―― |
それではインタビューを始めます。本日はよろしくお願いします! |
加藤・杉浦・河端 |
はーい。よろしくお願いしますー。 |
―― |
まず『ドレッドノート』の企画はどうして始まったのでしょうか? |
加藤 |
端的にいえば『モンコレ』が一端終了することになったので、今はKADOKAWA様……当時は富士見書房様からグループSNEに「新しいTCGを作りましょう」というお話をいただいたからです。 |
杉浦 |
その際、監修者の安田社長から、『モンコレ』から印象を変えるためにも「若くて新しい血を入れたほうがいいだろう」と意見をいただき、河端くんに加わってもらうことになりました。 |
河端 |
基本は世界観担当として、制作に携わっています。 |
―― |
なるほど。では、新しいTCGを制作するにあたって、コンセプトみたいなものはあったのでしょうか? |
杉浦 |
富士見書房様からは「本格派」「ストロングスタイル」のTCGにしてほしいという要望がありましたね。それが一番のコンセプトでした。 |
―― |
「ストロングスタイル」と言いますと具体的には? |
加藤 |
言わば『モンコレ』も「ストロングスタイル」なTCGなんですが、ようは対戦が楽しくてやりがいのあるもの、大会などでいろんなデッキが存在しうるもの……ゲームを遊んでて、プレイヤー技術の向上があるもの、という感じかな。 |
河端 |
どっちかというと、運よりも技術が重要なゲームですよね。 |
加藤 |
基本はそうだね。といっても運の要素がまったくなくなると、それはそれでしんどい。なので感覚的には、構築を含む実力が65%で運が35%くらい。これがプレイングが向上していくと、運の部分を実力に転換していけるような感じですね。 |
―― |
なるほど。かなり本格的なTCGであるようですね。ただ、技術が必要と言われると、難しそうという印象を受けてしまいますが……。 |
河端 |
いえ、本格派ではありますが、実際のゲームルール自体はすごく理解しやすいはずです。 |
杉浦 |
そうですね。考えることは多いですが、やることはとてもシンプルですから。基本的な行動の組み合わせの工夫で戦うゲームです。 |
―― |
いままでTCGをやったことがない、という人でも出来ますか? |
河端 |
ルールを覚えるのに苦労はしないと思います。トライアルデッキもありますので、まずはそれをやっていただければ、まず間違いなくはまりますよ。 |
加藤 |
TCGの経験者は一度やれば、かなり深いところまで出来るようになりますね。『モンコレ』の経験者はいわずもがなです。相手のプレイに割り込んで打ち消したり、さらにそれをキャンセルしたりといったやり合い(対抗合戦)もあって、そのあたりはモンコレに似てますしね。 |
杉浦 |
加藤のこだわりの1つとして「いまこのキャラクターは、リアルに考えると今どういう行動をしていて、ゲームではどう表現されているのか?」っていうのがありましてですね。 |
加藤 |
うんうん。そういうのがイメージがしやすいように作っています。なので、ゲームならではの都合的処理が少ないと言いますか、フレーバー通りのイメージで遊べるので、理解しやすいと思います。 |
―― |
では次に『ドレッドノート』というタイトルについてお聞きします。『ドレッドノート』は「恐れ知らず」という意味だそうですが、このタイトルに決定したのはどのような経緯だったのでしょうか? |
加藤 |
最初、タイトルを何にしようかという話をしたとき、いろんな案が出てたよね。居酒屋で盛り上がったのを覚えてる(笑)。 |
河端 |
厨二くさい横文字の羅列とか、極端にシンプルなものなど、色々な案がありましたね。 |
杉浦 |
中々決まらなかったんですが、ある日、加藤が「『超ド級』ってよくない?」と言いまして。最初、その案が出た瞬間はみんな「いやダメやろ」って口を揃えてましたね(笑)。 |
河端 |
けど、そのあとも考え続けて、二周くらい回ってきたら「『超ド級』、わりといいんじゃないか?」って気になりましたよね。 |
加藤 |
なんかぐるっとまわってくると、クセになるよね(笑)。 |
杉浦 |
仮称「超ド級」の時はカードの数字が「億」の単位だったりしましたからね。 |
河端 |
ゲーム自体がもっと派手だったんですよね。戦闘力の最低値が「1億」って時点で何かがおかしい(笑)。 |
