――: |
正しくは復刊ではなく「新装版」なんですよね。表紙にそう書いてありますし。 |
友野: |
うん、なにせ表紙も口絵も本文イラストもすべて描き下ろし。 |
――: |
うほっ! 「コクーン」の弘司先生のほうはSNEともずっとお付き合いがありますが、「ルナル」の西村博之先生とは長らくご縁がありませんでしたよね。まさかそこまでしていただけるとは! |
友野: |
西村さんはいますごくお忙しいのにね。なんたって『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』の総作画監督やから。 |
――: |
えっ! そんなビッグタイトルのさなかに……。 |
友野: |
編集さんが話を持っていったら、「じゃあ、休みの日に描きます」と言ってくださったそうだよ。 |
――: |
ぎょぎょぎょ! それだけ「ルナル」を好きでいらしてくださったんですね! 新しいイラストを拝見したんですけど、全然変わってないっていうか、エフィが本当にエフィで……。 |
友野: |
変わってないは失礼やろ?(苦笑) さらにお上手になってるし、モノクロイラストなんて、ほんまたまらん! |
――: |
弘司先生も「ゴーストハンター」の小説新装版やボードゲームでお世話になりっぱなしでお忙しさではひけをとらないはずですが、そんななか、たくさん描いてくださいましたよね〜。 |
友野: |
お2人にはほんと、感謝しております(深々とお辞儀)。 |
――: |
さて、イラストが一新されていることはわかりましたが、本文のほうは? |
友野: |
さすがに二十数年前の文章なので気になったところは修正したよ。でもイメージは変えず、あくまで文章の読みやすさを心がけて。 |
――: |
「ルナル」も「コクーン」も? |
友野: |
そうやね、でも「コクーン」のほうが修正はちょっと少な目かな。 |
――: |
「コクーン」のほうは勢いで読めちゃうから? |
友野: |
うん、やっぱりシリアスな文章のほうが気を遣うかな。「ルナル」の冒頭あたりなんか、ほぼ全面的に手を入れたくらい。 |
――: |
えっ? いただいた原稿読み直しましたけど、全然気づきませんでした。 |
友野: |
読み比べないと気づかれないように直したんやて。 |
――: |
さ、さすが……。 |
友野: |
視点が混乱しているところとか、文章が行きつ戻りつして読みにくいところとかを直した。つまり、自分の未熟だったところ、かな。 |
――: |
友野さんが未熟だなんて……でも確かに「コクーン」1巻の『黄昏に踊る冒険者』は友野さんの長編デビュー作ですし、「ルナル」もごくごく初期の作品ですよね。『黄昏〜』が1991年、「ルナル」1巻の『赤い瀑布』が1992年でしたっけ。同じころ小説『無法の牙』(集英社スーパーファンタジー文庫)を書いたりもしてたし……新人のくせに仕事しまくってたんですね(笑)。 |
友野: |
「妖魔夜行」もやりつつね。 |
――: |
いやはや、なつかしい……って、友野さんとわたしで思い出話をしているとキリがないので、インタビューに戻りましょう。 |
――: |
わたしは友野さんたちから半年遅れでSNEに入ったんですが、そのときすでに「コクーン・ワールド」のリプレイが始まっていて、うらやましく思ったのを覚えています。 |
友野: |
ご存じのない方もいらっしゃると思うので説明しておくと、「コクーン・ワールド」はもともと、SNE新人親睦用のセッションとして、「ソード・ワールド」のシステムを使って同期のメンツで遊んでみた世界。そしたら事務所の先輩から、「リプレイは書かないの?」って言われて……。 |
――: |
それで書いてみたの? じゃあ、最初は仕事じゃなく? |
友野: |
うん、あくまで修行のつもりやった。 |
――: |
でも結局、そのリプレイが当時の雑誌「RPGマガジン」(ホビージャパン)に掲載されましたよね? |
友野: |
試しに書いたリプレイを安田社長が面白いと言ってくださって、ちょうどRPGマガジンで「ソード・ワールド」の特集をすることになったから、載せてみたらどうや、って話になったんだ。本来は富士見書房で展開しているタイトルやから、ホビージャパンの雑誌に載せるなら外伝的なものがええやろう、ということで。 |
――: |
そうか、だからあのリプレイでは、「ソード・ワールド」のシステムを使っているんですね。 |
友野: |
このときの「不思議な地底探検」は、2007年に富士見ドラゴンブックで出た『賽子の国の魔法戦士』というリプレイ・アンソロジーに収録されてるよ。 |
