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わたしは友野さんたちから半年遅れでSNEに入ったんですが、そのときすでに「コクーン・ワールド」のリプレイが始まっていて、うらやましく思ったのを覚えています。 |
友野: |
ご存じのない方もいらっしゃると思うので説明しておくと、「コクーン・ワールド」はもともと、SNE新人親睦用のセッションとして、「ソード・ワールド」のシステムを使って同期のメンツで遊んでみた世界。そしたら事務所の先輩から、「リプレイは書かないの?」って言われて……。 |
――: |
それで書いてみたの? じゃあ、最初は仕事じゃなく? |
友野: |
うん、あくまで修行のつもりやった。 |
――: |
でも結局、そのリプレイが当時の雑誌「RPGマガジン」(ホビージャパン)に掲載されましたよね? |
友野: |
試しに書いたリプレイを安田社長が面白いと言ってくださって、ちょうどRPGマガジンで「ソード・ワールド」の特集をすることになったから、載せてみたらどうや、って話になったんだ。本来は富士見書房で展開しているタイトルやから、ホビージャパンの雑誌に載せるなら外伝的なものがええやろう、ということで。 |
――: |
そうか、だからあのリプレイでは、「ソード・ワールド」のシステムを使っているんですね。 |
友野: |
このときの「不思議な地底探検」は、2007年に富士見ドラゴンブックで出た『賽子の国の魔法戦士』というリプレイ・アンソロジーに収録されてるよ。 |
――: |
「コクーン」はもともと「ソード・ワールド」のパロディなんですよね。神さまの名前なんてライリーとかラーファだし……。 |
友野: |
リプレイのときはマイリーとマーファ(ともに「ソード・ワールド」に登場する神さまの名前)やったけど、スニーカー文庫から小説が出るときにさすがにマズイやろう、ってことで変わったんだ。 |
――: |
そう、小説! どうして小説化されたんですか? |
友野: |
これも安田社長が勧めてくださって。詳しい経緯は、ぜひ新装版の「あとがき」を読んでください。安田社長が当時を振り返ってくださっているから。手短に言うと、われわれも大好きなテリー・プラチェットの『ディスクワールド騒動記』(角川書店)というハチャメチャなコメディ・ファンタジー小説があるんやけど、日本ではいまいち面白さが伝わらなくて……。 |
――: |
翻訳しづらいし、文化も違いますからね。 |
友野: |
ほんで日本人が同じようなものを書いてみたら……とやってみたのが「コクーン・ワールド」なんや。 |
――: |
なるほど、日本のノリ……っていうか、関西のノリがウケたわけですね。 |
友野: |
「コクーン」3冊のあとは「ティルト・ワールド」3冊、「アビス・ワールド」3冊、そして最後の『ザ・ラスト・オブ・ファイブリア かくも偉大な冒険者』と出してもらった。 |
――: |
今回、新装版が出るに至った経緯をお聞かせいただけますか? |
友野: |
単純に、スニーカー文庫さんから声をかけていただいた、という理由。昨年、水野良さんの『ロードス島戦記』の新装版が成功したからね。スニーカー文庫さんはもともとライトノベル業界の老舗中の老舗。時代を超えて読んでほしい作品を残していこう、ということやないかな。 |
――: |
それで「コクーン」と「ルナル」に白羽の矢が立ったわけですね。 |
友野: |
ぶっちゃけると、担当編集さんがいちばん好きだったそうな。当時、中学生だか高校生だかって(笑)。 |
――: |
うわあ、そういう方がいまや編集さんなのかあ(遠い目)。 |
友野: |
新装版は、まず「コクーン」を出して好調なら「ルナル」も、ということだったんやけど、いつのまにか、どうせなら両方一緒に出しちゃえ、ってなった。 |
――: |
どちらもファンタジーですけど、じつに毛色が違うというか、ある意味両極端な作品ですよね。今回読み返してみて、あらためて「ほんまに同じ作家かい?」って思いました(笑)。 |
友野: |
当時からよう言われた(苦笑)。 |
――: |
さて今回は、2014年11月に両シリーズの1巻が発売されたあと、12月に「ルナル」2巻、2015年1月に「コクーン」2巻……というふうに交互に出ていく予定ですよね。 |
友野: |
どこまでつづけられるかはみなさんのご支援しだい。よろしくお願いします! |