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TOP > ユーザーコンテンツ > 著者インタビュー 『モンスター・コレクションTCG タイトルデック ゴッドイーターバースト』発売記念インタビュー(2011年10月)
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『モンスター・コレクションTCG タイトルデック ゴッドイーターバースト』発売記念インタビュー
(2011年10月)
 ――モンコレ界に新たな風、来る!
 2011年8月にトライアルデック『火竜』『剣姫』が発売されてから早2ヶ月。ブースターパック『アルフレアの不死鳥』でデック構築の幅を広げ、モンコレはかつて見たことのない新たなステージへと進もうとしている。
 その追い風を後押しする、もう一つの世界が明らかにされた。
 その名は『
GOD EATER BURST(ゴッドイーターバースト)』! 「モンスター・コレクションTCG タイトルデック」と銘を打たれて世に現れたその世界は、モンコレのシステムを踏襲しながらも「神速の狩り」を見事に再現し、我々の前に姿を現したのだった――。

 今回は実際に「モンスター・コレクションTCG タイトルデック ゴッドイーターバースト」(以下『MC GEB』)について、ボスこと安田均と、モンスター・コレクションTCGのデザイナー加藤ヒロノリ杉浦武夫の両名、さらに今回『MC GEB』のカードデザイン担当となった大井雄紀の4名にインタビューを敢行いたしました!
2011年10月 発行
記事作成 田中公侍
●『MC GEB』のスタート
―― では、改めまして、インタビューを行いたいと思います。皆様、よろしくお願いいたします。
一同 よろしくー。
―― さて、今回インタビューさせていただく『MC GEB』は、バンダイナムコゲームス様から発売されているPSP(プレイステーションポータブル)用ゲーム『GOD EATER BURST(以下GEB)』の世界をモンコレのカードで再現したゲームとなっています。『GEB』は「神を喰らう武器」たる「神機」を持った人間たちと、神の名を得た「アラガミ」と呼ばれるモンスターたちの戦いを描いた、スピーディなハンティングアクションゲームです。この作品がモンコレというカードゲームに舞台を移したことで、どのように進化しているのか、オリジナルの要素はあるのかなどを、開発者に直接インタビューさせていただきます。まずは『MC GEB』のウリをズバっと、お願いいたします。
安田 いきなり、核心からやな(笑)。まぁズバリ一言でいうなら「モンコレの世界を広げる、新たな可能性」や。
―― はい。
安田 ここ最近はカードゲームやボードゲーム業界は非常に元気がいい。そのことを皆さんに知ってもらいたい、新しいものを皆さんに体験してもらいたいという思いがあった。まだモンコレを遊んだことがない、新しい世代の皆さんに、モンコレの面白さを伝えたいと思ったんや。その流れをブシロードさんも感じてくれていて、今回新しい試みとして「『GEB』をモンコレで遊べる!」という企画を一緒にやろう、ということになったわけ。
―― 既に『GEB』を遊んでくれている皆様に「モンコレ」を遊んでいただこう、ということだと。
加藤 もちろん、その逆もあるよ。これまで「モンコレ」を遊んでくれているみんなにも新しい感覚の遊び方を提供できるし、『GEB』を再現することで、その世界やゲームの魅力も知ってもらえる。互いが手をつないで、新しいものを知ってもらおうというところかな。
杉浦 どちらのゲームも遊んだことのあるユーザーさんには、それぞれの仕掛けを見てニヤリとしていただけるようにも工夫しました。
―― なるほど。互いのファンの皆様に提供する、新しいゲームだということですね。
安田 もちろん、根元がモンコレであることに変わりはない。『MC GEB』を遊んでもらえば、そのままのルール「モンコレ」が遊べますよ、というものになっています。
―― モンコレを知ってもらいたい、という出発点でありながら、互いの作品を同時に楽しめるものに仕上がっていると。
加藤 そう。ブシロードさんから企画のお話をいただいたときから、『GEB』のゲームでは、プレイヤーキャラクターが「神機(じんき)」と呼ばれる武器を装備したり、消耗品を使ったりする。そこがモンコレのアイテムのシステムともマッチしてるんじゃないか、とご提案いただいて、僕たちもそう感じたんだ。だから、すんなり企画がスタートした。
―― では、実際に作業に入ったのはいつからでしたか?
