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TOP > ユーザーコンテンツ > 著者インタビュー > 『パラサイトブラッド』インタビュー(2010年12月)
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■はじめに

 2010年7月〜8月にかけて、ルールブック・リプレイ・ノベルが立て続けに発売された新ダークヒーローRPG『パラサイトブラッド』
 そして休むことなく、10月上級ルールブック11月リプレイ第2巻が刊行。12月18日には、小説第2巻の発売が予定されています。
 今回、原作・監修の北沢慶、ディベロップ&リプレイライターの力造、小説家の片山泰宏に、各作品の見所や制作に関する裏話を聞いてまいりました。
 インタビュアーは私、
龍口明眞が担当させていただきます。みなさま、どうぞお付き合いください。
 なお、「『パラサイトブラッド』ってどんな作品?」という方は、こちらのインタビューをご参照ください。
2010年12月 発行
記事作成:龍口明眞




 上級ルールブックの見所(1) 大増量の共生生物データ

  『パラサイトブラッドRPG上級ルールブック』

著:北沢慶/グループSNE
新紀元社

2010年10月31日発売

――: それではよろしくお願いします。
一同 よろしくお願いします。
――: 早速ですが、上級ルールブックの見所は、どんな部分でしょうか?
北沢 見所となると色々あるけど、まずは新共生生物3種と、基本ルールブックに収録された10種の共生生物の、高レベルデータかな。
力造 新共生生物3種というのは、『デモンパラサイト』時代からいた“神速の暗殺者”ファランクス“魔獣の幻術師”ショーテル、そして完全新規となる“破壊の戦槌”ザグナルです。これで、合計13種のデータが揃いました。相当、遊びの幅が広がると思います。
片山 それぞれの“悪魔憑き”の具体的な特徴などは、「ぱらぶらブログ!」の方で紹介しています。そちらも、よろしくお願いします。




 上級ルールブックの見所(2) 便利なシードエフェクト


――: 共生生物以外にも、様々な追加データがありますね。
北沢 今回は特に、《シードエフェクト》という要素に注目してもらいたい。
力造 《シードエフェクト》というのは、『パラサイトブラッド』の世界観の根底に大きく関わる要素です。設定は色々とありますが、要は、「なんでもありのシナリオフック」です!
北沢 GMが「パラブラの世界で、こんなシチュエーションをやりたい!」という着想からシナリオを作る。そして、結果的にそれがルールから逸脱したとする。でも、「《シードエフェクト》だから」と言い張れるようになってます(笑)。
――: ルールに縛られずにシナリオを作れる、ということですか。
片山 この要素によって、これまで設定面や世界観の面なんかでやりにくかったことが、すごくやりやすくなると思います。
――: 片山さんの『小悪魔ストライカーズ!』の第1巻でも、戦いの舞台をつくるために、大きな役割を果たしていましたね。あれを読んで、「パラブラの世界はこういうことまでできるのか」とびっくりしました。
力造 前作『デモンパラサイト』の時代から、「この世界観の中で、どれぐらいのことをやっていいのか」という話はありました。
片山 たとえば、「炎を操る」のはいいとしても、「時間を停止させる」のは世界観的にいいのか、とか。
力造 それで、パラブラになったのを機に北沢さんにそのあたりを改めて尋ねたら、「何やってもいいよ」という言葉が出てきて(笑)。
北沢 作品の世界観から逸脱し過ぎずにシナリオを面白くするならば、何をやってもOKになりました。
――: ゲームマスターやプレイヤーのやりたいことが何でもできる、という感じですね。
片山 それに《シードエフェクト》は、“悪魔憑き”を強化する、というだけではありません。たとえばヒロインポジションの普通の人間の女の子が、なぜか《シードエフェクト》を持っていて……というような形でも使えます。
北沢 上級ルールブックについているサンプルシナリオは、「残暑が厳しい街に、突然、原因不明の猛吹雪が襲う」という環境変化型のものになっています。雰囲気を理解してもらう一助になると思います。
――: そういう要素を聞くだけで、色々とシナリオが作れそうですね。




 上級ルールブックの見所(3) 様々な追加ルール・追加データ

――: 他にも、様々な追加要素がありますね。
片山 『パラサイトブラッド』の豪快なアクションをさらに豪快にする、[車両戦闘]というルールが載っています。文字通り、「乗り物に乗って戦う」時のためのルールです。
力造 あれは自分で実際に遊んでみて、相当強かった(笑)。しかも単にバイクとかで突っこむだけじゃなくて、“悪魔憑き”としての特殊能力を入れることもできるから、もう本当にGM泣かせの威力が出るよ(笑)。
北沢 そして忘れてはいけないのが、《多重共生》のルール。これによって、2種類以上の共生生物の力を組み合わせることができるようになりました。


