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TOP > ユーザーコンテンツ > 著者インタビュー > ボードゲーム・ストリート2013(2013年04月)
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2012年に出たボードゲームの総ざらえ!
 あっ!

 という間に5月ですね。
 先月末には、東京ビッグサイトで「ゲームマーケット2013春」が開催されました(グループSNEも出展しましたよ。レポートはこちら)。
 春の陽気に誘われて、ボードゲーム漁りに来た人々の多いこと多いこと!
 日本のボードゲームの盛り上がりを肌で感じた1日でした。
 そしてその店頭にいち早く並んでいましたのが、この『
ボードゲーム・ストリート2013』!
 内容は、「安田均のボードゲーム紹介2012」をはじめとして、4本のリプレイ、豪華書き下ろしを含む「ウニ頭にもできるもん」、日本人デザイナーによるゲームアプリになったゲームなどをまとめた「アラカルト」。
 2012年に国内外で発売された傑作をピックアップした本書は、ボードゲームを愛するみなさんのバイブルだと自負しております。
 今回、執筆に携わった4人――メイン執筆者であるボスこと安田均、三歩歩けばルールを忘れるウニ頭の笠井道子、ゲーム好きが高じてcosaicという会社まで作ってしまった秋口ぎぐる、趣味はゲーム収集の石在神明――に話を聞くことができました。
 本書におさまり切れなかったエピソード、裏話など、どうぞお楽しみください!
 ご案内役は、5人目の執筆者でもある柘植めぐみが務めさせていただきます。

『ボードゲーム・ストリート2013』
(2013年5月9日発売)
著:安田均/グループSNE
表紙イラスト:平尾リョウ
新紀元社
2013年04月 発行
記事作成 柘植めぐみ


1.座談会の座談会の座談会?
―― 本日はお集まりいただきありがとうございます。 
一同 よろしくお願いします!
―― まずはこれをどうぞ(表紙イラストを見せる。当日はまだ現物がなかったのです)。
一同 おお〜っ(感動)。
安田 いつ見ても平尾さんの絵はいいねえ。
笠井 このペンギン、なにに乗ってるの?
石在 ツォールキン』の歯車ですよ。
笠井 つぉるきん?
―― ……もう忘れたんですか。このあいだ一緒に遊んだじゃないですか(まったくこのウニ頭は……)
安田 背景の写真はぜんぜん関係なくて、編集の刈谷くんがアメリカに行ったときの風景らしいけどね(笑)。一瞬、こんなゲームあったかなあ、って考えた。
―― ではテンションが上がったところで、インタビューを始めさせていただきま……
安田 ひとつ言わせて! ふふふ、“座談会の座談会”ってすごいなあと思う。
笠井 確かにSNEのボードゲーム班は座談会ばっかりやってますよね。
―― (これは一応、インタビューなんだけど……まあ、座談会のノリでいっか)それを言うなら、“座談会の座談会の座談会”ですよ。「Role & Roll」100号記念でボードゲーム・ジャンクション座談会をして、『ボードゲーム・ストリート2013』巻末用の座談会をして……。
石在 正直、もう話すことはないような……(苦笑)。
―― ですので、いまだからこそ語れる苦労話などお聞かせいただけたらと思います。
安田 では、あらためまして……長いことつづいたね。
笠井
安田 ついに引退する人が出てしまった!
秋口 はい。長いあいだリプレイ記事を書かせていただいてきましたが、4月売りの「Role & Roll」103号の『アンドールの伝説』で最後です。
安田 何回書いた?
秋口 六十何回ですね。七十弱じゃないですか(正確には64回でした)
笠井 ということは秋口さん、座談会はこれが最後?
秋口 そうなりますね。
―― ほらほら、寂しくなってきたでしょ。だから引退なんて言わないで。
秋口 機会があれば別ペンネームで書かせてもらう……かも(笑)。

