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『ファニーデス』『ブラックミステリーズ 12の黒い謎をめぐる219の質問』
『つれづれ、北野坂探偵舎(4) 感情を売る非情な職業』
階段島シリーズ(2) 『その白さえ嘘だとしても』
著者インタビュー

2015年、ご好評をいただいているコミュニケーション型推理ゲーム「ブラックストーリーズ」シリーズの新作『ファニーデス 本当にあった不思議でおかしな50の“黒い”物語』が4月11日(土)に発売されました(以下『ファニーデス』。
そして、4月25日(土)には「ブラックストーリーズ」のコンセプトを取り入れた新機軸のオリジナル小説『ブラックミステリーズ 12の黒い謎をめぐる219の質問』(角川書店)が刊行されます(以下、小説『ブラックミステリーズ』)。

また3月には、人気シリーズ「つれづれ、北野坂探偵舎」の第4巻『感情を売る非情な職業』(角川文庫)、5月には「階段島」シリーズの第二作『その白さえ嘘だとしても』(新潮文庫nex)が刊行されます。こちらの2点はいずれも河野裕の作品。河野裕は上記の小説『ブラックミステリーズ』の企画担当者でもあります。

そこで、今回は「ブラックストーリーズ」シリーズの翻訳/紹介者であり、小説『ブラックミステリーズ』の監修者である安田均と小説の企画/執筆者である河野裕に、これら4作品の魅力を語ってもらいました。


2015年04月
記事作成 笠井道子




1.『ブラックストーリーズ ファニーデス』

ブラックストーリーズ ファニーデス
 本当にあった不思議でおかしな50の“黒い”物語

  作=コリンナ・ハルダー&イェンス・シューマッハ
  翻訳=グループSNE/安田均、柘植めぐみ、ニコ・シュタールベルク、石野力
  制作・販売=グループSNE/cosaic
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 「ブラックストーリーズ」をご存じない方にお勧め。実際に遊んだ様子がリプレイ形式で紹介されています。
著者インタビュー2014年3月
 グループSNEの総帥安田均のインタビュー。「ブラックストーリーズ」シリーズとの出会いから日本語版発売までの経緯が熱く語られています。


―― それではまず最初に、4月11日に発売になったばかりの『ブラックストーリーズ ファニーデス』(以下『ファニーデス』についてお伺いしたいと思います。今回の作品はどういった内容になるのでしょう。
安田 これまでグループSNE/cosaicではドイツmoses社の大人気シリーズ「ブラックストーリーズ」の『』『』『』をご紹介してきました。こうした番号付きの作品は「ナンバーシリーズ」と呼ばれているんですが、それとは別にさまざまなテーマ別シリーズというのが出ています。
―― たとえばどういったものでしょうか。
安田 いろいろありますよ。「映画」編や「クリスマス」編、それに「犯罪実話」編なんていうのもあります。ナンバーシリーズは『ブラックストーリーズ 10』まで出ていますが、テーマ別シリーズはもう15点くらい出ているんじゃないかな?
―― 今回の『ファニーデス』はそうしたテーマ別シリーズの1つなのですね。
安田 そうです。50の変わった事件が集められていて、みんなで話しあいながら真相を突きとめていくというのは、これまでの「ブラックストーリーズ」と同じなんですが。
―― タイトルに「本当にあった、おかしな」物語とありますね?
安田 それがキーワードです。これまで紹介してきた「ブラックストーリーズ」には嘘も本当も混じっているんですけれど、『ファニーデス』は実際に起こった事件、つまり実話ばかりを50問集めているんですよ。
―― 発売前日に行ったニコニコ生放送で『ファニーデス』からいくつか出題しましたが「それ、ほんとにあったの?」という驚きの声がずいぶん上がっていました。(SNEニコニコチャンネルこちら)
安田 あのとき紹介したのは2問だけだったけれど、そういうのが50問集まっていて、非常に楽しめる作品になっていると思います。
―― ブラックストーリーズ」って聞いたことあるけれど遊んだことないという方も多いと思いますが、いきなりこれからはじめても問題ないんですね。
安田 もちろん、すでに出ているシリーズのどれから遊んでいただいてもかまいません。強いて言えば、ナンバーシリーズでは『』に比べて『』のほうが若干特殊なシチュエーションかな、というくらい。『ファニーデス』のようなテーマ別シリーズでは、本当にどれから遊んでも楽しんでいただけるはずです。
―― さらに50枚あるうちのどれから遊んでもいい?
安田 まったく自由です。で、こうしたテーマ別シリーズは本国ドイツではとても人気があって、最新作はなんと「聖書」編!
―― 聖書?!……それって色々大丈夫なんでしょうか。
安田 とは、ぼくも思うけどね(笑)、実際に遊ぶのを楽しみにしています。では、そんなにたくさん出ているテーマ別シリーズのなかから、なぜこの『ファニーデス』を選んだかというと、本国ではナンバーシリーズも含めて、これが人気NO1なんですよ。
―― それはすごいですね!
安田 それぐらい面白い物語が詰まっていますので、「ブラックストーリーズ」が好きな方もこれからやってみようという方も、ぜひとも楽しんでいただきたいなと思います。
―― もちろん、他のテーマ別シリーズにも興味を持っていらっしゃるんですよね。
安田 ええ、反響を見ながらいろいろ出していけたらなと思っています。さらにですね、ブラックじゃない「カラーシリーズ」というのも出ているんです。次作はひょっとしたら、その辺りからの刊行になるかもしれない……と期待しておいてください。
―― そして、なんと4月25日(土)には「ブラックストーリーズ」をコンセプトにした新しいオリジナル小説角川書店から刊行されます。では、ここからは執筆者の一人、河野裕さんにも入っていただいて、小説についてお伺いしたいと思います。


