――: |
共生生物以外にも、様々な追加データがありますね。 |
北沢: |
今回は特に、《シードエフェクト》という要素に注目してもらいたい。 |
力造: |
《シードエフェクト》というのは、『パラサイトブラッド』の世界観の根底に大きく関わる要素です。設定は色々とありますが、要は、「なんでもありのシナリオフック」です! |
北沢: |
GMが「パラブラの世界で、こんなシチュエーションをやりたい!」という着想からシナリオを作る。そして、結果的にそれがルールから逸脱したとする。でも、「《シードエフェクト》だから」と言い張れるようになってます(笑)。 |
――: |
ルールに縛られずにシナリオを作れる、ということですか。 |
片山: |
この要素によって、これまで設定面や世界観の面なんかでやりにくかったことが、すごくやりやすくなると思います。 |
――: |
片山さんの『小悪魔ストライカーズ!』の第1巻でも、戦いの舞台をつくるために、大きな役割を果たしていましたね。あれを読んで、「パラブラの世界はこういうことまでできるのか」とびっくりしました。 |
力造: |
前作『デモンパラサイト』の時代から、「この世界観の中で、どれぐらいのことをやっていいのか」という話はありました。 |
片山: |
たとえば、「炎を操る」のはいいとしても、「時間を停止させる」のは世界観的にいいのか、とか。 |
力造: |
それで、パラブラになったのを機に北沢さんにそのあたりを改めて尋ねたら、「何やってもいいよ」という言葉が出てきて(笑)。 |
北沢: |
作品の世界観から逸脱し過ぎずにシナリオを面白くするならば、何をやってもOKになりました。 |
――: |
ゲームマスターやプレイヤーのやりたいことが何でもできる、という感じですね。 |
片山: |
それに《シードエフェクト》は、“悪魔憑き”を強化する、というだけではありません。たとえばヒロインポジションの普通の人間の女の子が、なぜか《シードエフェクト》を持っていて……というような形でも使えます。 |
北沢: |
上級ルールブックについているサンプルシナリオは、「残暑が厳しい街に、突然、原因不明の猛吹雪が襲う」という環境変化型のものになっています。雰囲気を理解してもらう一助になると思います。 |
――: |
そういう要素を聞くだけで、色々とシナリオが作れそうですね。 |
片山: |
13種の共生生物の力を組み合わせるわけですから、パターンは膨大ですよ。 |
力造: |
基本的に、『パラサイトブラッド』は直感的に遊べるように作ってありますが、データ好きの人たちにも、十分、楽しんでもらえると思います。 |
片山: |
データに関して言うと、[共生武装]という“悪魔憑き”専用の装備も載っています。攻撃力を上げるものや移動力を上げるものなど、45種類のデータがあります。長所を伸ばすも良し、弱点を補うも良し、と色々な運用があると思います。 |
北沢: |
あと、パラブラでは動物もPCとして選べるんだけど、今回はその選択枠も増えました。大型肉食動物、鳥類、爬虫類など、様々な動物が選べるよ。 |
――: |
パラブラのパラブラらしさをさらに強くするような一冊ですね。 |
北沢: |
ユーザー必携の一冊に仕上がった、と自負しています。見所満載ですよ。――あと、表紙を飾る女性の2人ドヤ顔にも注目(笑)! |
――: |
リプレイ『Bite The Dust!』の登場人物、螢子隊長とルーシーですね。 |
力造: |
どうしてこんなに自慢気なんでしょうか(笑)。 |
片山: |
そして基本ルールブックと並べると……あまねは主人公らしくキメてますが、唯一の男キャラ、蒼一郎の扱いがちょっと可哀想(笑)。 |
力造: |
蒼一郎がいないとシナリオが前に進まない、っていうぐらい、重要なポジションなのに……。 |
北沢: |
ブレーキ役というかツッコミ役という意味でね(笑)。 |
――: |
ではリプレイの4人の話が出たところで、そちらの話に移らせていただきます。 |
北沢: |
《シードエフェクト》や共生武装なんかも出るね。 |
力造: |
上級ルールブックのデータを盛りこんだ内容になってます! |
片山: |
あと、PCが多重共生をしたりもしましたね。 |
――: |
多重共生をした2人それぞれが《瞬間電操》と《攻殻斧》(※両方とも、ダメージダイスを追加する、GM泣かせの特殊能力)を駆使してましたね。 |
力造: |
(しみじみと)あれ、つらかったっスわー。 |
一同: |
(笑) |
力造: |
今後、全国のGMがこういう目に遭うのか、と少し涙しました。でも俺はプレイヤーのみんながとっても楽しそうにダイスを振ってたから、満足です(笑)。 |
――: |
内容の方ですが、1巻のノリのまま、みんなボケっぱなしですね(笑)。 |
力造: |
プレイヤーもGMも、みんな始終ボケっぱなしです。そして蒼一郎だけが延々とツッコミに回る(笑)。 |
片山: |
他にツッコム人間がいませんからね(笑)。 |
――: |
そういった部分も含めて、4人それぞれ、さらにキャラクター性が掘り下げられた、という感じですね。 |
力造: |
“黒豹小隊”メンバーの過去に深く関わるNPCが一人出てくるんですが、彼の存在によって、主要人物のドラマ性を深めることができたと思います。 |
北沢: |
あまねも、主人公らしく活躍してたね。 |
力造: |
彼女に関しては、「どうしてあまねが“悪魔憑き”としての力を得たのか?」ということを核にして、全体のシナリオを作りました。 |
