秋口: |
続いて番棚くんに新リプレイのことを聞いていこう。 |
番棚: |
新リプレイの執筆を担当した番棚葵です。よろしくお願いいたします。 |
秋口: |
このリプレイには片山くんも関わったんだよね? |
片山: |
はい、巻末のワールド紹介を書かせていただきました。 |
秋口: |
なら3人で進めていこうか。さっそくだけど、新リプレイのタイトルは――。 |
番棚: |
『聖女は可愛い。幼女だともっと可愛い』。 |
片山: |
ではなくなりましたよね? |
番棚: |
はい、ごめんなさい(笑)。最初は『上手な聖女のさらい方』とか『密林に聖女はいらない』とか、どっかで聞いたことあるタイトルをいっぱい考えていたんですが……最終的には『聖女のちょっとした受難』で落ちつきました。 |
秋口: |
なんで番棚くんが書くことになったんだっけ? もちろん最終的にOKしたのは僕なんだけど。 |
片山: |
これまで番棚さんは、主にデモンパラサイトに関わってましたよね。 |
番棚: |
SNEの20周年パーティーで、ジャイブの編集者さんとお会いして。その時、真っ先に「エムブリオマシンのリプレイを書かせてください!」ってお願いしたんです。 |
片山: |
20周年パーティーっていうと、去年の冬ですね。 |
番棚: |
はい。なんだか僕の事が変に伝わっていたらしく、編集者さんに「君があのキモい人?」とか言われて(笑)。そこがすべての始まりだったような気がします。 |
秋口: |
ぶっちゃけ番棚くんは前のリプレイシリーズでスタッグのプレイヤーをやってたんだよね。それで「あれだけキモいプレイができるんだから、書いても面白いものを生みだせるに違いない」と判断してもらえた、ということかな。実際、僕もそう思ったし。 |
番棚: |
ありがとうございます。 |
秋口: |
今回のリプレイには特別なコンセプトがあったとか。 |
番棚: |
はい、実はリプレイ用にずっと温めていたネタがあったんです。それが、「PCたちはそれぞれまったく別の立場からゲームがスタートし、ともすれば敵同士にもなる」というもので。 |
片山: |
僕も原稿を読みましたけど、今回のリプレイでは1話目からPC同士が戦っていますよね。 |
番棚: |
ええ。最初は敵同士だったPCたちが少しずつ和解していく――という仕掛けで作りたかったんです。平成仮面ライダーみたいな、かっこいいノリで。 |
秋口: |
ということは、今後は彼らが仲間になるような展開も? |
番棚: |
そうですね。最終的にはプレイヤーが何を選択するかによりますが。2巻以降では、そういった展開になる可能性も十分にあるストーリーになっています。 |
片山: |
PCが敵同士で、本当に戦闘までやってしまうというのは珍しいですよね。 |
番棚: |
他のTRPGじゃあ、あんまりプレイヤーVSプレイヤーってできませんから。でもその点、『エムブリオマシンRPG』は元々対戦ゲームとしての要素も兼ね揃えています。だからPC同士の戦闘も無理なくできるんじゃあ……と思って。これが元々考えていたストーリーにぴったりきたので、そこから膨らませて今回の作品ができました。 |
秋口: |
ほかにもコンセプトがあるんだよね。 |
番棚: |
そうですね。1巻は『密林戦線』と同時期の発売なので、あちらで紹介されているワールドやシステムを最大限に活用しようと。 |
片山: |
ちゃんと密林が舞台ですよね。 |
番棚: |
もちろんあの素晴らしいシステム……っていうか、ボードゲームもやってますよ(笑)。機体を組ませずにセッションを開始し、PCには密林探索ゲームで得た武装だけで戦ってもらう。以降も引き続きその機体を使用してもらう、という。 |
秋口: |
まともな機体になったと思う? |
番棚: |
一応どの機体も戦える状態にはなってます。ただ、ぎりぎりの数の武装しか集められなかったせいで、2話目でけっこう大変な思いをするPCがいたり……(笑)。 |
片山: |
そう言えば、主人公の機体が複座型なんですよね。 |
番棚: |
はい。主人公の女の子には物語のキーとなる妹がいるんですよ。その妹が補助役(機体の後部座席に座り、背面への射撃を担当するNPC)になれる、と思ってあの設定にしました。 |
片山: |
複座型、使いこなせると強いですよね。 |
番棚: |
はい。実際のセッションでもたびたび「おおっ!」っと思わせるシーンがありましたよ。 |
秋口: |
ワールドデザイナーから見てどうだった? 今回の新リプレイは。 |
片山: |
作中ではスルスリート教国という宗教国家の権力争いが描かれているわけですけど……ぶっちゃけわりと俗っぽい印象ですよね、今回のスルスリート教国って。 |
番棚: |
うう、すいません……今回はスルスリートの中でも特に俗っぽい人たちばかりが登場した、ということで(汗)。 |
片山: |
いや、もちろん問題はないんですけど(笑)。 |
秋口: |
前のリプレイシリーズでも俗っぽく描いちゃったよなぁ、舞台とかNPCとか……バルトルドの皇女とか、特に酷かった。 |
片山: |
ああ、あのキャラはいいんです。いじられてなんぼですから。 |
秋口: |
それがデザイナーのこだわりか(苦笑)。――スルスリート教国ってバチカンがモデルだよね? |
片山: |
そうですね。スルスリートの組織運営はキリスト教がモデルになっています。ただ、宗教自体はミトラス教という太陽信仰をモデルにしていて……クリスマスだとか1週間が7日あることとか。こういった要素は元もとミトラス教のもので、あとからキリスト教に取りこまれたもの……だったはず。 |
秋口: |
そうなんだ。 |
片山: |
ワールドパートではラティオ教の創世神話とか、スルスリート教国の七天騎士団それぞれの役割とか、そういった部分を重点的に書きました。 |
番棚: |
各騎士団の役割を7種類も、よく考えましたよねぇ。 |
片山: |
最初は大変だと思ったんですけど、書いていったら意外とすぐに埋まりました(笑)。読者の皆さんが『エムブリオマシンRPG』を遊ぶときに、アドベンチャーパートで活用していただけるとありがたいですね。 |