2.ベスト3は言いたい放題
安田 本書で取り上げた作品はどれも間違いなく面白いので、今後もつづけていきたいね……あれ? ほんまにしゃべることないな(苦笑)。
―― そうおっしゃらずに。
安田 巻末の座談会ではいつも各自がベスト3を取り上げるんだけど、今回はいちばんの若手である石在に先陣を切ってもらったっけ。
石在 恐縮です。でもあのベスト3、基本的に海外ゲームばかりなので、『フィルム・フィクサー』を入れられなかったのが残念でした(ゴマすりすり)。
秋口 そういう話はいらん(デザイナー本人)
安田 そういえば、昨年の座談会でも言ってたっけ。日本ゲームを海外ゲームと並べてレビューしてもよいものかどうか……結局、難しいな、という結論だった。まだ日本のゲーム業界はちょっと狭い。
石在 日本人のデザイナーは知り合いが多いので、評価するにも言葉を選びますよね。「カナイセイジ手ぇ抜いたな」とは言えません。
笠井 ぶわっ、と吹き出す)
一同 それは言えないなあ!
笠井 ……わ、わたし、座談会のあの台詞、何度も消して消してくださいってお願いしたんですよ。ここで強く主張しておきます!(どういう台詞だったか気になる人は、ぜひ本書をご購入ください)
安田 それを言うなら、ぼくだってローゼンベルクにひどいこと言ってるよ。「『アグリコラ』より『ボーナンザ・ダイス』のほうがずっと面白い」とか(笑)。万一、この本が世界で訳されたりしたらどこに逃げたらいいんだろう……。
秋口 恐ろしい……。
―― ほんとはドイツ語版英語版を出して、日本でもこんなにがんばってゲームを広めています、と伝えたいんですけどね。
安田 そりゃそうだけど……ん? そういや、きみも言うとったやん。「シャハトはやればできる子」って。
―― あれはシャハトが好きだからですよ(ちなみにミヒャエル・シャハトは『ズーロレット』『ハンザ』などの作者。まとまりのよいクリアなゲームが得意)
笠井 ボスだってローゼンベルクをほめての言葉じゃないですか。でもわたしは……。
安田 いやいや、きみがフリーゼ(『電力会社』などの作者であるフリーデマン・フリーゼ大好きだってことは、ここにいるみんな、よくわかってるよ。
笠井 そうなんです! そうなんですけど、字面で見るとまるでけなしているようで……(泣)。

3.大量のゲームとの戦い
笠井 あ、そうだ! 座談会っていつも早めに収録するので、そのあと面白いゲームが見つかったりしますよね(話題を変えることにしたらしい)
安田 そうなんだよ。座談会のあと遊んでめちゃ面白いやんか! となったのが『テラ・ミスティカ』と『ギルドマスター』。あわててレビューでも取り上げた。
―― 面白かったですね〜。思わず座談会の原稿を大幅修正して、ベスト3に『テラ・ミスティカ』をねじこんじゃいました。
笠井 わたしもあとから『東海道』を追加したよ(苦笑)。
秋口 選にもれたゲームといえば、『ニュー・アムステルダム』もめちゃめちゃ面白かった! ドイツゲームらしいゲームというか。先に遊んでいたら、ベスト3に入れていたかも。
安田 一応、『ボードゲーム・ストリート』で取り上げるのはエッセンシュピール(毎年10月にドイツで行われるゲーム祭)で出たものまでにしてるんだ。『ニュー・アムステルダム』は年末に出たんじゃないかな。
秋口 なるほど。それは仕方ないですね。
石在 へえ、そんな面白いゲームがあったんですか?
―― なに言ってんの。きみも遊んだでしょ。
石在 え?
―― ほら、プレイ順とアクションをオークションで競り落とすゲームで、支払いはお金でもトウモロコシでも毛皮でもいいってやつ……。
石在 やった! おもろかった!
安田 ついに石在も“笠井現象”か(笑)。
笠井 (ニヤニヤ)つぎからウニ頭書く?
安田 でもじつはぼくも、人のことを言えない。最近、「ほら、あの……あれが、ああするやつ……」てな感じで、ゲームを思い出せなくなってる。
笠井 以前はボス、頭のなかの引き出しがきちんと整理されてて、すぐにどれがどのゲームか思い出されていましたもんね。
安田 まあ、その、なんて言うか……ゲームの数が多すぎるんだよ。昔は新作といえば年間300個だった。それがいまではエッセンだけで550個! ニュルンベルク(毎年2月に行われるゲーム見本市)も合わせると700個以上になるんじゃないかな。日本でも200以上のゲームが出ているし、すべて合わせると1000個かあ。
笠井 でもボス、エッセンで買ってこられるゲームにしても、海外通販でいち早く買われるゲームにしても、遊んでみたらじっさい面白い作品ばかりですよね。あれは経験から、「なんとなく面白そう」と匂いを感じるんですか?
安田 どうだろうね。でも不思議なことがひとつあって、昔から好き勝手にレビューしているイギリスの「Counter Magazine」という雑誌があるんだけど、ぼくが選ぶものって、彼らと完全にシンクロしているんだよね。なんだかすごいだろう?
―― 記憶に新しいところでは、他ではあまり取り上げられていなかった『おかしな遺言』を、彼らも喜んでいましたよね。
安田 うん。ただ……そんな彼らも、今年はバラバラだったなあ。十人十色というか。
笠井 くり返しになりますが、やっぱりゲームの数が多いからでしょうね。全部遊ぶなんて不可能ですもん。
安田 広がりすぎると共通項がなくなる、というやつだね。ゲーム界もそろそろそうなり始めてるんじゃないかな、と心配。
―― いまが大切なときですね。