――: |
「コクーン」はもともと「ソード・ワールド」のパロディなんですよね。神さまの名前なんてライリーとかラーファだし……。 |
友野: |
リプレイのときはマイリーとマーファ(ともに「ソード・ワールド」に登場する神さまの名前)やったけど、スニーカー文庫から小説が出るときにさすがにマズイやろう、ってことで変わったんだ。 |
――: |
そう、小説! どうして小説化されたんですか? |
友野: |
これも安田社長が勧めてくださって。詳しい経緯は、ぜひ新装版の「あとがき」を読んでください。安田社長が当時を振り返ってくださっているから。手短に言うと、われわれも大好きなテリー・プラチェットの『ディスクワールド騒動記』(角川書店)というハチャメチャなコメディ・ファンタジー小説があるんやけど、日本ではいまいち面白さが伝わらなくて……。 |
――: |
翻訳しづらいし、文化も違いますからね。 |
友野: |
ほんで日本人が同じようなものを書いてみたら……とやってみたのが「コクーン・ワールド」なんや。 |
――: |
なるほど、日本のノリ……っていうか、関西のノリがウケたわけですね。 |
友野: |
「コクーン」3冊のあとは「ティルト・ワールド」3冊、「アビス・ワールド」3冊、そして最後の『ザ・ラスト・オブ・ファイブリア かくも偉大な冒険者』と出してもらった。 |
――: |
今回、新装版が出るに至った経緯をお聞かせいただけますか? |
友野: |
単純に、スニーカー文庫さんから声をかけていただいた、という理由。昨年、水野良さんの『ロードス島戦記』の新装版が成功したからね。スニーカー文庫さんはもともとライトノベル業界の老舗中の老舗。時代を超えて読んでほしい作品を残していこう、ということやないかな。 |
――: |
それで「コクーン」と「ルナル」に白羽の矢が立ったわけですね。 |
友野: |
ぶっちゃけると、担当編集さんがいちばん好きだったそうな。当時、中学生だか高校生だかって(笑)。 |
――: |
うわあ、そういう方がいまや編集さんなのかあ(遠い目)。 |
友野: |
新装版は、まず「コクーン」を出して好調なら「ルナル」も、ということだったんやけど、いつのまにか、どうせなら両方一緒に出しちゃえ、ってなった。 |
――: |
どちらもファンタジーですけど、じつに毛色が違うというか、ある意味両極端な作品ですよね。今回読み返してみて、あらためて「ほんまに同じ作家かい?」って思いました(笑)。 |
友野: |
当時からよう言われた(苦笑)。 |
――: |
さて今回は、2014年11月に両シリーズの1巻が発売されたあと、12月に「ルナル」2巻、2015年1月に「コクーン」2巻……というふうに交互に出ていく予定ですよね。 |
友野: |
どこまでつづけられるかはみなさんのご支援しだい。よろしくお願いします! |
――: |
もう少し内容についてうかがいいましょう。イラストが変わり、本文に修正を加えられたことはうかがいましたが……。 |
友野: |
むかし買ってくださっていた方には、それだけでは申し訳ないよね。 |
――: |
じゃあ、おまけがある?(期待) |
友野: |
「ルナル」については、これまで文庫未収録だった短編を、1巻と2巻に前後編という形で載せることにしたよ。 |
――: |
「悪魔と天使の間で」ですね。確か『ヘンダーズ・ルインの領主』(1991年、ホビージャパン)に収録されていたはず。いろんなTRPGの世界を舞台にした小説集でしたっけ。 |
友野: |
うん。で、「コクーン」のほうには、『ザ・ファンタジーT』(1993年、カドカワノベルズ)に収録されていた「白昼に絡む冒険者」という中編を前後編でおまけにつけることにした。もとは雑誌に掲載されたものやったけどね。 |
――: |
雑誌って、「ザ・スニーカー」? |
友野: |
ちゃうちゃう、「野生時代」や。「ザ・スニーカー」はまだなかったんやないかな……(註:調べてみたら、「ザ・スニーカー」創刊は1993年4月でした。「白昼に〜」の野生時代への掲載は同年2月号) |
――: |
おまけは3巻以降にもつくんですか? |
友野: |
どちらも巻が進むと分厚くなるから、どうするかはこれから検討、やな。でも、なにもないのは寂しいよね。 |
――: |
たとえばどんなものをおまけにしたい? |
友野: |
そうやなあ。「ルナル」なら、ラナークとアードの出会いの話とか? |
