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TOP > ユーザーコンテンツ > 著者インタビュー > 『』(2011年03月)
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ソード・ワールド2.0リプレイ
聖戦士物語 1


著:北沢慶/グループSNE


 若くして聖戦士の称号を得たセフィリア神聖王国の王子ロイは、従者の女戦士イングリッドを伴い武者修行のために辺境のグラスノ王国を訪れた。
 宗主国の王子来訪にグラスノ王国第二王女フィオは胸をときめかせ……すぎて妄想を暴走させていた。
 フィオに救われて以来彼女に淡い想いを寄せる(ただしフィオは救ったことを覚えてない)ナイトメアの青年オルネッラと、無人島で彼に拾われたルーンフォークの少女(ただし人格は男)のレギン・レイヴは街道の側で……、アンコウを捌いていた。

 癒し系草食王子、妄想系肉食王女、苦労性無双女戦士、そしてヘンタイ師弟コンビ。
 いろんな意味で類稀なる5人の出会いから程なく、グラスノ王国は蛮族の襲撃という危機に見舞われる。
 王国を救うため、ロイたちはわずか5人で1000にも及ぶ蛮族軍の包囲網からの脱出を試みるのだった……。

 ラクシアにおける人族と蛮族の闘争の縮図と称されるダグニア地方を舞台に、SW2.0総監督・北沢慶が紡ぐ正統派(?)ヒロイックファンタジー開幕!


 ――戦火の先に、光は見えるか。


癒し系草食王子と妄想系肉食王女の明日はどっちだ?!

――: アナログゲーム誌『R&R』で現在好評連載中の『ソード・ワールド2.0リプレイ 聖戦士物語』(以下『聖戦士』)がついに文庫化
北沢 気がつくと連載開始から丸1年。単行本化を楽しみにしてくださってた皆さま、本当にお待たせしました。
――: さっそく内容について伺っていきますね。
このお話は、突然の蛮族侵攻によって辺境の小国が存亡の危機に! という衝撃の展開から幕があがるんですよね。
北沢 このリプレイでは、人族と蛮族の対立図を大規模な視点で真正面から描いていこう、と思っていて。
なので、近くに蛮族やアンデッドの強力な拠点があって、それらとの間で激しい戦いが繰り広げられているダグニア地方を舞台にして、キャラクターも駆け出し冒険者じゃなくある程度経験をつんだ状態で最初から大きな事件に関わっていく形にしました。
――: ダグニアはテラスティア大陸の北部地方。始祖神ライフォスの信仰が盛んな地域ですよね。
北沢 はい。この物語のタイトルでもある"聖戦士(パラディン)"というのは、ライフォスの神官戦士の中でも特別な者に与えられる称号のことで、この地方では特徴的な存在なんですよ。
――: どんな人がもらえる称号なんですか?
北沢 ライフォスの教義を体現したような、まあすごく簡単に言うとヒーロー的な人です。
今回はキャンペーンの都合上、各キャラに少し設定をつけさせてもらっているんですが、舞台をダグニアに決めた時に、それなら聖戦士を主人公にしよう! と。