――: |
データ的な設定と、シナリオ的な展開が、見事に噛み合っていましたね。 |
力造: |
新共生生物の特性を活かすということで、どうすればデータ的にもシナリオ的にも主人公として立てられるか、というあたりは気を遣いました。ホントにこのあたりは、真っ白の原稿用紙の前で、延々と悩みましたよ(笑)。 |
一同: |
お疲れ様でした。 |
片山: |
もう、すっかり邪な方向に行ってしまいました(笑)。 |
北沢: |
ゲームの演出としては、少し切った指先をひっつける、ぐらいで済むので、基本ルールブック発売当初から「まったくいやらしい意味ではないですよ」と言い続けているのに(笑)。 |
片山: |
作っている人間がソッチの方向に持って行ってしまいました。まあ、お約束、ということで(笑)。 |
――: |
お約束、ということに関してですが、第2巻では遊園地でのデートイベントなんかもありましたね。 |
力造: |
えっ、誰と? |
片山: |
そこもご想像にお任せします、ということで、ここは勘弁してください(笑)。 |
――: |
世界観的な部分では、上級ルールブックで追加された要素も含まれていましたね。 |
片山: |
共生生物としては、ファランクス、ザグナルが新たに出ています。ファランクスがどうして基本ルールブックに掲載されなかったのか、という理由もちょこっとですが書いたので、読んで確かめてもらえると嬉しいです。 |
――: |
ザグナルはザグナルで、ヒロイン相手に触手で奮闘してましたね。 |
片山: |
その言い方は語弊があるよ(笑)。 |
北沢: |
まあ嘘じゃないけど(笑)。 |
――: |
生命の樹や《シードエフェクト》などに関しても、触れられてますね。 |
片山: |
リプレイでもそのあたりの重要な設定は扱われてますが、ノベルでは、リプレイとはまた違った切り口から、物語の根幹に関わってきます。 |
北沢: |
長編の方ではシリアスな展開が続きますが、11月20日発売の『ドラゴンマガジン』にも短編が載っているので、そちらの方もよろしくお願いします。 |
――: |
どういった内容なんですか? |
片山: |
短編は、学校を舞台にした、ちょっとした日常のお話です。出てくるのは主に学校の面子で、長編では尺の関係で書ききれなかった、主人公たちの普段の生活を書いてます。 |
力造: |
当然、エロいことしてるんだよね(笑)。 |
片山: |
まあエロいというかヒドいというか下品というか……。 |
北沢: |
内容もそうだけど、扉絵はこれでもかというほどエロいので、そのあたりに興味がある方も、よろしくお願いします(笑)。 |
――: |
では、今後の展開ですが…… |
北沢: |
まず、サプリメント第1弾となる『ダーククロニクル(仮)』が出ます! |
――: |
年代記、という意味ですね。 |
力造: |
タイトルの意味そのまま、『デモンパラサイト』時代に出てきた共生生物が7種、そしてさらに1種、新共生生物が登場します。 |
片山: |
具体的に言うと、ドラグーン、グラディウス、クレインクイン、フランベルジュ、ヴァンブレイス、ガントレット、アネラスです。7種全て、ものすごく強くなってますよ。 |
力造: |
制作者の俺が言うのもなんだけど、この連中がドミニオン化して敵として出た場合、もう裸足で逃げ出すぐらい強いです(笑)。 |
――: |
新たに加わった共生生物は、どのようなタイプなんでしょうか? |
力造: |
名前は、“零度の死神”デスサイズ。その名の通り、巨大な鎌を生成して戦う、近接格闘タイプです。 |
――: |
なかなか物々しい雰囲気ですね。 |
力造: |
物体を凍結させたり凝固させたり、といったことに長けています。これまでいそうでいなかった、氷を操る肉弾系。イメージはずばり、「暗黒騎士」です。回避力や装甲を犠牲にすることで、命中力やダメージを跳ね上げるという、潔い戦い方ができますよ。 |
――: |
それにしても、全8種は豪華ですね。 |
片山: |
これで一気に、トータル21種類です。《多重共生》の楽しみがさらに増えますよ。相当、悩ましいはずです(笑)。 |
北沢: |
このサプリメントがあれば、デモンパ時代に“悪魔憑き”でできたことは、全部できるようになります。 |
――: |
では、今後出すサプリメントは“悪魔憑き”以外、ということになりますね。 |
北沢: |
それについても、企画は徐々に進行してます。候補はいくつかあって、機械のアレとか日本土着のアレとか――“悪魔憑き”以外も順次帰ってくるので、お楽しみに! |
――: |
『ダーククロニクル』には、他にどんなことが載っているんでしょう? |
片山: |
パラブラ世界に出てくる、様々な組織についての情報が載っています。世界観が広がる形で、ということを意識して作っています。 |
北沢: |
〈DUST〉や〈ドミニオン〉の他にも、セラフィムやデビルズネストなど、デモンパ時代に物語の中核を担った組織は今――といった部分をクローズアップする予定です。 |
力造: |
共生武装のデータも増えます。それぞれの“悪魔憑き”専用の共生武装をつけるのはもちろん、単純に強いものも揃えました。 |
片山: |
NPCに持たせることでシナリオのフックになる、といった非戦闘用のものも色々とあります。 |
北沢: |
発売は2月の後半を予定しています。よろしくお願いします。 |