多重共生とは……一定以上のレベルに達した“悪魔憑き”が、体内にもう一つの共生生物を宿すことによって、さらなる力を手に入れる、というもの。


片山 13種の共生生物の力を組み合わせるわけですから、パターンは膨大ですよ。
力造 基本的に、『パラサイトブラッド』は直感的に遊べるように作ってありますが、データ好きの人たちにも、十分、楽しんでもらえると思います。
片山 データに関して言うと、[共生武装]という“悪魔憑き”専用の装備も載っています。攻撃力を上げるものや移動力を上げるものなど、45種類のデータがあります。長所を伸ばすも良し、弱点を補うも良し、と色々な運用があると思います。
北沢 あと、パラブラでは動物もPCとして選べるんだけど、今回はその選択枠も増えました。大型肉食動物鳥類爬虫類など、様々な動物が選べるよ。
――: パラブラのパラブラらしさをさらに強くするような一冊ですね。
北沢 ユーザー必携の一冊に仕上がった、と自負しています。見所満載ですよ。――あと、表紙を飾る女性の2人ドヤ顔にも注目(笑)!
――: リプレイ『Bite The Dust!』の登場人物、螢子隊長ルーシーですね。
力造 どうしてこんなに自慢気なんでしょうか(笑)。
片山 そして基本ルールブックと並べると……あまねは主人公らしくキメてますが、唯一の男キャラ、蒼一郎の扱いがちょっと可哀想(笑)。
力造 蒼一郎がいないとシナリオが前に進まない、っていうぐらい、重要なポジションなのに……。
北沢 ブレーキ役というかツッコミ役という意味でね(笑)。
――: ではリプレイの4人の話が出たところで、そちらの話に移らせていただきます。



 リプレイ『Bite The Dust!』第2巻について


  『パラサイトブラッド・リプレイ
Bite The Dust! ―バイツァダスト!―(2)』

監修:北沢慶
著:力造/グループSNE
富士見書房

2010年11月20日発売

++ あらすじ ++

 あまね蒼一郎螢子ルーシーの4人からなる“黒豹小隊”。彼らの活躍によって、岩代市を舞台としたスレイブ騒動は解決した。――しかし、敵の背後には、秘密結社〈ドミニオン〉の影があった。岩代市北方の温泉街、佐伯町に異変がある、という情報を得た黒豹小隊は、再び動き始める。


――: 今回は、1巻とは物語の舞台が変わるんですね。
力造 「佐伯」という名前だけで、1巻を読んでくださった方はぴんと来ると思います。想像通りというか、想像の斜め上を行く展開になります(笑)。
片山 当然のごとく、あまねたちがろくでもない目に遭う、と(笑)。
力造 今回は、〈ドミニオン〉と戦ったり生命の樹が出てきたり、と、『パラサイトブラッド』の根幹設定大放出で話が進みます。


生命の樹とは……全ての共生生物はそこから生まれてくるという、伝説の大樹。秘密結社〈ドミニオン〉の幹部の多くが、これを狙って動いている。


北沢 《シードエフェクト》や共生武装なんかも出るね。
力造 上級ルールブックのデータを盛りこんだ内容になってます!
片山 あと、PCが多重共生をしたりもしましたね。
――: 多重共生をした2人それぞれが《瞬間電操》《攻殻斧》(※両方とも、ダメージダイスを追加する、GM泣かせの特殊能力)を駆使してましたね。
力造 (しみじみと)あれ、つらかったっスわー。
一同 (笑)
力造 今後、全国のGMがこういう目に遭うのか、と少し涙しました。でも俺はプレイヤーのみんながとっても楽しそうにダイスを振ってたから、満足です(笑)。
――: 内容の方ですが、1巻のノリのまま、みんなボケっぱなしですね(笑)。
力造 プレイヤーもGMも、みんな始終ボケっぱなしです。そして蒼一郎だけが延々とツッコミに回る(笑)。
片山 他にツッコム人間がいませんからね(笑)。
――: そういった部分も含めて、4人それぞれ、さらにキャラクター性が掘り下げられた、という感じですね。
力造 “黒豹小隊”メンバーの過去に深く関わるNPCが一人出てくるんですが、彼の存在によって、主要人物のドラマ性を深めることができたと思います。
北沢 あまねも、主人公らしく活躍してたね。
力造 彼女に関しては、「どうしてあまねが“悪魔憑き”としての力を得たのか?」ということを核にして、全体のシナリオを作りました。
――: データ的な設定と、シナリオ的な展開が、見事に噛み合っていましたね。
力造 新共生生物の特性を活かすということで、どうすればデータ的にもシナリオ的にも主人公として立てられるか、というあたりは気を遣いました。ホントにこのあたりは、真っ白の原稿用紙の前で、延々と悩みましたよ(笑)。
一同 お疲れ様でした。