加藤 ブシロードさんとモンコレをやるって言ってた当初だったんじゃないかな? で、はじめはモンコレの土台を固めないとどうしようもないってことで、ブロック1※注1)の製作を進めたんだよ。大井くんに任せようって話になったのは、その後でしたよね?
安田 そう。加藤にはモンコレの小説※注2)を書いてもらうことになったから、『MC GEB』の製作まで任せたらパンクしてしまうやろうと思って、大井くんに話を振ったんや。
大井 はい、社長からお話をいただいたときは、正直テンションがあがりました。モンコレと『GEB』、どちらも大好きなので。
加藤 実際PSPの『GEB』を一番やりこんでたしな()(※こぼれ話1)。モンコレのテストプレイヤーもやってもらってたし、僕も適任だと思った。本当は僕が自分でやりたかった気持ちもあったんだけど、社長の言うとおり小説もあったしね。
―― 大井くんは加藤さんを助け、モンコレと『GEB』をつなぐキーパーソンだったと。
大井 そんな大げさなものではないですが(笑)、飛びつく形で製作させていただきました。
(※注1)現在のモンコレは「ブロック制」というシステムになっていて、半年のブロックごとにトライアルデックブースターパックが発売される。「ブロック1」はその初めのブロックということで「ブロック制」の試金石として、さまざまな要素が革新されている。

(※注2)モンスターコレクション・サモナーズ アルフレアの不死鳥(2011年9月刊)』のこと。以下『同 ソラステルの堕天使』に続刊予定。(2011年7月の著者インタビュー『モンスター・コレクションTCG』 この夏、新時代の幕開け!』 もご参照ください)

●『GEB』の爽快感をそのままに!
―― では、ここからは開発スタッフを中心に、具体的な開発のお話を伺わせていただきましょう。
安田 うん、じゃあ加藤、あとはよろしく。
加藤 分かりました(笑)。えーと、大井くんに任せることになって、「ブロック1」の製作である程度完成したものを土台として『MC GEB』の骨格を作り、それを渡して肉付けを行ってもらう形で製作しました。実のところ、これが結構苦労したんだよな?
大井 そうですね。加藤さんから現在の形の元になる部分をまるまる受け取りました。
加藤 僕も初めてのことだったから、一度自分で作ってみて「自分ならこうする」という部分がないとアドバイスできないなあ、と思ってたんだ。なので、実は渡したデータとは別に一度全部自分で作った「バージョン加藤」が存在する(笑)。
―― そんなことやってらしたんですか(笑)。
大井 「バージョン加藤」は僕が製作するとき、かなり助けられました。そのバージョンのアイデアがそのまま残ってるカードもあります。
加藤 そういうのがあったから、大井くんの製作に対してアドバイスができるし、どの作業にどれくらいの時間が必要か、なんてことも分かるようになった。
大井 何度もご相談させていただきました。
―― ほうほう。では、その具体的な話などお伺いしましょう。製作のとき、ポイントになった部分や「ここを見て欲しい」という、製作で工夫した点などをお聞きしてもよいですか?
大井 『GEB』の爽快感、ですね。
―― そうかいかん、と。
大井 モンコレは1回の対戦が大体20〜30分程度で、どちらかと言えばじっくりしっかり遊べるカードゲームだと思っています。そのぶん50枚のデックを存分に使いこなす感覚があるんですけど、『GEB』は「神速の狩り」をテーマにしたハンティングアクションゲームなので、もっとスピード感を再現したいな、と考えたんです。
加藤 うんうん。
大井 目標にしたのは「10分で遊べるモンコレ」です。個々のカードデザインがモンコレとちょっと変わっているのも、それを再現したかったからですね。
杉浦 4レベルの即時召喚ユニットがたくさんいたり、英雄点を持っていて攻撃力の高いユニットが多くなっているのは、既存のモンコレではない特徴ですね。
―― 私も遊ばせていただきましたが、実際に対戦してみるとそのスピード感に驚きました。カードをサクサク出しては引き、どんどん召喚できる感覚が新鮮です。
加藤 それは大井くんがやったからこその感覚だと思うよ。僕がモンコレと同じようにカードデザインしてると、既存のモンコレのバランスにしすぎてしまったかもしれないから。彼ならでは、という部分だね。
大井 ありがとうございます。
―― 1枚1枚のカードのデザインが、爽快感に繋がっているということですね。では、ほかに注目して欲しい点などは?