2.『ブラックミステリーズ 12の黒い謎をめぐる219の質問』

ブラックミステリーズ 12の黒い謎をめぐる219の質問
  監修=安田均
  著=河野裕、友野詳、秋口ぎぐる、柘植めぐみ
  角川文庫

 ある日、一人の青年が謎めいた女性と出会い、夕食会に招待される。会場となるのはとある。そこに集まってきたのは、青年を含めて4人の客。客の一人一人がを提示し、会話をしつつ真相に迫る。そして、明かされるその真相の裏には、悲しく切ない物語があった……
 グループSNEが自信をもってお送りする新機軸ミステリーです。


―― では、まずこの企画の発端からお話いただけますか。
安田 そもそも、会話で真相を突き止めていく「ブラックストーリーズ」のようなゲームは、クリエイティブなタイプの人には絶対受け入れられると思っていたんですよね。
河野 私の場合は社内の資料で「ブラックストーリーズ」というタイトルを見たときから、すごく気になってました。
―― 河野さんご自身は、それまでにこのゲームを遊んでおられたんですか。
河野 実は内容さえまだ知らなかったんですが、いかにも面白そうな匂いがして気になってたんです。その後、他の人が遊んでいるのを見たりして、実際にプレイするまでに段階的に興味が湧いてきました。
安田 ああ、このゲームをするときにはみんな、ああでもないこうでもないとしゃべるからね(笑)。これほどルールを説明しなくても、すぐに遊んでもらえるゲームはないんじゃないかな。ゲームというか、ある意味「遊び」ですね。
河野 パッケージやカード自体のデザインもお洒落ですよね。
安田 ああ、それはぼくも気に入ってる点です。簡単に描いているようで味がある。箱もね、パカンと開くんじゃなくて、こう開くのがいい
―― 内容はブラックなんだけれど、イラストはユーモアにくるまれていますね。
安田 ファニーデス』のカバーイラストが、まさにその例。骸骨のピエロの鼻赤くなっているところなんかね。
河野 日本だとカードとか、ちっちゃく作ってしまいそうですね。
安田 そうそう! このゲームは言ってみれば『ウミガメのスープ』なんだけれど、パッケージはもちろん、こういう大きめのカードで遊ばせるところが優れた点なんですね。
『ウミガメのスープ』
ポール・スローンとデス・マクヘールの著作シリーズ。一見不可解なシチュエーションに対し、思考を飛躍させることで正解にたどり着く(「水平思考パズル」)。こちらは書籍タイプで問題編、ヒント編、回答編にわかれている。
河野 ゲームとしてのプレイ環境を作ったことが「発明」ですね。
安田 そうですそうです。ドイツの人はやっぱりゲーム好きなんだなあ、と改めて思いました。みんなでわいわい楽しめるものにしちゃうというところがね。
―― というように、グループSNEでも大変人気のある「ブラックストーリーズ」ですが、4月25日(土)、いよいよ小説となって角川書店から刊行されます。そのタイトルは……
一同 (表紙イラストを読み上げる)『ブラックミステリーズ 12の黒い謎をめぐる219の質問』――長いっ(笑)!
安田 内容については、これから話しますけれど、その219という数字は果たして正しいの? 数えたんだよね、一応?
河野 はい、編集さんが必死に数えてくれました。サバ読んで220にしますか、と言われたんだけれど「ぜひ219でお願いします!」と(笑)。
―― うんうん、219のほうがほんとっぽいよね。
安田 たしかにほんとっぽいけど(笑)、読者の方にも数えてもらったほうがいいんじゃないの?
河野 ただ、万一間違ってても、エラッタは出せませんよ(笑)?
―― それでは本題に入りますが、「ブラックストーリーズ」というゲームが、どのようにミステリー小説になったのか、その辺りをお話しいただけますか。
安田 まずなにより、2014年5月に『ブラックストーリーズ 1』がゲームとして出て、多くの方に喜んでいただいた、というのがあります。そして、ぼく自身は最初から、これストーリーになるよね、と感じていたんです。じゃあ実際にどう小説にするかと悩んでいたときに、河野くんが「社長、こうしましょう」と企画を持ってきてくれて――
河野 一応、正確に説明しますと、ある日、社長に呼び出されまして、「おまえはブラックストーリーズの小説をやれ」と(笑)。