――: |
ぐはっ、そいつは鼻血ものですぞ! |
――: |
そういやむかしの「ルナル」1巻とかには、ゲームのデータも付いてましたよね? |
友野: |
うん、「GURPS(ガープス)」のデータをね。でも今回はさすがにワールドガイド的なものだけにしたよ。 |
――: |
あっ、そうだ、ゲームの話もしておかなきゃ。 |
友野: |
さっき「コクーン」の始まりの話はしたけど、「ルナル」はしてなかったな。さてさて、そのむかし、「GURPS」というゲームがありまして。 |
――: |
汎用ロールプレイ……なんだっけ? |
友野: |
Generic Universal Role Playing System(包括的で汎用的なロールプレイング・システム)。 |
――: |
うわあ、まだ言えるんですね。すごい。 |
友野: |
原始時代から未来まで、西部劇からSFまで、どんな世界を舞台にしても遊べるという画期的なRPGシステム。当時ルールブックを日本で出すにあたり、オリジナルの背景世界を作ろう、ということになったんや。 |
――: |
それでファンタジーを? |
友野: |
日本には『ロードス島戦記』から始まるフォーセリアという世界がすでにあるからね。一風変わった世界にしようと、いろいろ工夫を凝らしてみた。 |
――: |
最初は雑誌のリプレイからでしたよね? |
友野: |
角川書店から「コンプRPG」という雑誌が創刊されて、「GURPS」だけで100ページもの特集が組まれたんやけど、そこに「ルナル」のリプレイ第1回が載ったというわけ。 |
――: |
わたし、主人公の1人である双子の片割れをやってほしい、って言われたんだよなあ。 |
友野: |
SNEに入りたてやったよね。 |
――: |
はい、まだTRPGに全然慣れてなくて、みんなについていくのが精一杯でした。でもそれだけに、「ルナル」にもエフェメラ(エフィ)・クルツにも思い入れがあります。 |
友野: |
そう言ってもらえると嬉しい。 |
――: |
始まりはリプレイでしたが、最初から小説化される予定でしたか? |
友野: |
うん。立ち上げのときから、小説にしよう、って話やった。 |
――: |
そう言えば小説1〜2巻は、リプレイの前日譚となるストーリーですよね。わたし、「ルナル」はじつに完成された美しい世界観だなあと思います。7つの月があって、それぞれを信奉する種族がいて……ものすごく奥深い世界だと思うんだけど、最初から全体の構想があったんですか? |
友野: |
まあ、漠然と(苦笑)。 |
――: |
それまで友野さんが培ってきたものが凝縮されていた? |
友野: |
「7つの月の世界」というのはあのとき作った設定やけど、それまで自分が読んできたもの、触れてきたもの、歴史上のできごと、引き出しに放りこんできたガラクタなんかを、集めてきれいに構成した感じかな。いまでも「ルナル」の世界なら、尽きることなく物語を紡ぐことができると思うよ。 |
――: |
二十年以上も前に作った世界ですのにね。 |
友野: |
うん、二十年以上経ってなお、きみにエフィを演じてもらうことになるとは思わんかった(笑)。 |
――: |
そうだ、その話を聞かなきゃ! |
――: |
今回の新装版に合わせて、ドラマCDが出ることになったんですよね。 |
友野: |
うん。とらのあなの関連会社であるツクルノモリさんから。 |
――: |
しかも「コクーン」「ルナル」の両方! どちらも小説の2巻合わせで、「ルナル」のドラマCDが11月末、「コクーン」が12月末発売でしたっけ。いやはや、びっくり。 |
友野: |
うん、新装版以上にびっくり(笑)。 |
――: |
でもわたし、見つけちゃいましたよ。友野さん、「ルナル」の5巻『銀の深淵』(1995年)のあとがきで、「ドラマCDになったらいいな」って書いてました! |
友野: |
えっ、ほんまに? ってことは19年越しに夢が叶ったわけか。 |
――: |
それで、ドラマCDはどのような内容になっているんでしょう? |
友野: |
どちらも2巻途中の外伝的な話を書き起こしたよ。 |
――: |
えっ、友野さんがプロットを書いたの? |
友野: |
うん。で、シナリオにしていただき、そのシナリオにまた手を加えさせていただいた。世界観に関わってくる箇所とか、魔法の唱え方とか。とくに「コクーン」の魔法体系は独特やからね。 |
――: |