 『小悪魔ストライカーズ!』第2巻について


  『パラサイトブラッド・ノベル
小悪魔ストライカーズ!(2)』

監修:北沢慶
著:片山泰宏
富士見書房

2010年12月20日発売

++ あらすじ ++

 平凡な高校生、三島出雲の日常は、“悪魔憑き”の襲撃によって大きく変わった。“悪魔憑き”としての力に目覚めた彼は、行方不明となったを捜すため、〈DUST〉に入隊。個性豊かな小隊メンバーに振り回されながら、暗躍する〈ドミニオン〉との戦いの日々が続く。激化する戦いの果て、彼はついに最愛の姉と再会を果たす。


――: それでは、12月18日に発売となる、ノベル『小悪魔ストライカーズ!』の第2巻について、お願いします。
片山 でも、何を話してもネタバレになりそうだなあ(苦笑)。
北沢 漠然とした言い方になるけど、主人公とヒロインがラブります(笑)。
力造 ん、ヒロインって誰を指すんですか? 候補が多いっすよね。……7人ぐらい?
片山 まあそれも、今の時点では伏せておきましょう(笑)。
北沢 俺的には胃潰瘍のお姉さんだけどな(笑)。


「胃潰瘍のお姉さん」とは……本名・西崎彩乃。DUSTに所属する、唯一“普通の”人間。メンバーの中では最年長で、その分、気苦労が多い。


片山 それは北沢さんの趣味でしょう(笑)。でもまあ、今回は胃潰瘍のお姉さんがカッコイイ立場になってますよ。
北沢 小隊の中で唯一、大人という立場から会話するし。
――: ヒロイン絡みで言うと、ブラッドリンクも大活躍してましたね。1巻から引き続き、主に体液の交換的な意味で


ブラッドリンクとは……“悪魔憑き”同士が各々体液(血液や唾液など)を交換することで、相互補完の感応能力を得ること。


片山 もう、すっかり邪な方向に行ってしまいました(笑)。
北沢 ゲームの演出としては、少し切った指先をひっつける、ぐらいで済むので、基本ルールブック発売当初から「まったくいやらしい意味ではないですよ」と言い続けているのに(笑)。
片山 作っている人間がソッチの方向に持って行ってしまいました。まあ、お約束、ということで(笑)。
――: お約束、ということに関してですが、第2巻では遊園地でのデートイベントなんかもありましたね。
力造 えっ、誰と?
片山 そこもご想像にお任せします、ということで、ここは勘弁してください(笑)。
――: 世界観的な部分では、上級ルールブックで追加された要素も含まれていましたね。
片山 共生生物としては、ファランクスザグナルが新たに出ています。ファランクスがどうして基本ルールブックに掲載されなかったのか、という理由もちょこっとですが書いたので、読んで確かめてもらえると嬉しいです。
――: ザグナルはザグナルで、ヒロイン相手に触手で奮闘してましたね。
片山 その言い方は語弊があるよ(笑)。
北沢 まあ嘘じゃないけど(笑)。
――: 生命の樹や《シードエフェクト》などに関しても、触れられてますね。
片山 リプレイでもそのあたりの重要な設定は扱われてますが、ノベルでは、リプレイとはまた違った切り口から、物語の根幹に関わってきます。
北沢 長編の方ではシリアスな展開が続きますが、11月20日発売の『ドラゴンマガジン』にも短編が載っているので、そちらの方もよろしくお願いします。
――: どういった内容なんですか?
片山 短編は、学校を舞台にした、ちょっとした日常のお話です。出てくるのは主に学校の面子で、長編では尺の関係で書ききれなかった、主人公たちの普段の生活を書いてます。
力造 当然、エロいことしてるんだよね(笑)。
片山 まあエロいというかヒドいというか下品というか……。
北沢 内容もそうだけど、扉絵はこれでもかというほどエロいので、そのあたりに興味がある方も、よろしくお願いします(笑)。