大井 ユニットのレベル構成ですね。今回「ゴッドイーター」と「アラガミ」という2つのタイトルデックを作らせていただいたんですけど、こいつら宿命の敵なんで、互いが協力して敵に立ち向かうことがないんですよ。
加藤 ゴッドイーター」側はモンコレで言うところのアイテム偶数デック※注3)、「アラガミ」側は奇数スペルデック、というふうに分けたんだ。それで宿命の敵である、という部分を再現したわけ。
杉浦 少し突っ込んだ話をすると、偶数と奇数のデックには、どちらも2レベルのユニットが入ります。そこはどちらにも似た性能のユニットを用意したり、属性を揃えるメリットを強めたりすることで、ゴッドイーター側とアラガミ側をしっかりと分けています。
―― モンコレのデック構築テクニックが、そのままふたつの陣営を分けている、というのは面白い構図ですね。モンコレのレベル構造が、まるであらかじめ対立する構図の『MC GEB』を想定していたかのような。
加藤 そんなつもりはなかったんだけど(笑)、上手くハマったかなと思う部分だね。全カードを眺めて最適なデックを組むと、自然とゴッドイーターだけ、アラガミだけになっている、というのができていると思うよ。
大井 ユニットの再現性だけでなく、アイテムや特殊能力の名称なんかも実際のゲームに登場するスキル名と同じにしてあったりします。細部にも気合を入れましたので、それを見てニヤリとしてもらえるとうれしいです。
(※注3)モンコレのデックは、ユニットカードのレベルが構成上重要になる。俗に、6レベル、4レベルを戦力の中心に据えたデックを「偶数デック」、5レベル、3レベルを中心とした構成のデックを「奇数デック」と呼ぶ。これに、それぞれのユニットが主に使用するカードを組み合わせて、デックタイプの通称とする場合が多い。

●タイトルブースターにも期待!
―― タイトルデックの「ゴッドイーター」と「アラガミ」ができるまでは、さまざまな研鑽があったということですね。では、12月に発売予定のタイトルブースターや、今後の展開についてを聞かせてください。
大井 タイトルデックでは、ゴッドイーターとアラガミの違いって何だろうと考えてデザインしました。ゴッドイーター側は神機装備品として扱い、消耗品で相手の動きを止める戦い方で、アラガミ側はメインユニットがスペルを使い、展開力で押していく戦い方が特徴です。でも……。
加藤 『GEB』では「アラガミバレット」という要素があって、ゴッドイーターは神機アラガミを捕喰することで、相手の技を使うことができる。この要素を、どういう風に再現するかは結構迷ったね。
杉浦 結論から言うと、タイトルブースターではアラガミ側のスペルをゴッドイーターも使えるようにする、ということで再現しました。
大井 ゴッドイータータイトルブースターでパワーアップすると、アラガミが使ってくるスペルをデックに入れて使えるようになります。PSPのゲームでは銃で「アラガミバレット」を撃つ様子を、銃を使うユニットに「」を持たせることで表現しました。
―― おお! つまり、「*」を持つユニットはどんなスペルでも撃てるってことですね。
加藤 そう。この答えにたどり着くまでは紆余曲折あって大変だったけどね(笑)。逆に、アラガミには「*」は持たせてないから、いいとこ取りのゴッドイーター特化型のアラガミ、という構図が新たにできるんだ。モンコレで言うところの「バランス型」(※注4)デックを組めるようになる※こぼれ話2)。
―― それでは、お株を奪われたアラガミが一方的にやられてしまいそうですが(笑)。
大井 そんなことないですよ! アラガミ側は新たな属性のユニットが多数参戦しますから、デックのバリエーションがすごく増えます。「」属性ユニットで重スペル風味の「サリエル神属」デックとか、「」属性を持つディフェンダーデックの「ボルグ・カムラン神属」デックなんかがあります。タイトルデックを強化するなら《ハンニバル侵喰種》が新たに参戦予定です。