加藤 |
まあ、数字の後ろに「億」ってついてるだけで、ほとんど一桁と同じだったんだけどね。派手を通り越してバカっぽかった(笑)。でも、このタイトルなら初めて聞いても印象には残るんじゃないかなと思ってたんだけど……結局、いろいろあって流れました。 |
杉浦 |
最終的に「ド」だけ残って「ドレッドノート」になった、という感じです。数字の桁も普通になりました。 |
加藤 |
元々「超ド級」の「ド級」は、「ド級戦艦」とかに使われていて、「規格外」とか「どでかい」いう意味もあるらしいです。そういう「これまでとは違うTCGである」という、ある種のチャレンジ精神の志を『超ド級』のタイトルに込めていました。その意図は『ドレッドノート』というタイトルにもしっかり受け継がれています。 |
―― |
それでは、『ドレッドノート』の世界観についてお聞かせください。どのような世界観で展開されるゲームなのでしょうか? |
河端 |
舞台は近未来の世界です。日本とかアメリカとかが普通に存在しています。この未来では「イメージを物質化する技術」が確立されていて、その技術を用いて顕現を行うのが「キャスター」と呼ばれる存在です。 |
杉浦 |
「キャスター」には属性(クラスタ)があって、いまのところ赤青黄黒の4種類があります。それぞれが『ドレッドノート』の世界における「勢力」を表しています。 |
加藤 |
ゲームでは、そのキャスターがプレイヤーたちの分身といっていい存在だね。 |
河端 |
ですね。それぞれの拠点の場所と、色の特徴をざっとまとめるとこんな感じです。 |
|
赤 |
日本。
主に使用する神話体系は日本神話。
攻撃的な魔法に特化している。 |
青 |
アメリカ合衆国。
主に使用する神話体系はギリシャ・ローマ神話。
瞬間的な強化が得意。 |
黄 |
インド。
主に使用する神話体系はインド神話。
相手の呪文などを打ち消す。 |
黒 |
ドイツ。
主に使用する神話体系は悪魔全般。
相手を衰弱させる効果が多い。 |
|
―― |
主に使用する神話体系、というのは? |
河端 |
これは「情報を具現化する」という技術にも関わってくることなんですが、なるべく多くの人が知っているものの方が具現化しやすいんです。その一方で、それを顕現する「キャスター」が「これはこういうものだ!」と考えられる固有のイメージが必要なんです。 |
杉浦 |
みんなが知っていることだけど、みんな抱くイメージが違うもの、が一番具現化させやすい、ということですね。 |
―― |
それが、神話であり、神様であるということですか? |
加藤 |
世界中でいろんな人が知ってはいるけど、イメージするものはみんな違いますからね。 |
河端 |
また、光とか音とか匂いなどの非物質のものならば、個人でも具現化できるんですが、それ以上の物質的なものになると「キャスター」が2人必要になるんです。だからこそ、より共通認識が取りやすい神話がモチーフに選ばれやすいんですね。 |
加藤 |
最初にこの技術を使って呼び出されたのがたまたま神話の神様だったから、というのも関わってきているんじゃないかな。神話の神様を呼び出したという前例が生まれて、それを元に技術が研鑽されていったわけです。 |
河端 |
『ドレッドノート』の世界には「キャスター」を育成する学校みたいなものが各地に存在するんですが、そこで技術を教える際、神話をモチーフに使っているということも影響しています。 |
―― |
なるほど、様々な必然や歴史の流れがあって、神様が召喚されるのが当たり前の世界になっているというわけですね。 |
加藤 |
このイメージ具現化技術をリアルに考えるなら――今の世界で最初にこの技術を使ったのが日本人のロボ好きだったら、きっとガン○ムとかが顕現されるんじゃないかな。ボーカロイドが好きだったら、ミクさんが暴れているのかもしれない。 |
一同 |
(笑) |
河端 |
理論上は可能ですからね(笑)。「キャスター」はペアを組んで(ゲーム的には「キャスター」カードを2枚選んで)そういう技術を使って、神話の神様を召喚し、相手側のペアと神様同士を戦わせているわけです。普段、「キャスター」たちは技術を磨く他に、公的な機関に所属していない悪質な「キャスター」を取り締まったりしています。そのための予行演習兼技術の研鑽という意味も踏まえて、公的機関に所属する「キャスター」同士でも模擬戦を行っているわけです。それがプレイヤー同士のゲームに当たります。大まかには世界観はそんな感じです。 |