――: 正統派ヒロイックファンタジーの主人公に相応しい称号ですものね!
北沢 そう、今回はね、正統派の美しいファンタジーを描こう! という思いもあって。
で、聖戦士といえば、金髪碧眼の王子だよね! と……。
一同 ……(誰もが何か言いたげな表情)
北沢 そしたら、ね、ちょっとこう……、鼻水っぽいというか、どうしても襟がビラビラのブラウスとカボチャパンツなイメージが拭えない王子さまに(苦笑)。
一同 笑。
――: あはは。確かにロイ王子は戦闘時はへっぽこですよね。でも人当たりが良くてのんびりおおらかなところはすごく王子さまっぽいですよ。
 従者のイングリッドが優秀すぎるからよけいにへっぽこに見えるっていうのもあるかもしれないですけど。彼女、1巻だけで数々の
無双伝説を築いてますからね。
北沢 剣を2回振ったら首が2つ飛んだとか、こっちが本気で彼女を殺したなって焦ったシーンもあっさり1人で返り討ちにしたあげく駆けつけた王子の心配してるとかね。
経験点も成長回数も王子とまったく一緒のはずなのに、あそこまで差がついたのが不思議で仕方ないんだよね(笑)。
――: でもね、王子はへっぽこでも決してヘタレではないし、お家の事情で得た称号に相応しくあろうと一生懸命頑張ってるところが好感度が高いですよね。だからイングリッドも王子を守ろうって思うんでしょうね。
秋田 ロイ王子は癒し系ですよね。癒し系草食王子
北沢 そんな王子がこの物語の中でどんな聖戦士に成長していくのか、応援してもらえたら嬉しいです。
――: キャラクターに設定がついてる、ということでこのお話にはもう1人の主人公ともいうべき人物がいますよね。いきなり存亡の危機に晒されている物語のスタート地点、グラスノ王国の王女さまですが、彼女は……
秋田藤澤 (声を揃えて)妄想系肉食王女
一同 笑。
――: そう! 一途で健気ですごく可愛い性格だと思うし、経歴といい現状といい超ヒロイン設定を背負っているはずなのに、彼女について真っ先に述べるところは、その凄まじい肉食っぷり妄想の逞しさ、という。あと蛮族を前にした時の豹変っぷりもすごい。
北沢 グラスノ王国は人族の領域の一番端にあって、蛮族に対する防人の役目を担う国でもあるからね。そういった環境の中で逞しく育っちゃったんだよ、たぶん。……まあ、ちょっと変な方向に逞しすぎる気がしなくもないけど(笑)。
――: 残る2人の冒険者コンビも、これまたちょっと曲者ですよね。
ダグニアは地方柄、冒険者もナイトメアもルーンフォークも敬遠されがちだから、どうやってロイヤル層の3人に絡んでいくのかと思ったら、初っ端からアンコウですもんね。
一同 笑。
――: わたしインタビュー用に1巻のゲラをいただいた時に思ったんですけど……。
これ絶対初めて読まれる方は、プロローグ・エピローグと本編のギャップに驚愕しますよね。正統派ヒロイックファンタジー、キタコレ! と思った次の瞬間、アンコウって何よ? と(笑)。
北沢 まあそんな感じにね、正統派の美しいファンタジーとはなんか違う感じになってしまったかもしれませんが、あのように愉快な物語になりました(笑)。