安田 いやいや、それはきみが(「ブラックストーリーズ」を)好きだと言っていたから(笑)。
河野 もちろん好きですし、社長からのご提案ですから、持ち帰って頭をひねって企画を提出したということですね。ただ、一晩ぐらいでだいたいの形式が見えたので、個人的にはすごく自然な形にまとまったんじゃないかと思います。
―― 社長は本当によく色々なアイディアを思いついて、それを人に投げられるんですよね。でも、いったい「ブラックストーリーズ」をどう小説にするのかと目が点でした。
安田 ええー、あのゲームを遊んで、小説になると思わへんかった?
―― そりゃ面白そうとは思いましたが、一冊の本としてどうまとめるのか、と。
安田 ああ、それはやっぱり、ぼくがグループSNEというのを見てきたからやね。誰かが音頭を取って基本的な枠組みを作れば、書ける人はいると思ってました。ほら、アイザック・アシモフの『黒後家蜘蛛の会』みたいなクラブもののミステリがあるでしょう。「ブラックストーリーズ」はすぐにあの形にできるだろう、と。でも、具体的に切り口をどうしようかと悩んで、みんなに投げたんです。そうしたら、河野くんがちゃんと仕上げてきてくれた。
河野 今回は比較的、(社長のお話が)見えたほうですね。
安田 ……今回は見えたっ(笑)!? そうか、ぼくが何を言ってるのかさっぱり見えへんときあるもんなあ。
一同 (爆笑)
―― 経緯としては、社長が企画を提案されて、河野さんが一冊の本にするための大きな外枠を構成された、ということですね。
安田 そうです、他にも「ブラックストーリーズ」が好きそうな作家を、ある程度はこちらでも選び、希望者を募ったりしつつ、本作については4人のメンバーに執筆してもらいました。
―― 河野さんの他に友野詳さん、秋口ぎぐるさん、柘植めぐみさんの3人ですね。
安田 秋口くんは「ブラックストーリーズ」日本語版の版権交渉のときからいたし、柘植さんは翻訳を担当して内容は頭に入っているし、友野くんはこういうの大好きですから。
―― 形式としては4人の執筆者によるアンソロジーということになりますか。
河野 そうですね、タイトルどおり12の短篇が入っているんですが、登場人物が共通しているので、長編としても読んでいただけます。
―― 具体的にはどういう形になるのでしょうか。
河野 4人の登場人物うち1人が問題を出し、それを他の登場人物が実際に解く会話主体のパートがあり、質問がほぼ出そろったところで真相究明の小説パートになります。4人の登場人物が「ブラックストーリーズ」をそのまま遊んでいる雰囲気で、謎を解いていくという趣向なんですが――
安田 それらの登場人物のキャラを、それぞれ4人の作家が担当して創ったんだよね。
河野 そうです。本書では各話ごとに話の語り手が変わるんですね。自分の作った登場人物だけじゃなく、他の作家さんの作った人物も語り手になる。なので、会話部分はふだん自分では書かないような表現を使ったりして、非常にヴァリエーションに富んだものになったと思います。
―― 登場人物は「運転手」「船長」「詩人」「投資家」の4人ですが、執筆者のだれがどの作品を書いたかというのは……
安田 ふつうの本だと目次などに執筆者の名前が明記されますが、この作品についてはそれはやめよう、と。後書きまで読んでもらったらわかるようになっています。
―― 私が読んだのは原稿だったので執筆者は明記されてなかったんですが、わかりましたよ(威張りっ!)。
河野 おお、わかりましたか。
―― 実はね、ちょっと迷った(笑)。それほど読んでて違和感がなくて、全体を通しての統一感を感じました。
安田 そこがシェアードワールドの大変なところなんです。それぞれ実力のある作家ですが、ばらばらに書いてしまうと統一感が弱まる可能性がある。なので、まずテストプレイみたいに、実際に問題を解いてもらったんですよ。
河野 ああ、そうでした! 作中で出される問題を一度、ゲームとして遊んでから、小説を書いたんです。
安田 これまでシェアードワールドをやってきた経験から、そういうのは絶対必要だと感じていました。あのテストプレイは面白かったよねえ。絶対に無理だろうと思ってた問題がすらすらと解けてしまったり、簡単なはずなのに「え、そこで迷走するの」ってなったり。