2巻というと、「ルナル」は『青の聖堂』というタイトルで、帝国で旅をつづける双子がレルシェという女の子と巡り会って……という話ですよね。「コクーン」の『真夜中に騒ぐ冒険者』は、空からリィズっていう女の子が降ってきて……という話。 |
友野: |
ドラマCDでは、「ルナル」はレルシェと会った直後の話。登場人物は双子とタッタがメイン。 |
――: |
「コクーン」には当然、6人の冒険者たちが顔をそろえる? |
友野: |
加えてリィズ。じつはツクルノモリの方がリィズのファンで、ぜひにと言われた(笑)。 |
――: |
ここにも友野ファンが……ほんと、時代が一巡りしたって感じですね。 |
友野: |
10月末が収録で、先日、やっと声優さんが決まったという連絡をもらったところ。まだ公表できないけど……。 |
――: |
わたし、こっそり教えてもらったんですが、マジか! ってなりましたよ。まさかソアラ(「コクーン」の精霊使い)が××さんで、タリアが○○さんだなんて……。 |
友野: |
うん、「コクーン」のほうは往年のファンのみなさんが「おおっ」と思う人たちかな。「ルナル」はどちらかというと、いま伸び盛りの新進気鋭のみなさん。また公表できるようになったら宣伝しといて。 |
――: |
らじゃ! でもちょっと待って。「コクーン」には小説を通してほとんど台詞のないスランっていう美形戦士が出てくるけど、あれは誰が……? |
友野: |
そこはそれ、隠し玉が……続報に期待してもらおう。 |
――: |
う、うむ。さて、このドラマCDにも、おまけがつくとのことですが? |
友野: |
うん。「コクーン」には短編小説。 |
――: |
えっ、まさか書き下ろし? |
友野: |
そのまさかや。ドラマCDのつづきとなる話を書こうかなと思ってる。 |
――: |
いまから執筆なんですね。楽しみです。 |
友野: |
で、「ルナル」にはおまけリプレイ。 |
――: |
そう、そのリプレイ! すごく久しぶりにエフィを演じさせていただきました。収録、楽しかったですね〜。 |
友野: |
さすがに当時のプレイヤーのなかにはSNEから離れた人もいるから、アンディとタッタは新しいプレイヤーにお願いした。あ、もちろん、リプレイに登場したことのないレルシェも初めての人やったけど。 |
――: |
でもすごく自然にプレイできました! |
友野: |
往年の読者のみなさんにも違和感なく読んでいただけると思います。選んだ「中の人」がよかったよね。あの出目は……。 |
――: |
うん、お兄ちゃん(アンディ)はどこまでもお兄ちゃんだった……。 |
友野: |
おまけのリプレイだけでも読む価値はありますぞ(笑)。 |
――: |
あ、そういやドラマCDのイラストって小説の流用? |
友野: |
なにを言う! どっちも描き下ろしやで? |
――: |
なんと! 弘司先生も西村博之先生も描いてくださったと!(感動) |
友野: |
しかもCD自体、「ルナル」らしい雰囲気のデザインだったり、世界地図がついたり盛りだくさん。なんとルナルには、4人の先生方による4コママンガまで、おまけにつきます。 |
――: |
なんと! ルナルで4コマといえば、もしかして。 |
友野: |
もちろん、以前の文庫でも描いていただいた佐々木亮先生! そしてルナルやTRPGが大好きな田中としひさ先生、みかきみかこ先生、鈴城芹先生! すごい嬉しい。こちらもぜひよろしくお願いします。 |
――: |
さて、語り残したことはありますか? |
友野: |
話せと言われりゃいくらでも。 |
――: |
あ、いや、そこまでは……(汗) |
友野: |
ほな、小説の解説まわりのことだけ言わせて。「コクーン」の小説1巻には、先ほども言ったようにわれらが安田社長があとがきを書いてくださっています。なんちゅうても「コクーン」の生みの親やからね。原案という立場で、誕生秘話を書いてくださった。 |
――: |
うんうん。 |
友野: |
さらに「コクーン」「ルナル」ともに、当時読者として読んでくださっていた若手の作家さんたちが、熱い解説を寄せてくださっている。 |
――: |
ほほう。 |
友野: |
ちなみに「コクーン」1巻は『バカとテストと召喚獣』の井上堅二さん、「ルナル」1巻には言わずと知れた冲方丁さん。 |
――: |
す、すごいですね〜。 |
友野: |
2巻以降も豪華なラインナップやで。みなさん、むかしから「コクーン」と「ルナル」を応援してくださっていたそうで、嬉しいかぎりだよ。 |
――: |
まさに友野詳の「執筆活動25周年」にふさわしいですね! |