 今後の展開その(1) サプリメント第1弾について

――: では、今後の展開ですが……
北沢 まず、サプリメント第1弾となる『ダーククロニクル(仮)』が出ます!
――: 年代記、という意味ですね。
力造 タイトルの意味そのまま、『デモンパラサイト』時代に出てきた共生生物が7種、そしてさらに1種、新共生生物が登場します。
片山 具体的に言うと、ドラグーングラディウスクレインクインフランベルジュヴァンブレイスガントレットアネラスです。7種全て、ものすごく強くなってますよ。
力造 制作者の俺が言うのもなんだけど、この連中がドミニオン化して敵として出た場合、もう裸足で逃げ出すぐらい強いです(笑)。
――: 新たに加わった共生生物は、どのようなタイプなんでしょうか?
力造 名前は、“零度の死神”デスサイズ。その名の通り、巨大な鎌を生成して戦う、近接格闘タイプです。
――: なかなか物々しい雰囲気ですね。
力造 物体を凍結させたり凝固させたり、といったことに長けています。これまでいそうでいなかった、氷を操る肉弾系。イメージはずばり、「暗黒騎士」です。回避力や装甲を犠牲にすることで、命中力やダメージを跳ね上げるという、潔い戦い方ができますよ。
――: それにしても、全8種は豪華ですね。
片山 これで一気に、トータル21種類です。《多重共生》の楽しみがさらに増えますよ。相当、悩ましいはずです(笑)。
北沢 このサプリメントがあれば、デモンパ時代に“悪魔憑き”でできたことは、全部できるようになります。
――: では、今後出すサプリメントは“悪魔憑き”以外、ということになりますね。
北沢 それについても、企画は徐々に進行してます。候補はいくつかあって、機械のアレとか日本土着のアレとか――“悪魔憑き”以外も順次帰ってくるので、お楽しみに!
――: 『ダーククロニクル』には、他にどんなことが載っているんでしょう?
片山 パラブラ世界に出てくる、様々な組織についての情報が載っています。世界観が広がる形で、ということを意識して作っています。
北沢 〈DUST〉や〈ドミニオン〉の他にも、セラフィムデビルズネストなど、デモンパ時代に物語の中核を担った組織は今――といった部分をクローズアップする予定です。
力造 共生武装のデータも増えます。それぞれの“悪魔憑き”専用の共生武装をつけるのはもちろん、単純に強いものも揃えました。
片山 NPCに持たせることでシナリオのフックになる、といった非戦闘用のものも色々とあります。
北沢 発売は2月の後半を予定しています。よろしくお願いします。



 今後の展開その(2) イラストレーターセッションについて

――: 『Role&Roll』紙上に掲載される、力造さんによるイラストレーターセッションもありますね。
力造 参加していただいたのは、ルールブックの表紙や『Bite The Dust!』の挿絵を描いてくださった新井テル子さん、『デモンパラサイト』時代からお世話になっている洋武さん、ライトノベルの挿絵などで活躍中のしずまよしのりさんです。
――: どういう作品なんでしょう?
力造 リプレイとして読んで面白い、というのはもちろんのことですが、雑誌を買ってもらった読者さんが、ただ楽しいだけではなく、得をするリプレイにしたい、と思いました。そこで、3人の先生が描かれたイラストをもとに、新たに3種の共生生物のデータを作成しました。そしてそれぞれのイラストレーターさんに、その共生生物で遊んでもらう、という形です。
――: それは豪華ですね。
力造 登場するのは、“毒牙の双刃” キンドジャール“輝きの鋭剣”レピアー“音速の流星”ファルシオン。それぞれ肉弾攻撃、射撃攻撃、特殊攻撃に特化した、個性豊かな共生生物です。雑誌では、それぞれのデータや特殊能力を一緒に掲載する予定です。
――: プレイヤーが選べる共生生物がどんどん増えていきますね。
力造 現在進行形で色々と準備していますので、お楽しみに!




 最後に

――: では最後に一言、どうぞ。
力造 『Bite The Dust!』イラストレーターセッションも、どちらもパラブラらしい、豪快で楽しい内容になっています。みなさん、どうぞお手に取ってみてください。
片山 『小悪魔ストライカーズ!』は、2巻でひとまず完結します。でもこの話に出てくるキャラクターたちは、今後もパラブラの世界の中で動き続けるので、またどこかでお目見えする日もあるかもしれません。楽しみにしていてください。
北沢 TRPG『パラサイトブラッド』を今後とも、よろしくお願いします。
――: 以上でインタビューを終わらせていただきます。本日はどうもありがとうございました。
一同 ありがとうございました。




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