河野 すごく意味のあるテストでしたね。本作で出題されるのは12問ですが、実際には1人8問ずつ作ってもらったんですよ。
―― はちもんっ?! (わたくし1問も作れませんが?)
安田 で、ぼくがそこから16問まで絞って、さらに4問落として最終的に12問にしたんだよね。
―― それら12問はすべて、本書用に作成されたオリジナル問題なんですね?
河野 ええ、実際の事件や聞いた話などに着想を得たものもありますが、基本的にオリジナルです。
安田 それを質疑応答を繰り返して、みんなで膨らませていきました。この企画についてはmoses社とも話をして、そういうのは大賛成だと言ってもらいました。ただ、「ブラックストーリーズ blackstories」というタイトルは、すでにカードゲームとして定着してますよね。だから、同じ名前で小説を出すと、mosesが企画したように思われるから、タイトルは変えてほしいと。
―― それで、ずいぶん悩んでおられましたね。
安田 タイトルは悩んだねえ(笑)。ブラックストーリーズ、いいタイトルだしね。
河野 私はタイトルを聞いたときから好きでしたしね(笑)。
―― でも、すごく素敵に本になりました。
河野 ええ、イラストレーターの平沢下戸さんも素晴らしいイラストを描いてくださいました。
安田 本になるまで色々と大変だったんだよ。なので、角川書店の編集部の方には感謝しています。あの方たちは本当に面白いものが好きなんですね。
―― 本書はとても意欲的な試みがされていて、さまざまな読み方ができますね。登場人物と一緒になって問題を解いてもいいし……
安田 そう、まずクイズ(問題)になってるでしょ。それから実際に問題を解くリプレイ(会話)になってるでしょ。そしてショートショートになってるでしょ。
河野 回答がショートショートになってるのはいいですね。胸に来るものがありますよね。
安田 大きな違いはそこだね。ゲーム版だと謎が出て、答えはこうですと書かれているだけだから。
河野 ゲームではあっさり死んでいった、その背景が明かされる(笑)。
安田 そこ大事だねえ(笑)。それぞれの事件の裏に、それぞれの人生があるはずだから。
河野 あと、これはぜひ言っておきたいんですが、各章のにちゃんとイラストがついてるんです。そして、その章扉に問題と難易度が載っています。
安田 そうそう、難易度も載ってるんだった。難易度のある小説ってはじめてちゃうかな(笑)?
河野 本文中に、わかりやすく囲い込み回答も掲載されていますので、ゲームとして遊べるようになっています。ぜひ楽しんでいただければと思います。
―― 登場人物の4人もそれぞれにがありますね。さっき河野さんが「長編としても読める」とおっしゃったとおり、物語が終盤に近づくにつれ、彼らの抱える重荷のようなものが明らかになっていきます。問題知ってても、最後まで面白かったですよ。実は私、テストプレイに入ってたんですけど。
安田 そうか、あのとき笠井もいたな! いままで知らんふりでインタビューしてたんや。
―― それが仕事ですから(笑)。で、今回採用されなかった残り20の謎が気になるところなんですが。
安田 moses社が『ブラックストーリーズ JAPAN』を作るときには応募しよう(笑)。
河野 できれば、ぜひ2冊目、出したいですね。
安田 これは出したいねえ!
―― そのためにも、読んで面白いと思ってくださった読者さんからお友だちにも薦めていただき、「ブラックストーリーズの輪」を広げていってくださったら嬉しいですね。
安田
河野
よろしくお願いします!!
河野 あと、この作品は情報収集の必要がないのがいいですよね。
―― こらこら(笑)。
安田 いや、わかるよ、ミステリのトリックだけを取り出した感じなんだよね。
河野 そうです、旨味だけを取り出して、ひたすら考える(書く)ことに集中できるのは楽しかったですね。


2014年4月著者インタビュー(2)
『北野坂探偵社(4) 感情を売る非情な職業』 階段島シリーズ(2)『その白さえ嘘だとしても』→


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