4.“評価”とは
安田 話は変わるけど、このあいだメビウスゲームズ20周年記念パーティにドイツ人デザイナーのライナー・クニツィーアが来ていたんだ。覚えてる? 『ケルティス』がドイツゲーム大賞を取ったとき(2008年)、SNEのみんなは「」と思ったよね。『ケルティス』が面白くないわけじゃないけど、クニツィーアならもっと面白いゲームがあるだろうって。クニツィーア本人も同じことを言っていた。彼としては、あれの元になった2人用ゲームの『ロスト・シティ』のほうが好きで、世界に広めたいらしいよ。
秋口 へえ、彼にとって『ケルティス』はベストゲームではないんですね。
安田 ぼくも『ロスト・シティ』が大好き。iOSアプリにもなっているんだけど、これがまた面白くて……。
―― え? それならアラカルトの「iOSアプリで遊べるボードゲームが熱い!」で取り上げるべきだったんじゃ……。
安田 あっ、ほんまやな。『ボードゲーム・ストリート2013』ではつい、ローゼンベルクの作品を2つも選んでしまった(『ボーナンザ』と『ルアーブル』)
笠井 ボードゲームのアプリもたくさん出ていますよね。やっぱり相性がいいんでしょうか。
安田 笠井さんがレビューを書いた『スコットランド・ヤード』もいいよね。
笠井 じつはぜんぜん勝てませんけど(泣)。
安田 犯人側でやってごらん、きっと勝てるから。
―― というわけで、アプリの面からもボードゲームを取り上げているボードゲーム・ストリート2013』なのであります。
安田 ついでだから「アラカルト」で取り上げた内容についてもう少し触れておこう。いつも日本人デザイナーのゲームを石在くんに取り上げてもらってるけど、昨年は数が多くて大変じゃなかった?
石在 はい、数が大幅に増えているので、どれを取り上げたらよいか絞るのが大変でした。
安田 日本では明らかに人狼がブームだけど、オリジナルの作品もいっぱい出ていたよね。
石在 以前は注目すべきサークルさえ押さえておけばよかったんですが、今回すごく広がった感じがします。
安田 カナイセイジくんの『ラブレター』や、林尚志くんの『トレインズ』みたいに、海外で評価が高くて英語版が出たものもあるいっぽう、日本国内ではまた違う傾向で喜ばれている作品もある。その両面を、気をつけて見ていかなくちゃいけない。
石在 ラブレター』は日本でも人気ですよ。日本ボードゲーム大賞も取りましたし。
安田 すごくいいゲームだと思うよ。でもある意味、ふつうだとも思う。
石在 プレイしている人数が多いってことなんでしょうね。短時間で終わるので、ちょっとした合間にできますし。
安田 だから評価されるのか……そういや、『キャット&チョコレート』もそうだった(笑)。
秋口 それが日本のゲーム界の現状なんですよ。でも『ラブレター』は、たった16枚のカードでここまで面白いゲームを作りおった! と感心させれました。
笠井 ほんと、センスありますよね。『王宮のささやき』をすっごく簡単にしたみたいな。
安田 そう、キーワードは“簡単”! 簡単だから評価される……むむむ……。
―― そうした簡単なゲームをきっかけに、たくさんの人たちがまた違ったゲームに興味を持ってくださるのがいちばんいいんですが。