―― |
ありがとうございました。細かな世界観のフォローはどこかでされるのでしょうか? |
河端 |
順次ホームページなどで紹介されていく予定です。ゲームの世界観やキャラクターに愛着を持っていただけるよう頑張ります。 |
―― |
『ドレッドノート』のゲームルールなどについてお聞きします。まず、カードにはどのような種類がありますか? |
加藤 |
カードは3種類存在します。「キャスター」「ユニット」「コード」の3種類ですね。 |
杉浦 |
「キャスター」カードはプレイヤーの分身であり、HP(ヒットポイント)が設定されています。相手のキャスターのHPをゼロにする、というのが『ドレッドノート』における勝利条件になっています。 |
河端 |
その「キャスター」が召喚する神様を表すのが「ユニット」カードです。色ごとに様々な神話の神様が「ユニット」になっています。たとえば日本神話のスサノヲとか、インド神話の破壊神シヴァとかですね。 |
杉浦 |
「コード」は要するに魔法です。神様そのものではなく、神様の力を断片的に使う感じですね。 |
加藤 |
この3種類のカードをうまく組み合わせてデッキを構築して対戦します。デッキ構築は「キャスター」カードを2枚選ぶことから始まります。その「キャスター」の持つ属性のカードがデッキに組み込めるようになるわけです。赤色のキャスターと青色のキャスターの組み合わせとか、黄色と黒色の組み合わせとか、赤色と赤色で赤に特化してみるとか、パターンはたくさんあります。 |
杉浦 |
キャスターで縛っているからこそ、少ないカード種類でも構築パターンは多いわけです。 |
―― |
なるほど、いろんな組み合わせが楽しめそうですね。『ドレッドノート』ならではの特徴というのはどういうところになるでしょうか? |
加藤 |
大きく分けて3つの特徴があります。「同時ターン制バトル」、「ゴッドドロー」、「覚醒システム」の3つです。 |
―― |
続いて、「ゴッドドロー」とは何なのでしょうか? 普通のドローとは違うのですか? |
加藤 |
「神の引き」ですからね。もちろん通常のドローとは違います。 |
―― |
名前だけで、なんだかすごそうです(笑)。 |
河端 |
実際、すごいんですよ。「ゴッドドロー」は「自分の行動に関わるタイミング前ならいつでも何枚でもできるドロー」なんです。他のTCGだと、ドローフェイズが存在して、ターンの開始時に何枚かのカードを山札から引く、というのが普通です。基本的にそれ以外のタイミングにカードを引くことはできません。それをできるようにしたのが「ゴッドドロー」です。 |
―― |
いつでも無制限に引けるということでしょうか? |
加藤 |
さすがに無制限ではないです。このゲームではカードを使うためのパワーを表すものとして「バースト」というものが存在しています。いわゆるマナとかエネルギーを生み出すカードですね。 |
河端 |
「バースト」は裏向きに伏せたカードを脇に置いておくことで表現しています。これは基本的にターンごとに増えていくので、ターンが経るごとに大きな「ユニット」や「コード」を使うことができるようになるわけです。これを削る(裏向きにしたカードを引く)ことによって「ゴッドドロー」が行えるわけです。 |
杉浦 |
召喚できるユニットや使えるコードが手札にないから引くとかですね。相手がなにかしてきて、現状の手札ではそれに対抗できないから引いてみる、というのもあります。 |
―― |
相手の行動に割り込んでドローできるってことですか? |
加藤 |
そうそう。「バースト」さえ残っていればいくらでも引けるので、あと一押しで勝てる時や、何もしなかったら負けるという時に引いて、その引いたカードが勝敗を決定づけてしまうこともある、超重要なプレイです。 |
杉浦 |
なので、決着までのターン数が短いときがあるんです。ゲームの展開が圧縮されているとも言えますね。 |
加藤 |
便利だからと言ってあまり調子に乗って「ゴッドドロー」をしすぎると、そもそもそのカードを下ろすコストとしての「バースト」が足りなくなって負けてしまうんですけどね(笑)。ご利用は計画的に。 |
河端 |
「ほぼいつでもカードを引ける」という感覚は、まさしく規格外です。 |