはあそこまでやる必要なかったんだけど、なんか楽しくて遊んでたなぁ。
片山 武装のテストも含めたら、一体どれだけ時間をかけたことやら……。
秋口 人件費を考えると完全な赤字商品だね(笑)。
片山 裏話で思いだすのは、紹介されるNPCが6人から3人に減ったことですね。この影響で男性NPCが1人もいなくなった
河野 そうですよ。おかげで秋口さんが入れてたマップタイル「No.14/小屋」に住むホモ男、という小ネタがなくなったんです。
片山 (密林探索パート用の)シナリオに「男性指揮官の恋人が小屋に住んでる」という記述があって、別のパートでは小屋の住人が男性NPCとして紹介されてて……というあれですね(苦笑)。


○ヘルミッショネルズのお気に入り

秋口 個人的なおすすめは?
河野 これまで紹介されたすべてのA、Bランク武装がチップになってる、というのは魅力でしょう。
片山 あとは地形変化ルールの面白さとか。
河野 たしかに。フリーズレーザーによる即死(戦闘不能)効果モンスタースコップによる遮蔽効果、なんかはハマるとかなり気持ちいい。
片山 僕なんかは火炎放射器で森を焼き払えるだけで嬉しかったりしますよ(笑)。
河野 前面と背面に(同時に)射撃できる複座型ルールなんかも含めて、「今回はこういうコンセプトで戦ってみようか」と思えるルール、武装が揃ってるはず。
秋口 一度、プレイヤー全員が複座型でプレイしたことがあったじゃない? あのときは本当に笑えた。だれもが移動後に横を向こうとするんだもん(前面の武装、背面の武装、両方を敵陣に向けるため)。
片山 吹き飛ばし系の武装もいいですよね。ノックバックカノンとかタックルショルダーとか。相手の向きを変えることもできるから、背面を取ったり射線をそらしたり、といった使い方ができる。
河野 接近移動との組合せが強いですよね。
片山 あとはエネルギーストームの強さとか。あれって命中判定がないから、読みさえ当たれば確実に大ダメージを与えられる。
河野 プロッティングの重要性が増すような、ランダム要素を減らすような武装が目立ちますよね。必ず頭に命中するヘルメットとか。
片山 逆にターンパイルは読みが苦手な人向けの武装かな? プロッティング後に突撃の方角を変えられるから。
河野 ドリルミサイル弾薬硫酸ロケット弾薬もぜひ使ってほしいです。
片山 プレイの幅の広がり方を考えると、上級ルールブックと言える内容ですよね。


○最後に

秋口 最後に、ユーザの皆さんにメッセージを。
河野 密林探索ゲームは本当におすすめです。プレイ時間は1時間なのに、めっちゃ遊んだ気になりますから。その後のバトルパートをやる気にならないぐらい。
片山 ああ、言ってはならんことを(笑)。
河野 いやほんと、作る前に想定した通りのものができたと思うんですよ。ぜひ皆さんにも遊んでもらいたい。
片山 『御前試合』は1戦にすべてをかける、ありったけの武装をつぎこむ感じでしたけど、『密林戦線』は機体が完成するまでの仮定を――武装の収集を楽しむゲーム。その違いを感じていただければうれしいですね。
河野 Aランク武装よりもBランク武装のほうが使える、というのがよくわかるエクスパンションになりました。いくら大口径ロケット砲があっても、弾薬がなければ無意味です(笑)。
片山 現在は次のエクスパンションを制作中です。こちらはこれまでとはうってかわって、アドベンチャーパートを重視した作りになるはず。
河野 今後も『エムブリオマシンRPG』の展開は続きます。応援よろしくお願いいたします。
片山 よろしくお願いいたします!




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