5.面白ゲームの話は尽きず……
安田 思い出した、最近やって面白かったゲーム。ぼくと笠井さんで「こんなゲームを作ろう」って企画していたのを、そのまんまクラマー(ドイツ人デザイナーのヴォルフガング・クラマー)にやられちゃった。
笠井 ああ、『プリモ』ですね。
安田 ソリティア(1人用ゲーム)多人数でやろう、というコンセプトで、ぼくたちはトランプ遊びのピラミッドを原型に考えてたんだけど、クラマーはフリーセルをうまく改良してみせてくれた。
秋口 ほほう。
安田 悔しいと同時に、さすがクラマーだなあと思う。でも、同じ方向性を考えていたのは嬉しい。
笠井 わたしたち、ピラミッドにこだわりすぎちゃいましたね。それにしても、思いつくのと完成させるのとあいだにはものすごい距離があるのだと実感させられました。
安田 いや、ぼくは方向性には自信を持ったよ。
笠井 そうですね、がんばります。
安田 他にもおかしなセンスのゲームといえば、『ドージェ・シップ』。でかい船首のタイルがあるんだけど、ゲーム中はまったく意味がない。じゃあなんのためにあるかというと、ゲームを終わらせたプレイヤーが「完成!」と置くためだけのもの(笑)。
石在 不思議ですよね。そうしたからってなんのボーナスもなくて、ただ栄誉のため……。確かに、船ができた! という満足感はありましたが。
安田 あと、笠井さんがルールを訳すのに苦労したシュールな論理ゲームの『タシュケント』も変わってた。
笠井 ルール自体は少なめなんですが、とにかく説明するのが大変で……。
安田 それから、前に遊んだ『アルカトラズ』っていう協力ゲームを覚えてるかな? 1人を生け贄にして刑務所から脱出するおかしなゲームだったけど、同じデザイナーたちが作った『動物農場:1984』も輪をかけて変だった。日本人は口先三寸の交渉ゲームをいやがることが多いけど、これはちょっと違う。列強を担当するプレイヤー全員、なんらかの抑止力を持っていて、それでブラフをし合うんだ。「そっちがやるんやったら、こっちもやるで」という感じ。落としどころを探る、変わったゲームだったなあ。
秋口 へええ、面白そうですね。いまここにないんですか?
安田 ごめん、記事を書くために持って帰った。あ、でも、そこにある『レディ・アリス』も面白かったで。
秋口 推理ゲームでしたっけ?
安田 クルー』みたいなゲームではあるけど、ブラフ2種類使われていて面白い。ふつう推理物って、正解を当てたプレイヤーが勝つけど、これはそうとはかぎらない。正しい推理に「何点賭けたかが重要。「0点」を賭けることもできる。だからブラフだとわかったときの驚きや「やっぱりか」と納得したりするのが面白い。それから、全員4つの手がかりのうち1つだけ正解を知ってるんだけど、手番に推理を披露するさい、自分が知っている要素をそのまま入れるか、あえて違う推理をしてみせるか……これもブラフ。
―― 悩ましいゲームでしたね。
笠井秋口石在 やりたい〜っ!(3人とも未プレイ)
安田 よし、このあとやろう!
一同 おお〜っ!
 話をしていると遊びたくてたまらなくなるのがボードゲーマーの性(さが)。このあとじっさいに『レディ・アリス』をプレイして、柘植が圧勝したのでした(うふふ)。
 『
ボードゲーム・ストリート2013』未掲載の面白ゲームにつきましては、5月売りの「Role & Roll」104号で取り上げています。ぜひご覧ください。


6.誤植、発覚!
安田 というように、変わったゲームもどんどん出ているので、そういったものも評価していきたいなと思う。
―― ボードゲーム・ストリート2013』で取り上げたものはわりと正統派ですよね。
安田 いや、変なのもあるよ。たとえば冒頭のレビューで取り上げた『ディヴィナーレ(予言)』。ああいう変わった作品を入れると、つぎに『村の人生』みたいなまっとうなゲームを入れてバランスをとらなきゃいけないんだけど(苦笑)。
笠井 政治的配慮ですね。
安田 おっと、忘れてた。これまで写真を撮ったりデータを作ったりと裏方に徹していた柘植さんが、このたび執筆者としてデビューを飾っているんだった。
一同 ぱちぱち(拍手)。
―― ありがとうございます。今回初めて、「日本語版の出たボードゲーム」と「iOSアプリ」3点を書かせていただきました。
安田 どうだった?
―― そりゃもう、楽しかったです!
安田 日本語版の出たゲームは、誰もが安心して遊べるという意味でとても重要。数も増えているし、ぜひ選ぶ参考にしてほしい。この夏には、グループSNE&cosaicからも『タルギ完全日本語版』が出るのでよろしく。
秋口 賞の候補にもなった傑作ですからね、『タルギ』は。それはそうと……カラーページのゲラを見ていて気づいたんですが、『タルギ』の難易度10っておかしくありません?
一同 えっ?
安田 (青くなって)うわっ、ほんまや。なんでやろう。難易度にしたはずなのに。
石在 勝つための難易度とか(笑)。
安田 もちろん、ルールの把握のしやすさだよ。あちゃあ……(頭を抱える)。
 そういうわけで、この場を借りて訂正させていただきます。
 『
ボードゲーム・ストリート201310ページの『タルギ』の難易度10ではなくです!
 申し訳ありませんでした!