実はリプレイ久しぶりなんですよ

――: ところでですね。北沢さんは、リプレイ執筆されるのものすごく久しぶり、なんですよね?
北沢 そうだね。単行本1冊自分で書いたものだと……、オハナミーズ・シリーズ(※)以来かな。
 
※オハナミーズ・シリーズ
 新六門世界RPGリプレイシリーズのひとつ。
 魔法騎士のお嬢さま・ニムのダイス目があまりにも絶望的で、ひどい目を振るたび周囲から「おい、ニム鼻水出てるぞ」などと言われ続けるうちに「ファンブル=鼻水」となり、3巻収録の「ネタバレたっぷり座談会」中にシリーズ名が「オハナミーズ」に決定したという。

 富士見書房 富士見ドラゴンブック(全3巻)
   『新六門世界RPGリプレイ1 呪われ剣士と夢の島』
   『新六門世界RPGリプレイ2 守られ騎士と死者の鍵』
   『新六門世界RPGリプレイ3 やりすぎ射手と燃える森』
 
――: 不思議なんですけど、何故か北沢さんはリプレイたくさん書いてる人っていうイメージがあって、久しぶりという気がまったくしない、という……。
北沢 不思議なんですけど、何故かあちこちで同じことを言われてますよ(笑)。そもそもリプレイ作品自体もあんまり書いてないんだけどね。
清松 監修で表紙に名前が出ることが多いからじゃないかな。
北沢 ああ、そうですね。あと解説を書いてるからっていうのもあるかも。特にSW2.0関連リプレイ1巻の解説はだいたい僕なので。
おかげで今回の解説も自分で書けばいいやー……って待て、自分の本だ! とゲラ修正中に気付いて、いったい誰に頼めば……、とオロオロしたり(笑)。
一同 笑。
――: そんな久しぶりのリプレイ作業はいかがでした?
北沢 まず最初に、リプレイが久しぶりだからっていうのもあって自分の中で勝手にハードルをあげてしまって。そのせいで最初のシナリオを考える時、夜も眠れないくらい緊張したりしてました。
――: 北沢さんくらいGM経験豊富でもやっぱり緊張するものなのですね。
北沢 いったんキャンペーンをスタートさせてしまえば肝が据わって逆に緊張は解けるんだけど、何せTRPGのセッションは予想外の出来事が多く起こるからね……。
リプレイ執筆経験者一同 ですよねー……(虚ろな笑い)。
北沢 もちろん、GMの思惑とまったく違う方向に進むことはTRPGではよくあることだし、そこがTRPGの面白い部分だと僕は思ってるんだけど、今回は連載だからセッションの結果を反映して急いで次のシナリオ作って……ってなるので、予想外の出来事が起こった時の調整が難しかったかな。その結果予定外のセッションが増えたり……。
秋田 増えるセッションがあれば、やらなきゃいけないセッションがなくなることだってありますからね! うわーん!(経験者の慟哭)
一同 笑。


舞台裏にひしめくもの

――: そういったセッション中の裏話的なものが……
北沢 『GMの舞台裏』というコーナーです。各話の間にブリッジ的に挟んでいて、GMの思惑やシナリオの背景設定などを書いていく予定です。
プレイヤーさんも読むので1巻では当たり障りのないことしか書いてないんですが、2巻以降は蛮族側の動きなんかにも触れていこうと思っています。
――: あ、それはすごく気になります!
北沢 実は蛮族軍の作戦は最初に全部決めてあって、プレイヤーさんの行動次第で結果が変わるように設定してるんですよ。失敗した作戦もあればうまくいってしまった作戦もあります。それによって背景ではどんなことが起こっているのか……。
――: いるのか?
北沢 ……というのがね、プレイヤーに伝える術がまったくないところでいろいろ、本当にいろいろ起こってて……。(※このこぼれ話はネタバレ注意です!)
――: このお話、読んでて思ったんですけどあんまり情報を入手する場面がないんですよね。
そもそも誰も汎用蛮族語の会話・読文ができなくて、しかも
蛮族の指令書の処理方法が斬新過ぎる……。
北沢 なので毎回どうなっちゃうかなー、ヤベーなぁー……って思いながらセッションしています(笑)。
そういった諸々を舞台裏で明かしていきたいと思っていますので、どうぞ楽しみしていてください。
――: はい。すごく楽しみです。他に文庫用に加筆した部分なんかはありますか?
北沢 連載時にカットした部分を戻して、ダイジェストっぽく書かれているシーンや戦闘シーンなどが少し詳しくなっているのと、あとは巻末に『聖戦士について』というコラムがあります。6ページ程のものですが、聖戦士の歴史や聖戦士になる方法、戒律など紹介しています。
――: 聖戦士はけっしてへっぽこではないですよ、と?
北沢 (力強く)はい。ぜひ読んで、プレイしていただきたいなと思います。
――: そうだ、大事なことを聞き忘れるところだった。
『聖戦士』の連載では、
敵の「名前のある蛮族」を募集する読者参加企画がありましたよね。
北沢 『蛮族大募集』ですね。たくさんのご応募ありがとうございました。
第一回の募集時には「蛮族」じゃないものがいっぱい混ざってましたが(笑)、どれも大変楽しく拝見しました。
結果は、1回目が『R&R vol.73』、2回目は『R&R vol.77』で発表されていますので、そちらをご覧くださいね。
――: 『蛮族大募集』に限らないんですけど、こういった読者参加企画の今後の予定はないんでしょうか?
北沢 何かの折にはやっていきたいと思っていますので、その時はふるってご応募いただけましたら幸いです。よろしくお願いいたします。



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