―― 新たな属性のユニットが登場するんですね。
加藤 『MC GEB』には4つの属性があって、うち「」「」「」の3つの属性がアラガミになってる。スペルもその3種類で、ある程度モンコレの属性のイメージを受け継いでるんだ。
大井 」が「」で「」が「」、「」は「」のイメージですね。
杉浦 モンコレで火風デックが得意だった人は「」属性が使いやすい、となっていると思います。
―― 確かに、タイトルデック「アラガミ」は先攻風味ですね。新たな属性が増えることで、プレイヤーが得意属性をチョイスできる、と。
杉浦 そうです。さらに「獣」属性の新たな要素として、《ヴァジュラ》とか《ディアウス・ピター》には同じ名前で性能の異なる「亜種ユニット」が登場しますから、同じタイプのデックでも違う戦い方ができるようになります。
加藤 「亜種ユニット」はゴッドイーター側にもあるよ。さっき出た《橘サクヤ》や、人気の《アリサ・I・アミエーラ》なんかが「」枠を持っている「亜種ユニット」になっている※こぼれ話3)。
大井 新カードとしては《シオ》や《台場カノン》というキャラクターも登場します。《雨宮リンドウ》というカードは、今説明した「亜種ユニット」ではない、本来の姿に近い形で登場しますので、楽しみにしててください。
―― 『GEB』を知っている人はニヤリとできるコメントですね。
大井 ほかにもアイツとかコイツとか出てきますよ。タイトルブースターを導入すれば、かなりのデックパターンが構築できますので、是非導入して、オリジナルのデックパターンを開発して欲しいです※こぼれ話4)。
加藤 これから『MC GEB』も新たなブロック対抗戦の1ブロックとして「ブロック対抗」環境の大会に出場できるようになったので、既存の環境に新しい旋風が起きるはず。
大井 モンコレブロックvsGEBですね。
―― バランス、大丈夫なんですか?
大井 GEBはGEBならではのスカっとしたバランスにしてあります。
杉浦 なのでそのままぶつかっちゃうと、色々とやりすぎなカードも少なからずあるので、現在、適正な環境になるように調整中といったところです。
加藤 一部「このカードがあるせいで、特定のデックが活躍できない」んじゃないかなという懸念もあるしね。もう少し調整して問題があれば、何かしらのアナウンスがあると思います。問題が小さければそのまま行くと思いますが。
―― なるほど。
杉浦 その調整を含めても、GEBはひとつのブロックとして、大会で戦えるだけのポテンシャルはあると思いますね。ユーザーの皆さんは、対策を考えておくといいかもしれません。
大井 研究が必要かもしれませんので、皆様ぜひお買い上げください(笑)。
―― MC GEB』のタイトルブースター112月発売予定です! ぜひ、楽しみにしていてくださいね。
(※注4)戦闘スペルとアイテムを双方用いるデック。互いの要素の弱点を補うデック構築が可能で、どんなユニットでも満遍なく力を発揮できるデックタイプ。

●まとめ
―― では、最後に皆様にまとめをお願いします。
加藤 『GEB』とモンコレ、ふたつのタイトルのどちらか知らない人でも楽しめるようになってますので、名前を聞いて気になった人は是非遊んでみてくれるとうれしいです。
杉浦 「モンコレ」ではない「モンコレ」という、ちょっと新鮮な感覚もありますので、体験して欲しいと思います。
大井 タイトルデックとタイトルブースターを組み合わせることで、かなりのデックバリエーションが実現できていると思いますので、既にタイトルデックをお買い上げいただいた皆様も楽しみにしていてください!
―― PSP用ゲームでも続編に当たる『GOD EATER2(仮)』が2012年発売予定で開発決定しましたし、これからも楽しめそうです。
加藤 そうだね。これからもモンコレともども『MC GEB』をよろしくお願いいたします。
一同 お願いしまーす!


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