7.ルールの説明は大変
―― 他になにか苦労話とかありますか?
秋口 苦労からは解放されましたからね(にやにや)
安田 むむむ。じゃあ、いままでの苦労を語ってよ。
秋口 そうですね……時間はかかるけどストーリー性のない抽象ゲームのリプレイは大変でした。
笠井 具体的に「こりゃないわ」というのは?
秋口 いやあ、もうだいたい大変だったので(苦笑)。
石在 反対にこれは、これなら書ける、というのは?
秋口 そんなものはない!
安田 でもシュテファン・フェルトの『名誉と酩酊(名声)』(「Role & Roll22号)はキャラクター性もあって書きやすかったんじゃない?
秋口 ええ、まあ。ただ唯一、寝床争いのルールが……。
安田 ああ、あれは説明しにくいなあ。
秋口 はい、読んだ人も理解できなかったかも。
安田 確かに、なかなか文章で説明できないルールってあるよね。
笠井 でもそこがいちばん面白いところだったりするんですよね。ちなみに、ウニ頭を書くのにもいつも苦労しているんですよ。
―― どのへんが?
安田 ぼくも聞きたい。いつも「あなたにウニ頭のなにがわかるの?」って言われるからな(笑)。
笠井 大変なのは、やっぱりルールの説明でしょうか。あのコラムを読む人は、基本的にルールはあまりを読みたくないと思うんです。たぶんボスも原稿チェックのとき、前フリしか読んでおられないんじゃ……?
安田 じつはそう(笑)。
笠井 でもだからって、ルールにも触れないとゲームの面白さは伝えられないので……バランスをとるのが大変です。

8.これから期待するゲーム
安田 いまはいいゲームが多くて、これからボードゲームを始める人がうらやましい。でも、かつてどんなゲームがあったのかも知っておいてほしいなあ。
―― だからこその『ボードゲーム・ストリート』ですよ!
安田 おっ、結論が出た。では、そろそろ〆に入ろうか。みんな、これからどういうゲームを遊びたい?
―― 長いゲーム……かな。
安田 なんだ、柘植さんは『1830』がやりたいのか。
―― あれは年中やりたいです(笑)。
安田 座談会でも、昨年は凝ったゲームがあまりできなかったとブーたれてたな。
―― はい。『ツォールキン』や『テラ・ミスティカ』にはそこそこ満足しましたが、あんまり長くないんですよ。2時間くらい。
一同 (口をそろえて)長いやん
石在 ぼくもクドイのを遊びたいですね。
笠井 やっぱり3時間
石在 いや、2時間でじゅうぶんです(苦笑)。一昨年のゲームになりますが、みんながマーティン・ウォーレスの『オートモビール』を遊んでいるのを見てうらやましかったなあ。
安田 あれはいい
―― わたしも好き……はっ、わかった。わたしは借金するゲームがやりたいんだ!
石在 レイルロード・タイクーン』とか?
―― うんうん。昨年のウォーレスはそういうのを作ってくれなかった。
安田 さっきも言ったけど、全体的にゲームが“やさしくなる”傾向にあるよね。
笠井 そうおっしゃるスは、どういうゲームをやりたいんですか?
安田 昔流行ったけどいまはちょっと……というタイプのゲームが出てくるといいかな。ほら、最近は競りゲームが少ないからね。『ニュー・アムステルダム』が面白かったのもやっぱり競りの部分。
秋口 あの値付けはすごかったですね。よく考えたら得点を削ってまで競り落としに行ってるんだけど、つい熱くなってしまう。
安田 競りはいわば、1990年代のゲームシステムなんだ。クニツィーアの『ラー』で終わった感じ。あれが完成形だったから。
石在 ぼく、競りはいまいち苦手なんですよ。『メディチ』とか、いくら値付けしたらいいのかわからない。
安田 じゃあ、アプリで感覚をつかむといいよ。
石在 はい、がんばってみます。
―― 秋口さんはどんなゲームをしたい?
秋口 ぼくも一緒ですね。ねちっとしたゲーム2〜3時間かけてニヤニヤしながらするのが好き。
笠井 わたしは“ゲーム性のあるコミュニケーションゲームがいいですね。
―― テレストレーション』や『ディクシット』みたいな?
笠井 そんな感じ。みんなで一緒に推理したり、イラストを使ったりするゲームが好きです。
―― それでは、みなさんがおっしゃるようなゲームが今後出ることを期待して、インタビューを終えたいと思います。来年もがんばりましょう!
一同 よろしくお願いします!


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