友野: |
ちょっとその触れこみは……(照)。じつはちょっとサバ読んでるんや。SNEに入ったのは1990年やけど、本が出たのは1991年やから。 |
――: |
あれ?(苦笑) |
友野: |
まあ、「不思議な地底探検」をじっさいに書いたのが1990年12月だからいっか(自分で納得)。 |
――: |
四半世紀も小説を書いてこられたわけですね。歴史を感じます。 |
友野: |
思うに、「ルナル」はキャラクター小説じゃないよね。たとえば、エフィはすでにキャラクターというより、背景世界の一部。 |
――: |
確かに、「ルナル」はストーリー、世界、変化こそがメインですよね。 |
友野: |
だからこの先、「ルナル」の小説をまた書くことがあっても、同じ話を語り直すよりは、別の話をどんどん書いていきたいなあ。 |
――: |
それだけ物語のソースがある世界だったわけですね。 |
友野: |
自分でも、ライフワーク的に書きつづけられるだけの厚みのある世界だと思う。 |
――: |
そういう意味では、「コクーン」のほうはキャラクター小説? |
友野: |
そうやね。「コクーン」はそれこそ、ライトノベルの元祖的な存在やないかなと自分でも思う。6人のキャラクターありきの小説。「コクーン」だけやなく、当時の「フォーチュン・クエスト」「スレイヤーズ」「極道くん」といったシリーズが、ライトノベルの1つのジャンルを作ったんやとぼくは思う。 |
――: |
なるほど。 |
友野: |
そもそも「コクーン」の世界のファイブリアは、「ソード・ワールド」のフォーセリアがあったから生まれたんやし。いまなら、「ソード・ワールド2.0」のラクシアに対して、クロウシアと名づけるところかな。 |
――: |
はにゃ? 話が見えないんですけど? |
友野: |
なんでわからん!(怒) |
――: |
えっ、ちょっ? |
友野: |
「フォー(4)セリア」やから「ファイブ(5)リア」やろうが! |
――: |
あっ、だから「ラク(楽)シア」に対して「クロウ(苦労)シア」? |
友野: |
ふふふ(胸を張る)。 |
――: |
まったく、関西人の考えるコト、ムツカシイネ……。 |
――: |
今回のインタビューにあたり、最初は「コクーン」と「ルナル」で章を分けて別々に話をうかがおうと思っていたんですが、じっさいに話をしてみると、分けては語れない2シリーズなのだなあと思いました。この2つは切っても切れないもの、友野詳のファンタジーの表と裏なんだなあと。 |
友野: |
確かに表裏一体やね。「コクーン」があったから「ルナル」があり、「ルナル」があったから「コクーン」があるんやと思う。 |
――: |
この2つの作品をいま同時に読めるというのは本当にすばらしいことだと思います。「ルナル」には物語をつかさどるシャストアという神さまがいるんですが、わたしにとって友野さんは、ほんとシャストアその人だなあと思います。 |
友野: |
柘植さん、それはちょっとちゃうで。 |
――: |
えっ? |
友野: |
ぼくはいつも「TPRGの小説」を意識していて、そういう意味ではつねにシャストアであり、ガヤンでありたいと思ってる。 |
――: |
ガヤンって……「ルナル」の法の神さまですよね? |
友野: |
そう、物語を紡ぐシャストアと、ルールを管理するガヤン。 |
――: |
なるほど。 |
友野: |
で、ここだけの話、シャストアもガヤンも、ぼくの「あること」にちなんで名前をつけたんやで。 |
――: |
えっ、どゆこと? |
友野: |
大きな声では言えんから……ごにょごにょ(内緒話)。 |
――: |
ほんとだ! いま明かされるこの事実! |
友野: |
うはははは(してやったりの顔)。 |
――: |
(ちょっとぶ然)さて……最後にとっておきの「あの話」とまいりますか。 |
友野: |
うむ。 |
――: |
じゃじゃーん! 「コクーン」はなんと来年、ボードゲームになります! |
友野: |
システムは安田社長が作ってくださってるけど、ぼくもアイディアを出しとります。2015年3月の発売を目指して、鋭意制作中! |
――: |
世界観にぴったりの面白いファミリーゲームになると思います。 |
友野: |
小説を読んでいなくてもぜったい楽しめます。期待してお待ちください! |
――: |
ダメだよ、これは小説のインタビューなんだから! |
友野: |
あ、そうか。小説も読んでね! |
――: |
ということで、本日はありがとうございました! |